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4.調査研究の結果

1.   「標準」の構成についての質問紙調査の結果
   「標準案」の構成の当否を問うため、メディア教育研究者と教育メディア研修の実施者を対象に行なった質問紙調査の結果を以下に示す。この質問紙調査の調査票と素データは、巻末の附録に付す(附録B、C参照)。

 
(1)   公的機関の設定する研修の「標準」の必要性について
   文部科学省などのような公的機関の設定する、研修カリキュラムの「標準」となるものを必要とする意見が多く、「標準」のニーズは高いといえる。
 「標準」の必要性についての留意的意見として、「標準」の構成を固定的なものにすることに対する危惧や、「標準」の存在よりもむしろその運用に対する指摘があげられた。

(2)   「標準」の研修実施のための基礎資料としての必要性について
   研修担当者の研修計画立案の際の参考資料として、実施者のメディア観をカバーする意味合いから、研修受講者がメディアの動向を知る意味で、種々の理由から、研修実施のための基礎資料として「標準」を必要とする意見があげられた。
 なお、研修実施のための基礎資料として「標準」を採用することに対する留意的な意見や否定的な意見は特になかった。

(3)   研修内容の選択性について
   研修受講生の状況、地域性の相違、研修内容の分化と多様化などの理由から、研修内容を選択性にすべきであるという意見が大多数であった。
 一方、研修の核となるものについてのみ、固定化した方が望ましいとする意見もあげられた。この場合、研修の核となるべきものは、メディアの状況の変化に応じて変わることが予想されるため、定期的な「標準」の改定は必須となろう。

(4)   研修内容の固定化について
   研修内容を固定化すべきという意見は少なく、研修実施者の裁量で各地域の研修計画が策定されることを望む意見が大多数であった。ただし、「標準」の不断の改定がなければ、年月とともにその内容が固定化、陳腐化してしまうという懸念が寄せられた。
 一部、指導者育成と言う観点から研修内容を固定化すべきだとする意見があった。これについては、研修実施者育成のためのモデル・プラン(第5章参照)が参考になろう。

(5)   研修実施主体の分担制について
   研修の内容・レベル・規模、地域性の相違に応じて、研修を分担して実施すべきであるとする意見が多い。中でも、研修実施者やメディア管理者の研修は国・都道府県で、各メディアの知識・技術研修は市区町村で実施することを望む意見が多い。本「標準案」で提案している研修項目「研修実施者のための研修」や、研修実施者育成のためのモデル・プランが研修の役割分担を行なう際の一助となろう。

(6)   研修内容の段階・分類について
   「標準」の内容に具体性を持たせるため、研修内容の妥当性を示すため、研修計画立案の参考資料として、研修内容を「研修細目」「学習事項」(附録A参照)の段階まで細かく記すことについて、これを望む意見がほとんどであった。
 一部、重複する研修内容を統合すべきであるとする意見があげられた。これについては、「学習事項」の段階で内容の相違を示したり、注記でそれぞれの扱いを示すなどして対応することとした。

(7)   研修事例を示すことの是非と、その分量、内容について
   研修事例を示すことについて、否定的な意見はなく、ある意味において研修事例を提示することは必要であることが明らかになった。
 研修事例の分量については、これを増やすべきとする意見と減らすべきとする意見とに分かれた。研修事例の内容については、研修計画の例と合わせて研修の実施例を付すべきであるとする意見が一部あった。今後、各地域の研修実施主体と連携しながら、研修の実施例を示していくことが課題としてあげられる。

(8)   「標準」および研修内容の加除修正の方法と周知の方法について
   「標準」および研修内容の加除修正の方法について、作業部会や研究会、ネットワーク上に修正システムを設けるなどして、不断かつ速やかな改定を望む意見が大多数である。修正のスパンについては、毎年修正されることを望む意見が多く、長くとも5~6年に一度は修正すべきであるという結果であった。
 「標準」の周知の方法については、インターネット上での周知を望む意見が多い。また、印刷媒体とインターネットを併用して周知徹底すべきであるという意見もあった。

(9)   「標準」のマニュアル、または解説書の類の必要性について
   研修計画立案の際の参考資料として、「標準」のマニュアルに類する資料が必要であるとする意見が多い。マニュアルの発表形式については、オンラインでの発表を望む意見と、印刷媒体による発表を望む意見とに分かれている。
 一方で、現在の「学習項目」の段階まで示している「標準案」を周知することで十分とする意見や、労力と経費などの問題からマニュアルの作成に対して否定的な意見もあった。

