2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会(第1回)

1.日時

平成28年2月15日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎第7号館西館
金融庁12階 共用第2特別会議室

3.議事

(1)懇談会座長の選任等について
(2)教育の情報化の取組と課題について
(3)関係者からのヒアリング
  ・市原健一委員
  ・藤村裕一委員
(4)委員からの意見発表
(5)その他

4.配布資料

5.議事概要

(1)議事の公開について資料2のとおり決定。

(2)堂故政務官挨拶

皆さん、おはようございます。多忙を極める皆様方に本懇談会の委員、御依頼申し上げましたところ、快くお引き受けいただき、また本日もお忙しい中を御出席いただき、まことにありがとうございます。
 私、名前が堂故と言います。大変難しい名前で、食堂の堂、交通事故の故、くさがんむりの茂。音読みをするとドコモとなります。特定の会社を代表する者でありませんけれども、意味するものでありませんけれども、どうぞ今後ともよろしくお願いします。
 この懇談会、2020年代を見据えまして、今後の教育の情報化の推進に向けて新しく設置をさせていただきました。先般、官邸における産業競争力会議においても教育の情報化の一層の推進について取り上げられるなど、教育の情報化については今後絶対に取り組まなければならない大きな課題となっています。
 きょうは、つくばの市原市長さんも委員になっていただいております。自治体によって、あるいは教育関係者の思いによって、この教育の情報化は非常に差があって、まちまちだというのが実感ですけれども、先進的な事例を幾つか見させていただきますと、教育におけるICTの活用は子供の学習への興味関心を飛躍的に高め、それから分かりやすい授業や子供の主体的な学びを実現する上で本当に効果的だと思います。確かな学力の育成に資するものと考えます。また、教員の業務の改善にもつながるものであると思います。
 したがいまして、是非これは進めなきゃいけないということで、文部科学省としては、これまでの課題などを踏まえまして、ICTの効果的な活用や教員の指導力の向上、そしてこれからの基盤となる、当面大きな課題となっておりますけれども、学校のICT環境の整備など、着実に進めなければならないと思っております。そのための道筋、プランについて、委員の皆様に御議論いただいて、取りまとめていきたいと思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

(3)委員・出席者紹介

(4)懇談会座長の選任等について

 座長に清水委員、座長代理に稲垣委員が就任。

(5)教育の情報化の取組と課題について磯課長から資料3(現状と課題)及び、資料4(問題意識・検討項目案)に基づいた説明。

(6)関係者からのヒアリング(市原健一委員、藤村裕一委員)

【市原委員】
 つくば市長の市原でございます。本日は、このような機会につくば市の取組を御紹介させていただくということで、大変うれしく思っておるところでございます。
 まずビデオを作っておりますので、これを最初にごらんいただくということで、ちょっとお時間を頂きたいと思います。
(ビデオ上映)

【市原委員】
 ちょっと駆け足でごらんいただきました。私が先進的なICT教育を利活用した教育日本一というプロジェクトですね。これをずっと推進しているわけでありますが、やはりまちづくりの根幹は教育にあると私はずっと思っております。そういうことで、市政運営の最も重要なものの一つというか、最も重要なものであると考えております。そういうことで、この教育日本一という大変大それた目標ではございますが、こういうものを掲げながら教育委員会と一緒になって取り組んでいるわけでございます。
 つくば市では、子供たちが知的な好奇心を持って、夢、感動のある楽しい学校を実現しようということで、行政と教育委員会、これが一体となって教育日本一のまちづくり、これを目指して取り組んでいるところであります。
 ICT教育など、子供たちにとってより良い教育を行うには、お金といいますか、予算が必要なことは、これは当然のことでございますが、そうしたより良い教育を行うために、教育委員会だけではなくて行政機関、これも先ほどお話ししましたようなビジョンを持って取り組まなければいけないと思っています。
 そういうことで今回、昨年でありますが、全国でそういう教育に大変熱心な志のある自治体の方々とともに今後のICT教育の在り方、これを考えるために、つくば市ICT教育全国首長サミット、これは昨年の11月10日に開催をさせていただいたところでございます。55人の首長さん方を含めて、教育長など約250人、それ以上ですかね、の方が参加いただきまして、熱心に話し合いをしたり、また、おのおのの取組などの紹介をさせていただいたところでございます。
 そして、このときに、つくば市のICT教育全国首長サミットのつくば宣言文というものをまとめさせていただきました。三つほどございまして、一つは行政と教育委員会が連携をとる。二つ目にはICTの環境整備と教員のICTの活用指導力の向上。そして情報モラルとICT機器の利用ということで、今後はこれを基にICT教育全国首長協議会、これを立ち上げていき、そして全国的にICT教育の輪を更に広げていければと考えております。
 また、このICT教育の推進のためには、自治体だけでできるわけではありません。大学であるとか企業、こういう関係の団体との連携は不可欠だと思っています。つくば市では既に筑波大学やインテル社、またマイクロソフト社と教育研究協定、これらを結びまして、ICTを活用して21世紀型のスキルを身に付けるための取組を行っているところでございます。
 また、つくば市独自の教科でありますつくばスタイル科。これは、つくば市では文部科学省の認定を受けまして、9年間の小中一貫教育を既に、かなり前から、つくば市全部で、全校で行っておりまして、そのときにつくばスタイル科という独自の教科を作っております。そして、それに伴って、子供たちがタブレットやスタディノート、これを使っての学習、さらに電子黒板を使ってのプレゼンテーション。先ほどごらんいただきましたが、そういう21世紀型のスキルを身に付けて学習を行っているところであります。
 それから電子黒板ですが、これは既に10年前に全国に先駆けて導入し、その数年の間に市内全小・中学校に、この電子黒板を導入し、活用しております。今では各小・中学校において、デジタル教科書や、アクティブ・ラーニングのツールでありますスタディネットの活用、そしてこれらをプレゼンテーションなどに活用しております。
 また、タブレットの導入によりまして、子供たちは、このタブレットを使って。それは学校の中だけではなくて、校外に持っていきまして、いろいろ調査活動などを活用しております。そして地域の方々に取材などをしながら、スタディノートにまとめて、プレゼンテーションの資料、こういうものを作っております。
 具体的な取組の一つが節電シールの作成でございます。東日本大震災以降、小・中学生がつくば市の消費電力を減らそうという取組を行っておりますが、これは3年ほど前、つくばは環境モデル都市に認定を受けまして、その中の一つに環境教育というものを入れております。その環境教育の一つとしても、やはり活用をしているわけでありますが、今回は、今年度は約7,000点もの作品の応募がございました。それで採用した節電シールを子供たちと一緒に、これ市民の皆さんに配りながら節電をお願いして歩いたということで、毎年やっております。そういうかいもありまして、約20%の節電に成功したということで、子供たちが自分たちの力で社会を変える、そういう実感を得ることができたのではないかなと思っております。
 また、プレゼンテーションのコンテストを行っております。先ほどお話ししましたように電子黒板とスタディノートを使いまして、このプレゼンテーションコンテストを実施しております。子供たちが自分で様々な課題。これ自分で課題を見つけるということが非常に重要だと思っています。そして考え創造、発信するという21世紀型のスキルを身に付ける学習をしており、私も毎回見ておりますが、本当に大人顔負けのプレゼンテーションをしております。
 蛇足ではありますが、先日、中学生が未来議会というのをやっております。このときにも、この電子黒板を使ってプレゼンテーションをしながら、私どもにいろいろな事業の要求というか、予算の要求まで行っているということで、実際、事業化に踏み切ったものも数多くございます。
 そしてまた、つくば市のICT教育の一つでありますオンラインスタディがございます。これは学校でも家でも、自分の学習スピードに合わせて学習できるeラーニングシステムでございます。けがや病気で学校に来られないときにも、これらを自宅で利用したり、また筑波大学の大学病院の中でも、このシステムを活用たりしているところでございます。
 それから校務用のパソコンの導入でございますが、市内全小・中学校の全教員に校務用のパソコンを導入しているわけでございます。先ほどのお話にもございましたように、成績管理だけではなくて教員間の様々な情報の共有、こういうものを行っております。また、デジタル教科書などを授業でも活用をしているところでございます。
 また、直接的なICT教育ではございませんが、つくば市では、もうつくば市内全小・中学校で小中一貫教育を行っております。その中で春日学園という学園がございまして、ここでは、つくば市では初めて施設一体型の小中一貫校ということで、いろいろな取組をしているわけでございますが、この学校では現在、不登校がゼロでございます。
 ちなみに春日学園は1,640人のマンモス学校でございまして、設立されたのが3年前でございます。3年間で何と1,640人の子供たちが通う非常に大きな学校となりましたが、その中でも不登校はゼロということで、また市内全体の不登校率も、茨城県の平均の約半分ぐらいでございます。これは直接的なICTの効果ではありませんが、ICTなどの教育を積極的に活用して行っている、そういうものが一つは影響しているのかなということで、ICTと小中一貫教育、こういう先進的な取組を行っている結果、子供たちが学校の授業や活動などにも結構満足しているのではないかなとも思っておりますし、先ほどもお話ししました未来議会では、子供たち自らがいじめゼロの宣言を行っているような状況でもございます。
 また、保護者の対象アンケートなども実施させていただいた結果、本当に口幅ったいようでございますが、約9割の方々が春日学園に入学させて良かったと保護者の方もおっしゃっていただいておりますし、生徒の中においても、9割ぐらいの生徒は進んで学校の授業に取り組んでいるというような回答などが得られ、学校の教育に満足しているというような印象を持たせていただいたところでございます。
 それから学力の向上においても、このICTなどを積極的に活用したということで、これらが学校教育の学力の向上にもつながっているのかなとも思っております。
 このグラフ、なかなか見にくいかとは思いますが、春日小中一貫教育では、県平均や全国平均よりもかなり高いところにございまして、特に応用問題のB問題では、全国平均より約17ポイント以上高いというような結果が出ております。
 また、春日学園だけではなくて、ほかの学校においても同じような結果が出ておりますし、春日学校がつくば市で一番学力が高い学校ではございませんが、ほかにも幾つかの学校で、これ以上もっと高い学力を示している学校が幾つかあるというようなことでございます。
 ということで、つくば市の取組をちょっと駆け足で御紹介させていただきました。私どもは、先ほどもお話ししましたように、まちづくりの根幹は教育にあるという理念の下、最重要課題ということで取り組んでおります。その中で、つくば市では、このICTに関しては40年以上の歴史があって、これをずっと延々と学校の先生方が活用してきたと、こういう状況にございます。
 やはり、このICT教育、一夕一朝にすぐできるものではないと思いますが、先生方や行政が一体となって長い間取り組んできた結果が、このような結果につながったと感じているところでございます。本当にどうもありがとうございました。

