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学校教育の情報化に関する懇談会(第9回) 議事概要

議事概要

1 日時

平成22年12月3日(金曜日)13時~15時

2 場所

つくば市立竹園東小学校

3 委員出席者(敬称略)

安西祐一郎、五十嵐俊子、馬野耕至、重木昭信、千葉薫、野中陽一、宮澤賀津雄、村上輝康

4 つくば市出席者

柿沼つくば市教育委員会教育長、毛利つくば市教育委員会指導主事、中島竹園東小学校長、吉田竹園東小学校教務主任

5 文部科学省出席者

板東生涯学習政策局長、伊藤審議官(生涯学習政策局担当)、齋藤参事官(学習情報政策担当)、増子参事官付情報政策室長、中村参事官付企画官、梶山初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長

6 議事概要

(1)柿沼教育長及び毛利指導主事より資料1-1(平成21年度つくば市ICT教育活用実践事例集)及び資料1-2(つくば市学校ICT教育推進プログラム)、中島校長及び吉田教務主任より資料2(つくば市立竹園東小学校関係資料)に基づき説明があった後、学校視察を行った。視察後、出席者による質疑応答は以下のとおり。

【馬野委員】
 無線LANはいつ導入されたのか。

【毛利指導主事】
 3、4年前から、無線LANになっている。市内の小学校は51校あり、学校によって差はある。

【馬野委員】
 ノート型コンピュータは児童1人に1台ずつ配っているのか。

【毛利指導主事】
 ノート型コンピュータは、コンピュータ室に40台あるということで、1学級1人に1台分。スタディノートポケットは、各学校に20台ずつ措置されている。

【馬野委員】
 全員に配られているのか。

【毛利指導主事】
 全員にはまだ配られていない。当初はデジカメの代わりとして導入された。

【重木委員】
 様々な使い方を工夫して授業を行っていることに大変感銘を受けた。コンピュータ室で授業を行っていた算数の演習教材は、各学校で工夫や変化を加えて利用されているのか、市販品のような既製品を使われているのか。また、この授業では、復習ということで演習を中心に行っていたが、授業の代わりにコンピュータを使って学ぶような授業の形態もあるのか。

【毛利指導主事】
 資料1-2「つくば市学校ICT教育推進プログラム」の10、11ページにその内容が掲載されている。30年前にこのシステムを作った時には、先生方が1教材あたり何十時間もかけて手作りの教材を作っていたが、さすがにそれは莫大な労力がかかってしまうので、今はライセンスを受けて教材を利用している。また、新たに教材を作るためのオーサリングシステムも入っているので、教材を作ることは可能である。さらに、復習だけではなく、例えば、歴史に興味を持った小学6年生が中学校の歴史の問題を解いたり、英語活動で興味を持った子が中学校の英語をやったり、学校の予習というより家庭学習で進んだことを学ぶために使っている児童もいると思う。

【千葉委員】
 ICTが素晴らしく授業に溶け込んでいて、非常に感動した。一方で、ICTに馴染めない児童はいるのか、もしいるとすれば、どのような対応をしているのか。また、つくば市はICTに非常に力を入れているが、他の自治体と比べ、ICTの導入効果、特に成績に関してどのような成果があるのか。

【毛利指導主事】
 全国学力調査などを見ると、つくば市は、秋田県と並ぶほどの高い学力を有している。それは、コンピュータだけではなく様々な手だてもあるが、ICTを使うと、ただの一斉授業で先生が教えるという授業スタイルだけではなく、子どもたちが主体的に学んだり、表現したり、思考したりするといった様々なバリエーションが可能になるので、ICTの活用は授業改善に効果があったと思う。したがって、全国学力調査のB問題もかなりできている。これは、研究学園都市だけではなく、田園地域や周辺地域も含めた平均の結果である。

【吉田教務主任】
 ICTになじめない児童は、本日授業を御覧いただいてお分かりのように、おそらくいなかったと思う。私の経験でも、なじめない児童はいなかった。転校してきた児童の保護者に、「うちの子は大丈夫なのか。」と聞かれることはあるが、子どもたちはすぐに覚えてしまう。教員1人で全ての子どもに1つ1つ教えていたら大変なことになるが、子どもたち同士でお互いに教え合っている姿も見られる。

