2‐2 調査結果の概要

2‐2‐1 学校

  • 回答を得た124校の内訳は、小学校80校(64.5パーセント)、中学校36校(29パーセント)、高等学校8校(6.5パーセント)である。また、現在V活動ツールを活用している学校は87校(70.2パーセント)であった。

単純集計

(1)導入の目的

  • 導入理由として最も多かったのが「ボランティア活動への児童生徒の参加を増やしたかったから」であり、次いで「ボランティア活動に参加している児童生徒の意欲を高めたかったから」「児童生徒のボランティア活動の記録になると思ったから」である。
  • 提案者については、「教育委員会」(37.9パーセント)が最も多く、次いで「校長」(26.4パーセント)、「市民団体(10.3パーセント)」となった。管理者からの提案が多い。

(2)V活動ツールの形態・内容

  • 形態は「パスポート(手帳)タイプ」が83.7パーセントと最も多く、次いで「カードタイプ」が17.4パーセントである(複数回答)。この2タイプがほとんどである。
  • 対象となる活動については、「ボランティア活動全般」が95.3パーセントとほとんどである。
  • 掲載されている内容については「ボランティア活動記録欄」が86.2パーセントと最も多く、次いで「シール貼付・スタンプ押印欄」(73.6パーセント)、「V活動ツールの概要・説明」(70.1パーセント)、「ボランティア活動の手引き・案内・注意事項」(55.2パーセント)となった(複数回答)。
  • 記録内容は、「活動内容」(90.8パーセント)「活動日」(89.7パーセント)の占める割合が高い。

(3)実施の方法

  • 配付単位は「全校児童生徒に一律」が79.1パーセントと最も多い。(複数回答)

(4)導入の成果・評価

  • 導入の成果については、「児童生徒の意欲が高まったり、ボランティア活動が盛んになった」「ボランティア活動の参加者が増えた」「教職員の理解・協力が得られるようになった」が多い。
  • 苦労した点の上位には「参加者への周知」「活動の継続」「地域との連携」が挙げられている。
  • 満足度については「大変満足している」「満足している」が合わせて58.6パーセントとなっており、「あまり満足していない」が41.4パーセントである。

(5)ボランティアに対する意識

  • 各問に対して「賛成する」と回答した割合が多い順では、「ボランティア活動は学校だけでなく、地域の人や団体と協力して進めることが必要だ」(97.6パーセント)、「ボランティア活動は社会のルールやマナーを学ぶうえで有効だ」(96パーセント)、「教職員や大人がボランティアの内容を聞いてやり、ほめることが大切だ」(94.4パーセント)、「ボランティア活動は自主的に取り組むべきものである」(93.5パーセント)、「児童生徒にはボランティア活動の機会を意図的に提供したほうがよい」(93.5パーセント)となった。
  • 「賛成しない」と回答した割合は、「ボランティア活動に学校は関わるべきではない」(94.4パーセント)が一番高かった。

クロス集計

(1)導入の目的

  • 導入理由を校種別に見ると、小学校では「ボランティア活動への児童生徒の参加を増やしたかったから」(86.5パーセント)、中学校では「ボランティア活動に参加している児童生徒の意欲をさらに高めたかったから」(95.7パーセント)の割合が最も高かった。

(2)V活動ツールの形態・内容

  • ツール開発状況を校種別に見ると、「独自で作成した」は小学校は無く(0パーセント)、中学校では16パーセントである。
  • 掲載内容を校種別に見ると、全体で3番目に多かった「V活動ツールの概要・説明」が、小学校では74.5パーセント、中学校では76パーセントと比率が高いのに対して、高等学校は14.3パーセントと低い。
  • 校種別インセンティブについて、「シール・スタンプ」をインセンティブとして捉えている校種は小学校に多く(74.1パーセント)、中学、高校となるにつれてその割合は低くなっていく。

(3)実施の方法

  • 配付単位を校種別に見ると、「全校児童生徒に一律」が中学校は92パーセント、高等学校は83.3パーセントと高いのに対し、小学校は72.7パーセントにとどまっている。
  • 配付後の確認方法を校種別に見ると、「定期的に確認している」が小学校は43.6パーセント、中学校は44パーセントと高いが、高等学校では14.3パーセントと低い。

(4)導入の成果・評価

  • 導入の成果を校種別に見ると、特に小学校では「活動の種類が増えた」「活動範囲が広くなった」という成果を得ている。
  • 配付後の確認方法について、満足度別にその傾向を見ると、「定期的に確認している」学校は満足度が高いが、「配付するだけで特に何もしていない」と回答している学校は「あまり満足していない」と回答している割合が高い。
  • 導入理由別に満足度を見ると、「ボランティア活動への児童生徒の参加を増やしたかったから」「ボランティア活動に参加している児童生徒の意欲を高めたかったから」を導入理由に挙げている学校はV活動ツールの満足度が高く、「外部の機関・団体から薦められたから」を導入理由に挙げている学校は「あまり満足していない」と回答している割合が高い。