【藤村委員】
 鳴門教育大学大学院の藤村でございます。これまで文部科学省様と連携いたしまして、各種委託事業等の主査、座長等をさせていただいたときに考えたことを基にお話しさせていただきます。
 資料7をごらんください。教育の情報化加速化プランの必要性とスマートスクールによるevidence basedな教育改善実現の必要性と可能性ということでお話しさせていただきたいと思います。
 1枚目のスライドをお願いします。こちらごらんいただきますと、先ほど磯課長からも御説明ありましたとおり、大変進んでいる3県さんをはじめ、本日いらっしゃっているつくば市さん、大阪市さんのように大変熱心な自治体もあれば、非常に後れているところもあるということで、この格差が年々拡大していく傾向にございます。
 次のスライドをお願いします。2ページ目です。また、こういう教育、学習系だけではなく校務支援システムも非常に差が広がっておりまして、特に特徴的なのは、その下の3枚目のスライドをお願いいたします。
 こちらごらんいただきますと、実は自治体規模による差が拡大しているということがあります。これも現在、文部科学省様の委託で調査している資料でも全く同じような傾向がございまして、政令指定都市等の大きなところは整備が進んでいるけれども、市、特に町村に至りましては非常に整備が後れていると。これに対する支援が大変重要であろうと思っておる次第でございます。
 したがいまして、4枚目のスライドをお願いします。拡大する整備状況の格差を少しでも縮小していくためには、教育の情報化加速化プランというのを是非この懇談会で策定していただきまして。一番大事なのは、教育委員会の方ですとか情報政策の方は熱意あるんだけれども、きょうのように皆さん御理解のある首長さんだけではないので、また財政の方も、なかなか厳しい財政状況の中で何とか予算付けてくれるような、それを説得できる整備目的と効果、そういったものを明らかにしていただくと同時に、例えば中小の自治体、町とか村とかでは共同調達を図るとか、そういったような工夫も必要だろうと思いますので、自治体規模に応じた整備モデルを策定していただければと思います。
 5枚目のスライドをお願いいたします。こちら先ほど磯課長からも説明がありましたが、最も忙しい日本の先生というのを何とかしていかないと大変であろうと。何に忙しいのかということで、このグラフの赤で囲ったところを見ていただきますと、事務作業ですね。校務が忙しくて、子供と向き合って忙しいということではないのが大きな問題であろうと思います。したがって、この部分を軽減して、子供と向き合って教育そのものに取り組んでいくことが可能にしていただければと思います。
 同様な資料が6枚目のスライドでもございまして、こちら文部科学省様の調査ですけれども、昭和41年には月当たりの残業時間が平均8時間であったものが、18年には34時間と非常に増えています。何が増えているかというと、生徒指導や補習・部活等。これはある意味、本業ですので、やむを得ないところです。その結果、少なくなってしまったのは授業準備や成績処理等。授業準備は、教員の本来いい授業をするために必ず必要なものですが、これがおろそかになってしまっていて、更に増大しているのが事務的な業務が劇的に増えている。これが増えているがために、勤務時間外にこれらの授業準備や事務的な業務を行っているということですから、この部分の問題点を是非解消していただきたいと考えております。
 7枚目のスライドをお願いします。こちらを見ていただきますと、今のようなことを解消すると、この図の一番下、電子化による業務の効率化によって子供たちのための時間増。つまり、教師が子供と向き合って教育に関わる時間を増やすということが絶対的に必要であろうと思いますし、また、この校務の情報化によって、上の方をごらんいただきますと、左上です。子供に関する情報共有をして、複数の目による教育ということもできるようになりますし、教材・指導法、そういった授業の情報を共有していくことで授業改善を図って、教師の力量形成やアクティブ・ラーニング等、そういう指導の改善にも寄与できると思います。また保護者、教育委員会、それからチーム学校という言葉が今注目されておりますけれども、学校に関わる全ての人たちの連携を深めることによって教育の質的改善も図ることができるだろうと思います。
 また昨今、情報化ということでは情報漏えい等の問題が浮き上がってきております。現在、教員の多くがUSBメモリの中に重要な情報を入れて持ち歩いているという問題があります。それらについて、強固なデータセンターでプロフェッショナルによって安全を管理することによって情報漏えいを起こさなくする。
 よく、いや、そんなデータセンターにやったら情報漏えい、逆に心配じゃないですかとありますが、ある茨城県の方がおっしゃっていましたけれども、たんす預金と銀行預金、どちらが安心ですかと。自分の手元でたんす預金は不安ですよね。プロが強固な金庫で守る方が安心ですということで、こういった電子化による情報の一元管理、強固なデータセンターでの運用、そういうのを目指していただければと思いますし、また今回、東日本大震災でありましたけれども、そういった場合の緊急連絡網システムが整備されていると、ほかのところでは3日掛かって、ようやく安否確認ができた。ところが、それが整備されているところは携帯電話の安否確認システム、緊急連絡網システムで当日中に確認ができた。そういったこともありますので、子供の安全を守るためにも必要だろう。全ては子供のための教育改善なんだということで考えております。
 次、8枚目のスライドをお願いいたします。先ほどチーム学校ということを申し上げました。従来、校務の情報化は教員の業務の効率化という視点でしたけれども、私は違うと思っておりまして、ここにあるような全ての学校に関わる教職員はもとより、その外部の地域、家庭、スクールカウンセラー、その他様々な方たち、そしてまた教育委員会や文部科学省、それから首長部局、学校間連携等、こういった全体最適を目指してチーム学校を作り上げていくということが非常に重要であろうと思います。これらをやっているところ、大変うまくいっておりまして、そのようなことを全体に拡大できればと思います。
 ただ、このようなことを進めるに当たって、9枚目のスライドをごらんいただきたいんですが、校務というのは非常に広い概念でございます。紛らわしい言葉で教務という言葉があって、一部現場の中には授業のことを教務と呼んだりとか。教務というのは、あくまで授業に関わる事務のことですので、その辺混乱しないようにですとか、それから学習系システムと校務系システムと呼んでみたり、様々な用語の混乱ありますので、その辺は整理が必要だろうと思います。
 10枚目のスライドをごらんください。校務に関わる業務はたくさん、ここにあるように、あります。文部科学省様の調査、最近のものはきちんと統合型でデータをとっていただいておりますが、これらのごく一部のものを整備しているからといってデータが上がっているという現状が、実はあります。したがって、これらのものが統合して入っているわけではないので、今後、全体を考えていく必要があるかと思います。
