学校施設老朽化対策先導事業委託実施要項(平成25年度)

平成25年3月15日
大臣官房長決定

  1. 趣旨
     公共施設の約4割を占める学校施設は、昭和40年代後半から50年代にかけての児童生徒急増期に一斉に整備されたものが多く、その結果、現在、建築後25年以上を経過した公立小中学校施設が保有面積の約7割を占めるなど、老朽化の進捗が深刻な状況となっており、安全面や機能面において、改善を図ることが喫緊の課題となっている。また、多様な学習内容・学習形態に応じた教育環境の整備やエコスクール化等も求められている。
      今後、学校施設の改修・改築の需要が集中することが予想される中、学校施設の再生整備に取り組む自治体において、効果的に整備を進めることにより、子どもたちが安全・安心かつ良好な環境で活動することが可能となるよう、文部科学省では、老朽化した学校施設の再生整備の在り方や推進方策等について検討を進めてきたところであり、平成25年3月に、「学校施設の老朽化対策について~学校施設における長寿命化の推進~」を取りまとめた。
      また、社会資本の老朽化対策については政府全体で取り組んでいる事項であり、「日本再生戦略」(平成24年7月閣議決定)では、「社会資本の適確な維持管理・更新等が不可欠であり、長寿命化計画の策定推進等による戦略的な取組を推進する」と記載されたところである。
     こうした状況を踏まえ、公立学校施設の老朽化対策において、長寿命化技術、事業費や運営費のコスト縮減、教育的効果等の観点から、地方公共団体のモデルとなる事業に対して、事業計画段階から整備段階まで必要な支援を行うことにより、全国的な規模で学校施設の長寿命化をより効果的・効率的に進めることとする。
  2. 対象施設
     原則として、「構造上危険な状態にある建物」※又は築40年程度経過し老朽化した公立小中学校で、下記(1)~(3)いずれかの長寿命化改修を行う予定の校舎
    ※「公立学校施設費国庫負担金等に関する関係法令等の運用細目(平成18年7月13日文部科学大臣裁定)」第1-47で規定する建物
    (1)100年学校モデル
     (コンクリートの中性化対策、高耐久性材料の採用、維持管理や設備更新の容易性確保、ライフラインの更新等により、建築後100年程度使用することを目指した長寿命化改修モデル)
    (2)優れたリニューアル改修モデル
     (建物の耐久性を高める対策に加え、多様な学習内容・学習形態への対応、省エネ化、バリアフリー化等現代の社会的要請に対応した長寿命化改修モデル)
    (3)複合化・減築モデル
     (建物の耐久性を高める対策に加え、他の公共施設との複合化や減築に取り組む長寿命化改修モデル)
  3. 事業の委託先
    以下のいずれかの主体(以下「法人等」という。)に対して委託を行う。
     (1) 地方公共団体
     (2) (1)以外の国内の法人(特定非営利活動法人、民間企業等)
        ただし、(2)の法人が本事業に応募する場合は、計画策定の対象校を設置する地方公共団体(以下「実施協力機関」という。)と連携して実施することを条件とする。
  4. 委託業務の内容
    ○既存校舎の長寿命化改修を目指す基本計画を策定する業務
     学校設置者は保有する校舎について、長寿命化改修を実施するため、有識者や、教職員、児童生徒、保護者、地域住民などの学校関係者、行政関係者が参加するワークショップや研究会などにおける学校施設の在り方等の検討を踏まえ基本計画を策定する(計画の対象施設は原則として1つの法人等につき1校とするが、実施結果を他の学校にも普及することについて記載することは可能。)。
     具体的には、構造体の劣化状況(コンクリートの中性化、鉄筋の腐食、ひび割れ状況等)、外壁・防水材・設備機器・設備配管の劣化状況、エネルギー使用状況、教育内容への適応状況などを踏まえ、様々な視点で長寿命化改修について検討し、効果的・効率的に行う長寿命化改修の基本計画を取りまとめる。
     その際、「学校施設の老朽化対策について~学校施設における長寿命化の推進~」などの文部科学省が公表している資料などを参考に検討を進めること。

    (参考)文部科学省が公表している資料

     資料名

     資料名

     みんなの学校をながく・よく使い続けるアイディア(平成17年3月)

     環境を考慮した学校施設(エコスクール)の今後の推進方策について(平成21年3月)

     小学校施設整備指針(平成22年3月)

     中学校施設整備指針(平成22年3月)

     これからの小・中学校施設(平成22年6月)

     すべての学校でエコスクールづくりを目指して(平成22年5月)

     校舎のエコ改修の推進のために(全国版)(平成22年11月)

    新たな学校施設づくりアイディア集(平成22年11月)

    エコスクール 環境を考慮した学校施設の整備推進 エコスクールパイロット・モデル事例集(平成23年2月)

     環境教育に活用できる学校づくり実践事例集(平成23年9月)


    なお、本委託事業の成果は今後整備が行われる全国の学校のモデルとなることも踏まえ、過大とならない適切な工事費による基本計画を策定するとともに、文部科学省その他を通じ情報発信を行い、事業の成果について幅広く関係者との共有を図ること。

