学校教育法の一部を改正する法律等の施行について


昭和五十一年一月二十三日文管振第八十五号
各都道府県知事、各都道府県教育委員会、
各種学校を置く国立大学長あて文部事務次官通達

 このたび、さきの第七十五回国会で制定され、昭和五十年七月十一日法律第五十九号として公布された「学校教育法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が昭和五十一年一月十一日から施行されました。
 また、改正法の制定に伴い、「学校教育法施行令等の一部を改正する政令」(以下「改正令」という。)、「学校教育法施行規則等の一部を改正する省令」(以下「改正規則」という。)及び「専修学校設置基準」(以下「設置基準」という。)がそれぞれ昭和五十年十二月二十七日政令第三百八十一号、昭和五十一年一月十日文部省令第一号及び昭和五十一年一月十日文部省令第二号をもって公布され、いずれも昭和五十一年一月十一日から施行されました。
 これらの改正法令の制定の趣旨及び内容は、下記のとおりでありますので、御了知の上、事務処理上遺憾のないようお取り計らい願います。



一 改正法制定の趣旨
 各種学校は、職業又は実際生活に必要な知識、技術を習得させる教育機関として重要な役割を果たしてきた。しかし、この従来の各種学校の制度は、規模、水準等において極めて多様な内容をもつものを学校教育に類する教育を行うものとして一括して取り扱っており、その教育の適切な振興を図る上で困難な点があった。今回の改正は、学校教育法上新たに専修学校の制度を創設し、従来の各種学校のうち一定の規模、水準を有する、組織的な教育を行うものを専修学校として位置づけ、その教育の振興を図ろうとするものである。
二 改正法の概要
 学校教育法の一部改正関係
(1)  学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に掲げる学校以外のもので、職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的として修業年限が一年以上、授業時数が文部大臣の定める授業時数以上及び教育を受ける者が常時四十人以上の組織的な教育を行う施設は、専修学校とすることとしたこと。(学校教育法第八十二条の二)。
ただし、当該教育を行うにつき、他の法律に特別の規定があるもの(例えば、職業訓練法に基づく職業訓練施設、防衛庁設置法に基づく防衛大学校等)及び外国人学校は専修学校から除くこととしたこと。
(2)  専修学校には、中学校を卒業した程度の学力を有する者を対象として教育を行う高等課程、高等学校を卒業した程度の学力を有する者等を対象として教育を行う専門課程又は特に入学資格を問わない一般課程を置くこととじたこと(学校教育法第八十二条の三)。
(3)  高等課程又は専門課程を置く専修学校は、それぞれ高等専修学校又は専門学校と称することができることとし、これら以外のものは、これらの名称を用いてはならないこととしたこと(学校教育法第八十二条の四及び第八十三条の二)。
(4)  専修学校は、国及び地方公共団体のほか、専修学校を経営するために必要な経済的基礎を有すること等所定の要件を備えた者でなければ、設置することができないこととしたこと(学校教育法第八十二条の五)。
(5)  専修学校は、教員の数、校地及び校舎の面積並びにその位置及び環境、設備並びに教科及び編制の大綱について文部大臣の定める基準に適合していなければならないこととしたこと(学校教育法第八十二条の六)。
(6)  専修学校には、校長及び相当数の教員を置かなければならないこととし、校長の資格を定めるとともに教員の資格に関しては文部大臣が定めることとしたこと(学校教育法第八十二条の七)。
(7)  専修学校の設置廃止(高等課程、専門課程又は一般課程の設置廃止を含む。)、設置者の変更及び目的の変更は、監督庁の認可を受けなければならないこととし、監督庁の認可事務に関する規定を設けたこと(学校教育法第八十二条の八)。
(8)  専修学校の名称、位置又は学則の変更並びに政令で定める事項を監督庁に対する届出事項とすることとしたこと(学校教育法第八十二条の九)。
(9)  学校教育法第一条の学校に関する学校の経費の負担、授業料の徴収、校長又は教員の欠格事由、校長の届出、児童等に対する懲戒、保健、監督庁の閉鎖命令及び変更命令並びに私立学校の所管庁の規定を専修学校に準用することとし、監督庁が閉鎖命令を出そうとする場合の手続き規定を設けたこと(学校教育法第八十二条の十)。