 11枚目のスライドをごらんください。最近のいい傾向として、合同学習会をしながら共同調達へのチャレンジをする。そのために教育の情報化ビジョンを自治体が作るということも進んでまいりました。
 また、ただ心配なのは、成功地域と失敗地域の二極化が進んでいると。大阪市さんのように、こうやったらうまくいくというノウハウを学校間で共有する。そして、それを市全体に広げるというところが成功していますが、そうではない、入れたけれども使われていないところもあったりとか、そういう問題もございます。
 それから、指導要録です。健康診断票と法定帳票の全国標準仕様は既に出来上がっておりまして、私から文部科学大臣に以前御説明いたしまして、全国に周知していただきました。今後は、これらに準拠して整備を進めていただくと同時に、情報セキュリティが極めて心配です。今、受託して調査している中ではノーパスワード、ノーセキュリティで運用している学校がありました。非常に恐ろしいことだなと思います。強固な校務支援システム。
 それと、校務系と学習系のデータ連係につきましては後ほど御説明いたします。
 12ページ、ごらんください。最近の動向として、先ほどのように新しいネットワークをどうするのか。例えばNHK for Schoolというデジタル教材、大変すばらしいものがありますが、それをクラスの中で見ようとすると、3分の1の子供が見ると止まってしまうというようなネットワーク状況があったり、また、それが逆に校務系のネットワークを圧迫したりとかということもございます。
 中小自治体が共同調達して割り勘効果で安くするということを考えて、コミュニティ・クラウドというものを考えたり、スマートスクールのための学習系・校務系連携や国際標準化。それからスクール・ニューディールのときに端末が入りましたけれども、既に平成21年のことですから耐用期間が過ぎまして、更新が大きな問題となっております。システム移行やデータ更新等も問題になっています。
 また、セキュリティ強化と同時にテレワークというものが非常に重要視されてくるようになってまいりました。学校だけでしか業務できないとすると、学期末等成績処理のときに残業せざるを得ない。ところが、お子さんがいて、保育所に引き取りにいかなきゃならないのに残業、無理とかといったことが発生したりしています。
 また、導入効果の最大化研究というのは、先ほど大阪市さんの例で御紹介したとおりです。
 13ページ、ごらんください。この中で2点だけ、お話ししたいと思います。昔は校務の情報化、先生を子供たちの前へ返すということで効率化でしたけれども、今は教育の質的改善のためにやる。また20年間、指導要録等保存必要なんですけれども、震災では耐火金庫の入れた紙物を失ってしまいました。ですから、紙データでなく電子データで長期保存を安全にするということも考えなければなりませんし、そういった意味でビジョンの変更が必要だと思います。
 最後に14枚目のスライドをごらんください。こちらにあるのは、スマートスクールのイメージを先行してやっているイギリスのRAISEonlineの例でございます。学習系と校務系の連携を図りましてやりますと、これ横軸が準要保護に相当するもの、縦軸は高校の算数の成績ですが、例えば同じ10%弱のところですね。経済的に困窮しているところが学力低いというのが、全国の学力調査、学習状況調査で明らかになりましたけれども、同じ程度なのに上の方に成績があるところがある。こういったところ、近い仲間同士を結び付けてノウハウを共有するということを支援しています。それがContextual Value Addedという考え方です。
 それと同時に、右側の楕円を見ていただきますと、更に状況が厳しいのに、いい業績を上げているところがある。こういったものも、どんどん共有していくことで学校を支援しよう。さらに平均点で見るのではなくて、Pupil Achievement Tracker、一人一人を追って伸びで見るという考え方を徹底しているので、先生方から非常に評判がいいんですね。したがって、こういう先生方の支援をする。
 15ページのスライドをごらんください。現在の校務支援システム、School administration System、日常業務を電子化して効率化するんですが、今申し上げたように、学校経営や先生方の授業、生徒指導等の教育を支援して、きめ細やかな指導を支援したり、学校を長期的評価改善、大所高所から見てこうすると、そういうSchool management System、日本にだけ存在しません。先進国でないのは日本ぐらいしかありませんので、是非スマートスクールの実現によって、これ実現していただければと思います。
 次、16枚目のスライドは、そのデータのイメージでございます。
 17枚目のスライドをごらんください。そのために教育クラウドによって安全を担保しながら、さらに、これらの学習系・校務系連携を進めるというのが、その図でごらんいただけるかと思います。詳しくは省略します。
 18枚目のスライドをごらんください。そのスマートスクールですけれども、学習記録データの活用と情報共有と強固な情報セキュリティによって実現するかと考えております。多様化する子供やベテランの教員の大量退職で若手教員が増大してノウハウの継承ができていない。そういったものに対して個に応じたきめ細やかな指導ができると同時に、協働学習も支援することができるようになります。また教え込みの授業で生きる力を育めない教員というのも結構残っているんですけれども、それらは活用法付きの教材提示、アクティブ・ラーニングを支援する。各種教育課題に対応し切れない学校に対してはEvidence basedな学校経営支援・政策立案支援でやっていく。またカリキュラムマネジメントも実現できるかと思います。家庭学習と学校での学習の分断も、シームレスな学習を実現するとともに、多忙な教師には子供と向き合う時間の増大。情報管理の甘さは強固な情報セキュリティ。過小規模校・地域離れとかといったことでは、遠隔協働による、統合しなくても、あたかも大きな学校であるかのように学ぶことができる。これは愛媛県の西条市が既に実現しています。それから学校不信というのも、大阪市さん大変すばらしいのは、学校ホームページの更新頻度が飛躍的に上がりました。その結果、保護者の信頼度がぐんと上がったんですね。これは非常にすばらしいことだと思います。
 そのために考えなければいけないのは、実は配付資料の4にございました。4の2をごらんください。先ほど磯課長から御説明いただいたところの、こちらの基幹系ネットワーク、授業系ネットワーク、インターネットの図でございますが、従来はこれでオーケーだったんです。まさにこのとおりでございます。これを設計変更しないと、多分スマートスクールは実現しない。次世代の学習系システムというのは、子供に向き合う部分をフロントと考えて、そして校務系みたいな次世代校務系システムをバックと考える。ネットワークを切り離したデータのやりとりもできませんし、そして発生源入力ができない。出席でさえも今は教室でとれないという問題があります。ましてや子供の所見等の入力ができないとかですね。その辺で設計思想のパラダイムシフトの必要性があるだろうと考えております。
 そのほか様々な課題ございますが、そちらに書いてある19、20をごらんいただければと思います。
 私からは以上でございます。

