家庭教育支援の推進方策に関する検討委員会(第2回)議事概要

日時

平成28年8月29日(月曜日)10時00分~12時00分

場所

生涯学習政策局会議室

出席者(敬称略)

委員

伊藤亜矢子、稲葉恭子、大野トシ子、岡田淳子、川口厚之、鈴木みゆき、西館慎、松田恵示、水野達朗、山野則子、吉見和子

オブザーバー

小林厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室室長補佐
高橋文部科学省初等中等教育局児童生徒課課長補佐
中野国立教育政策研究所生徒指導・進路指導研究センター総括研究官

文部科学省

有松生涯学習政策局長、神山大臣官房審議官(生涯学習政策局担当)、高橋男女共同参画学習課長、関家庭教育支援室長、髙橋家庭教育支援室室長補佐

議事概要

(1)第1回議事概要(案)について、承認。

(2)事務局から資料2に基づき事例発表のスケジュールについて説明の後、4名の委員(岡田委員、川口委員、西館委員、鈴木委員)から事例発表。
    以下、質疑・意見。

<岡田委員事例発表(資料3)>
○ 「子育て科」の取組について、各教育課程の中で地域の方が学校の先生と関わることはあるのか。

○ 実施する萩市教育委員会では、地域に根差したカリキュラムというスタンスで地域・社会に開かれた教育課程を作っているところであり、「妊婦・乳幼児ふれあい」体験学習等では地域の方や行政の担当者が授業づくりに参画している。教職員と地域の方と、行政担当者が一緒になってやっていくということを意識して実施されている。

○ 家庭教育学級について、何曜日の何時から、どのように募集をかけて、どのような方々が集まるのか。

○ 県教委が主催する「家庭の元気応援出前講座」は、土、日曜日や夜に実施することもあり、ニーズに合わせた形で柔軟に対応している。基本的な対象は、保護者であるが、コミュニティ・スクールの取組が進み、地域の子育てが一段落した方などが一緒にワークショップに参加されている事例もある。

○ 県内の市町村はどこも平等に同じようにやっているのか。

○ 全市町に募集をかけ、希望のあった市町の学校等で講座を実施している。市教委と家庭教育支援チームなどにより自前で実施できるところは、県教委から資料等を提供し実施している状況。

○ 出前講座について、企業での開催は、どういうところで、どの程度されているのか。

○ 昨年度実績は3企業。保護者というよりは、新規採用社員の研修として、ワーク・ライフ・バランスも兼ねたような内容で実施することが多い。

○ 県教委として、例えば、様々な19市町の取組のうち、特に優れた取組をどのように広めていくのか。

○ 市町の取組は様々であり、非常に難しいところ。事例をこうした会議の場で発表したり、いろいろな県の研修会で事例発表の機会を設定したりして、啓発をしている。

<川口委員事例発表(資料4)>
○ 現在は個人情報の保護の観点から、子供の名簿の入手が困難な状況。訪問をしても、共働きの家庭が多く、なかなか対面できない。全戸訪問をしている湯浅町では、どの程度対面し話ができているのか、また全戸訪問することによって早期対応をして問題解決をしたという事例はあるか。

○ 対面は6割程度。留守の家庭には、配布する冊子に名刺をつけてポストに入れる。ただし、学校側からの情報提供等により、注意が必要な家庭には、2回目、3回目と時間や曜日を変え訪問し、対面できるようにしている。また訪問により、学校も把握していない、不登校になりかけていた子供について、早期に対応して不登校にならずに復帰できたという事例があった。

○ 訪問型支援による成果として、小1プロブレム解消ということが挙げられているが、具体的にどのようなことがあったか。

○ まず小学校へ入る前の保護者の不安が多く、それに対しては、訪問の際学校についての話しをしている。学校の説明会でも、保護者が不安に思うことを集めた上で、学校がそうした点を重点的に説明し、必要であれば直接保護者の方と学校が連絡をとって、子供の就学について話をするなどの支援をしている。

○ 訪問開始時の12名の支援員は、大体どのぐらいの世代の方が訪問員としてスタートされて、現在その年齢は上がっているのか、平均年齢を保ったまま入れ替わっているのか。

○ 開始時は、12名のうち8名が60歳を超えた方で、3名が現役の保護者の方だった。現在も、3名が現役の保護者でうち2名が過去に支援を受けていた方。意識の高い保護者が支援される側から支援する側に回る循環型にならないかと思っているが、どちらかというとやはり年齢の高い方、子育てを終えた方が多いのが現状。

<西館委員事例発表(資料5)>
○ 不登校の生徒の家庭への支援でファミリーサポーターが関わっているということだが、どのように関わっているのか。また家庭教育支援チームでも訪問をしているのか。さらに、不登校の生徒は色々な課題を抱えていて、例えばスクールカウンセラーのような、臨床発達心理的な側面で対処するということも大事だと思うが、そうした人材はいるのか。

○ 釧路市では、全国的にあるファミリーサポート制度とは異なるファミリーサポーターという、市の委嘱を受けた有償のボランティア団体の組織が、十数年前から教育委員会に置かれ、訪問による相談支援を行っている。またチームの中にはスクールカウンセラーがいて、基本的にはまずスクールソーシャルワーカー、そしてスクールカウンセラーや学校が最初のきっかけを作り、例えば支援員が次に、その後にファミリーサポーターが継続的にというような形で、訪問にも段階を作って活動している。

○ この場合のチームというのは、チームとしての学校という、カウンセラーやソーシャルワーカーや養護教諭等色々なメンバーでのチームというイメージか、または家庭教育支援チームのチームを指しているのか。

