家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会(第6回)議事概要

日時

平成28年12月9日(金曜日)14時00分~16時00分

場所

文部科学省生涯学習政策局会議室

出席者(敬称略)

委員

伊藤亜矢子、稲葉恭子、大野トシ子、岡田淳子、川口厚之、鈴木みゆき、西館慎、
松田恵示、水野達朗、山野則子

オブザーバー

小林厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室室長補佐
高橋文部科学省初等中等局育局児童生徒課生徒指導室課長補佐
中野国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センター総括研究官

文部科学省

有松生涯学習政策局長、神山大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、里見政策課長、
高橋男女共同参画学習課長、関家庭教育支援室長、髙橋家庭教育支援室室長補佐

議事概要

(1)第5回議事概要(案)について、承認

(2)取りまとめ案の審議
    以下、質疑・意見

○ 2ページの家庭教育支援の意義について、「我が国の「学校文化」に適合することの難しい事情」と書いてしまうと、学校文化に適合することが前提ということになり、家庭教育やワークライフバランスについて考えたときにダイバーシティは重要な視点と思うので、例えば、「我が国の「学校文化」に不慣れであるなどの難しい事情」といった表現がよいのではないか。
    もう一点、「ユニバーサルな展開があり、同時に困難を抱えた家庭のそれぞれの個別事情に応じた寄り添う支援」というところで、広く全ての家庭へのユニバーサルな支援という意味の表現だと思うが、「ユニバーサルだと寄り添わないのか」という誤解が生じないような表現の方がよいかと思う。

○ 5ページの保育体験・生活体験について、「中学校の家庭科の授業で」とあるところ、私たちのところでは、高校の家庭科における保育の授業で、子育ち・子育ての市民活動を行っている方が授業を受け持っており、高校生の親になるための学びや、保育士や幼稚園教諭を目指すきっかけにもなっているようで、そうしたことも入れるとよい。

○ 家庭科だけでなく、道徳や特別活動でやっている学校もあるかと思う。

○ 私が家庭教育の講演会をするときは大体3つのパターンがあり、1つ目が、不登校に対するセミナー、2つ目が不登校にならないためや家庭内暴力が起こらないためのセミナー、3つ目が、よりよい親子関係を形成するセミナー。報告書案では、予防と、問題解決について触れられているところ、それに加え、問題を抱えていない保護者ももっと子育てを楽しめる、子供を伸ばせていけるといった開発的な要素の文言も入れるとよい。
    もう一点、ICTを活用した情報提供について、家庭教育を学ぶ場である公民館やサロンにいきなり行くのはハードルが高いため、まずICTの利用も一つ前段階の家庭教育支援の場と考えてもよいかと感じる。

○ 親同士の交流のところ、「十分な経験もなく身近に相談できる相手に恵まれない条件の下で、保護者が家庭教育の主体としての役割を果たすことができると判断してしまうことは現実的ではない」という文章が、「主体としての役割を果たすことができない」と捉えられると少し表現が強過ぎるため、「家庭教育の主体としての役割を十分に」、という表現にしたらどうか。
    また、「交流の中で学び合うことの得意な若年世代に見られる特徴」と書いてあるが、必ずしも若年世代が交流の中で学び合うことが得意かというと、そうでもないように思っており、交流の中で学び合うことには一方通行の講義とは違う学びがある、支え合いにつながる可能性がある等の、交流の中で学び合うことの意義を書いた方がよいのではと思う。
    さらに、5ページの生活経験等のところへ、「地域社会のつながりの希薄化の中で、子供たちが自分の地域に愛着を持っているから、もっと子供たちが地域に参画できるといい」という趣旨の文言が入るとよい。
    もう一点、5ページの下から2番目の段落で、支援する側、支援される側という一方通行の捉え方ではなく、一緒になって家庭教育を行っていくという、協働という言葉がある。その捉え方について、「支援される側も支援する側に回る」という意味であるならば、それぞれの専門性を生かして協働するというよりも、互恵的という意味だと思うので、「互恵的な関係」などの表現が適切ではないか。後にケース会議の関係の記載で、異なる専門性を持った立場の違う人たちの協働という話が出てくるので、それとは異なる互恵的な関係ということを明確にするという意義もあるかと思う。

○ 5ページの保育体験・生活体験のところで、子供が機嫌よく元気であることで、保護者自身が気付いて、親として成長していくというような、ポジティブな書き方をしているところ、こうした保護者がエンパワーメントされるという書き方がより多く出てくるとよいかと思う。
    もう一点、長時間労働の記載に関して、保護者の生活習慣の乱れが、子供の就寝時刻等への影響があることは間違いがないというデータもあるので、そうしたことを踏まえた記載であってもよいと思う。

○ 親同士の交流の部分で、学び合うことだけではなく、子育てや家庭教育についての大変さや苦労を共感し、共有できる場としても有効であると思うので、この「共感」という要素を含めた文章となるとよいと思った。
    また、切れ目のない支援のためのアプローチに関して、乳幼児期から学齢期ということで、子供が小学校に上がると保護者が働き始めるという状況があると思うので、保護者のワークライフバランス、働き方ということも、この切れ目のない支援のためにという部分で関わってくるものと思う。
    ICTを活用した情報提供について、学習機会の場の提供等、情報を入手する方法として非常に便利なので、有効活用していく必要があると思う反面、対面で実際に顔を合わせて話し合うという機会も大切であると考えるので、その視点も必要かと思っている。

○ 親同士の交流についての部分で、何か気に掛かっていることを相談したり、ヘルプサインを出したりしやすいムードを作ることが重要と考えており、そうしたニュアンスの言葉が、ここに入るとよいと思う。また、それを同じ親同士だけで共有するだけでなく、チームの一員や指導員がいて、場合によっては支援につないでいくということの記載があるとよい。

○ 4ページの切れ目のない支援のためのアプローチについて、「支援対象とするNPOが」とあるところ、ここに民生委員・児童委員、主任児童委員による「こんにちは赤ちゃん事業」についても入るとよい。

○ 8ページのケース会議のところ、異なる視点の意見を出し合って議論する手法は、特別支援教育や医学等の分野でもあるので、家庭教育に関連して、ソーシャルワーク的なケース会議ということの重要性が増しているということが伝わる表現にできたらと思う。また、学校のプラットフォーム化のところ、このまま字義どおり受け取ると、学校に支援システムを構築し、学校が支援を全部するのかという誤解が生じる恐れがあり、あくまでプラットフォームでそこから支援が始まるということの分かりやすい説明が必要と思う。

○ 7ページ、家庭教育支援チームの意義についてというところで、初めにスクールソーシャルワーカーとかスクールカウンセラーの専門性を活用することが有効とあるところ、最初に支援チームを組織することの意義があって、その中で専門家を活用するとより効果的であるというような形の方がよいのではないか。例えば、まだスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとつながれないところもあると思う。地域の実情に応じて、保健師や医療関係者等も家庭教育支援につながっていけるということもあると思うので、専門性をもう少し幅広く表現した方がよいのではと感じる。

○ 8ページ、学校教育や福祉部局との連携についてのところで、同じ学校関係者でも集団指導を指導の中心に置く教員と、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと、専門的な職という形で並べてあるところ、ここの「集団指導を指導の中心に置く教員と」という表現について、教員は集団を見るが、集団の中で個も見ていくので、このような切取りの言葉になってしまうと、教員の立場から考えたときに違和感を持つと思う。

○ 例えば、「授業や様々な行事など集団指導を通して…」というように、まず、集団指導の例示を入れた方がよいと思う。あわせて、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーといった専門性の異なる職員について、それぞれの職種の専門性は何なのかということを説明する必要がある。

