長期宿泊推進校 【小学校・自然・勤労生産・交流に関わる体験活動】 長期宿泊体験活動 東京都武蔵野市立第二小学校

学校の概要
  1. 学校規模
    • 学級数:14学級
    • 児童数:465人
    • 教職員数:31人
    • 活動の対象学年:5年生・76人
  2. 体験活動の観点などからみた学校環境
    • 面積11平方キロメートル人口13万人の人口密度の高い都市。宅地化が進んでいるが、畑や雑木林などの自然も点在している。
    • 武蔵野市立小、中学校に在籍する児童・生徒は、授業の一部を自然に恵まれた農山漁村に長期間滞在して行い、普段の学校生活(ファーストスクール)では体験し難い総合的な体験学習活動を行う「セカンドスクール」を実施している。
    • 本校では、武蔵野市と姉妹都市の盟約を結んでいる富山県東砺波郡利賀村(現・南砺市利賀村)において、9月に7泊8日のセカンドスクールを行っている。利賀村は富山県南西部に位置し、林野が97パーセントをしめる山村で、南は岐阜県白川村に接している。
    • セカンドスクールで児童は、初めの2泊は宿泊施設で、その後は10軒の民宿に分かれて共同生活し、体験活動を行う。
  3. 連絡先
体験活動の概要
  1. 活動のねらい
    • 豊かな自然並びに地域の特性を生かした学習材及び学習方法を工夫することを通し、子どもたち一人一人が課題解決的な学習を進めることにより、ファーストスクールにおける学習と相まって学習効果を高める。
    • 自然体験、林業体験、共同生活体験等の多様な体験学習活動並びに多くの人々との出会いや交流を通し、子どもたちの個性豊かな成長を図り、自立に必要な知識及び技能を身に付けさせるとともに、それらを生かし自ら創意工夫する態度を育てる。
    • 恵まれた自然環境の中での長期間のゆとりある宿泊体験を通し、豊かな情操をはぐくむとともに、協調性及び連帯意識に基づく豊かな人間関係を育てる。
  2. 活動内容と教育課程上の位置付け
    (46単位時間・8日間)
    • 自然に関する体験活動
      (総合的な学習の時間7単位時間、図画工作2単位時間、理科1単位時間)
    • 勤労に関する体験活動
      (総合的な学習の時間7単位時間)
    • 交流に関わる体験活動
      (総合的な学習の時間5単位時間、国語2単位時間、体育2単位時間、特別活動1単位時間)
    • その他の活動
      (国語3単位時間、学校行事16単位時間)

1 活動に関する学校の全体計画

活動のねらい

  • 「利賀村の森林は地球を守る」というテーマのもと、森林の役割や森林で働く人に関する課題を設定し、進んで解決できるようにする。
  • 稲刈り・そばの刈りとりや林業体験を行うことで、社会科の学習で得た知識や理解をより深いものにする。
  • 「利賀村のみなさん・こんにちは」というテーマのもと、利賀小学校児童との交流会、自然体験、林業体験、共同生活体験等の多様な体験学習活動を行い、その活動の中での多くの人々との出会いを通して子どもたちの個性豊かな成長を図る。

全体の指導計画(第5学年)※総合は、総合的な学習の時間の略称。

学習の場 主な学習内容
ファーストスクール <利賀村の森林は地球を守る>
  • 森林の役割を考えたり、森林に関わる課題を設定したりする。(社会4時間、総合4時間)
<利賀村のみなさん・こんにちは>
  • 各民宿と利賀小学校へあいさつの手紙を書く。(国語2時間)
  • 利賀村について、インターネットで調べる。(総合2時間)
セカンドスクール(7泊8日) <1日目>
  • 東京からの移動・開校式(行事7時間)・天体観測(理科1時間)
<2日目>
  • 「利賀小のみなさんこんにちは」利賀小学校児童と一緒に民謡を踊ったり、ソフトバレーボールをしたりして交流をする。(体育2時間・特別活動1時間)
  • 「農業体験・そば刈り」そば栽培に関わる体験をしよう(総合2時間)
<3日目>
  • 「そばの郷を歩こう」そばの郷資料館を見学したり、河原を散策したりして、より深く村を知る。(総合2時間)
  • 「利賀をじっくり楽しもう」稲刈り体験の活動(総合2時間)
  • 「民宿の方の話を聞こう」民宿の方から民話や昔生活などについての話を聞く。(国語2時間)
<4日目>
  • 「峠の一本杉目指して」森林にかかわる自分の学習課題を明らかにしながら、登山をする。(総合2時間)
  • 「森からのおくり物」現地講師の話を聞きながら、課題別に森の中で課題解決の活動しながら下山する。(総合2時間)
<5日目>
  • 「森のパーティーをしよう」特産のそばうちに挑戦。その後、五平餅と五箇山豆腐田楽づくり。岩魚つかみに挑戦。その後、川原の石を拾い、石へのペインティング。(総合4時間)
<6日目>
  • 「森のプロフェッショナル」森林組合の方の話を聞く。実演を見る。取材をする。(総合3時間)
  • 「きのこの森で遊ぼう」自然とふれあいながら、木工作品の材料を集め、鳥笛・オブジェ・ペンダントを作る。(図工2時間)
<7日目>
  • 「合掌造りの村へ行こう」相倉合掌集落訪問と和紙の里での紙すき体験(総合3時間)
  • 「民宿での活動」もちつき・わらじづくり・いもほりなどを行う。(総合2時間)
  • 「利賀村のみなさんありがとう」お世話になった民宿の人とお別れ夕食会を開く。(総合1時間)
<8日目>
  • 閉校式・東京までの移動(行事7時間)
ファーストスクール <利賀村の森林は地球を守る>
  • 森林の役割を考えたり、森林に関わる課題を設定したりする。(社会4時間、総合4時間)
<利賀村のみなさん・こんにちは>
  • 各民宿と利賀小学校へお礼の手紙を書く。(国語2時間)