(10)   各研修団体間の研修計画など情報交換、協力体制の必要性とその方法について
   研修団体間の情報交換の場や協力体制を必要とする意見は非常に多く、何らかの方法でこれを確立することが望まれる。情報交換の方法については、インターネットやメーリングリストなどを利用すると意見が多い。また、その際には国や特定の研究機関などが、管理・指導的な立場を取るべきでする意見があげられた。

(11)   その他
   「標準」の構成について、研修項目に重要度のラベルを付すべきであるとする意見、研修の順序性を示すべきであるとする意見が一部あげられた。これについては、委員会で協議・検討した結果、「標準」で示される研修項目を選択性にする以上、研修内容の扱いの軽重や順序性についても研修実施者の裁量に委ねるべきとする結論に至った。その代わり、研修のモデル・プランやマトリクスで研修の段階等に対する例を示すこととした。
 また、平成15年度の調査研究でも報告されているように、従来からの映像を提示するメディアについては、各地域での研修が既に一定の成果をあげている事実を踏まえ、これを「映像機器」という「研修項目」に統合することで扱いを縮小しつつも、「標準案」に残すこととした。逆に、コンピュータ関連のメディアはその扱いを拡大し、ハードウェア、または、ソフトウェア別に「研修項目」を立てることとした。

2.   仮想研修計画の立案に基づいた意見聴取の結果
   「標準案」の妥当性と有用性を検証するため、教育メディア研修の実施者を対象に行なった質問紙調査の結果を以下に示す。この質問紙調査の調査票と素データは、巻末の附録に付す(附録D、E参照)。

 
(1)   各機関での研修の目的・対象・方法について
   研修の目的・対象・方法は、機関ごとに大きく異なる。内容の詳細については、巻末の附録を参照されたい。

(2)   研修カリキュラムを作成するにあたって
 
1 研修内容の選択性の是非について
   受講者や地域の状況に対応した研修計画を策定することが必要であるという観点から、「標準」で示される研修内容を選択性にすべきであるという意見に集束した。
2 研修内容の妥当性について
   「標準」で示される研修内容の分量・内容について否定的な意見はなく、分量・内容ともに適切であることが示された。
3 研修事例の有用性について
   研修事例、研修のモデル・プランは、研修計画の立案に際して有用な参考資料になるという意見に集約された。一部、目的別事例の充実を望む声があがった。

(3)   研修の評価の方法について
   評価の事例が示されることを望む意見、各地域で評価の基準を設定することが望ましいとする意見があった。「標準」の中で評価の方法が示されることが望ましいとする意見は、特になかった。

(4)   「標準案」の有用性について
   「標準案」の有用性について、研修計画立案のための参考資料として、研修計画を補完するものとして有用であるという意見に集束した。「標準案」の有用性について否定的な意見はなく、その有用性は示されたといえる。

(5)   平成15年度「標準案」一般について
 
1 公的機関の設定する研修の「標準」の必要性について
   研修計画策定の根拠、参考資料として「標準」が必要であるという意見に集束した。
2 「標準」の研修実施のための基礎資料としての必要性について
   研修実施の基礎・参考資料として「標準」が必要であるという聴取結果であった。
3 研修内容の選択性について
   各機関・地域の独自性、状況の相違をいかす意味で、研修内容の選択性を支持する意見に集束した。
4 研修内容の固定化について
   研修の核となるものについて、これを固定化し、国としての方針を示すべきであるという意見が寄せられた。
5 研修実施主体の分担制について
   研修実施主体の分担制を求める意見はあったが、「標準」で役割の相違が示されることを強く求める意見は特になかった。
6 研修内容の段階・分類について
   研修計画立案のための参考資料として非常に有用であるという聴取結果であった。「研修細目」「学習事項」が詳細に過ぎるという意見はなかった。
7 研修事例を示すことの是非と、その分量、内容について
   「標準」で研修事例が提示されることを望む意見に集束した。研修事例とともに研修の実践例を望む意見が一部あがった。
8 「標準」および研修内容の加除修正の方法と周知の方法について
   定期的な「標準」の加除修正と周知を求める意見に集束した。周知の方法については、インターネット上での周知と、文部科学省からの通知が望まれている。
9 「標準」のマニュアル、または解説書の類の必要性について
   各機関・地域の研修を一定の水準に保つために、マニュアルが必要であるとする意見が一部から寄せられた。
10 各研修団体間の研修計画など情報交換、協力体制の必要性とその方法について
   インターネットを中心とした情報交換の場を設け、協力体制を確立することが必要であるという聴取結果であった。