(10)  専修学校以外のものが専修学校の教育を行っている場合、都道府県教育委員会(私人の経営するものにあっては都道府県知事)は、関係者に対して専修学校設置の認可を申請すべき旨の勧告等を行うことができることとしたこと(学校教育法第八十四条)。
(11)  公立の専修学校の監督庁は、当分の間、都道府県教育委員会とすることとしたこと(学校教育法第百六条第二項及び第三項)。
(12)  その他学校教育法上必要な規定の整備を行ったこと。
(13)  改正法の施行の際、現に存する各種学校で専修学校の教育を行おうとするものは、高等課程、専門課程又は一般課程の設置の認可を受けることにより、専修学校となることができることとし、当該各種学校が専修学校となるまでの間は、各種学校に係る学校教育法第八十三条第一項の規定の適用については、なお従前の例によることとしたこと(改正法附則第二条第一項及び第二項)。
(14)  改正法の施行の際現に高等専修学校、専門学校又は専修学校の名称を用いている教育施設は、学校教育法第八十三条の二第二項の規定にかかわらず、昭和五三年三月三十一日までの間は、なお従前の名称を用いることができることとしたこと(改正法附則第二条第三項)。
 私立学校法の一部改正関係(改正法附則第七条)
(1)  私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第九条の規定に基づき都道府県に置かれる私立学校審議会の委員として都道府県知事が任命する者に私立専修学校の校長及び教員並びに私立専修学校を設置する学校法人及び準学校法人の理事(以下「私立専修学校の校長等」という。)を加えたこと。
(2)  都道府県知事は、私立専修学校の校長等から私立学校審議会の委員を任命する場合において、当該都道府県の区域内にある私立専修学校の教育一般の改善振興を図ることを目的とする団体で、これらの私立専修学校の総数の三分の二以上をもって組織されるものがあるときは、当該団体の推薦する候補者のうちから当該委員を任命しなければならないこととしたこと。
(3)  その他私立学校法上必要な規定の整備を行ったこと。
 学校保健法の一部改正関係(改正法附則第十二条)
(1)  専修学校には、保健管理に関する専門的事項に関し、技術及び指導を行う医師を置くよう努めなければならないこととしたこと。
(2)  専修学校には、健康診断、健康相談、救急処置等を行うため、保健室を設けるよう努めなければならないこととしたこと。
(3)  学校保健計画、学校環境衛生、児童等の健康診断及び健康相談、職員の健康診断、伝染病予防のための出席停止及び臨時休業、保健所との連絡等の規定を専修学校に準用することとしたこと。
 文部省設置法の一部改正関係(改正法附則第六条)
管理局の事務に専修学校教育の振興に関し、企画し、及び援助と助言を与えること並びに専修学校教育の基準の設定に関することを加えたこと。
 その他の法律の一部改正関係
 地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和二十二年法律第二百十七号)、教育公務員特例法(昭和二十四年法律第一号)、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)、結核予防法(昭和二十六年法律第九十六号)、私立学校教職員共済組合法(昭和二十八年法律第二百四十五号)、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律(昭和三十四年法律第十七号)、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律(昭和三十九年法律第百四十四号)、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)、法人税法(昭和四十年法律第三十四号)、登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)、及び日本私学振興財団法(昭和四十五年法律第六十九号)について専修学校を各種学校と同様の取扱いとするための必要な規定の整備を行ったこと(改正法附則第三条から第五条まで、第八条から第十一条まで及び第十三条から第十九条まで)。
三 改正令の概要
 学校教育法施行令の一部改正関係
 専修学校に関する監督庁への届出事項として分校の設置廃止並びに校地、校舎その他直接教育の用に供する土地建物の取得、処分及び重要な現状変更を定めたこと(改正令第一条)。
 学校保健法施行令の一部改正関係
 出席停止の指示、出席停止の報告等の規定を専修学校に準用することとしたこと(改正令第二条)。
 文部省組織令の一部改正関係
 管理局振興課の所掌事務に専修学校教育の振興に関し、企画し、及び援助と助言を与えること並びに専修学校教育の基準の設定に関することを加える等所要の規定を整備したこと(改正令第二十一条)。
 その他の関係政令の一部改正
 教育公務員特例法施行令(昭和二十四年政令第六号)、私立学校法施行令(昭和二十五年政令第三十一号)、地方税法施行令(昭和二十五年政令第二百四十五号)、建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律施行令(昭和二十八年政令第三百八十七号)、関税定率法施行令(昭和二十九年政令第百五十五号)、自衛隊法施行令(昭和二十九年政令第百七十九号)、土地区画整理法施行令(昭和三十年政令第四十七号)、首都圏整備法施行令(昭和三十二年政令第三百三十三号)、首都圏の既成市街地における工業等の制限に関する法律施行令(昭和三十四年政令第五十二号)、消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号)、組合等登記令(昭和三十九年政令第二十九号、所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)、法人税法施行令(昭和四十年政令第九十七号)、近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律施行令(昭和四十年政令第百六十一号)、都市計画法施行令(昭和四十四年政令第百五十八号)、日本私学振興財団法施行令(昭和四十五年政令第二百号)及び柔道整復師法施行令(昭和四十五年政令第二百十七号)について専修学校を各種学校と同様の取扱いとするための必要な規定の整備を行ったこと(改正令第三条から第二十条まで)。
四 改正規則の概要
 学校教育法施行規則の一部改正関係
(1)  専修学校の設置に関する事項は、専修学校設置基準(昭和五十一年文部省令第二号)の定めるところによることとしたこと(学校教育法施行規則第七十七条の二)。
(2)  専修学校の生徒の入学、退学、休学等については、校長が定めることとしたこと(学校教育法施行規則第七十七条の三)。
(3)  専修学校の高等課程の入学に関し中学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者は、学校教育法施行規則第六十三条各号の一に該当する者とすることとしたこと(学校教育法施行規則第七十七条の四)。
(4)  専修学校の専門課程の入学に関し高等学校を卒業した者に準ずる学力があると認められる者は、通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(通常の課程以外の課程によりこれに相当する学校教育を修了した者を含む。)若しくは学校教育法施行規則第六十九条第一号から第三号までの各号の一に該当する者又は修業年限が三年の専修学校の高等課程を修了した者若しくはその他専修学校において、高等学校を卒業した者に準ずる学力があると認めた者とすることとしたこと(学校教育法施行規則第七十七条の五)。
(5)  専修学校の学年の始期及び終期は校長が定めることとしたこと(学校教育法施行規則第七十七条の六)。なお、この場合、校長は学年の始期を年二回を超えて定めないようにすること。
(6)  専修学校には、校長及び教員のほか、助手、事務職員その他の必要な職員を置くことができることとしたこと(学校教育法施行規則第七十七条の七)。
 なお、助手は教員の指導の下に、教員の職務を助けるものであること。
(7)  学校の設置等についての認可の申請又は届出の手続き及び学則記載事項に関する規定を専修学校に準用することとしたこと(学校教育法施行規則第七十七条の八から第七十七条の十まで)。
(8)  出席簿の作成、児童に対する懲戒、校長の監督庁への届出の手続き、学校において備えなければならない表簿、各学年の課程の修了又は卒業の認定、卒業証書の授与及び授業終始の時刻に関する規定を専修学校に準用することとしたこと(学校教育法施行規則第七十七条の十)。
 なお、この場合、卒業証書については、当該卒業生の修了した課程の名称及び修業年限を明記すること。
 その他の関係省令の一部改正
 私立学校法施行規則(昭和二十五年文部省令第十二号)、学校基本調査規則(昭和二十七年文部省令第四号)、私立学校教職員共済組合法施行規則(昭和二十八年文部省令第二十八号)、文部省関係許可認可等臨時措置令施行規則(昭和四十四年文部省令第六号)、日本私学振興財団法施行規則(昭和四十五年文部省令第十九号)及び学校法人会計基準(昭和四十六年文部省令第十八号)について専修学校を各種学校と同様の取扱いとするための必要な規定の整備等を行ったこと(改正規則第二条から第七条まで)。
五 設置基準の概要
 総則に関する事項
 専修学校は、学校教育法その他の法令の規定によるほか、この省令の定めるところにより設置するものとしたこと(第一条第一項)。
 また、この省令で定める設置基準は、専修学校を設置するのに必要な最低の基準であり、したがって専修学校は、この基準より低下した状態にならないようにすることはもとより、その社会的使命にかんがみ、常にその教育水準の維持向上に努めなければならないものとしたこと(同条第二項及び第三項)。
 組織編制に関する事項
(1)  教育上の基本組織
 専修学校は、課程ごとに、専修学校の目的に応じた分野の区分ごとに教育上の基本となる組織を置くものとしたこと。
 ここで、「目的に応じた分野」とは、別表第一又は別表第二に示す工業関係、農業関係、医療関係、衛生関係、教育・社会福祉関係、商業実務関係、家政関係及び文化・教養関係のそれぞれを指すものであり、専修学校はこれらの区分ごとに教育上の基本となる組織を置くものであること(第二条第一項)。
 また、教育上の基本となる組織には、教育上必要な教員組織、施設、設備その他を備えなければならないものであること(同条第二項)。なお、法第八十二条の八第一項の規定により目的の変更として監督庁の認可を受けなければならない場合には、認可申請書の添付書類に記載された目的の文言の変更のほか、ここでいう目的に応じた分野の変更又は新設、廃止も含まれるものであること。 ただし、これらの区分をまたがるものであっても、例えば、衛生関係として調理に関するものと家政関係として料理に関するものを併せて置く場合等密接な関連を持つ学科を置く場合には、これらを合わせて一つの教育上の基本となる組織とすることができるものであるが、この場合には教員数、校舎等に関する基準の適用については、いずれか高い方の分野の基準によるものであること。
(2)  学科
 上記(1)の教育上の基本となる組織には、一又は二以上の学科を置くものとしたこと(第三条第一項)。なお、この学科は学則の記載事項であり、学科の設置廃止は、上記(1)の目的に応じた分野の変更又は新設、廃止に係らないものについては、学則記載事項の変更として届出により処理するものであること。この学科は、専修学校の教育を行うため適当な規模及び内容があると認められるものでなければならないこと(同条第二項)。
(3)  夜間学科等
 専修学校は夜間において授業を行う学科又は特別な時間において授業を行ういわゆる三部制の形態のような学科を置くことができることとしたこと(第四条)。
(4)  授業時数
 専修学校の授業時数は、学科ごとに一年間にわたり八百時間以上としたこと(第五条第一項)。この場合の一単位時間は五十分を原則とし、教育上支障のない場合には四十五分でも差し支えないものであること。また、授業時数は、学科ごとにそれぞれの生徒が学ぶべき教育課程として八百時間以上となるものでなければならない。
 夜間学科等にあっては、一年間の授業時数を八百時間以上要求することは勤労している生徒の健康その他の面から困難な場合もあるので、年間授業時数を四百五十時間を下らない範囲で、修業年限に応じて減ずるものとしたこと(同条第二項)。この夜間学科等であって一年間の授業時数が八百時間未満のものについては、修業年限を一年以上、例えば一年半又は二年として、合計授業時数が八百時間以上となるものでなければならないものであること。
(5)  同時に授業を行う生徒
 一の授業科目について同時に授業を行う生徒数は、四十人以下とするが、教育上の必要その他特別の事由があり、かつ、教育上支障のない場合は、この限りでないこととしたこと(第六条)。
 また、教育上必要があるときは、学年又は学科を異にする生徒を合わせて授業を行うことができることとしたこと(第七条)。
 教科に関する事項
(1)  授業科目