2 活動の実際(単元「利賀村の森林は地球を守る」に絞ってまとめた)

事前指導(ファーストスクール)

小単元名 ねらい・活動内容・活動の場・児童の活動状況など
森林を守る人々(社会4時間)   森林は生活環境の保全、災害防止、水資源の涵養など重要な働きを持つことを理解する。
これが利賀の森林だ(総合4時間)   教員が実地踏査のとき撮影してきたビデオを視聴し、利賀村の森林について興味をもたせ、解決していきたい課題をある程度決める。

活動の展開(セカンドスクール)

小単元名 ねらい・活動内容・活動の場・児童の活動状況など
峠の一本杉目指して(総合2時間)   「利賀ふれあいの森」において、森林にかかわる自分の学習課題を明らかにするために、現地講師の話を聞きながら登山をする。児童は、森の恵み・森の動物・森の植物・森と水のかかわりなどの課題を確認した。
森からのおくり物(総合2時間)

  現地講師の話を聞きながら、課題別グループで森の中で課題解決の活動をして下山する。途中で、サンショやアケビの実を採ったり、薬草になる葉をかじったりしながら体験を通して理解を深めることができた。
森からのおくりものの写真

森のプロフェッショナル(総合3時間)

  砺波農地林務事務所や利賀村森林組合の方から、森林の役割や山の仕事についての話を聞く。草刈り機を使っての下草刈りやチェーンソーを使っての丸太切りの実演を見る。また、丸太きりや、はしごを使っての木登りを体験する。森林を守る人々について事前に質問内容をまとめてきたので、取材をし解決をする。
森のプロフェッショナルの写真

きのこの森で遊ぼう(図工2時間)   利賀きのこの森において、自然とふれあいながら、木工作品の材料を集め、鳥笛・木と石のオブジェ・ペンダントを作る。現地講師の指導のもと創意工夫した作品が完成して、児童は満足そうだった。

事後指導(ファーストスクール)

小単元名 ねらい・活動内容・活動の場・児童の活動内容など
山からおりてきた人(総合10時間)   林業体験などの森林の学習やいろいろな体験活動についてまとめ、発表会を行う。児童は体験活動を劇化するグループと資料をまとめ口頭発表するグループに分かれて、発表準備を進めた。学習発表会当日には利賀村の民宿の方が5名来校し参観され、賞賛の言葉をいただくことができた。

3 体験活動の実施体制

学校支援委員会の体制

  • 校内に「セカンドスクール委員会」を設置し、どのような体験活動を行っていくか検討したりカリキュラムの開発をしたりしている。
  • セカンドスクール期間中は、各生活班に1名と本部で教員をサポートする学習指導員を採用し、協力して指導する体制をとっている。
  • セカンドスクールでの体験活動は、利賀村役場産業振興課と利賀村観光協会の職員がサポートしている。充実した活動にするため、実地踏査の際十分協議したり、事前の連絡を密に取ったりしている。
  • 利賀村役場産業振興課と利賀村観光協会の紹介により、それぞれの体験活動は現地講師の指導のもとに行われている。(主な講師は、利賀村自然観察会「飛翔の会」、利賀村森林組合、利賀村国際キャンプ場スタッフ、児童が宿泊する各民宿の方々など)
    体験活動の写真

配慮事項等

  • 安全確保のため、児童7~8名に学習指導員1名がついている。教員や本部指導員は、全体指導を行い、活動の安全に配慮している。毎夕、全民宿を訪れ、生活状況を捉えている。

4 体験活動の評価の工夫と指導の改善

自己評価活動

  毎日の体験活動について就寝前に「学習の記録」を書き、児童は自己評価するようにしている。児童はわかったこと・思ったことなどを詳しく書いて、学習のまとめとしている。

教師の評価

  児童が書いた「学習の記録」は、各班の学習指導員が読んで内容の確認をし、次の日の集合時に教員に渡す。教員は記述の内容から、活動に関する情意面を中心とした評価を行い、次の活動への意欲につながるよう励ましのコメントを書いて、児童に返すようにしている。

指導の改善

  学習指導員と連携を図りながら、それぞれの活動を意欲的に行えるように児童一人一人の学習や生活の状況を捉えてを励ましたり助言したりしている。

5 活動の成果と課題

  • 利賀村の方々と心の通った交流をしてきたことで、人に対する優しさがよりはぐくまれたと考える。利賀村の方との別れの際、号泣した児童が何人もいた。
  • 稲刈り、そばかり、岩魚をさばく体験などを通して、食文化について関心をもち、自分の食生活を見直すきっかけとなった。体験を通したことで、より深く学習を理解できたと考える。
  • 来年度以降に向けて、一つ一つの体験活動をよりじっくりより主体的に行えるように、体験の内容や進め方を検討していく。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)

-- 登録:平成21年以前 --