3‐2‐3 調査結果に基づく考察(地域体制の形成と体験活動ボランティア活動支援センターの役割)

  以上の体験活動ボランティア活動支援センターに対する調査結果を踏まえ、ボランティア活動に対する社会的気運の醸成に向けた地域体制を形成するための課題を示す。
  本報告書の冒頭部でも述べたように、ボランティア活動を促進する社会的気運醸成は、国民・地域住民に対する効果的な宣伝・PR活動、情報提供等のプロモーションに依存するわけではない。一方で地域社会において、高まるボランティア活動への関心を受け止め、具体的な活動の場を提供する態勢づくりが必要である。つまり社会的プロモーションと活動の受け皿を、ボランティア活動促進の両輪と捉えて一体的に推進する必要がある。

1 ボランティア活動の円滑なスタートを支援するための対応

  本調査で実施した国民意識調査結果を踏まえると、ボランティア活動への円滑な参加を促すために、地域住民は「自分に適したボランティア活動に関する情報が手軽に収集できる」、「研修や試行体験の場を気軽に提供してくれる」といったサービスの充実を求めている。

1.情報入手の利便性の追求

  こうした課題への対応として、支援センター調査の結果を踏まえると、媒体としては、前者の「手軽な情報収集」では、ホームページ上での様々なボランティア活動情報の提供や大型店舗等での紙媒体での設置等、新しいメディアと古いメディア双方からの取り組みが求められていた。また、その提供方法についても、メール利用をはじめ、ボランティアに関するPR・説明会の開催等が求められており、一歩進んで積極的に届ける方策が求められている。つまり、モバイル・インターネットの時代を反映した利用者にとっての入手の至便さの追求が求められているといえよう。

2.ミスマッチを防ぐ情報内容の検討

  また、ボランティアに求める経験や技量、参加形態(短期でもOKか否か等)等、ボランティアのミスマッチを防ぐための、情報提供のあり方についても求められていた。

3.「先進性」、「象徴性」を備えた新しい導入の仕組みづくり

  一方、「研修や試行体験の場を気軽に提供してくれる」サービスについては、ボランティアのスキルアップのためのフローチャートづくり等、新しいガイダンスの仕組みづくりが求められていた。その一方で、モデル会社や学校、モデル団体等、ボランティア活動の楽しさ、充実度合いを情報発信していく先駆的で象徴となる取り組みが求められていた。

2 学校を「協働の広場」と位置付けた地域ボランティアの促進

  学校は、体験活動ボランティア活動支援センターが連携・協力をする相手として、現状及び将来的な要望としても割合が高かった。これは支援センターがこれまで、子どものための体験活動の場を提供する役割を担い、学校と既に関係を作り上げている故とも考えられる。体験活動ボランティア活動支援センターを軸とした、ボランティア推進の地域体制づくりにおいては、学校との関係と取り組み実績を基礎とした仕組みを構想すべきであろう。こうした点を踏まえると、今後、地域のボランティア活動を推進する一つの仕組みとして、体験活動ボランティア活動支援センターは、ボランティアと学校を結ぶコーディネーターとしての役割を果たすことが考えられる。
  既に地域社会においては、ボランティア活動を支援する種々の施設が存在する。教育を軸として考えることは、こうした状況の中で、体験活動ボランティア活動支援センターの存在の固有性を明確化する上で有効な方向であると思われる。
  一方、ボランティアの地域推進体制には、目的意識の共有が必要であるが、「子どもの教育」に対する参加は、大人の協力姿勢を得やすい領域である。保護者のみならず、自治会や商工団体等の既存団体、多様なグループ・サークル等、日ごろの垣根を越えた参画と協力態勢を容易に生み出す可能性があるといえる。
  また、学校は多様なボランティアの活躍の場を開拓し得る。今回収集されたボランティア活動の関心を高める事例として、総合学習で河川敷に花を植える活動を行い、そこに地域の大人がボランティアとして参加する例が報告されていた。これに留まらず、放課後や土曜の子どもの活動に対する指導者としての参加、ひいては学校ボランティアとして、様々な教科の支援等、市民参画の場を開拓していく必要があろう。

3 企業との新たな関係形成

  企業のボランティア活動を推進する上で、地域体制が重要であることは既に述べた。しかしながら、企業はこれまで、体験活動ボランティア活動支援センターとつながりが薄かった。また調査結果においても、企業との連携・協力は現状・将来とも比率は相対的に低い。
  しかしながら、学校教育を中心に広がりのあるボランティアの体制づくりをする上で、企業ボランティアとの連携は重要である。また、企業においても、自らのボランティア活動を広く地域展開する上で、NPOやコーディネート機関とのつながりを求めている。
  こうしたニーズを捉え、体験活動ボランティア活動支援センターは、例えばボランティアコーディネーター養成事業を企業に向けても公開するとともに、各種地域ボランティア活動の情報提供等を行っていく必要があろう。

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生涯学習政策局社会教育課

-- 登録:平成21年以前 --