 高等課程においては、中学校の教育の基礎の上に、心身の発達に応じて専修学校の教育を施すにふさわしい授業科目を開設しなければならないこととし、中学校教育との関連を明確にしたこと。また、専門課程においては、高等学校教育の基礎の上に、深く専門的な程度において専修学校の教育を施すにふさわしい授業科目を開設しなければならないこととし、高等学校教育との関連を明確にしたこと。一般課程についても、専修学校の教育を施すにふさわしい授業科目を開設しなければならないこととしたこと(第八条)。
(2)  専門課程の授業科目
 専門課程においては、生徒が学ぶべき課程として総授業時数のおおむね十分の八程度を当該学科に係る専門教育科目又はこれに関連する授業科目の授業にあてるものとし、専門教育機関にふさわしい授業科目を開設しなければならないこととしたこと(第九条)。なお、関連する授業科目とは、専門教育の基礎となる科目や当該学科の専門以外の専門教育科目や一般教育科目で当該学科の専門教育に関連する科目などを意味するものであること。
 教員に関する事項
(1)  教員数
 専修学校に置かなければならない教員の数は、別表第一に定めるところによることとしたこと。高等課程及び専門課程と一般課程とで差を設けたのは、中学校又は高等学校教育との関連において教育を行うものについてはそれ以外のものと比較して若干基準を高くしたものであり、また同一課程の中でも工業関係、医療関係など、一般的に、実験・実習を必要とする分野については、それ以外の分野と比較して若干基準を高くしたものであること。
 ここでいう教員は、第十一条から第十三条までに規定する教員の資格を有する者を意味するものであり、学校教育法施行規則第七十七条の七に規定する助手等の職員は含まないものである(第十条第一項)。
 本条の教員数は、課程ごとに、学科の属する分野ごとに必要となるものであり、同一課程であっても分野が二以上あれば、分野ごとに別表第一の表により算定した教員数を合計した数の教員が必要であり、同一分野であっても課程が二以上あれば、課程ごとに、この表で算定した教員数を合計した数の教員が必要となるものであること。
 また、この必要教員数の半数以上は、専任の教員でなければならないこととし、常勤の校長であって教員の資格を有する者が教員を兼ねる場合には、当該校長も教員に含まれることとしたこと。ただし、専任の教員の数は、三人以上とし、教員組織の充実を図ったこと。ここで「専任の教員」とは当該専修学校の教育に本務として従事する者をいい、具体的に当該教員が専任の教員であるかどうかは、当該専修学校における勤務時間、給与等により総合的に判断すべきであるが、少なくとも二以上の専修学校の教員を兼ねている場合には、一の専修学校において専任の教員とみなされれば、他の専修学校では兼任の教員とみなすべきものであること(同条第二項)。
 通常の時間において授業を行う学科と同一の学科を夜間学科等として併せて置く場合にあっては、相当数の教員を増員するものとして、円滑な授業、学校運営ができるよう必要な教員を配置するものとしたこと(同条第三項)。
(2)  教員の資格
 専修学校の教員については、小学校、中学校、高等学校等の教員の場合と異なり教員免許状制度はとらないものであり、それぞれの課程に応じて必要な教員資格を定めたものであること。
 専門課程の教員の資格
 専修学校の専門課程の教員は、専門課程を修了後、学校、研究所等でその担当する教育に関する教育、研究又は技術に関する業務(以下「関連業務」という。)に従事した者で当該課程の修業年限と関連業務従事期間とを通算して六年以上となる者等を第十一条第一号から第四号までに規定したほか、これらと同等以上の能力があると認められる者を第五号に規定したこと。この第五号の同等以上の能力があると認められる者は、次のような者であること。
(ア)  従来の各種学校で高等学校卒業程度以上を入学資格とするものを卒業した後、関連業務に従事した者で当該各種学校の修業年限と関連業務従事期間とを通算して六年以上となる者
(イ)  その担当する教育に関し法令に基づく高等学校卒業程度以上の免許又は資格等(当該免許又は資格等に関し、上級の免許又は資格等がある場合には、上級のものに限る。)を取得した者で、当該免許又は資格等の取得後大学卒業程度の免許又は資格等を取得した者にあっては二年以上、短期大学卒業程度の免許又は資格等を取得した者にあっては四年以上、高等学校卒業程度の免許又は資格を取得した者にあっては六年以上関連業務に従事した者
(ウ)  理容、美容の実技その他実際的な技術文は技能の修得を主とする分野の教員については、次に掲げる者であって当該技術又は技能に秀でた者