【村上委員】
 懇談会で議論していることを実際に見ることができて、本当に今日は感激した。児童がICTを使いこなすために、学期の最初に何か特別に指導しているのか、いきなり使っていくのか、導入部分について知りたい。

【毛利指導主事】
 ある小学校の校長先生だけ理解があってその学校だけ進んでいると、進学した中学校ではやっていなかったり、隣の小学校ではやっていないということが起きると思うが、つくば市の良いところは、どこの学校でも同じスタディノートというグループウェアやテレビ会議システム等を使っているので、先生がどこの学校に異動しても、同じようなシステムを使えることである。また、小学校低学年はソフトウェアキーボードがいいのではないか、手書きにすべきだといった議論があるが、子どもたちは我々よりもはるかに慣れており、練習は余りやっていない。ノートの取り方は、小学校1年生から、授業の中でゆっくり丁寧に教えていくが、コンピュータも同様である。小学校低学年では、特別な授業を組むのではなく、例えば生活科の中でスタディノートポケットを使うのであれば、その目的に合わせてゆっくり覚えながら使っていく。だんだん年が追うごとに早くなる。同じ機器を大切に使っているので、子どもたちも先生も混乱せず、小中9年間やっていくことができる。

【村上委員】
 2年生から高学年まで全学級でICTを活用した授業が行われていたことが非常に印象的であった。年間のカリキュラムの中で、ICTを使う授業の比率はどの程度か。

【吉田教務主任】
 1時間ずっとICTを使った授業はしていないが、所々でデジタルテレビ等を使った授業ということであれば、大体授業の6割から7割程度だと思う。

【村上委員】
 すべての先生が使いこなしているのか。

【吉田教務主任】
 全職員で使っている。

【村上委員】
 このカリキュラムの中で、インターネットにつながる部分はあるのか。

【毛利指導主事】
 全ての機器はインターネットにつながっている。ただし、市の教育委員会からインターネットの外に出るところにフィルタリングがかかっていて、安心、安全に使えるようになっている。例えば、ある学校の先生から不適切なサイトについて連絡があれば、それが見えないように対応している。

【宮澤委員】
 大変すばらしい施設、環境で、先生方の御指導もよく理解できた。一方で、つくば市以外から転任してくる先生がこの環境についていくのは難しいのではないかと思うが、そのような先生方へのケアや導入教育はどうしているのか。また、これだけ情報教育を活発に行っているということは、情報担当教員の加配を単独で行っているのか。

【毛利指導主事】
 情報教育担当者の加配は、特にない。ただ、学校によっては、校長先生の裁量で、コンピュータの活用を他の授業で支援できるように、その先生の授業の持ち時間数を減らすといった工夫をしているところもある。また、教員研修は非常に課題。このため、今年度、教育庁が廃校になった大形小学校を利用してつくば市総合教育研究所を設立した。そこは、残っている教室やコンピュータ教室を活用して、模擬授業をしたり、コンピュータ研修をしたり、先ほど授業で使っていたスタディノートポケットの研修をするための教育研究施設となっている。

【柿沼教育長】
 教育総合研究所は、今年8月、いつでも誰もがどこでも学習できる、気軽に利用できる施設として設立され、1200〜1300名の先生方が研修を受けている。今後は、もう少しICTなどにも力を入れて、新しく赴任してきた先生方のケアをやっていきたいと考えている。やはり授業ができなくては意味がないので、今後とも重点をおいてやっていきたい。

【毛利指導主事】
 資料1-1「ICT教育活用実践事例集」には、去年1年間につくば市で行われた実践例が小学校1年生から教科順に掲載されている。新しく来た先生は、これを参考にして授業を行っている。簡単な事例から高度な事例まで様々なので、各先生のスキルに応じて、必要なときに利用できる。

