4‐4 プロモーション事例の整理とボランティア普及に向けた参考点

  本章で挙げた他の社会的課題における気運醸成に向けたプロモーション事例から、ボランティアの普及に参考となると考えられる点を挙げる。

[1]活動全体のイメージを浸透させるタイトル

  「環のくらし」「健康日本21」などは、短い言葉で活動全体を包括したイメージを表しており、イメージの浸透に大きな役割を果たしていると考えられる。このようなタイトルが様々な施策の場面で登場することにより、イメージの浸透が効果的に図られると考えられる。

[2]マスコミを活用した施策の普及活動

  テレビCMや新聞への広告は、得られる効果は大きいものの非常にコストが高く、中長期に渡って同種のイメージの浸透を図る手段としては使いづらい。しかしマスコミの注目を集める施策、イベント等を実施し、それがテレビや新聞に取り上げられればコストをかけずに近い効果を得られると考えられる。環境省国民生活対策室が中心となって実施した有名観光スポットでの消灯イベントはその成功事例である。

[3]家族を巻き込んでの普及活動

  環境省国民生活対策室の依頼により実現した温暖化をテーマとした「ウルトラマン」の上演は、それ自体は子供をターゲットにしたものでありながら、親が一緒に訪れることを想定した啓蒙施策であった。シー オー ツー削減や省エネに対する意識は幼い子供を育てている若い親の世代でも低いことが従来から指摘されており、これに対する施策の一つとして実施された。子供が興味を持つイベントを実施することにより、高い確率で親への普及も行うことができる。「健康日本21」において実施された「親子料理教室、料理コンクール」も同種の施策であると考えられる。

[4]ターゲットを限定した普及・啓蒙活動

  環境省国民生活対策室が行った、主婦を対象とした雑誌の綴じ込み付録としてのパンフレット配付は、従来の“興味のない人には読まれないパンフレット”に対する反省から生まれた施策であった。配付方法だけでなく、パンフレットの内容も雑誌の主な購読層である若い主婦に的を絞ったものになっており、従来の相手を特定しないパンフレット配付と比較すると格段の効果があったと考えられる。

[5]音楽イベントなどを通じた若年層の啓発

  「環の国くらし会議分科会」から派生的に起こったライブハウスでの音楽イベントは、“環境”という言葉を一切出さずに事前の告知を行った。音楽イベントの中で10代に人気のアーティストが話題の一つとして触れ、自然に環境問題に興味を持ってもらうことに成功した。各世代にとってのオピニオンリーダーを取り込み、かつ対象者が事前にイベントに対し硬いイメージを持たないようにすることで、無関心層を取り込むことができる。
  特に10代の若者は学校や企業などの帰属組織からの影響を受けにくいと考えられるため、この層に対しては、彼らが身近に感じるオピニオンリーダーを経由した啓発が有効である。

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