(1)  上記(イ)の高等学校卒業程度以上の免許又は資格等以外の法令に基づく免許又は資格等(当該免許又は資格等に関し、上級のものがある場合には、上級のものに限る。)を取得した者であって、当該免許又は資格等を取得後、九年以上関連業務に従事した者
(2)  専修学校又は各種学校を卒業した後当該修業年限と関連業務従事期間とを通算して九年以上となる者
(エ)  外国の学校、旧制の学校又は他の法律に基づく学校、専修学校若しくは各種学校に準ずる教育施設等を卒業した者であって、第十一条第一号から第四号までの規定の各号に相当する修業年限、関連業務従事期間又は資格を有する者
(オ)  医師、歯科医師、弁護士又は公認会計士
(カ)  大学、短期大学及び高等専門学校の教授、助教授及び講師の資格を有する者
 高等課程の教員の資格
 高等課程の教員は、専門課程修了後、学校、研究所等において関連業務に従事した者で当該課程の修業 年限と関連業務従事期間とを通算して四年以上となる者等を第十二条第一号から第四号までに規定したほか、これらと同等以上の能力があると認められる者を第五号に規定したこと。この第五号の同等以上の能力があると認められる者は次のような者であること。
(ア)  上記アの(ア)に相当する者で、当該期間が四年以上となる者
(イ)  その担当する教育に関し、法令に基づく大学卒業程度の免許若しくは資格等を取得した者又は短期大学卒業程度の免許若しくは資格等を取得した者で取得後二年以上関連業務に従事した者若しくは、高等学校卒業程度の免許若しくは資格等を取得した者で取得後四年以上関連業務に従事した者
(ウ)  上記アの(ウ)に相当する者で、当該期間が七年以上となる者
(エ)  外国の学校、旧制の学校又は他の法律に基づく学校、専修学校若しくは各種学校に準ずる教育施設等を卒業した者であって、第十二条第二号から第四号までの規定の各号に相当する修業年限、業務従事期間又は資格を有する者
(オ)  大学、短期大学又は高等専門学校の助手の資格のある者
 一般課程の教員の資格
 一般課程の教員は、高等学校卒業後四年以上関連業務に従事した者等を第十三条第一号及び第二号に規定したほか、これらと同等以上の能力があると認められる者を第三号に規定したこと。この第三号の同等以上の能力があると認められる者は、次のような者であること。
(ア)  外国の学校、旧制の学校又は他の法律に基づく学校、専修学校若しくは各種学校に準ずる教育施設等を卒業した者であって、第十三条第二号の規定に相当する修業年限又は業務従事期間を有する者
 施設及び設備等に関する事項
(1)  校地、校舎の位置及び環境は、教育上及び保健衛生上適切なものでなければならないこととしたこと(第十四条)。
(2)  校地
 枝地は、第十六条に定める校舎等を保有するに必要な面積の校地を備えなければならないこととしたこと。なお、校地については、原則として自己所有であることが望ましいことは言うまでもないが、特別の事由があるときは、長期間の賃借権又は地上権が設定されていれば足りるものとする(第十五条第一項)。
 また、専修学校は、目的に応じ、運動場、農場、薬草園その他教育上必要な施設の用地を備えなければならないこととしたこと(同条第二項)。
(3)  校舎
 専修学校の校舎には、目的、生徒数又は課程に応じて教室(講義室、演習室、実習室等)、教員室、事務室、管理室のほか、廊下、便所その他の必要な附帯施設を備えなければならないこととしたこと(第十六条第一項)。このほか、なるべく図書室、保健室、教員研究室、生徒控室、講堂、生徒自習室その他教育、保健管理又は厚生補導に関する施設を備えるものとしたこと(同条第二項)。また、目的に応じ実習室、体育館、関連教育病院その他の必要な施設を確保しなければならないこととしたこと(同条第三項)。
 校舎の面積は、一の課程のみを置く専修学校で、別表第二イの表に定める一の分野についてのみ学科を置くものについては、同表により算定した面積以上としたこと(第十七条第一項)。また、二以上の課程を置く専修学校又は一の課程のみを置く専修学校で二以上の分野について学科を置くものについては、これらの課程ごとの分野のうち別表第二イの表第四欄の生徒総定員四十人までの面積が最大であるいずれか一の分野について同表により算定した面積と、それ以外の分野についてそれぞれ別表第二ロの表により算定した面積とを合計した面積以上としたこと(第十七条第二号)。これは、別表第二イの表の面積の算定基礎には教室以外の教員室、事務室、管理室等の面積も含まれており、二以上の分野等を置く場合には、これら共通管理部門の共用が可能であるからである。