(7)質疑応答・意見交換

【新井委員】
 新井でございます。3分ということなんですが、まず、きょう趣旨をお伺いして、第3期の基本計画も視野に入れたということと、それから、当面の施策の検討という両面あって、大変時宜を得た会議でのことだと思います。現在の整備計画、まだあと2年ですかね、残っていますので、ここでまずどうするかという話と、第3期どうするかという、ちょうど今このタイミングで新課程に向けて環境を考える非常に重要な会議だと認識をさせていただきました。
 ただスケジュールを見ますと、短期間でかなり重要な直球の課題に結論を出すということですので、これはかなり論点を絞って議論していかないと、なかなか議論だけで終わってしまうような気がいたします。
 例えばタブレット環境ですとか、先ほど藤村先生から御指摘いただいた校務支援システム等々をどうするかという課題は、これが全国の整備の差ですとか、それから地方創生ということと非常に関連があるんだろうと思います。どういうシステムを、どういう環境を作って、どういう効果を期待するかということが、この普及に改めて関係するのだろうと思います。
 授業改善という観点だけではなくて、全体の時間やコストや、それから個に応じた学びの実現をどう実現していくかということに対して非常に有効だと思いますので、その辺の情報システムをどうするかということだろうと思います。
 これらを考えていく上で結構、実は素材は足元にあるのではないか。つまり、先ほどもつくば市さんの御説明ありましたけれども、既にいろいろ実態がありますので、そういったものから、実際に阻んでいるものは何かということを、まず課題を整理して可視化してみると。様々に法制度の問題や都市伝説化しているようなこともあって、それらが一体どう阻んでいるのかということを整理し、それを可視化した上で、どう潰していくということが必要かなと思います。
 特に校務などにつきましては、先ほど藤村先生御指摘いただいたようなことについてはそのとおりだと思います。これから新課程に向けて個に応じた学びということを考えていったときに、この校務システムの再定義が必要だろうと思います。そのことが、環境整備が必要だということの非常に大きな根拠になりますので、その辺りを議論していければと思います。
 それからスケジュールにつきましては、ちょうど来年度、大臣サミットがありますので、その辺りにこの報告が出せたらいいのではないかと思っております。
 以上でございます。

【市川委員】
 私の専門は教育心理学なのですけれども、情報化というときに環境整備の話。これはもちろん非常に大事ですし、環境が整っていなければ何も始まらないということはあるんですが、私の関心は、どちらかといえば、じゃあ、その環境が何にどう使われるのか、結果として子供がどう変わるのかということです。
 どういう子供の姿を目標とするかというときに、単に情報機器を使いこなしている姿ではなくて、その中身ですね。プレゼンテーションにしろ、何かの討論、グループワークにしても、一体その中身がどれだけ深いものになっていくのかということです。
 そこで最近、私も教育課程部会の中のいろいろな委員会にまた出ているんですが、アクティブ・ラーニングというのがかなりテーマになっていて、全国津々浦々どこへ行っても、アクティブ・ラーニングが話題なんですということはよく聞きます。それは一つの追い風だろうと私は思っています。特に探究的な学習の中で子供たちがツールとしてICTを使っていく、学びも深まるという、いいチャンスだろうと思っています。
 ところが現実はどうかといいますと、小学校、中学校、高校となるにつれて、子供たちの学力も本当は高まってきて、高度な活動ができるはずなのに、実際には小・中・高となるにつれて、この探究的な学習やICTの利活用ということが、どうも、かえって縮小ぎみのような気がします。
 SGHに伺うことも時々ありますが、子供たちの学力は非常に高い。教師も優秀な方が集まっている。ICTもかなり整っている。にもかかわらず、そこで探究的な学習とか、その中でICTがうまく活用されているという姿が、まだまだではないかという気が、正直なところ、しております。
 ですから、この環境整備と同時に、それがどのように子供たちにも活用されて、結果的に深い学びになっていくかと、こういう事例をまた、この委員会でもたくさん聞かせていただければと期待しております。
 以上です。

【稲垣座長代理】
 座長代理を引き受けました稲垣と申します。よろしくお願いします。
 私は情報教育、教育学が専門になるわけですけれども、今回三つの検討事項が出てきた中で共通して受け取ったメッセージとして、授業の中でどうICTを使っていくか。こういった部分をかなりこれまで議論してきたわけですけれども、それだけではなくて、そういう発想から、ある意味、安心・安全にICTをちゃんと使えるような環境整備をした上で、その上で、じゃあ、その学習環境の中で、恐らくそこには家庭学習であるとか、あるいは授業外の活動もあると思うんですが、その中で授業がどういう位置付けになっていくのか、そういったところにシフトしていくのではないかなということを感じていたところではあります。
 その上で共通したところの四つ目の共通の検討事項の中でチーム学校と位置付けた話が一つあったと思うんですけれども、チーム学校の中で言うと、いわゆるICT支援員の話がこれまでもいろいろな形で採用され、育成されてきました。特に学びのイノベーション事業の中では、常駐する形でICT支援員の方がいらっしゃったことで、かなりのところの学校現場の教育の情報化に対しては、本当に先生方にとっても、子供たちにとっても、ありがたい存在として、いろいろな後方の支援、あるいは機器の管理であるとか、そういったところを担ってこられたんじゃないかなと思っております。
 今回、検討事項1のスマートスクールでは、教務の部分と校務の部分両面にわたって、あるいは学習面も含めて環境の再構築が必要だという話が藤村委員からもあったと思うんですけれども、じゃあ、そういったことを進めていくというのが、本当にかなり専門性を持った。それはICTに関する専門性もそうですし、教育のことも分かっている、そういったサポート人材が必要になってくると考えております。
 これまでICT支援員は、どちらかというと雇用対策的な観点から、例えば1年間とか、結構短い採用期間の中で採用されてきて、その1年終わったら、すぐ終わってしまうということも多かったわけですけれども、じゃあ本当にこういった学習基盤のプラットフォームを運用していくためには、どういう人材が必要で、そのためにはどういう人たちを育てていかなきゃいけないのか。そういったことをしっかり議論していくことが、これから必要になってくるのではないかなと考えておりました。
 もう一つ、スマートスクールの学習面に関してなんですけれども。一つは個に応じた支援というところが出てきているわけですが、この場合は、例えばドリル学習の時間みたいなのを作って、みんなで何か黙々と取り組むというのは、恐らくそれはドリル学習にとっては、本来だったら、それは別に、みんなで集まってやる必要もないことですので、やっぱり、それは授業時間の時間割であるとか、授業外の時間であるとか、子供たちの本当に生活の中で、どこでそういう活動が位置付くのか。その結果を基に授業で何をやっていくのかという、その往復関係を作っていくことが大事なのかなと思っております。
 もう一つはアクティブ・ラーニング、話がありましたが、その中で、探求的な学習の中で使っていくということを考えると、本当にその子供の文房具になるためには、やはりBYODの考え方は必要だと思っております。
 今、私立学校の中では大分進んできておりますけれども、公立校の中でもBYODを進めていくにはどうしたらいいか。そういったことも考えていく必要があるのではないかなと思っておりました。
 以上です。

