4‐3 「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づいた普及・啓発活動 (厚生労働省)

4‐3‐1 活動の背景、目的、概要等

  障害者雇用対策課では、「障害者の雇用の促進等に関する法律」およびそれに基づいて策定された「障害者雇用対策基本方針」に則り、障害者の就業を促進することを目的として各種の施策を行っている。具体的には事業主に対する指導・援助、障害者の特性を踏まえたきめ細かな職業リハビリテーション、障害者雇用に関する啓発である。

4‐3‐2 現在のプロモーション活動実施に至る経緯

  障害者の雇用は職業安定所での紹介やコンサルタントを基本として行ってきた。今後さらに障害者の雇用率を高めていくため、下記の諸施策を導入している。

4‐3‐3 プロモーション活動の内容

  事業主等に障害者雇用率(常用労働者数等を基にした算定式を用いて算出)達成義務を課し、達成できていない企業に対しては指導する。指導してもなお達成できない企業については企業名の公表を行う。一方優良事業所については表彰も行っている。
  企業名の公表以上には罰則を設けていないが、ほとんどの企業は公表に至る前段階の指導で状況が改善される。企業の規模が大きければ大きいほど企業名の公表は効果的な措置であり、現在それ以上の罰則を設けることは検討されていない。
  障害者の雇用を促進するため、近年各機関においていくつかの施策を導入している。

(1)障害者試行雇用事業

  1. 平成13年からは「障害者試行雇用事業」を実施している。障害者に合った職域開発、雇用管理等のノウハウがなく障害者の雇用を躊躇している事業所のために、短期間の試行雇用を通じてきっかけを与えることを目的としている。
  2. 試行雇用期間は3ヶ月間とし、それが終了した後に事業所、障害者双方が承諾すれば常用雇用に移行する。
  3. 試行雇用を実施する事業主に対して、1人1月あたり5万円の奨励金を支給する。

(2)障害者就業・生活支援センターの設置

  1. 障害の種類や程度によっては、就業にあたって日常生活の面での支援が必要となる場合もある。そこで、雇用、福祉、教育等の関係機関と連携しながら、障害者の就業およびそれに伴う生活に関する指導や助言、職業準備訓練の斡旋など、障害者の職業生活における自立を図るために必要な支援を行うことを目的とし、平成14年に障害者就業・生活支援センターを設置した。
  2. 基本的にセンターは各都道府県に1箇所または2箇所ずつ設置されている。

(3)職場適応援助者(ジョブコーチ)事業

  1. 知的障害者、精神障害者等の職場での適応を容易にすることを目的とし、平成14年に事業所にジョブコーチを派遣する事業を開始。
  2. 各都道府県に設置された地域障害者職業センターにおいてジョブコーチを実施、適当と認められる社会福祉法人等の協力機関とも連携して支援を実施。
  3. 障害者職業総合センターにおいてジョブコーチの養成研修を実施。

4‐3‐4 プロモーション活動の効果等

  1. 障害者雇用を啓発する事業に、約8億円(障害者雇用納付金事業平成16年度予算)の予算が確保されている。
  2. 障害者への職業紹介件数は、平成13年度に27,072件、14年度は28,354件であり、15年度は約32,885件となっている。この増加分は諸施策の成果であると考えられる。

4‐3‐5 障害者雇用の普及・促進活動における社会的プロモーション手法の整理

  障害者雇用は法律で規定されているものであり、その点が国民生活におけるCO2削減やボランティアとは大きく異なる。
  図表 4_10は障害者雇用の普及・促進活動におけるプロモーション手法をAIDMAと併せて整理したものである。各段階に応じた一通りの施策は講じられているが、予算の面でも内容の面でも「活動内容の具体化」の部分に力点が置かれている。

図表4_10 障害者雇用の普及・促進活動における社会的プロモーション手法の整理 (障害者雇用対策課に関連する活動)

AIDMA 狙い 参考となるプロモーション手法例 備考
認知 障害者雇用に関する啓発
  • ポスター、ビデオによる啓発
(約6,000万円)
 
興味・関心 障害者雇用実現への動機付け
  • 障害者雇用率未達成企業の企業名公表
  • 障害者雇用優良企業の表彰(約520万円)
(※「認知」「興味・関心」に相当する各種普及啓発活動全体で約8億円)
 
活動内容の具体化 体験機会の拡充
  • 障害者試行雇用事業(約6.3億円)
平成13年より実施、試行後の常用雇用への移行率は約8割
実施の手助け
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)事業
(約18.7億円)
  • 障害者就業・生活支援センターの設置
(約7億円)
平成14年より実施

  注:「認知」、「興味・関心」における()内の金額は高齢・障害者雇用支援機構の障害者雇用納付金事業における平成16年度予算。「活動内容の具体化」における()内の金額は国費による平成16年度予算
  出所:障害者雇用対策課へのヒアリング結果から三井情報開発作成

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生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --