【小学校・地域間交流に関わる体験活動】 夜須町まるごと体験隊‐人・仕事・自然に学ぼう‐ 福岡県春日市立日の出小学校

学校の概要

  1. 学校規模
    • 学級数:12学級
    • 児童数:363名
    • 教職員数:20名
    • 活動の対象学年:5年生・51人
  2. 体験活動の観点などからみた学校環境
    • 春日市は福岡市のベッドタウンとして発展し,本校区は交通量が多く,ほとんどが宅地・マンションで構成されている。
    • 自然環境に乏しく子どもの遊び場は運動場,もしくは点在する小さな公園である。
    • 本校は開校5年目で,当初から学校・保護者・地域の三者のかかわりを重視し,地域に密着した学校づくりに努めてきた。
  3. 連絡先

体験活動の概要

  1. 活動のねらい
    • 農家の方と共に働き汗を流し,農業の難しさ・大切さ,喜びを実感する。
    • 農家の方との仕事をとおしたふれあいを図ることで,社会性を高める。
    • 自分たちが住む地域と異なる環境にある地域のよさを実感し,愛着を高める。
  2. 活動内容と教育課程上の位置付け
    • 調査・準備活動
        (総合的な学習の時間19時間)
        (社会科1時間)
    • 夜須町での農業体験活動
        (総合的な学習の時間10時間)
    • 自然の家での自然体験活動
        (総合的な学習の時間10時間)
    • 農業体験の振り返り・交流活動
        (総合的な学習の時間27時間)
        (社会科1時間)
    • 春日市・夜須町発表交流会
        (総合的な学習の時間2時間)
      計70時間

1 活動に関する学校の全体計画

(1)活動のねらい

活動のねらい

  本校区は概要でも前述したとおり,校区のほとんどが宅地・マンションであり,自然環境に乏しいため自然体験が不足している。また,開校当初から生活科・社会科を中核にしながら地域のよさを学びとり,自らの生き方へと高めてきた。そこで,自然豊かで農業が盛んに行われている夜須町(毎年,宿泊学習で利用)を豊かな体験の場として選定し,生産にかかわる仕事を核に以下のような目標を設定した。

  • 農家の方と共に働き,汗を流すことで,勤労の難しさ・大切さ,そして喜びを実感させる。
  • 農家の方の働く姿を真正面から見つめさせることで,生き方を考えさせる。
  • 農家の方と仕事をとおしたふれあいを図ることで,社会性を高める。
  • 自分たちが住む地域と異なる環境にある地域のよさを実感させる(第2のふるさと作り)。

2 活動の実際

(1)事前指導

  まず,夜須町の概要(土地の使われ方・主な産業・特産物など)をインターネットや夜須町のパンフレットを中心に調べる活動を行った。そして春日市と比較していく中で,自然が多く農業が盛んな地域であると認識を高めていった。

インターネットの利用
【インターネットの利用】

パンフレットの活用
【パンフレットの活用】

(2)活動の展開

  具体的な体験活動として7月と11月に夜須町の農家7件に分かれて農業体験を行った。都心部で生活する子どもたちにとっては,どんな仕事も新鮮だったようである。実際に体験したことで,仕事の大変さや難しさと共に,農家の方の生産物に対する思いを十分に感じ取っていくことができた。