【大川委員】
 慶應大学の大川です。よろしくお願いいたします。様々なお話を聞かせていただきまして、大きく二つ、きょうは述べさせていただきたいと思います。
 まずスマートスクールは、藤村委員が御指摘のとおり、この構想イメージそのものから、いいデザインが必要だと考えます。私の専門は大学のネットワークであったり、グローバル教育と言われる、教室を超えた、ICTがもたらすグローバルな社会で人はどう生きていかなければいけないのかということが変わってきた。その中の学びのスタイルも、学校の学びではなくて、生涯にわたって、どう学んでいくかということが、もう変わってきているので、その準備を学校でやっていただきたいというのが大学からのメッセージであるわけです。
 慶應大学は今年から情報での受験も始まりましたとおり、情報教育にも力を入れていますけれども、ここでは、その情報教育というよりも、新しい生涯の学びの準備として小・中・高はどういう準備をしていかなければいけないのかという視点で、このスマートスクールのいいデザインをしていただきたいと思っています。まさに子供を中心とした図ということになっていかなければいけないと思っています。
 私自身も小学校や中学校、訪問させていただいたり、ワークショップを実施させていただいたりする中で、東京都で例えば学校に何台。確かにミートしているんですが、よく中身を見てみますと、ネットワークが遅くて使えない、機種が古くて使えない、数はあるけど動かせない、教室には持っていけない、ホワイトリストしかアクセスできないので実際にはやりたいことができないといった、結局はお金の無駄になってしまっているケースがかなりあります。
 これどうしたらいいのかなと随分考えているんですが、これはゼロか1かではなくて、子供と先生の視点から見たレベルごとの数値目標をもう少しきめ細やかに定義してあげるのがいいんじゃないかと思います。
 つくばでやっていらっしゃるような本当に理想の教育と自分のを比べて、じゃあ次どこへ行けばいいのかというのは、ゼロから1は絶対に行けないので、一つずつ、例えば先生が教室でコンピュータを使いたいと思ったときに使えますかとか、グループに1台ぐらいはちゃんと与えられていますかとか、先生の目線でちゃんとチェックのできる、レベルごとの数値目標を是非立てていただきたいと思っています。
 それからセキュリティ関しては、問題だ、問題だと言うのは良くないよというメッセージを実は3年前ぐらいに提言として出したんですけれども。使えることをサポートするネットワークセキュリティを是非やりたいということでポリシーは書いたんですが、実際に現場を見てみますと、実装ができていないです。結局はホワイトリストになっていて、どこをクリックしても、あなたはアクセスできませんと言われるのが現状なので。
 というわけで、もう1点は言いたいところは、先ほど先に言わせていただきましたので。視点を教室のITCではなくて生涯のITCの中での準備に使うという視点も入れてほしいという点と、もう1点は、レベルごとの目標値をきちんと設計してはどうか。この2点でございます。ありがとうございました。

【太田委員】
 神田一橋中学校、太田でございます。大川先生がおっしゃったゼロから1に近いような改修の例として、ひとつうちの学校を紹介させていただければと思います。レジュメというか、A4、2枚、ステープラーで留めた資料を用意していただきました。
 本校は昭和57年にそもそも建てられた学校で、建築以来30年たっていた学校だったんです。機械関係が物すごく老朽化していまして、CO2の排出量が非常に多くなっていたというようなことで、大規模な改修が必要だった。もともとの改修の目的はICTを入れることではなくて、環境に配慮したものにしようということだったんですけれども。大規模な改修になるんだから、どんな教育環境を整えようかという相談を受けまして、私がどうこうしたいというよりは、千代田区の情報教育推進校なんだから、1人1台のタブレットを前提にして改修したらどうでしょうということで大規模な改修をさせていただきました。
 1ページの真ん中辺に目指した環境というようなことで書かせていただいているんですけど、1人1台のタブレット端末を貸与するだけではなくて、充電保管庫は各教室に作り付けてしまおう。教室は、世界の先端2画面になっているんだから、2画面使えるようにしていこう。Wi-Fi環境にしていって、ラインがたくさんあるような使いにくい環境はなくしていこう。教員て3分準備に時間掛かったら、もう使わなくなるだろうから、ボタン一つで使うことのできるような環境にしたいということを提案をさせていただいて、やらせていただきました。
 2ページが大体出来上がった様子を撮ったものなんですけれども、どの教室も2画面になりましたし、無線環境ができて、アクセスポイントであるとか、書画カメラであるとか、全て無線環境が整いました。環境的には、学校の中に62か所のアクセスポイントがあって。実はこれ、今まだ少なくて、体育で使い始めたら校庭が飛ばないとか、水泳の授業で水中カメラ使ってやりたいんだけどプールが使えないとか、いろいろな教員からの要望が出てきて、もうちょっと増やしてほしいということも言っているんですけれども、そんな環境が1年弱で出来上がったということです。
 平成26年の9月からやり始めていますので。子供に1人1台、実際に配付できたのが10月20日だったので、1人1台環境で教育活動を始めてから、まだ1年とちょっとということなんですけれども、その中でも環境が整うことで、教員の授業の様子は変わってきているように思います。
 下に2枚だけなんですけれども、その新しくなった環境での授業の様子を入れさせていただきました。一つは英語でヘッドセット使った授業でありますとか、右側は国語での協働学習の様子だとかという形で、随分、個別学習であるとか、協働学習であるとかに取り組んでくれる教員が増えてきているというような現状かと思っています。
 以上でございます。

【加藤委員】
 よろしくお願いします。ソフトバンクの加藤でございます。
 まず今後取りまとめていかれたいというところの方向性についてですけれども、強く賛同いたします。スマートスクールでしっかり事例を作っていくということと、やはり環境整備、こういったところ、それからそれを支える様々な関係者をどう巻き込んでいくのかというところ、非常に重要なポイントですし、現実的なところだと思っております。
 ソフトバンクとしてこの場にいさせていただいておりますけれども、やはりITを30年以上実践してまいりました、その視点から今の学校教育現場を見させていただきますと、ITができることは非常に少ないんだと思うんです。今までやってきたことが楽になるのか、それとも、ちょっとやりたかったけれども大変なのでできなかったことが少しできるようになるか。通常どおりやっていたものが、ちょっとだけデジタル化されるので見えるようになるか。かなりITができることは限られていると思っておりますが、その中で、実際に学校現場にどう寄り添えるのかということを実体験としてやっていかなければいけないということで、ソフトバンクも3年ぐらい前から、高校、中学を中心ですけれども、ベネッセさんと一緒にClassiという会社を作らせていただいて、日々高校現場、中学現場に伺って、ICT情報化について取組を推進させていただいています。
 そこの現場感も踏まえまして、実際に今後まとめていかれたいというこの構想の中で是非、私も含めてですけれども、大切にしていきたいなという点が幾つかございます。幾つか先生方の話にありましたけれども、たくさんの課題があります。やろうとしたら、できないことがたくさんあります。これを、この皆様、若しくは1社、2社、3社で解決していこうと本当に思われますか。これはコンテンツの面だけではなくて、様々な課題解決の中で1社、2社、限られた数の人々の力で本当に改善できますでしょうか。もし難しいと思ったときに、多数の、まだここには座っていない人たちの力をどのように活用しながら様々な課題を解決するのか。こういった点はすごく大切なポイントだと思っています。イノベーションは決して1人では起こせないと思います。様々な人のアイデアをどのように活用するか、こういった点を重視したい。
 それから、学校という教育現場の差別化の戦略は、先ほども話ありましたけれども、先生がいらっしゃるということ、それから友達がいるということです。この点を強く強く意識しながら、この構想の中で、教員の目線でしっかりとやっていくということに強く賛同しますし、その差別化のポイントをより意識していきたいな。
 最後、広報という観点で、保護者の方々に、このすばらしい取組、日本の将来を案じた、この先に向かった2020年の取組、これをどのように伝えるか。こういった点も併せて検討させていただければと思います。
 以上になります。

【熊埜御堂委員】
 NHKの熊埜御堂でございます。本日、私がここに臨席させていただいているのは、まさにコンテンツ提供者という立場からではないかと思っております。
 デジタル時代の教育といったときに、じゃあ何を実際子供たちに見せるのかといった点で、NHK、先ほど藤村先生からもお話がございましたが、NHK for Schoolというウェブサイトを持っております。その中では小・中・高校向けに制作いたしました番組を放送終了後、全て動画を配信しております。あと全国の先生方に御協力いただきまして、授業の指導案等も併せて載せております。
 今のところ、番組タイトル数で言いますと、およそ72千本。番組はおよそ10分から15分ですが、クリップ、もっと短いショート動画ですと、およそ5,000本のクリップを提供しております。公共放送ですので、セーフティネットといいますか、いつでもどこでも無償で御利用いただきたい、デジタル時代の教育に生かしていただきたいというつもりで、このようなサービスを行っております。
 量の問題だけではなくて、ICT教育、アクティブ・ラーニングという言葉が出てきておりますが、質の面でも私たちは貢献したいと思っております。例えばですが、「考えるカラス」というような番組もございまして、要は答えを番組上で提示しない、あとは考えていただくということも含めて、量だけではなく内容の点でも、学校現場の方々とともにアクティブ・ラーニングの中身とは何かということをともに考えていけるような問題提起をコンテンツ制作者としてもやっていきたいと考えております。
 あと環境につきましても、先ほどまさに御指摘いただいたように、私どもにも、あくまでも動画提供ですので、物すごくネットワーク環境の充実が必要になっております。あと最近ではアプリの提供等もしておりますので、教室の中だけではない御利用等も提案しておりますので、その辺の環境はますます重要になってきていると思っております。
 デジタル時代の教育、NHKあるいは地方の方々、教育委員会、学校現場、家庭との連携を強めていく一つの立場として関わっていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【小林委員】
 NECの小林でございます。先ほどつくば市の市原市長から、まちづくりの根幹は教育であるということと、あと藤村先生の校務支援はスタートであってゴールではないと。この二つの言葉、非常に感銘を受けました。賛同させていただきます。
 私、自治体の行政系も担当していましたので、その経験を踏まえて意見を述べさせていただきたいと思うんですが。自治体は行政系と教育委員会系が二つ分かれている。本当は分かれていない。首長様は一緒なんですが。ただ、私が現場でやってきた限りにおいては、行政系と教育委員会は非常に違いがあるなと感じてきております。
 行政系は住民情報システムとか税、基幹の税システムとか、あと福祉の国民健康保険とか、様々な住民サービスのシステムがございまして、そういった関係で、もう50年ぐらい前から電算化が進んできております。そういった意味で、共同電算センターというのは全国の47都道府県で民間ベースで建てられてきておりまして、IT化は非常に進んでいると考えて。それがなければ行政は動かないということで。今マイナンバーが導入しつつありますので、セキュリティの脆弱性も改善しつつあるという状況。そういう中でLASDEC、今、税率とか、あとAPPLICという機関が存在しています。
 一方、教育委員会は1980年ぐらいから、パソコン教室のPC-98とかもございましたが、そういったパソコン教室から入っているので、どうしてもパソコンによるIT化に問題が収れんしがちだということで、セキュリティに関しても非常に問題があると今感じておりまして、今後、標準化とか、クラウド化とか、サイバーセキュリティの対策をとっていかないといけないという状況だと認識しております。
 ということで、自治体の中で行政系がもうちょっと教育委員会のシステムのガバナンスを利かせていけば、より強い強靱なICTシステムができるんじゃないかなと感じております。こういったことのためには財政的な支援、あるいは政策的な支援が必要じゃないかと思います。
 また、私どもの立場としましては、校務情報システムを今推進しておりまして、この辺の、先ほど藤村先生にもありましたように、校務情報のパラダイムシフトを意識した提案で、いろいろな自治体様の教育のICTの改善に貢献していきたいと思っております。
 ありがとうございました。

【堂故政務官】
 熱心に議論いただいている途中、大変申し訳ありませんが、退席させていただきます。先ほどから議論を聞いておりまして、改めてICTを通じた教育、あるいは教員の質の向上は、人づくりに資するな、国としてしっかりと方向を出さなきゃいけないと思いました。
 また、ちょっと実践的なことを思うと、私も最近まで首長をしていたんですが、全国の首長の頭の中を改造しないとだめだなと率直に思いました。
 また財政的なことを申し上げますと、今、国としては一億総活躍社会実現ということで理念と、また財政も、その方向で取りまとめようとしています。
 是非このタイムスケジュール的にも、その辺に照準を合わせて幾つかできると実践的だなと思いました。どうぞ先生方、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。

【牛来委員】
 都立町田高校の校長の牛来です。私は現在、東京都の教科「情報」の研究会とか、全国の教科「情報」の研究会等を推進しておりまして、年1回の発表会をやりながら全国に、あるいは東京都の教科「情報」の普及を図っております。
 また私個人も30年前からICTを活用した教育を推進しておりまして、当時から比べれば現在ははるかに使いやすくコンピュータが変化、成長しているなということをつくづく感じています。学校の方も比較的利用する先生方は多いんですけれども、更に普及させるためにはということで、私自身も時々、全校集会で生徒向けに、話の内容がよく伝わるようにということで、ICTを活用した校長の授業ということで、全校集会等で活用しております。そうした校長先生は何人かいるようですね。そのような立場から幾つかお話をしたいと思います。
 高校の方は、確かに以前から比べればICTの活用は広まっているかなという感じは受けます。特に授業へのICTの活用については熱心な先生、それからここがポイントになるかと思うんですが、ICTの活用の便利さを知った先生、授業で効果的だなと実感した先生、こういう先生方が継続的に授業で活用していく傾向にあるかと思います。ただ全国的に見れば、学校間でも活用している状況には温度差がかなりあるなということを感じております。
 また校務においても、成績処理や指導要録の電子化などにより学校の校務改善はかなり図られてきているなと思っておりますが、ただ、すぐに使えるようなシステムではないものですから、数年間、そのシステムとともに教員が成長していかなくちゃいけないという時間の掛かる課題を抱えています。
 教員のICT活用能力の向上については、多くの先生は理解していると思います。ただ、先ほどもいろいろ発表がありましたとおり、日々の教育活動に追われまして、ICTを活用する時間とか、研修の時間の確保がなかなかできないというのが多くの学校の現状かと思います。
 学校の環境整備の状況についてなんですが、大分良くなってきたという状況は感じますけれども、本校でもそうですが、授業で10分間という休み時間の中の短時間で活用できなければ、先生方は使おうとはしません。その分、授業に食い込んでいってしまって、授業が遅れてしまうとなると、やはり遠ざかっていきます。ですから、その短時間で、教室に入ったときに使えるという環境を整備していくことが必要かと思います。
 そこで必要となってくるような支援方策については、文科省の施策にもあるとおり、IT支援員などIT専門家の養成と学校への配置、あるいはそうした派遣が、どの学校も望んでいるところでありますので、そうしたことも議論していただければよろしいかなと思います。
 以上です。

