学校の概要
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体験活動の概要
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昨年度の本校での活動は、これまでの本校教育活動の中にあった様々な体験活動を、新教育課程に位置付けることから始まった。従って、昨年度は多様な体験活動が混在し、系統立てることなく実施することとなった。また、本校と小学校・高等学校との連携も、年度当初に打ち合わせができなかったため、時間的な制約などから十分に行うことができなかった。
このような反省から、本年度は、1各学期に核となる体験活動を一つずつ行う(特に本校の環境から2~3学期の国際理解単元に重きを置く。)、2小学校、高等学校との交流活動を年度当初に決めておく、3関係諸機関との打ち合わせを十分行うことなどを課題としてまとめた。そうして、第1学年3学期の活動を引き続く形で、生徒の自己有用感と自尊感情が育つ体験活動を行うこととした。(表1参照)
※ 自己有用感とは、自分がこの集団の中で役に立っている、この集団に必要な人間であるという実感のことである。これを持つ時、人間のモチベーション、意欲が高まると言われている。この自己有用感を持つ生徒は、プラス思考であり何事にも積極的に参加し活動する。神戸市校長会編『変容する子どもたち』1)の中では、自己有用感、安定感、充実感の3つを「生き甲斐の3つの視点」としてまとめている。
さらに小学校や高等学校などの異校種間の交流、特に小学校との交流活動を行うことで、小中連携の課題について研究を進めることとした。特に、本年度、神戸市では、「アクティブプラン」)の中で「まっすぐ育て9年プラン」を策定することを定めている。本校では、本事業の交流活動の中で、問題点を探ろうとした。
なお、そのプランの必要性については、以下のように述べられている。
「まっすぐ育て9年プラン」を策定し、児童生徒の健全育成をさらに進める。・・・小学校から義務教育の9年間を通じて規範意識や倫理観の育成を図っている。中学校2年生で急に規範意識の変容がみられるが、その素地は小学校期に形成される。・・・小学校と中学校が生徒指導の面で連携・協力していくことが大切であり、従来の情報交換から一歩進んで行動連携を図っていく。
本年度第2学年で実施する体験活動を以下の<表2>にあげる。
月 | 活動名称 | 時 | 活動内容、教育課程上の位置付け | |
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1 | 4 ~ 7 |
トライやる・ウィーク | 65 | 兵庫県全県で第2学年で1週間にわたり体験活動をおこなう。本校では60カ所の事業所ボランティアの方の協力で実施した。) [総合的な学習の時間、特別活動、道徳] |
7 9 |
美しいまち・人・学校校区 清掃活動 |
4 | 校区内を全校生で分担し、保護者も参加して清掃活動。2学期は、小学校との合同作業も計画。 [総合的な学習の時間] |
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2 | 9 | 体育会 社会福祉施設との交流 |
2 | デイケア施設のお年寄りを招待。付き添いやお世話は、六甲アイランド高校生徒。接待の係生徒を中心に、校内では高校生と協力してお世話をする。
[特別活動/学校行事] |
10 ~ 11 |
三土中学校との交流 校区を紹介する文化祭授業公開ウィーク |
4 5 3 |
本校と交流をしている佐用郡南光町にある三土中学校)との交流。文化祭及び授業公開ウィークにおける本校での交流。地域を紹介するレポートを作成し、三土中学校に送付。(これは英語版を製作する予定)
[特別活動/学校行事、総合的な学習の時間] |
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10 | 文化祭展示 | 7 | 校歌額の作製
[総合的な学習の時間] |
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11 | 人権旬間 アイマスク体験・講演会 |
7 | ねらい:アイマスク体験(福祉体験)をすることで、人権に関する意識を高める。本校では、11月に全学年で人権旬間として人権について考える時間を設けている。 [総合的な学習の時間、特別活動、道徳] |
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12 | 外国を知ろう JICA(ジャイカ)のOB・OGによる講演会 |