【野中委員】
 先ほど、全授業の中でICTを少しでも活用している割合は6割から7割という話があったが、全国的にも我々の調査から見ても、非常に高い割合だと思う。今までの我々の調査では、普通教室に大型ディスプレイやプロジェクターが常設されていれば活用率は上がる、手軽に使える実物投影機があればその活用率は上がるといった結果が出ているが、今日、コンピュータ、端末、コンピュータ教室、デジタルコンテンツを中心に活用されている授業を見て、6割という数字は、少し考えにくいぐらい高いと思った。なぜなら、理科ねっとわーくをはじめとしたネットワーク上のデジタルコンテンツをその単元に合わせて活用することはその準備の負担も大きいし、パソコン教室は1つしかないので、インタラクティブスタディも週に1時間くらいしか使えない、モバイル端末も40台を1クラスで使おうとすれば週に1回しか使えないからである。このような状況で、どのようにしてその割合を実現したのか。また、何年くらいかかってそのぐらいの活用頻度に上がったのか。そして、今日視察した授業の形態は発表のシーンが多かったので、一斉授業のスタイルだったと思う。先ほど授業スタイルもかなり変化したという話があったが、全体から見て、一斉指導の割合と少し形態が異なった授業はどのくらい変化があったのか。例えば、オープンスクールなどをつくった際授業スタイルが変化した割合は、結局2割、3割にとどまり、一斉授業に戻っていったという経緯もある。そのような中、ここで授業スタイルや割合がすごく変化したとすれば、何かノウハウがあるような気がするので、教えてほしい。

【毛利指導主事】
 割合は、6割、5割くらいかもしれない。私の経験では、総合的な学習の時間は学年ごとにクラス合同でやるので、あるグループはコンピュータ室でまとめていたり、あるグループはスタディノートポケットを使って外で取材をしたり、ほぼICT機器を使っている状態にある。また、体育でマット運動、水泳、陸上競技などを行うとき、少しではあるが、ハイスピードカメラを使うこともある。そのような使い方により、わりと比率が上がっているのだと思う。1時間のうちちょっとしたことで使ったり、教室の外に設置されているコンピュータを使ってちょっと調べものをすることもカウントに入っているので、利用率が多めにカウントされるのだと思う。また、授業スタイルに関し、今日は発表が多かったということであるが、生活科の授業で言えば、子どもたちは、インターネットで調べてまとめたのではなく、スタディノートポケットを使って取材に行き、グループごとにまとめ、最後に発表している。今日は一斉授業のスタイルだったかもしれないが、その単元の中では、一斉授業や教師が前に立って教え込むという授業スタイルはわりと少なかったと思う。先ほど、お見せしたような一連の流れがあり、様々なグループ学習をしたり、取材に行ったり、個別学習をしたりしている学校が多いと思う。

【中島校長】
 本校では、5、6年生は教科担任制。その中でICTをふんだんに使っており、その雰囲気を低学年の教諭も常に見ている。今日行われた低学年の算数や生活科の授業では、学年単位で教材研究をしっかりやっており、低学年であっても、担任が違っても4クラス全部で同じような授業ができるので、非常に稼働率は高いと思う。また、低学年では、実物投影機を非常にまめに使っている。書画カメラ等は、1、2年生の算数などでも、黒板に4人の考えなどを出しながらみんなで考えを深め合う活動を行うためにとても気軽に使える機器なので、6割という割合は、私は見ていて納得できる数字である。

【吉田教務主任】
 ICT機器を使う場合には、学年主任から私に相談がある。これを受け、私が、全部の機器に関し、使う学年、学級及び時間を割り振るようにしている。最近では低学年でのハイビジョンテレビの利用が増えたので、低学年の校舎に一台常設して常にそれを回しており、学年主任の話を聞きながら調整し、無駄なくできるようにしている。また、本校には、無線LAN搭載のノート型コンピュータが40台ある。図書室では調べ学習のために本とそのノートパソコンを使えるようになっているほか、必要に応じて教室にノートパソコンを持って行き、調べ学習をしたり、まとめをするために使えるようになっている。

【馬野委員】
 先ほど、つくば市は秋田県と並ぶほどの学力を有しているとの話があったが、ICTを本格的に活用する前と現在とを比較すると学力面でどうなのか。また、本格的に活用する以前は多くの父兄の職業が研究者であったということだが、父兄の職業構成が当時と今とで変化があるのか。