3.   「標準案」の策定
   「標準案」を構成するために適切で必要な「研修項目」「事項」「細目」が妥当かどうかを吟味するために、「3. 調査研究の手続き」で示した種々の段階を経た。
 結果、最終的に現在の22の「研修項目」、74の「研修事項」、317の「研修細目」、1,065の「学習事項」から成る「標準案」を策定した。

 
(1)   「標準案」を活用するにあたって
   「2. 調査研究の目的」で述べたように、「標準案」は、「研修項目」「研修事項」「研修細目」および「学習事項」の4段階から成る。それぞれの段階の区別と、用語の規定は、「調査研究の目的」で示した通りである。
 この「標準案」は、317項目にわたる「研修細目」、1,000項目を超える「学習事項」により構成されているため、研修実施者の参照の利便性を考え、まずは「研修項目」と「研修事項」から成る表を示すこととした(4-3 『教育メディア研修カリキュラムの標準(案)』参照)。研修実施者は、この表を参考に、機関で行う研修カリキュラムの大要を検討し、詳細な研修内容を後述の「5-2. 『教育メディア研修カリキュラムの標準(案)』のための研修項目、研修事項、研修細目の一覧表」より、地域の現状に合わせて柔軟に選択することが望まれる。
 例えば、「有害情報の扱い」について、地域や機関によっては、ラベリングやキーワードなどによるフィルタリングを実施していることもあれば、特定の子ども用検索サイトや子ども用ブラウザを活用していることもある。また、「動画制作コース」を実施する場合、機材の状況により、これを「デジタル・ビデオカメラを用いたノンリニア編集」とすることも、「アナログ・ビデオカメラを用いたリニア編集」とすることもできる。
 そこで、「有害情報の扱い」について、フィルタリングリストの作成の仕方を研修する場合には、細目「59-2.フィルタリング機能およびフィルタリングのリストの設定」を選択し、子ども用ブラウザの活用法を研修する場合には、細目「59-3.子ども用検索サイトおよび子ども用ブラウザの利用」選択することとなる。なお、研修内容のより詳細な検討が必要な場合には、巻末の「附録A. 研修細目のための参考表」を参照することが望まれる。

 次に、今回の「標準案」と「標準」(平成4年度)との主な改正の内容を示す。

(2)   主な改正の内容
 
1 研修の名称を「視聴覚教育メディア研修」から、より包括的な「教育メディア研修」に改めた。
2 従来の「標準」に見られた、受講者の習熟度や役割による研修内容の固定を廃した。
3 研修実施者が研修内容を自由に選択し、カリキュラムを構成できる方式(メニュー方式)を採用した。
4 国、都道府県、市区町村が行なう研修の役割分担については、「対象者別研修事例一覧」「目的別研修事例一覧」で提案することとした。
4 従来の2段階であった研修の段階を、「研修項目」「研修事項」「研修細目」「学習事項」の4段階にした。
5 教育メディアを取り巻く状況の変化に伴い、研修項目の内容を大幅に入れ替えた。
6 「研修項目」の分類、段階分けの基準をメディアの状況に合わせて改めた。
7 研修内容を、教育メディアの動向や将来的な展望に対応できるよう、それぞれの「研修事項」の下に、「まるまるの教育利用の現状と課題」という名称の細目を設けた。

(3)   研修項目のナンバリングについて
   平成15年度の「標準案」では、「研修項目」にはローマ数字(123…)を、「研修事項」には全角のアラビア数字(1、2、3…)を、「研修細目」には半角アラビア数字(1、2、3…)を通し番号で付していた。
 しかしながら、それからわずか2年のうちに70余もの「研修細目」の加除修正があり、従来の通し番号によるナンバリングの方式を採用した場合、研修内容に変更が生じたときには改めて通し番号を付ける必要があり、不都合が生じることが予想される。
 そこで、本年度の「標準案」では、「研修項目」をローマ数字(123…)で、「研修事項」を半角のアラビア数字で、(1、2、3…)で、「研修細目」は「研修事項」内の階層と位置づけた番号(1-1、1-2、2-1、2-2…)で表した。すなわち、比較的修正の必要の少ない「研修項目」「研修事項」は通し番号で、メディアの状況に応じて度々修正する必要のある「研修細目」は「研修事項」に対応した番号で表現することとした。
 なお、このナンバリングも分類の都合上、便宜的に規定したものであり、将来、より望ましい番号の打ち方が考えられた場合には、それを採用することとする。