8 | ねらい:外国事情の把握。外国で活躍する日本人を知る。JICA(ジャイカ)と連携して講演会を実施する。なお、国際理解単元の導入として道徳教材を利用する。また、社会科夏休みの課題として自分の興味ある国を調べる。 [総合的な学習の時間、道徳、社会] |
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12 | 外国語を教えよう 小学校児童との交流 総合英語での活動 |
7 | 小学校総合の時間に、生徒が小集団でゲストティーチャーとして活動する。2つの小学校で実施。事前事後指導は英語科の時間におこなう。 [総合的な学習の時間、英語] |
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3 | 1 | 市民救命士講習会 | 4 | 1時間がビデオ、2時間が実習で心肺蘇生の実技を学習する。応急手当普及員が講師となる。 [総合的な学習の時間、道徳] |
2 | 外国を知ろうパート2 外国人研修生との交流 |
10 | 発展途上国から日本にきている研修生の方との交流。交流を通して外国を知る。事前指導として、当該国の国調べを社会の時間におこなう。また、最後に外国の方とどのように交流するかを考える時間をもうける。 [総合的な学習の時間、社会] |
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2 | 新入生説明会 | 7 | 新入生を迎えて、生活・学習について小学校6年生に説明をする。 [総合的な学習の時間] |
<表2>本年度第2学年の体験活動一覧 太字が本事業の活動。時数は事前事後活動を含む。
<表1>であげたように、本校の活動は4つの大きな活動を2年間にわたっておこなう中で、当初のねらいを達成しようとしている。そこで、ここでは、昨年度実施した新入生説明会の活動と本年度実施した小学校生徒との交流を述べることとする。
事前・事後指導を含む全体の流れを右の<表3>に示した。このほか、班長のみの班長指導を行っている。
当日は、2小学校の6年生徒を12班ずつに分けて説明をした。本校生徒は24班に分かれて小集団で説明するようにした。当日は、14教室を利用した。説明内容については、事前に担任教師がチェックをした。いろいろなパフォーマンスも認めた。そこで、標準服を見せたり、教科書を回覧したりする班もあった<図1参照>。教師は生徒の主体性を大切にしながら、側面から支援した。事後指導で小学生にアンケートをとるという活動を事前に知らせていたので、中学生の方が緊張した面持ちであった。小学生は、当初緊張していたが、だんだんリラックスして説明を聞いていた。
事後に、小学校生徒へのアンケートを実施し、その集計をもとに自己評価をさせた。
英語の時間に3時間実施。10月の考査時に、活動の趣旨を伝えやりたい活動をあげさせていた。その後、英語によるゲームを各班ごとに企画し練習する。
当日は、2小学校の4年生徒を対象に交流活動を行う。今回は、中学生が小学校に出向いて活動する。新入生説明会同様小集団に別れて活動する。小学校は、総合的な学習の時間を充当する。
国際理解単元の最初の部分に当たる活動である。国際理解単元終了後、まとめて評価をする。
<表3>新入生説明会 単元の流れ
時 | 日時 | [テーマ] ねらい |
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1月22日 集会 |
[活動のねらい]
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1 | 1月24日 総合 |
[発表の分担]
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2 | [原稿作り]
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2月5日 集会 |
[全体注意]
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3 | 2月5日 | [会場準備]
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3 ・ 4 |
2月5日 2月6日 |
[事前練習]
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5 | 2月6日 | [新入生説明会]
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6 | 2月7日 | [ふり返り]
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<図1>新入生説明会の様子