 なお、これらの基準面積に相当する部分の校舎については、原則として自己所有でなければならないものであること。
(4)  設備
 専修学校は、目的、生徒数又は課程に応じ必要な種類及び数の機械、器具、標本、図書のほか、机、いすその他の教具及び校具等の設備を備えなければならないものとしたこと(第十八条)。また、夜間において授業を行う場合には、適当な照明設備を備えなければならないものとしたこと(第十九条)。なお、これらの設備については原則として自己所有でなければならないものであること。
(5)  名称
 専修学校の名称は、専修学校として適当であるとともに、当該専修学校の目的にふさわしいものでなければならないものとしたこと(第二十条)。これは、学校教育法第一条の学校と紛らわしい名称はもちろん研究機関又は単なる私塾を意味するような名称を用いることは不適当であり、また、専修学校の目的に応じた分野及び課程に相応した名称を用いるべきであることを明らかにする趣旨であること。なお、更に学科まで含めて表現する場合には、例えば、まるまる専門学校工業専門課程土木科とか、ばつばつ理容高等専修学校高等課程理容科などの名称が考えられること。ただし、専門課程とその他の課程を置く専修学校は専門学校の名称を使用できるものであるが、この場合には専門課程以外の課程については、そのことが明確になるよう学則等に明記する必要があること。
(6)  附則に関する事項
 この省令は、昭和五十一年一月十一日から施行するものであること(附則第一項)。
 この省令の施行の際、現に存する各種学校が昭和五十六年三月三十一日までの間に課程の認可を受けて専修学校となる場合には、次のような経過規定を設けることとし、円滑な専修学校制度の発足を図ることとしたものであること。
(ア)  生徒総定員が四十人である最小規模の専修学校については、専任の教員を三人確保し難い特別の事由があるときは、二人とすることができることとしたこと(附則第二項)。
(イ)  教員資格が本則の第十一条から第十三条により難い特別の事由があるときは、昭和五十一年一月十一日現在各種学校に在職する教員が引き続き在職する場合には、監督庁の判断によりこれらの規定の各号に掲げる者に準ずる能力があると認められる者は、専修学校の教員となることができることとしたこと(附則第三項)。
(ウ)  校舎面積について、別表第二イの表の学科の属する分野ごとの生徒総定員四十人までの面積については、これにより難い特別の事由があるときはその九十%に相当する面積で足りることとしたこと(附則第四項)。
(7)  認可に当たって留意すべき事項
 専修学校の分校は、1設置される場所がへき地等であって通学上の便宜のため地域の要望が強いこと、2独立した専修学校となる程度の規模を有していないこと、3教育機能も当該分校のみでは完結せず、教員、実習施設等について本校と一体となって教育を行うような形態であること等の要件を充たす場合に認められるものであり、実体が独立した専修学校としての要件を備えているものは、独立の専修学校として設置認可を行うべきものであること。
 専修学校が附帯事業として当該専修学校の教員、施設、設備等により専修学校以外の教育を行うことは、専修学校の教育に支障のない限り差し支えないものであるが、当該教育を恒常的に行うものであるときは、その旨を学則に明確に記載して行うべきものであること。なお、この場合、入学案内、修了証書等においても当該教育が正規の専修学校の教育以外の附帯事業としての教育である旨を明示すべきであること。
 また、これらの附帯事業が各種学校の要件に該当するものであるときは、別途各種学校の認可を受けて行うべきものであり、この場合には独立した別の各種学校として取り扱うべきであること。
 専修学校は、学校教育法に基づく教育機関であり、職業訓練法に基づく職業訓練施設とはその目的及び性格を異にするものであるが、その実体面では類似している面もあるので、専修学校制度の運用に当たっては、その点に十分留意すること。
 高等課程、専門課程又は一般課程の認可に当たっては、設置基準第二条第一項の目的に応じた分野ごとに、同時に授業を受ける生徒の総定員が四十人以上となるものに限ることを原則とすること。

(生涯学習政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室)

-- 登録:平成21年以前 --