【毛利指導主事】
  全国学力調査は最近始まったものなので比較は難しいが、20年以上教員をしている私の経験では、子どもたちは、読み書きの部分はもちろん、取材すること、企画すること、人に伝えようとすること、分かりやすく伝えること、コミュニケーションをすることが、非常に得意になってきている気がしている。10年前に市内の小学校に赴任して出たばかりの電子黒板を使ったとき、ほとんどの子どもたちは、声は小さく、読むのが精一杯で、人に伝えよう、人にどう思われて発表しているのかといったことを考えることができなかったように思うが、今の子どもたちの言語力、思考力、表現力は、ICTを活用して鍛えられていると思う。南極の人と話したり、テレビ会議を使っても、ただ通り一遍ではなく、よりよく伝えよう、わかりやすく伝えようとしているので、随分鍛えられていると思う。

【村上委員】
 測れる学力と測れない学力があると思う。測れるところはもちろん上がっていると思うが、測れない学力で上がっているところがたくさんありそうで、それこそが「生きる力」と定義されているものなのではないか。非常に感銘を受けている。

【毛利指導主事】
 資料1-2「つくば市学校ICT教育推進プログラム」17ページには、子どもたちの調査力や考察力も含めた表現力を審査するプレゼンテーションコンテストが紹介されている。竹園東小学校は、20年度は入賞したが、21年度では環境教育部門及び学習成果部門ともに受賞しておらず、この学校が特別ではないことが分かる。教育長賞を受賞した島名小学校と茎崎第三小学校は学園地区の学校ではないし、優秀賞を受賞した今鹿島小学校と小田小学校もそうで、小田小学校は筑波山の麓の小さな準農村地帯の学校である。研究者の子どもがいない学校でもすばらしい取組を行っている。なお、竹園東小学校の研究者の割合は、昔から変わっていない。

【五十嵐委員】
 子どもたちがすごく力をつけていることに感動した。低学年は紙のノートをしっかり使うべきでPCを使うべきでないとか、教科指導の中でのICT活用をカリキュラムの中にきちんと位置づけなければならないといった意見もあるが、今日の授業を見て、効果のあるものは当たり前のツールとして日常的に取り入れていくことの意義を強く感じた。視察の準備は本当に大変だったと思うが、普通どおりにやっている姿を見せていただけてよかった。日野市は、5年ほど前にICTを導入する際、つくば市を視察し、参考にさせてもらったが、今回それを再確認できた。例えば、日野市(本校)では、6年生が「生活の中の算数」でPDAを活用したが、今日は2年生がPDAを使って日常の中のかけ算探しをやっていた。2年生の段階で既にPDAを使いこなしているのが驚きだった。また、つくば市同様に、学校WebサイトにCMSを導入して校長を中心に日常的に発信しているし、個別学習支援システムであるインタラクティブスタディを導入して、今では教師用モニタから見取れる評価を生かした授業が行われている。一方で今後の課題は、協働学習である。そこで、本日の授業では見られなかったが、子どもたちが互いに学び合って新しい考えを導きだしたような授業実践を紹介してほしい。つくば市にはスタディノートを活用したすぐれた実践がたくさんあると思うので、特に協働学習という観点で、子どもたちが創り上げていった事例を教えてほしい。最後に、ICT活用を推進するには、教育委員会に毛利先生や昨年までの吉田先生のように優れたコーディネイト力をもつ人材が必要であることを実感した。

【吉田教務主任】
 5年生の総合的な学習の時間で環境の学習をしたときの事例を紹介したい。公園の池の水をきれいにしようというプロジェクトがあり、隣の並木小学校5年生のグループも同じ活動をしていた。協働学習というと、わざわざ他の学校とやる必要はない、校内で十分話し合えばいいという考えもあった時代であったが、子どもたちは、どうすれば川の水をきれいにできるのか、校内でも一生懸命いろんな考えをぶつけてくる。ろ過器についてみんなで考えを出し合って出尽くしたと思ったとき、他校とテレビ会議を行い、スタディノートや電子掲示板を使って交流したところ、全然違う考えが入ってきた。そうすると、子どもたちはまた考える。夢中になって、よりよくしようとする。それを年に何回もやりとりした。子どもたちが本当に自分で「知」を創造していく学びを目の前で見て、本当に協働学習の良さを実感した。

(2)最後に、事務局より、参考資料1、2及び3について説明があり、会議を了した。

(了)

 

お問合せ先

生涯学習政策局情報教育課

-- 登録:平成23年01月 --