本校では、学校支援委員会として、これまであった「トライやる・ウィーク推進委員会」を基礎に組織している。メンバーは、校長、教頭、地域振興会代表、自治会代表、婦人会代表、青少年育成協議会代表、児童館館長、2小学校校長、高等学校長、PTA代表、3校担当者である。すでに、トライやる・ウィークの活動の中で、地域の人々の意向を十分にくみ上げる組織として機能している組織を拡大した。本年度は、校区内の外国人の方について紹介をして頂いたりして、側面からの支援をいただいている。また、校内には豊かな体験活動推進委員会を組織し、月1回定例的に会議を持っている。
前記の2つの体験活動では、ポートフォリオ評価を行った。活動終了後に評価表を書かせた。体験活動全体の評価は、年度末の総合的な学習の時間の評価活動の中で行うことにしている。
昨年度の新入生説明会などの活動を通して見られた体験活動の成果と課題は以下の通りである。
<表5>にあげたように、中学生の自己評価は大変厳しい。これは、これまでの各種活動での自己評価で共通してみられる傾向であり、そのままの数値だけで計ることはできない。現に記述部分では、「小学生の人全員を中学生になる希望を持てるようにしないといけなかったと思う」というように、全員を満足させられなければ活動が失敗であると考えていることがわかる。さらに、「今まで一番下の学年で、教えるんじゃなくて教えられる方が多かったので、やっぱり緊張したけど、そういうものになれておかないと、4月から困るなあと思った。あと、先輩ってこんなのかと、少しつかめた気がした」、「今度入学してくる新入生に、先輩としてふさわしい態度で親切にしてあげたいと思う。先輩という自覚を持って行動したい」という記述も見られた。このことから、生徒たちに「自分が学校の代表として、先輩として接している」という感覚が生まれていることがわかる。
また、小学生も<表4>にあげたように、大多数の児童が肯定的な評価を下している。記述部分では「とてもやさしく、わかりやすかったです。いい先輩たちだと思い、中学校に早く行きたくなりました。ありがとうございました」や「最初は不安でしたが中学生の人たちが楽しそうにしていたの<表4>小学生による評価で、不安がなくなりました。説明ありがとうございました」という記述が多くあった。このことから、小学生にも肯定的な感覚をよび起こした活動であったことがわかる。
さらに、評価で留意すべきは、2年間の活動の中で個々の生徒が如何に変容したかを見ていくことが必要だという点である。この点では、新入生説明会、神戸マイスター講演会、トライやる・ウィーク(特に事後発表会)、小学校でのゲストティーチャー活動で、発表する力やコミュニケーション能力が養われてきている。
評価項目 | ◎ | ○ | △ | × |
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中学校の生活やようすがわかったか | 23.4 | 73 | 3.6 | 0 |
中学生の説明はどうだったか | 29.2 | 55.5 | 15.3 | 0 |
説明の声はどうだったか | 34.3 | 49.6 | 16.1 | 0 |
中学生の態度はていねいだったか | 35 | 56.9 | 8 | 0 |
中学生になる希望を持てたか | 29.2 | 58.4 | 10.9 | 1.5 |
<表4>小学生による自己評価
自己評価項目 | 大変よくできた | よくできた | あまりできなかった | できなかった |
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活動を始める前にこの活動に大変興味関心を持っていた | 15.4 | 48.5 | 33.1 | 2.9 |
活動のねらいがよくわかりそれに従って毎時間活動できた | 8.1 | 56.6 | 34.6 | 0.7 |
班員で役割分担ができた | 53.7 | 34.3 | 10.4 | 1.5 |
自分の役割分担を確実にやり遂げた | 34.8 | 48.1 | 15.6 | 1.5 |
原稿をしっかり書くことができた | 22.2 | 50.4 | 23 | 4.4 |
中学校の生活と学習について小学生に伝えることができた | 15.8 | 59.4 | 21.1 | 3.8 |
大きな声ではきはきと発表できた | 19.4 | 41 | 37.3 | 2.2 |
小学生の立場に立って行動ができた | 4.5 | 44 | 47.8 | 3.7 |
上級生らしい活動ができた | 8.2 | 55.2 | 35.1 | 1.5 |
<表5>中学生による自己評価
初等中等教育局児童生徒課
-- 登録:平成21年以前 --