【関委員】
 新経済連盟の関でございます。新経済連盟では、いろいろなテーマについてイノベーションというキーワードで研究しておりまして、教育につきましてもイノベーションについて非常に重要なテーマということで研究しております。
 ここ数年、海外に視察に行って、教育の関連のサービスを見たり、あるいは年1回、新経済サミットというのを4月にやっておりまして、今年も4月の7、8で予定しているんですが、昨年と今年、それぞれで教育のイノベーションに関わるようなセッションも設けております。そういった経験を踏まえまして、幾つかコメントさせていただきたいと思います。
 まず情報化の環境整備につきましては非常に重要だという認識を持っておりまして、ハードウェア、タブレット等につきましては、極論すれば何でもいいので、安いものでも何でも、あるいは個人所有のものもできるだけ接続を認めていく方向がいいのではないかと考えております。
 端的に言って、イントラも含めて、ネットへの接続をどう実現するかということだと思いますので、リプレースの経費も抑えるという意味でも、そこは工夫をしながら整備をしていくべきだろうと思います。
 それより、先ほど来いろいろ御説明いただいていますが、何を目的に、何をどういう形で教えていくかというソフト面の研究をどんどん進めるべきだろうと思っております。
 情報化教育につきましては、いろいろ御紹介いただいておりますが、きょう私からのコメントとしては、ごく基本的な話として、タブレット等からネットにどうつながるのか、どういう仕組みで情報が伝わり、どう拡散していくのかといったことの基本を生徒にきちっと教えていく必要があると思っています。
 そういう視点で、プログラミング教育ですとか、あるいはセキュリティ教育も重要です。アクセスを制限するというよりは、きちっとセキュリティの重要性。何がどうなっているのか、危険性も含めたことをきちっと教えていく。特にSNS、ソーシャルメディアについても、どう情報が拡散していくのか、そういったことをきちっと教えていくことが必要だと思っています。
 また使い方という意味で言いますと、検索エンジンの活用も非常に重要だと思うんですが、一方でインターネット上の情報は、クオリティーについてはいいものもあれば悪いものもあるということも教えていく必要があるかなと思っていまして、そのためには情報ソースを複数当たってみるであるとか、原点に当たってみるだとか、ちょっと情報教育からすると、そもそも論みたいな話も重要かなと思っていまして、そういったことまで含めて情報化教育として取り組んでいくべきかなと思います。
 最後に教務支援の関係につきましては、これも海外視察の際に見たんですけれども、教員の業務負荷は非常にその国でも高いということで、スマホでも使えるクラウドサービスのものでしたが、そういったものも、特に海外の取組を含めて研究していくのがいいのではないかと思います。
 以上でございます。

【高井委員】
 内田洋行の高井と申します。私どもは学校現場にICT室の導入をお手伝いさせていただいている立場でお話をさせていただきたいと思います。
 結論は、やはり導入したものは有効に使えなければいけない。しっかり先生方に使っていただくことが一番大事であると考えております。そのためには各教育委員会、自治体のICT導入をするに当たっての、しっかりした方針、方向性も大事ではないかなと思います。
 民間の立場で若干、学校現場とのICT活用の際についてお話をさせていただきますが、ICTの活用は民間では当然一般的になっておりまして、そのデータ処理能力においてICTの有用性は全く疑う余地はないと思います。企業においてICTの活用は、当初の業務生産性向上から、そのデータを今、より前向きに使っていこうと、そういう戦略的な方向になっております。
 一方、校務システムの導入は、まだ途についたばかりです。教員の事務作業を軽減し、児童生徒と向き合う時間を増すこと、これは大変大きなテーマであり、既に遅きに失したということも言えると思います。
 ただ一方で、2020年代以降を見た場合、先ほど藤村先生のお話、私、大変参考になりましたけれども、教育現場の中でも、学習者個々の学びや発達に生かして、個々の生徒の強みをより育てるために活用する方向性を今からしっかりと持つ必要があるのではないかと考えております。そのためには学習履歴データの収集やその標準化の推進、また教員が異動しても使えるような、そのような地域、教育委員会が連携したシステムの導入も必要と考えます。
 一方、教育現場でのICTの活用は企業や社会でのICTの活用と大きな違いがあると考えます。ICTに求められる機能は、単にデータの処理の能力ではなく、児童生徒に向き合う教員の補助として有効に機能する必要があります。1人1台の環境では教材となる映像や音声データ、ネットワーク上を流れておりまして、しかも、その授業の流れの中で、それらはほぼ同時に児童生徒の端末に提示されなければなりません。45分の限られた時間を有効に使い、授業の流れを止めない、そのような教育現場特有の設計が必要になってくると考えております。また児童生徒の安全を守る面からも考慮が必要です。
 学習環境で使えるICTの環境は、こうした点も考慮して、コンピュータの整備と併せたネットワーク環境や電子黒板のような周辺装置、コンテンツ・ソフトウェア、さらには従来型の指導ツールである黒板や模造紙、そういったものとも連携できるような、アクティブ・ラーニングに対応した双方向性を高めた、学ぶ場である教室そのものの環境設計、そのようなことも重要ではないかと思っております。
 以上でございます。

【西田(文)委員】
 NTTラーニングシステムズの西田と申します。私、個人的な印象ではございますが、この10年を考えますと情報の可視化、それから共有が物すごく進んだ期間だったと思います。学校の教育の中でも、こういう情報の可視化、共有はますます進んでいくと思いますが、そのために何が必要かということを考えたときに、データの発生場所、発生源で、どうやってデジタル化するのか。転記、再入力等がなくても情報、データを使えるということが非常に大事だと思います。
 この10年、平成20年頃から私、校務の情報化に清水座長、藤村先生の指導を頂きながら取り組んでおりますが、この中でも従来、ゴム印を押して転記を繰り返していた校務をどう標準化していくと先生方の負担を減らせるのかということを考えてまいりました。今後、学習記録、これは非常に膨大な量になりますので、子供が個々にどのような学びをしていくのか、きめ細かに指導していく、あるいは学校のマネジメントにこういう情報を生かしていくことを考えますと、標準化とかクラウドといった手段をうまく使いながら、先生方のデジタル化の手間をいかに減らすかというのが非常に大きな課題になると思います。このために大事なポイントとして、私どものグループが本業としていますネットワークをいかに有効に機能させるかということが課題になっていると考えております。
 実際、今、様々な動きがネットワークに関してもございまして、先ほどの藤村先生の御指摘にもありました学校ネットワークのインテグレーションという課題もございますし、自治体等ではいろいろな形でWi-Fiの整備が進んでいます。こういったものを活用したりとか、あるいは学校が共同利用可能なネットワークを今後再デザインしていくといった動きがどうしても必要になると思いますし、そのためには新たな地域の拠点としての学校づくりの動き等を参考にしながら進めていくべきと考えております。
 以上です。

【西田(光)委員】
 柏市立柏第二小学校の西田と申します。よろしくお願いします。
 私、学校におりますと、学校の現状はICTの環境とその活用に大きな差があるというのが一番大きな課題として感じています。教室で、いつでも大きく、そして学習課題を共有したり、子供が発表し合ったりできる環境がまだまだないというところが多いと思います。それがまず第一歩と思っています。この環境がない中にタブレットが入っていって、個別や協働の学習をやろうとしても、なかなかできないという状況がありますので、そういった順番を踏まえて常設が必要だと思います。
 本校、平成26年度にリプレースで、それまでの常置から常設になりました。電子黒板等がすぐ使える環境。それまでは約3分30秒掛かりました。それが1分弱で全て投影できる。その結果、ほぼ全ての教員がほぼ毎日ICTを活用するという状況ができてきています。やはり、そういったことを考えますと、常設というのが、これからの環境では一番必要なことかなと思っています。
 こうした環境が整うと、これまで先進的、先導的に取り組まれてきた事例が身近なものとなって学校で取り組まれていくようになるかと思います。本校でもICT活用が日常化してくると、職員室での話題に、これまで板書のことであるとか教材のことである中に、同じようにしてICTの活用、コンテンツのことが入ってきています。そうすることが、まず必要だと思います。
 次に、そうした環境が進んでくると、児童生徒の学びの環境という形でのタブレット等の配置が欠かせなくなってくると思います。先般、文部科学省で行われました情報活用能力調査でも課題が示されていますけれども、日常的に学習活動の中でメディアや情報を生かすという活動がなかなか行われていません。そうしたことは、こうした環境が整っていくことでできるようになります。
 児童生徒はスマートフォンやタブレットは日常的に家庭でよく使っていますけれども、情報を作ったり練ったりする活動というのはなかなか行われません。学校での学習活動の中で、そうした取組が必要です。
 今、情報モラルに関わる課題もたくさん発生していますが、学校でメディアや情報に触れ活用する体験を通じて、メディアや情報と付き合っていく力は培えるものと思っています。これから変化がどんどん進んでいく中で、子供が自分で対応できるようにするためには、そこは欠かせないと思います。
 義務教育におきましては、その前段階として、アナログとデジタル、リアルとバーチャル、そこをつないでいく活動を学習活動の中に取り入れていかなくてはいけないかなと思います。
 現状では、教職員はまだまだICT環境になじみがありません。どんどん整っていく中で授業と、先ほど藤村先生からあった校務がどんどんシームレスになっていく環境が、これから望まれていくと思います。日常の教育活動をサポートするICT環境、そういったものができてくると、私たち学校現場にとっては非常にありがたいと思います。今までの黒板やノートと同じように学校でICT機器が使えるようになっていくことを、これから望んでいきたいと思います。ありがとうございました。