   1回目体験内容 2回目体験内容
A班
  • ビニルハウス片づけ
  • 田植え箱洗い
  • サツマイモ収穫
  • ナスビニルハウス見学
  • 古代米稲刈り
B班
  • ビニルハウス片づけ
  • 花摘み
  • 自然散策
  • 菊の下葉とり
  • ビニルハウス清掃
  • 自然散策
C班
  • キュウリ収穫
  • トマト収穫
  • 山散策
  • ねぎ畑除草
  • キュウリ収穫
  • サツマイモ収穫
D班
  • キュウリ収穫
  • キュウリ手入れ
  • 椎茸収穫
  • 椎茸パック詰め
E班
  • 子牛毛繕い
  • 牛舎清掃
  • 牛舎清掃・餌やり
  • 牧草の種まき
F班
  • 炭だし
  • 炭割り・炭袋詰め
  • 川遊び
  • 炭の火入れ
  • 農業機器見学
  • 古代米収穫
G班
  • 柿の摘果
  • 里芋畑除草
  • 柿・里芋の収穫
  • 干し柿づくり
A班・田植箱の積込
【A班・田植箱の積込】
B班・ビニルハウス片づけ
【B班・ビニルハウス片づけ】
C班・トマト収穫
【C班・トマト収穫】
D班・椎茸の収穫
【D班・椎茸の収穫】
E班・牛の餌やり
【E班・牛の餌やり】
F班・炭の窯だし
【F班・炭の窯だし】
G班・柿の摘果作業
【G班・柿の摘果作業】
 

(3)事後指導

  子どもたちは農業体験で感じたことや学んだことについて,個人やグループで振り返っていった。具体的には目標で掲げている「勤労観」・「生き方」・「ふれあい」・「夜須町のよさ」について振り返っていった。
  このような振り返り活動をとおして,農業体験によって芽生えた思いを自分の見方・考え方・価値観として高めていった。そして,最後の春日市・夜須町の交流会に向けて,内容を精選させながら,各グループごとのプレゼンテーション作りを行っていったのである。

3 体験活動の実施体制

(1)学校支援委員会の体制

学校支援委員会の組織図
【学校支援委員会の組織図】

第1回活動指導員連絡会の様子その1第1回活動指導員連絡会の様子その2
【第1回活動指導員連絡会の様子】

主な取り組み 内容
3月
  • 受け入れ農家選定
    (夜須町教育委員会・自然の家・三並小学校訪問)
  • 各種団体への趣旨説明と協力依頼
  • 各種団体へ現地訪問し,趣旨説明と協力依頼
4月
  • 受け入れ農家決定
  • 7件の協力農家の確認とリスト作り
5月
  • 保護者全体説明会
  • 5年生保護者全体へ地域間交流の趣旨と全体計画の説明
  • 第1回活動指導員連絡会
  • 受け入れ農家への地域間交流の趣旨説明と日程・内容確認
6月
  • 農家視察会(交流部・保護者支援者合同)
  • 交流部と保護者支援者での現地視察(活動場所・安全確認)
7月
  • 保護者支援者説明会
  • 保護者支援者への支援内容及び緊急時対応の共通理解
12月
  • 第2回活動指導員連絡会
  • 地域間事業の反省と協議,及び3学期交流会の計画

(2)地域間交流プログラム開発委員との連携

開発委員会のとの連携

(3)配慮事項等

  活動に際して最も留意したのは安全面である。保険の加入はもちろんのこと,7月と11月という季節に応じた活動時間や内容・給水・食事など特に綿密に打ち合わせを行った。そして緊急時における移送病院先,対応マニュアル,連絡網を準備した。

配慮事項等

4 体験活動の評価の工夫と指導の改善‐より多面的な評価を目指して‐

  • 各活動における個人の自己評価
  • 児童へのアンケート調査(設定した地域間のねらいの観点ごとに)
  • 保護者アンケート(支援者による児童の活動観察・活動形態や内容評価,保護者全体への地域間交流の取り組みに関するアンケート)

5 体験活動の成果と課題

  • 子どもたちは,仕事の大切さと共に,自分たちの生活が第1次産業に従事する人々によって支えられているという実感を高めていくことができた。
  • 体験の場を繰り返し設定したことで,農家の方や夜須町へのかかわり意識を高めていった。
  • 活動調整面(農家との連絡調整)や費用面(受益者負担の原則)の工夫が必要である。
  • 関係者と協議を重ねながら,来年度も仕事体験を中心に地域間交流に取り組んでいく。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

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-- 登録:平成21年以前 --