(5)ボランティアに対する意識

  • 満足度に着目してみると、「ボランティア活動は積極的に表彰すべきだ」「ボランティア活動をしたら、それを積極的にPRすべきだ」「児童生徒が選択できるボランティア活動メニューを学校ができるだけ多く揃えるべきだ」に「賛成する」場合は、V活動ツールの満足度が高くなるという関連性が見られる。

2‐2‐2 地域

単純集計

  • 回答を得た145団体のうちV活動ツールを活用している団体は126団体(86.9パーセント)であった。

(1)導入の目的

  • 導入理由の上位は、「ボランティア活動の参加者の意欲をさらに高めたかったから」が最も多く、次いで「ボランティア活動への参加者を増やしたかったから」であった。続いて「地域とのつながりを強めたかったから」「地域住民同士のコミュニケーションを活性化したかったから」の順となった。
  • 導入したのは、「組織内部からの提案」か、「組織外部からの提案」かについては、前者が78.2パーセントであった。

(2)V活動ツールの形態・内容

  • V活動ツールの作成については、「独自で作成した」が84.3パーセントと圧倒的に高い。
  • 対象となる活動は、「ボランティア活動全般」が72パーセントと高い。「たすけあい活動」「福祉関係の活動」「環境関係の活動」も30パーセントを超えている。
  • 掲載されている内容については、「V活動ツールの概要・説明」が51.6パーセントで最も高い。「ボランティア活動記録欄」は41.1パーセント、「シール貼付・スタンプ押印欄」は31.5パーセントとなっており、実績を残す仕組みを設けている割合は学校のように高くない。

(3)実施の方法

  • V活動ツールの費用負担については、「負担はない」が69パーセントであり、残りは「会費」、「ツール購入費用」等、何らかの自己負担がある。

(4)導入の成果・評価

  • 導入の成果については、「参加者の意欲が高まったり、ボランティア活動が盛んになった」が最も高く、続いて「ボランティア活動の参加者同士のコミュニケーションが活性化した」「ボランティア活動の参加者が増えた」が高かった。
  • 満足度については、「大変満足している」と「満足している」を合わせて61.6パーセントであった。

(5)ボランティアに対する意識

  • 「ボランティア活動は自主的に取り組むべきものである」「ボランティア活動は自分たちの組織だけでなく、地域の人や他の組織と協力して進めることが必要だ」「一緒にボランティア活動する仲間と連帯感を持てるような交流会などの仕組みが必要だ」「ボランティア活動は、子どもたちに社会のルールやマナーを教える上で有効だ」の順に賛成が90パーセント以上となっている。
  • 「放課後や休日のボランティア活動を進めるためには、もっと積極的に学校開放をすべきだ」は73パーセントで、学校側の43.5パーセントに比べて、大きな差が出た。

クロス集計

(1)導入の目的

  • 「パスポート(手帳)タイプ」「カードタイプ」は、「ボランティア活動への参加者を増やしたかったから」「ボランティア活動の参加者の意欲をさらに高めたかったから」「参加者のボランティア活動の記録になると思ったから」が高いのに対して、地域通貨は、「地域住民同士のコミュニケーションを活性化したかったから」「地域とのつながりを強めたかったから」が高い。

(2)V活動ツールの形態・内容

  • V活動ツールの作成については、地域通貨は「独自で作成した」が92.1パーセントと他のツールより高い。
  • 対象となる活動を見ると、地域通貨では、「たすけあい活動」が59.7パーセントで一番である。

(3)実施の方法

  • 地域通貨は69.8パーセントが、配付対象は「会員(参加者)」となっている。パスポート(手帳)タイプ、カードタイプ、表彰状は「一般」への配付が高い。
  • 活用状況把握については、地域通貨では、「定期的に確認している」が43.1パーセントで最も高く、「配付するだけで特に何もしていない」は20.7パーセントに留まる。「配付するだけで特に何もしていない」はパスポート(手帳)タイプでは50パーセント、カードタイプでは40パーセントで、それぞれ最も高くなっている。

(4)導入の成果・評価

  • 活動成果については、パスポート(手帳)タイプ、カードタイプは、「参加者の意欲が高まったり、ボランティア活動が盛んになった」「ボランティア活動の参加者が増えた」「ボランティア活動の質が高まった」という項目の割合が高いのに対して、地域通貨では各項目を選んだ割合に差がなく、成果といえるものが多岐にわたっている。
  • 確認方法別に満足度を見ると、「定期的に確認している」団体は満足度が最も高く、「配付するだけで特に何もしていない」団体は最も低い。
  • 「活動成果」と「活動成果」をクロスさせると、「ボランティア活動の参加者が増えた」「ボランティア活動の参加者同士のコミュニケーションが活発化した」「参加者の意欲が高まり、ボランティア活動が盛んになった」が相互に高い。

(5)ボランティアに対する意識

  • 形態別では、地域通貨が、「ボランティア組織の実際の運営には、どちらかと言えば、意欲よりマネージメント能力の方が重要だ」に賛成が62.3パーセントと他のツールを大きく上回った。また「ボランティアの仲間づくりは、結局口コミが最も有効だ」は90.3パーセントで、やはり他のツールを大きく上回った。「ボランティア組織は、積極的にボランティア活動の企画を提案すべきである」は他のツールも高いが、96.8パーセントと特に高い。

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生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --