ボランティアとは「イベントやボランティア団体などに参加するもの」、「時間や経済的に余裕のあるものが社会に無償で還元するもの」というイメージがあり、このことが参加のハードルを高めていると考えられる。
隣近所での助け合い、さらにはまちおこしといった地域課題への取り組みへの参加、趣味活動の延長など、個人が社会に対して“よいと思った”活動に参加することを“ボランティア”あるいは“ちょぼら”として広く捉え(“ボランティア”という言葉の使用は必須ではない)、浸透を図っていくことが必要である。
浸透を図る部分では、マスメディアによる情報提供や著名人からの発言などを通じて国民にポジティブなイメージを付与するとともに、「こんなこともボランティア」という多様なボランティア像を身近で丁寧に解説する存在が重要だと考えられ、地域では、体験活動ボランティア活動支援センターなどにその役割が期待される。
人間は個人としての生活、家庭生活、職業生活、地域生活など様々な生活場面を持っており、そのウェイトは個人によって様々である。このため、それぞれの場面ごとに情報提供のツールを設定し、個人に最も影響を与える経路からの興味・関心を喚起していくことが適切と考えられる。関心のあるボランティア活動の内容や活動時間などは個々人により様々であるため、口コミになど個別的な情報伝達が有効である。この点からも帰属組織を通じた情報提供が有効である。
このため、戦略としては各企業、学校、家庭などにボランティア実践者を生み出し、実践者をリーダーとして周囲に波及させていくことが考えられる。
個人のボランティアに対する意識やニーズは体験機会を持つことにより具体化する。このため多様な体験の場を提供することにより、試行錯誤しながら自分がやりたいことを明確化できる環境が求められる。
一般には、受け皿としてのボランティア団体は大都市に多いと考えられるが、人口規模の小さい町村部でも、人口が少ないが故にボランティアや助け合いのニーズは決して少なくないはずである。
このため、気軽にニーズを表明できたり、ボランティア需要を掘り起こしていくような活動も併せて必要である。
体験から実践し、実践を継続する上では、なんらかのはげみ(インセンティブ)の提供が重要である。ここでのはげみは、大学における単位の付与や地域通貨など実利的なインセンティブのみならず、スタンプなどにより貢献が量的に評価されたり、成果が公表されるといったことでもよい(実利的なインセンティブほど多くの人に訴求する効果はあるが費用や仕組みが必要である)。
基本は利益を受けた人が感謝の気持ちを伝えることにある。
上ではAIDMA理論における思考・行動の順序に応じて整理をしたが、ボランティア活動を取り巻く国民の意識などを踏まえると、プロモーション戦略を考える上では、積極派を取り込んでニーズを早期に顕在化させ、それに応じることでボランティアをより行いやすい環境を構築し、消極派の意識を積極化させることを考えることが妥当だと考えられる。
ここでは、上で挙げた基本的考え方を実現する戦略をフロー化した。
生涯学習政策局社会教育課
-- 登録:平成21年以前 --