     策定に係る具体的な条件は、以下のとおり。
    (1)建築後70年以上(「100年学校モデル」については100年程度)使用することを目的とした構造躯体の長寿命化対策を実施すること。
    (2)構造躯体に比べて耐用年数の短い内装・設備については、維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うことのできる計画とすること。
    (3)多様な学習内容・学習形態に対応するなど、現代的な教育ニーズに沿った計画とすること。(特に「優れたリニューアル改修モデル」については、教職員と今後の学習空間の在り方について十分協議した上で計画を策定すること。)
    (4)将来の教育内容等の変化に応じて、間取りの変更が可能な計画とすること。
    (5)外壁の断熱化、複層ガラス、日射遮蔽、自然換気・自然採光、再生可能エネルギー設備の積極的な活用等、環境を考慮した計画とし、ライフサイクルコストの低減に努めること。
    (6)ユニバーサルデザインを考慮した計画とすること。
    (7)「複合化・減築モデル」においては、学校施設が地域の核となることを視野に入れながら、地域における他の公共施設の劣化状況や利用状況等を総合的に分析し、他の文教施設や高齢者福祉施設などの公共施設との複合化・共有化を検討すること。
    (8)策定した基本計画の実施に要する概算工事費の内訳を作成すること。
    (9)「事後保全型」から「予防保全型」管理への転換を図り、中長期修繕計画(案)を作成すること。
    (10)校舎の利用者である児童生徒や教職員が設計、施工に携わる設計ワークショップ、施工ワークショップ等の実施を検討し、協働の学校づくりを考慮した計画とすること。
    なお、基本計画策定後の工事については、学校施設環境改善交付金の「長寿命化改良事業(算定割合三分の一)」(平成25年度創設予定)や「太陽光発電等導入事業(算定割合二分の一)」等の国庫補助事業において、優先的な支援を得ることができる。また、エコスクールパイロット・モデル事業を活用して取り組むことも可能である。なお、設計及び工事に要する標準的な期間は、原則、基本計画策定後の翌年度から2か年とする。
  5. 実施体制
    ・本事業の実施に当たり、教育委員会の学校施設担当者、教職員、有識者、学校施設のエコ改修について専門的な知識を有する設計実務者等の関係者から構成される実施委員会を置く。
    ・実施委員会は、実施方法の検討、課題整理、具体的な計画の検討、事業について指導・助言等を行う。
    ・事業の委託先が「3.事業の委託先」の(2)の場合は、事業の実施のための必要な実施協力機関を指定する。
  6. 委託期間
     事業委託期間は、委託を受けた日から平成26年3月14日までとする。
  7. 委託手続
    (1)法人等が事業の委託を受けようとするときは、別紙1の委託事業計画書を文部科学省に提出すること。
    (2)文部科学省は、上記により提出された委託事業計画書の内容を検討し、内容が適切であると認めた場合、法人等に事業を委託する。
  8. 委託経費
    (1)文部科学省は、予算の範囲内で「4.委託業務の内容」に要する経費(人件費、諸謝金、旅費、借損料、印刷製本費、消耗品費、会議費、図書購入費、通信運搬費、雑役務費、消費税相当額、再委託費、一般管理費)を委託費として支出する。
    (2)文部科学省は、委託を受けた法人等が委託要項若しくは委託契約書の定めに違反したとき、委託事業の遂行に当たり不正若しくは不当な行為をしたとき、又は、委託事業の遂行が困難であると認めたときは、委託の解除や経費の全部、又は一部について返還を命じることができる。
  9. 事業完了の報告
     委託を受けた法人等は、委託事業が完了したとき(事業を中止したときを含む)は、別紙2の委託事業完了(中止)報告書及び成果報告書を、終了した日から10日を経過した日、又は当該事業年度末日のいずれか早い日までに、文部科学省に提出すること。
  10. 委託費の額の確定
    (1)文部科学省は、前項により提出された委託事業完了報告書について調査及び必要に応じて現地調査を行い、その内容が適正であると認めたときは、委託費の額を確定し、法人等へ通知するものとする。
    (2)上記(1)の確定額は、事業に要した決算額と委託契約額のいずれか低い額とする。
  11. その他
    (1)文部科学省は、法人等における委託事業の実施が当該趣旨に反すると認められるときには、必要な是正措置を講ずるよう求める。
    (2)文部科学省は、委託事業の実施に当たり、法人等の求めに応じて指導・助言を行うとともに、その効果的な運営を図るため協力する。
    (3)文部科学省は、必要に応じ、委託事業の実施状況及び経理処理状況について、実態調査を行うことができる。なお、文部科学省は、委託事業への助言や事業実施後の情報収集等について、国立教育政策研究所の協力を得るものとする。
    (4)法人等は、委託事業の遂行によって知り得た事項についてはその秘密を保持しなければならない。
    (5)本事業の実施に伴い発生した著作権(著作権法(昭和45年法律第48号)第21条から第28条までに規定する全ての権利を含む。)は、原則として文部科学省に帰属させるものとする。
    (6)本要項に定める内容以外の具体的な事務手続等については、「大臣官房文教施設企画部委託事業実施要領」による。
    (7)この要項に定める事項のほか、本事業の実施に当たり必要な事項については、別途定める。

 

お問合せ先

大臣官房文教施設企画部施設助成課

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電話番号:03-5253-4111(内線2051)

(大臣官房文教施設企画部施設助成課)

-- 登録:平成25年03月 --