「未杜」(みと)

ツール名 「未杜」(みと)
方式 通帳(高齢者向き)、カード(名刺型)、IT(携帯電話等)
計測基準 サービスに応じて本人が決定する。理解しにくい場合は100未杜=100円を目安としている。
会費 登録費 1,000円
年会費 1,500円
団体名 新しいコミュニティを創造する会
ツール活用開始年月 平成13年 7月
配付対象者及び人数 氷上郡を中心に県下130人
配付数 2002年度 110人分
2003年度 130人分

  みとカード

1.会の目的

  地域コミュニティの再生をめざして人権、環境、共生をコンセプトに人々の多様な生き方を認め合い、地域の自然を大切にしながら自分の能力を人のために使うことによって助け合いのネットワークを広げ、心豊かに生きるためにこの会を設立した。

2.会の運営方法

  代表の自宅を事務局にして当初スタッフ5人でスタートしたが、現在は未杜サポーターを含めスタッフが10人いる。仕事は得意な分野、好きな分野で分担し合い、作業などは代表、副代表を中心に出られる人が作業をするようにしている。未杜会議は平均月2回ほど事務局で行う。年4回発行の未杜新聞は代表が中心になって作成するが、印刷等は手の空いた者でする。

3.ツール名や形式(方式)の決め方

  会の設立を提案した代表の案にスタッフが賛同した形で「未杜」と名づけた。未杜は未来の森を意味する。兵庫県では丹波の森となづけて丹波を田園都市にしようとする運動もあることから「未杜」に決めた。通貨の記入手段は、未杜つづり、カード、ITなど多様な形を用意しその人に合った形で記入できるようにした。

4.ツールの概要

機能

  入会時に登録票を書くことになっている。この登録票には提供できるサービスと依頼したいサービスの記入欄があり、それを一欄票にしたものを見て会員が直接または事務局やコーディネーターを通してサービスの交換をする。リストにないサービスでも相談によって成立することもある。
  年度末に未杜決算パーティを開催して未杜大賞などの表彰もする。年度を境にプラス1,000未杜が記入された新カード等を受け取る。

インセンティブ

  さまざまな提供があるので未杜を稼ぎたい人は多い。例えば美容院で3,000円のカットを2,500円+500未杜で、レストランではコーヒーを300未杜で注文できる。また足ツボマッサージも2,000未杜で利用できる。時期によって新鮮な農産物を未杜+実費または未杜で手に入る。
  また未杜の日(未杜井戸端会議)と題して講演会、さまざまな講習会等を事務局で時には公共施設等で月一回開催している。会員は未杜で利用できるようになっている。

作成費用

  入会金と年会費でまかなう。

作成者

  ロゴのデザインは代表の娘の夫がボランティアで作成してくれたものを利用し、名刺型カードは会計担当が作成する。

達成目標

  未杜実績の統計をとっている。前年度より未杜の使用回数が多いこと、できるだけ多くの人が使うことが当面の目標である。

5.ツールのしくみ

  • 1)登録票に必要事項を書き、入会金・年会費を支払い、サービスリストと1,000未杜記入されたカード等を受け取る
  • 2)カードには月日、事柄、収支の相手、+未杜、-未杜、実費、残高の欄がありサービス終了後互いに書き入れるようになっている。カードは5回(継続カードは6回)まで書き入れ欄がある。なくなれば事務局で継続カードと交換してもらう。
  • 3)年1回配付されるサービスリストを見て、事務局かコーディネーターに依頼してマッチングが成立する。慣れれば個人で直接依頼することができる。またリストに書かれていないサービスでも相談により可能になるよう対応もする。
  • 4)カード等の有効期限は年度末開催の未杜決算パーティの日になっている。決算パーティでは未杜大賞などを贈る。次年度から1,000未杜の新しいカードで出発する。

6.導入のきっかけ

  代表が社会教育関係の仕事をしていた時、農村社会の閉鎖的な面や女性や新住民の生きにくさについて度々相談をうけた。それを変えたいと住民学習等に出向いた時は、人権問題や集落の問題など話し合いをした。しかしそのような方法では農村は変わらないと感じた。それで思い切って仕事を辞め社会人大学院で政策等を学んだ。
  社会人大学院時代にヨーロッパの地域再生の様子を学び、地域通貨によるコミュニティ再生を思いついた。同時にコミュニティにおける子育て中の女性の能力活用にも関心があり、それらを結びつけたいと考え仲間4人に呼びかけた。ミニコミ紙発行にも関心があったので地域通貨発行とミニコミ紙(未杜新聞)を同時に発行して関連づけるようにした。

7.主な活動メニューと活動内容

  託児、送迎、農産物販売、各種事務、剪定、簡単な洋裁、着付け、イベント手伝い、車椅子外出介助、英訳、時計修理、会場貸与などさまざまである。これらは常時動いている。

8.苦労したこと、工夫したこと

  • 最も工夫したことは未杜を使ってもらえる仕掛けである。システムを理解するのは、特に高齢者にとって大変である。しかし、仕掛けが魅力的で使いたいと思えば、使い方を理解したいという気持も強くなるはずだ。そういうことから魅力的なサービス内容のほかに、未杜の日のイベントや、未杜決算パーティを楽しくするなどの工夫をしている。また公開講座では、円で支払うべき参加費を会員は未杜で支払えるようにして、未杜そのものの価値が上がるようにした。
  • 活用を始めるときには説明会を3回開いた。その時は口コミによる効果が大きかった。
  • 最初はスタッフが意識して未杜をたくさん利用するようにした。そのことが未杜の魅力やシステムの理解につながったと思う。

9.成果

  何よりもネットワークが広がった。何かの会合に行けば未杜会員が1人や2人はいるのが嬉しい。また県レベルでの会合にも多くの知り合いができた。農産物の提供も頻繁にあり非農家の人が栽培過程の分かる安心、安全な農産物を手に入れる機会となっている。今年はお米がほしい方も多く注文に応じきれないでいる。こうして近くで農産物の交換ができればフードマイレージも少なく環境にもやさしい購入の促進となる。

10.今後の課題と展開

  スタッフの努力もあって会員数、未杜使用量とも順調に伸び現在会員は130名である。利用も多様化してきている。しかしながら活発に動けばそれだけ事務量が増え、また仕掛けのためのイベントにも時間をとられる。このシステムが持続可能な状態でいるためには、事務をボランティアだけに頼ることは負担が大きい。現状では手一杯である。

11.参加者の声

  定年退職した60代の男性は「この年になって庭の剪定で人の役にたててうれしい。」、若いお母さんからは遠くからこちらに来て友達も無く寂しかったが「託児などでお世話になり、また未杜の日に楽しい会合があり入会してよかった」と言われている。

お問合せ先

生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --