【地域間交流に関わる体験活動】 西町インターナショナルスクールとの交流体験活動 群馬県黒保根村立黒保根小学校

学校の概要

  1. 学校規模
    • 学級数:7学級(内特殊学級1学級)
    • 生徒数:131人
    • 教職員数:15人
    • 活動対象学年:6年生・27人
  2. 体験活動の観点などからみた学校環境
    • 黒保根村は人口2,769人の農業を中心とし、四方を山で囲まれた自然豊かな山村である。黒保根小学校からは北西の方角に赤城山を望むことができる。村の南端部を国道122号線が通り、それに沿って渡良瀬川が流れている。村の総面積の89パーセントが山林となっている。かつては、養蚕が盛んで、官営工場富岡製糸所が創立された2年後(明治7年)には、星野長太郎氏により、「水沼製糸所」が開業したほどであった。
    • 本校では、10年程前より西町インターナショナルスクール(以後西町)と交流を続けている。西町はアメリカで活躍した黒保根村出身の貿易商、新井領一郎さん(長太郎氏の実弟1855―1939)の孫、松方種子さんが創立した学校である。幼稚園児から中学生までの在日外国人が学んでいる。種子さんの姉、ハルさんがエドウィン・ライシャワー元駐日大使の妻だった縁もあり交流が始まり、1994年に姉妹校提携した。西町は、本村の鹿角地区に宿泊施設を有し、一年間にわたり計画的・継続的に本村で宿泊体験活動などを行っている。
  3. 連絡先

体験活動の概要

  1. 活動のねらい
    • 西町との交流を通して、地域や国の違いによる文化の違いを理解し、他の地域や国の人達との関わり方について考えを広げる。
    • 交流を通して、心豊かな人間性を育む。
    • 地域の良さに気づき、ふるさとを愛する心を育てる。
  2. 活動内容と教育課程上の位置付け
    (単位時間数・日数)
    〔5年生〕
    • 初めての対面交流活動
      (総合的な学習の時間・2日間にわたり各2時間)
    • 西町鹿角キャンプ交流活動
      (総合的な学習の時間・放課後)
    〔6年生〕
    • 田植え交流活動
      (学校行事・2時間)
    • 運動会交流活動(学校行事・1日)
    • 稲刈り交流活動
      (学校行事・2時間)
    • もちつき交流活動
      (学校行事・2時間)
    • 効果を考えて書こう
      (黒保根村ガイドブック作り)
      (国語・11時間)
    • ホームスティ交流活動
      (教育課程外の時間・放課後)
    • 西町訪問活動(6年生)
      (総合的な学習の時間・2日間)

1 活動に関する学校の全体計画

活動のねらい

  • 西町との交流を通して、地域や国の違いによる文化の違いを理解し、他の地域や国の人達との関わり方について考えを広げる。
  • 交流を通して、心豊かな人間性を育む。
  • 地域の良さに気づき、ふるさとを愛する心を育てる。

全体の指導計画

  • ア 活動の名称 西町インターナショナルスクールとの交流体験活動
      「私たちと世界の友達」&「黒保根村と都市部の生活」
  • イ 実施学年 6年生
  • ウ 活動内容
      西町インターナショナルスクールとの交流体験活動は、5年生の時から始まる。5年生では2回交流体験活動が行われる。1回目は、4月に初めての対面交流活動。お互いの学校の紹介やグループに分かれての自己紹介や歌とゲームをしながら交流を進めていく。2回目は、西町が9月に鹿角キャンプ(黒保根村)で宿泊体験活動を行っている時に、交流活動を行う。
    〔6年生での活動内容〕
    • 田植え交流活動…一緒に田植えをしたり、給食を食べたりしながら交流する。
    • 運動会交流活動…西町の児童が黒小の運動会に参加に交流をする。
    • 稲刈り交流活動…一緒に稲刈りをしたり、給食を食べたりしながら交流する。
    • もちつき交流活動…西町と黒小の全校児童でもちつきをし収穫を一緒に祝ったり、給食を食べたりしながら交流する。
    • ホームスティ交流活動…黒小の家庭に宿泊し交流を図る。
    • 西町訪問活動…東京にある西町を訪問し、宿泊しながら2日間にわたって交流と東京探検活動を行う。
      〔クラス全体での活動〕西町における授業体験,西町周辺のグループ散策、都市見学、大使館見学、六本木ヒルズ見学、地下鉄体験
      〔グループでの調査活動〕お店調査…売り上げや商品など、建物調査…規模など、自然調査…木の数など警察の調査…警官の人数など、人口調査…人口密度などその他…電柱の数、信号の数、自動販売機の数など

  • エ 教育活動上の位置付け
      「私たちと世界の友達」「黒保根村と都市部の生活」の学習は国語と関連させたり、社会・算数で身につけた学習を生かして総合的な学習の時間で行っている。また、もちつき交流活動と運動会・田植え交流活動・稲刈り交流活動は学校行事、西町訪問活動は総合的な学習の時間、ホームスティ交流活動は教科外活動で実施している。
  • オ 実施時期
      田植え交流活動は5月に、運動会と稲刈り交流活動は10月に、もちつき交流活動は12月に、西町訪問活動は、1月に実施している。
  • カ 活動場所
      黒保根小学校・学校田・黒保根村西町鹿角キャンプ・西町インターナショナルスクール及び麻布

2 活動の実際

6年生の実践例

  今年度は、これまでの総合的な学習の時間を体験的な学習を中心に再構築し、西町の児童との交流を生かし、「黒保根村と都市部の生活」という新たな単元を加え、自分たちの生活と、都市部の生活や外国の生活を比較なしながら、自分たちの生活のよさに気付き、地域や国が違う人々と今後どのように関わっていけばよいかについて考えを深められるよう工夫した。

6年生の実践例

事前指導

  5月30日に行われた田植えや、10月3日行われた秋季大運動会、10月16日に行われた稲刈り、12月5日に行われる感謝祭(もちつき大会)などの行事を西町ISの児童と交流しながら行う。こうした交流活動を通し、西町ISの児童との友情を深め、普段の生活の様子についての情報交換などをしながら、都市部の生活と自分たち山村部の生活について理解を深めることができた。また、行事の際、食事交流や日常的な遊びやゲーム交流なども行い、直接的な体験交流を広げることが出来た。今年度は、こうした活動の前後に山村部(黒保根)と都市部の生活(西町あるいは都心部)の違いを積極的に見つけるという意識付けを行ったために、交流活動に深まりが見られた。
  また、12月5日の感謝祭に合わせ、黒保根小の児童は、西町ISの児童を1~4名程度、ホームステイとして受け入れ、1泊2日の生活を共にする。今年度は、6年生27名中女子が8名と少ないことと、都合により受け入れが出来ない家庭もあり、西町児童34名全員を家庭で受け入れることが困難な状況であったが、説明会や保護者同士の調節のおかげで、受け入れ体制が整い、自宅受け入れ出来ない黒保根児童も友だちの家庭に入り、学級全員がホームステイ体験をできるようにした。この2日間、児童は、黒保根小での学校生活を一緒に受けたり、国語「効果を考えて書こう」の単元で作成した黒保根村ガイドブックを利用し自分の住む地域を案内したりしながら共同生活を楽しむことができる。こうした活動を通して、黒保根のよさを再認識出来ると共に、西町訪問に向けての意欲と課題意識を持てるようにする。

活動の実践例

活動の展開

  昨年までは、日帰りで行っていた西町訪問を、今年度は各自のテーマを西町訪問を通し解決出来るよう、1泊2日の西町訪問にプログラムを変更した。1月22・23日の西町訪問は、東京のオリンピックセンターに宿泊し、西町ISの授業体験や西町(麻布付近)の町探検をしながら、都市部と山村部の違いについて比較調査活動を行う。こうした活動を通して、都市部と山村部の違いを実際に体感することになる。
  また、班別での調査活動は、都内での治安を考慮し、班に2名の大人(黒保根小職員と西町児童保護者)を付き添いとして配置し、グループごとに防犯ベル、プリペイド式の携帯電話などを配付し、安全面での最大限の配慮をする。

子どもたちの主なテーマ

  • お店調査・・・売り上げや商品など、
  • 建物調査・・・規模など、
  • 自然調査・・・木の数など、
  • 警察の調査・・・警官の人数など、
  • 人口調査・・・人口密度など、
  • その他・・・電柱の数、信号の数、自動販売機の数など
1日目 2日目
  • 西町IS授業体験
  • 西町(麻布)町探検
  • 施設見学
  • 地域調査
  • 施設見学

  ※ 施設見学候補:大使館、都庁、六本木ヒルズ、東京タワー、東京駅など

事後指導

  実際に調査した結果や考えたことを模造紙にまとめ、意見交流会を行う。また、西町の児童にも感想や意見をFAX等で送ってもらい、地域や文化的な違いをどのように考えているか学級で話し合う場を設ける。これらの活動を通して、生活習慣や地域性についての理解を深められるように配慮する。そして、まとめた結果を、総合的な学習「私たちと世界の友だち」の単元につなげ、地域や文化の違う人々とこれからどのように関わっていけばよいかという大きな課題へ生かせるようにする。

3 体験活動の実施体制

学校支援委員会の体制

  豊かな体験活動を推進するために本校では、本校職員・西町の職員・保護者・農業委員・PTA本部・教育委員会などの代表で学校支援委員会を組織している。

配慮事項等

  黒保根小学校の場合…各活動には黒小養護教諭が付き添い、大きなけがや事故の場合は、校医の水沼診療所や大間々町の恵愛堂病院と連携を図る。
  西町の場合…各活動には西町のスクールナースが付き添い、大きなけがや事故の場合は、インターナショナルクリニックや日赤病院・都立病院と連携を図る。

4 体験活動の評価の工夫と指導の改善

  • 育てたい力を明らかにしておき、授業の中で見取っていく。
  • 自己評価と総合評価を組み合わせた形で評価していく。(アンケートなどを活用して)

5 活動の成果と課題

  • 行事等による直接的な体験交流やホームスティ体験により、西町の生活習慣や地域性について興味を持ち、主体的に調べたり、交流したりする姿が見られるようになった。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

-- 登録:平成21年以前 --