○ チームのイメージとしてはまだしっかり形にはなっていないものの、教育委員会の職員が中心になりながら、そこに関係のある民間の方々やファミリーサポーターが関わり、状況によって学校の担任の先生や教頭先生や養護の先生という方々も関係するという、ケースによってそのチームをカスタマイズしていくというようなイメージで実施している。

○ 関連して、チームが個々のケースによって作られ、月1回ケース会議を実施ということだが、どのように進めていくのか。

○ ソーシャルワーカー中心に、教育委員会職員や、あとは契約に基づく民間の関係者が核になり、今は定例のケース会議を行っている。そのほかに、関係者打合せを設けたりもしており、ケース会議で主要な部分、取組の方針を決め、それを踏まえ他の関係者と打合わせで詳細を決めるというような形で進めている。

○ 家庭教育支援を行う上での課題として予算の確保ということがあるが、より外に向けたまちづくりという観点で、家庭教育支援が活力になって、まち全体を広げていくというようなことが現状あるのか、また、可能性はあるのか。また、人口や行政の規模が、家庭教育支援の推進にどう影響するか、都市部と比較した際に、特色としてどういうことがあり、それをどう捉えているのか。さらに、釧路市家庭教育委支援チーム事業実施計画において、関係団体の一つに教育大学があげられていたが、具体的にこの大学はどういう役割を果たしているか。

○ 予算要求にあたり工夫している部分としては、ソーシャルワーカーについては市でも理解いただいているので、具体的なニーズである不登校や特別支援といったものに対応するということ、また教育と福祉の連携、貧困というキーワードも含めて要求をしている。釧路市の人口規模では全戸訪問は困難。しかし、市では生活保護の自立支援関係の取組等、福祉に関しては関連する取組があり、そういうものと絡めて家庭教育支援を考えていく必要があると考えているところ。教育大学との連携については、教育大学の釧路校があり、特別支援の課程を勉強している学生を中心にボランティアとして実際に不登校の子供と関わっている。

<鈴木委員事例発表(資料6)>
○ 小学生以降の年代が、主体的に取り組むようなアイデアはあるか。

○ 子供は自分で決めたことをやろうとするけなげなところがあるため、特に低学年ではそうしたアプローチを中心に取り組むとよいと考える。

○ 民生委員との関わりはあるのか。

○ 課題を抱える家庭層には、児童委員・民生委員が行っているというところもあり、やはり訪問による支援は大きな意味があると思う。保育所等に行き、直接保護者と関わることが基本と考える。

<全体討議>
○ 家庭教育支援の予算に関連して、湯浅町でも子育て支援ということが地域振興の大きなPRになるのではないかと考えている。福祉の予算と教育の予算はどうしても区別され福祉と教育委員会とがなかなかうまくできないことがあるため、行政がいかにその部分をまとめ施策を打っていくかということが重要。地域の課題等については、湯浅町は課題を抱えている部分が多かったので必然性があったが、隣の町は比較的大きな問題もないので、家庭教育支援をやろうという雰囲気がないというところで、やはり地域のニーズの中でどうしていくかというところも重要と思う。

○ 社会全体がやはり家庭教育支援、子育て支援に目が向いているというのは間違いないと感じるが、教育委員会と福祉部局との連携を図っていく必要があるほか、枠組みを作り予算を付けることが重要。総合的なネットワークで枠組みを作り、予算がつくようになれば、まちづくりにもつながるような施策に展開するのではないかと思っている。

○ 家庭教育支援の推進方策を考えるときに、行政の役割ということで家庭教育支援のシステムの内部を整えるという議論のほか、外部の環境を整えるという行政の役割というのもあるのではないか。
     2つ目に、都市部・地方部という地域特性を考えたのは、一様に家庭教育支援というのを考えるのが広がりという意味で難しいからで、地域特性等の要素を踏まえ、細かく考えていく必要がある。また、行政側からのフォーマルな支援がある一方で、友人関係等の人間関係というインフォーマルなネットワークがあり、フォーマルな支援がインフォーマルな支援につながっていくということがあり、その在り方が洗練されていくとよい。
     学習講座について、反転学習という考え方があり、知識を増やしていくところはワークショップの外部で行い、その上でワークショップで広げていくといったアイデアもなされるとよい。

○ 子育て支援というと、子供は支援される側に位置づけられるが、子供を通して、という視点も重要であり、またそれがフォーマルな支援とインフォーマルな支援をつなげるのではないか。スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーがどう動くかというときに、早く発見し対応したら、早く解決するということがあるので、そうした早期発見につながるモデルになっていくのも大事である。

○ 実際に現場で子育てしながら、地域のお母さんたちとつながりながら活動していると、行政の働きを待っているだけでは、家庭教育支援というのはなかなか届かないということが実感としてある。自費で様々な子育て支援を行い、行政にそれを持ち掛けて、それに助成金が出る、あるいは講座費を出してくれるという関わりを持っているため、地域の中で活動しているそういう思いを持った市民活動と協働した家庭教育支援がこれから重要であり、それを推進していくことで、支援を必要とする家庭まで行き届くと思う。

○ 行政で家庭教育支援を全てまとめていこうということではないため、今後の事例発表を続けていく中で、どのように市民活動と協働していくかということも重要なポイントとなってくるように思う。家庭教育支援というのは、NPOや市民レベルのボランタリーな方との協働の中で展開するという、そういう分野であると認識している。本日はユニバーサルとターゲット、点と面、インフォーマルとフォーマルというような言葉や、活用できる予算を取りにいくという視点も出て、頂いたご意見等を事務局と整理しながら、次回以降さらに議論を進めていく。

お問合せ先

生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室

(生涯学習政策局男女共同参画学習課家庭教育支援室)

-- 登録:平成28年10月 --