3.   『教育メディア研修カリキュラムの標準(案)』
 
研修項目 研修事項
1.教育メディア総論 1.教育メディアの現状と課題
2.教育メディアの利用
3.教育メディアの管理と運用
4.メディア・リテラシー
2.教育メディア各論 5.メディアの教育利用
3.放送(ラジオとテレビなど) 6.放送の教育利用
7.教育放送の新たな展開
8.テレビ/ビデオ放送教材の制作
4.校内(地域内)放送 9.校内(地域内)放送の利用
10.校内(地域内)放送の設備と運用
5.映像機器 11.16ミリ映写機の利用
12.スライド映写機の利用
13.OHPの利用
14.教材提示装置(OHCなど)の利用
15.HDD内蔵DVDレコーダの利用注)
16.プロジェクタ・大型液晶・大型プラズマテレビの利用注)
17.投映教材の制作
18.投映教材の利用
6.映像教材 19.スライド・セットの制作と利用
20.ビデオ教材の制作と利用
21.カメラ(デジタルカメラ)の操作
22.プリンタの利用注)
7.録音・録画教材 23.録音教材の作成と利用
24.ビデオ教材(録画)の制作と利用
25.DVD、CDなどの制作と利用
26.録音教材の利用
27.録画教材の利用
28.ビデオ・オン・ディマンド(VOD)の利用
8.コンピュータ(概論) 29.コンピュータの教育利用の概観
30.コンピュータ・ハードウェア
31.コンピュータ・ソフトウェア
32.コンピュータ関連技法
9.ワープロ/コンピュータ 33.ワープロ・ソフトウェアの教育利用
34.ワープロ・ソフトウェアの操作
10.表計算/コンピュータ 35.表計算ソフトウェアの教育利用
36.表計算ソフトウェアの操作
11.プレゼンテーション/コンピュータ 37.プレゼンテーション・ソフトウェアの教育利用
38.プレゼンテーション・ソフトウェアの操作
12.データベース/コンピュータ 39.データベース・ソフトウェアの教育利用
40.データベース・ソフトウェアの操作
13.マルチメディア/コンピュータ 41.マルチメディアの教育利用
42.マルチメディア教材の開発制作と利用
14.ネットワーク/コンピュータ 43.ネットワークの教育利用
44.ネットワークの操作
45.ネットワークの運用と利用
15.インターネット/コンピュータ 46.インターネットの教育利用
47.インターネットの操作
48.コミュニケーション・ツールの操作注)
16e-mail/コンピュータ 49.e-mailの教育利用
50.e-mailの操作
17.ウェブサイト/コンピュータ 51.ウェブサイトの教育利用
52.ウェブサイトの操作
18.教育用統合ソフトウェア 53.教育用統合ソフトウェアの教育利用
54.グループウェアの教育利用
19.情報モラルと著作権、セキュリティ注) 55.情報モラルとネチケット注)
56.著作権注)
57.個人情報の保護
58.ネットワーク・セキュリティ注)
59.有害情報の扱い
60.悪質サイトの予防注)
20.遠隔教育 61.テレビ会議の教育利用
62.eラーニング(WBL)の利用
63.エル・ネットの利用
64.ホワイトボード機能の利用注)
65.GPS、ナビの利用注)
66.携帯情報端末の利用
21.地域のメディア計画とメディアセンター 67.視聴覚センター・ライブラリーの意義と運用
68.学校におけるメディアの管理と運用
69.地域放送の利用
22.研修実施者のための研修 70.研修カリキュラムの構成
71.研修マニュアルの作成
72.研修実施の諸問題(人材と機器)
73.地域の協力体制の確立
74.研修の評価
かっこ注)平成17年度「標準案」で新たに追加・修正・分割、名称変更等された研修内容

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