○ 教育の専門家である教員と、臨床心理学が専門のスクールカウンセラー、福祉が専門のソーシャルワーカーというように、中身で考えていった方が、個と集団という枠組みを出すよりも適切ではないか思う。

○ 「学校」という言葉が、教員を指しているところと、機関や機能のことを指しているところとがあり、また「学校関係者」が何を指すのかということについては丁寧に整理することが必要。「学校プラットフォーム」といったときにも、ここでは機能や学校制度を想定されるかと思うが、キャッチフレーズとして「学校プラットフォーム」と言った時点で、教員がベースになる学校という意味で受け取る人もいるだろう。

○ まず一番大きな区別として、家庭教育という教育作用と、学校教育という教育作用があり、それぞれの教育作用を誰が担うかということで、教員やスクールソーシャルワーカー等が出てきている。そのときに、学校教育の作用を教員が担う場合は、学校教員の本分であるが、学校教員が家庭教育の作用を協働したり連携して担うこともあり得るという関係が生じる。学校教育と家庭教育という作用の区別を組み合わせると、それぞれの概念や言葉を位置付け直していくことで整理できるのではないか。

○ 学校教育と家庭教育という対置だけでなく、教育と福祉という対置や、地域社会の中の拠点として、あるいは、防災拠点等も含め、資源としての学校ということもあると思うので、その点の説明も必要ではないかと思った。

○ 8ページ、ケース会議の部分で、専門性のほかに発達段階によって福祉と教育では視点が異なるということがあると思うので、そういう部分の景色を共有する必要もあるのではと感じた。

○ 学校と家庭教育支援チームの整理について、家庭教育支援チームというのは、地域のボランティア中心の斜めの関係であり、むしろチーム学校の中に入り過ぎず、連携していく関係、ネットワークの関係にあるのではないか、というところがあるので、その点御意見いただきたい。

○ 家庭教育の目的と学校教育の目的は異なっており、チーム学校は学校教育の目的を果たすために、様々な人材がチームを組むということになっている。一方、家庭教育の支援チームは、家庭教育の目的を果たすために支援チームを組むということになっている。ただ、子供は家庭教育で育ち、その部分が学校教育の礎になるという関係にはなっていると思うが、教育の作用ということで言うと、チーム学校の外側に位置付けしないといけないと思う。

○ 外側でもあるが、内側にも入り込めるという作用があってよいと考える。山口県で、現在2市で訪問型事業を始めているが、あるチームは、朝の学校で地域の人と一緒に挨拶運動をして、登校渋りの子供の保護者に声を掛けることから始めている。学校と打合せをし、職員室にも一応机が存在しているが、活動自体は市教委や地域でも行っている。このように学校にも地域にもというような両面を持つ方が、学校の情報も入りやすく動きやすいのではないか。

○ チーム学校の中に入っているわけではなく、家庭教育支援が相互作用しながら、いろいろなバリエーションがあるということを見せられる報告書としたい。家庭教育支援チームのバリエーションの一つには、学校と一体的にやっているということもあってよいし、組織としては必ずしもチーム学校の中にあるというものでもない、という整理としたい。

○ チームの類型化について、活動主体での類型で泉大津市が1、2ともに含まれているのは、理由は分かるが、類型化という意味で考えると分かりづらい。こちらは、両方をまたぐ新たな型として考えるべきではと感じた。
    また、チームを作る際によく相談されることとして、同規模の人口規模の自治体での取組はないか、ということがあるので、主管をどこに置くかという話の前に、人口による類型というのもあるとよいと思う。その上で、人口規模が5万人以下で、活動主体は行政の学校教育担当部局に置いており、考えられる活動の類型として、訪問型ということであれば、湯浅町というように出る形の方が、類型化としてはより分かりやすいと思う。