【福田委員】
 佐賀県教育委員会の福田でございます。本日は委員の皆様方には、お手元に佐賀県からの資料をお配りしております。一つは佐賀県に陶磁器が伝わりまして400年ということで、有田焼400周年行事記念のクリアファイル。そして、もう一つは、この4月に県立高校に入学を予定しております中学校3年生及び保護者の皆さん全員にお配りしました学習用パソコンの導入の背景、それから実際学校で使っている活用場面、そして最後に、いわゆる佐賀県の場合には高校生は全員が学習用パソコンを自分のものを持って入りますので、新規に御購入される場合の事務手続、こういったものを記載しておりますので、一つの御参考になればと思っています。
 私からは佐賀県で取り組んできたことを取組事例といたしまして御紹介しまして、それが今後取り組まれる県、市、町等の御参考になればと思っています。
 さて、佐賀県では、このICT利活用教育につきましては、平成20年の当時に、国内外の先進事例、こういったものをはじめ、それから学習指導要領の改訂時期を迎えておりましたので、そういった学習指導要領の改訂の動き等を見ながら取り組んでまいりました。結果、全ての教職員、これが利活用スキルを身に付けるためには、どうやって取り組んでいくか、機器整備をどう進めていくか、そして教材の確保。これが一番悩ましかったんですけど、これを取り組んでいくかという課題は確かにありましたが、これまで行われてきました教育手法。私も高校の教員ですので、そういった教育手法だけではなかなか対応が難しいということで苦慮いたしております。 例えば教員の指導力、授業力の向上。そして先ほども出ましたが、学校における校務、事務負担の軽減、そして当時よく言われておりました個に応じた指導。つまり児童生徒一人一人に応じた指導の徹底。そして不登校。これも増えておりましたので、不登校とか、特別な支援を必要とする児童生徒、こういった子供たちに、いわゆる将来の就労に結び付けていくための教育の在り方。そして最後に、その当時言われておりました情報活用能力、いわゆる21世紀型スキル。これを、今を生きるというよりも未来を生きる子供たちにどう育んでいくかという視点から、このICT利活用につきましては県として組織的に取り組むに値する一つの大きな可能性を秘めた事業であるということで、首長部局、そして佐賀県の場合には県議会の議決等を経まして、平成23年度から全県委で取り組んできたところでございます。
 この4月、間もなく4月を迎えますと新しく高校1年生が入学してきますので、これで佐賀県の場合には高校1年生から3年生までが全員、自分のパソコンを使いながら学校に登校していくという状況が生まれます。市町の小・中学校におきましても、県と連携して取り組んできた結果、まずは電子黒板を先行導入しようということで、佐賀県内の公立の小学校、中学校の全校前普通教室で電子黒板が入りますので、こういった状況の中で、今後課題を一つ一つクリアしながら取り組んでいこうと思っています。
 以上でございます。

【山本委員】
 大阪市の山本でございます。私からはスマートスクールを念頭に置かせていただきまして、実務の具体的なお話を少しさせていただきたいと思います。
 まず校務の情報化についてでございますけれども、大阪市ではICT活用により教員が児童生徒と向き合う時間を増やすこと。また教員1人当たり年100時間の校務の効率化を目的に置きまして、平成24年度に総数1万2,300台の教員1人1台のパソコンを整備いたしました。あと小・中・高、特別支援学校合わせて458校ございます。そこに有線LANによる校内のネットワークを構築いたしました。
 この中で本市専用のクラウドも構築をさせていただきまして、平成25年3月からは連絡掲示板やメール機能などのグループウェア、それから通知表、指導要録作成などの校務支援機能、また学校ホームページ作成などのコミュニケーションサービスをスタートいたしました。
 なお、このうち校務支援機能につきましては、現場もございますので、小・中学校31校で1年間の試験導入を行って検証いたしまして、平成26年度から全校で稼働しているというのが今の状況でございます。
 これに伴う授業の効果といたしましては、試験導入校で527名の先生方に御意見なりヒアリングをさせていただきまして、稼働2年目の効果検証を行った結果、教頭先生で年間229.8時間、教員の方で224.1時間の導入効果の確認をいたしたところでございます。
 先生方からの声としましては、手書き、転書、集計業務等のルーチン作業から解放された。あるいはまた効率化された時間を、授業準備や子供と触れ合う時間の確保、部活動の指導に当たる時間に活用したいという声を頂いております。
 目標でございます学校教育の質の向上、学校経営の効率化、高度化を図る、学校から保護者、地域の情報発信を促進する教員のITCに対しての向上と情報セキュリティの強化を進めていくといった、各分野に一定の成果が上がったものと認識をしております。
 今年度は成果のより一層の創出に向けまして、文部科学省の平成27年度自律的・組織的な学校運営体制の構築に向けた調査研究事業にも参加をさせていただいて、時間の効果だけでなくて、どのように教育の質の向上にこれを資するかという実践研究に今取り組んでいるところでございます。
 あと、もう一方の教育におけますICTの活用につきまして、平成24年より7校、小学校4校、中学校2校、小中一貫校1校をモデル校として指定しまして、タブレット端末をはじめ各普通教室に無線LANとプロジェクタ等のICT機器を整備し、ICTを活用して児童生徒への教え合い、学び合いを実践してまいりました。
 今年度末からモデル校を7校から29校に拡充しますとともに、大阪市内の全小・中学校422校でICTを活用した授業づくりを展開するために、最低でも各校約40台のタブレットを配付いたしまして、無線アクセスポイント、画像転送装置などのICT機器の導入を図ってまいります。加えまして、その活用に向けたサービスデスクや教員研修などの支援体制の効率も進める予定でございます。
 今後は、こうしたデータを効果的に活用した校務支援ICT活用事業と学校教育のICT活用事業をうまく整合性をもって、新たな学びと教員の業務改善の確立、両立をどのように目指すかを、もう少し具体的に進めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。

(8)その他

【清水座長】
 委員の先生方、貴重な意見を大変ありがとうございました。3分という短い時間でしたので、十分語れなかった、あるいは話したかった点があろうかと思います。恐れ入りますが、事務局にメール等で文書で提出していただきますとありがたく思います。事務局で整理して、今後の進め方についても考えていきたいということにしたいと思います。
 私の時間は無事なくなりましたので、お約束の時間、若干過ぎたということから、今後のスケジュールにつきまして事務局からお願いします。

【須原補佐】
 次回、第2回の懇談会につきましては、日程が決まり次第、事務局より御連絡いたします。
 また、座長から御発言のありました御意見につきましては、今週、できれば水曜日までに頂けましたら幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【清水座長】
 ありがとうございます。忘れないうちにすぐ書けば、出していただけるということになろうかと思います。
 以上をもちまして、本日は閉会させていただきたいと思います。皆様、大変お忙しいところ、まことにありがとうございました。

―― 了 ――

お問合せ先

初等中等教育局情報教育・外国語教育課 教育情報施策調整係

電話番号:電話:03-5253-4111(代表)(内線2085)、03-6734-2085(直通)

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(初等中等教育局情報教育・外国語教育課 教育情報施策調整係)

-- 登録:平成28年04月 --