○ 11ページ「ケース会議等の構成員に」というところの、個人情報保護について。子供家庭支援センターや児童相談所が中心となったケース会議の場合には、例えば児童相談所が持っている守秘の誓約書で担保すると思うが、そうでない場合、個人情報保護を誰がどう行うかということも重要。8ページの、学校の人たちがケース会議の手法を学ぶという話で、恐らくここのケース会議は家庭支援チームが自分たちで行うケース会議ということだと思うので、そこでどのように個人情報を担保していくのかということを、ケース会議と並行して整理されるとよいと思う。

○ 10ページの類型化の「NPO主導型」について、「行政から委託等を受けてNPOが中心となって」とあるところ、もともと活動しているNPOの動きを行政が取り上げていくという手法も有り得る。

○ 当市のスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーについては、学校教育と家庭教育の重なる部分で動きながら、そこを少しずつはみ出し、学校教育を主体としながら家庭にも関わっていくという形でやっている。

○ 自治体によっては臨床心理士の方が全てスクールカウンセラーではなく、スクールソーシャルワーカーも社会福祉士が少ないということもあり、準ずる者というケースが多い。

○ 12ページの訪問型家庭教育支援について、面の支援と点の支援、いわゆるターゲットとユニバーサル、面と点と帯という形で図式化すると分かりやすいと思う。

○ 全戸訪問に関して、民生委員・児童委員は「こんにちは赤ちゃん事業」で、0歳児のところから家庭訪問しているので、学校に限らず、「こんにちは赤ちゃん事業」と連携していくことも入れるとよい。

○ 訪問に関しては、民生委員・児童委員の活動など、福祉部局の取組が全体的に多く、地域の子育て支援という観点で行っている事業については漏れなく記載したいので、確認したいと思う。

○ 家庭教育支援チームの構成員としてスクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーが挙げられているが、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーとなった方は必ず家庭教育支援チームに入らなければならないという誤解を与えないか懸念している。

○ 人材育成に関連して、持続可能な活動にするために財源をどのように確保したらよいのかということも、国や都道府県、市町村が考えていく必要がある。

○ 14ページの養成研修の部分だけ見ると、スクールソーシャルワーカーを養成するようなニュアンスも含んでしまうおそれがあるので、あくまで地域の方々によりよい家庭教育支援を担っていただくための研修ということと、核となる人たちとチーム員の役割ということを分けて説明するとよいと考える。

○ 人材養成の部分で、学びの機会で学習をするものの、なかなか活動する場面がないということを聞くので、人材の資質向上の中には、もちろん学習による研修も含まれるかとは思うが、実際の活動を通しながらスキルを身に付けていく、実践を積みながらこういう人材が育っていくということもあると思う。

○ 市町村での人材の確保や研修実施は難しい場合が多く、都道府県の役割、市町村の役割ということがあってよいと思う。

○ 民生委員児童委員協議会では来年100周年を迎えるということで、これからの活動の在り方を検討する委員会ができているが、その中では民生委員・児童委員、主任児童委員のやるべきことの中に、家庭教育支援チームや家庭教育支援を、という検討はされていない。今後は是非子育て支援を家庭教育支援と併せてやっていくということ、民生委員・児童委員も一緒になって家庭教育支援チームの中に入っていくことを検討したい。

○ 都道府県や市町村の役割について、特に市町村では、都道府県の研修を修了した方を地域で生かしていけるよう、講座やワークショップの運営に参画させるなどするとよい。
    家庭教育支援について考えた際、やはり学校教育と社会教育と、福祉部局が連携する必要があり、総合教育会議で知事と教育長、また市長と教育長とが子育て環境の充実・家庭教育支援について話し合う機会を作っていくことが重要と考える。それぞれの部局・課が連携・協働していくためには、組織のトップ同士のパイプを通しておくことが必要。

○ 総合教育会議の中で、家庭教育支援を位置付けられるとよい。人材養成については、単に養成研修を行うだけではなく、市町村、都道府県の役割を明確化することによって、地域で生かしていく場作りを市町村が家庭教育支援チームと一緒に工夫しながら検討することが重要で、それが人材確保にもつながる。

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室

(生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室)

-- 登録:平成29年01月 --