このページでは、社会福祉施設等との複合化、屋上緑化、うるおいのある教育施設、木材の活用、余裕教室の転用など公立学校施設の整備事例を紹介します。地方公共団体の施設担当者をはじめ、公立学校施設整備に携わる皆様に、各地方公共団体の特色のある学校施設整備事例の情報を提供し、皆様がアイデアを得る一助となれば幸いです。
|
||||
|
||||
|
||||
|
||||
|
| 社会福祉施設との複合化 |
東京都三鷹市立第四小学校 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
児童生徒数が417人である第四小学校では、もともと別棟・別園である「むらさき幼稚園」が併設されていた。
むらさき幼稚園を廃園とし、施設を活用した「むらさき子ども広場」に転用を行い、管理形態も教育委員会から、市長部局の運営に移した。
「むらさき子ども広場」は、
学童保育所
児童館的機能(小学生まで)
子育て支援事業から構成されている。下の写真はおやつの時間を撮影したものであり、児童や施設の利用者からの評判は大変よく、市では更に発展させた「地域子どもクラブ(仮称)」の設置について検討することとなっている。

東京都三鷹市立第四小学校http://www.education.ne.jp/yonsho-mi/のHPへ
神奈川県平塚市立大原小学校 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
大原小学校では、平成11年に大原公民館との複合化を実施した。建築した建物は、3階建で約1300m2であり、1階及び3階が公民館、2階が学校施設となっており、2階部分に設けられた渡り廊下により隣接する校舎とつながっている。
複合化の結果、地域住民で催す公民館行事(公民館祭り)への児童の積極的な参加、学校の音楽室における住民参加の音楽会など、それぞれの施設を利用した公民館利用者と児童との交流が進められている。
| 屋上緑化 |
岐阜県多治見市立多治見中学校 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
多治見中学校では、学校施設の老朽化に伴い、校舎棟、体育館棟を改築し、特別教室棟、プール棟は大規模改修を施した。計画に当っては,生徒、PTAからの夢アイデアを募集し、設計コンセプトに取り入れた設計コンペを実施し、選定結果は広く市民に公表した。
同施設は、太陽光発電や雨水利用、屋上緑化を採用した「エコスクール」として整備し、OB会やPTAから寄贈された風力発電もある。また、地域への開放を目的として、公園と校門をつなぐプロムナード(遊歩道)を校舎間に通し、生徒と地域住民とのふれあいの場を創設した。そして、教室間の共有スペース、半屋外の廊下、木デッキの中庭、さらには雨水地や屋上等も生徒達の活動の場として利用できるように計画されており、建物全体を教育環境向上のための空間と考え、ゆとりのある学校環境を整備した。
計画段階から広く意見を求め、それらが校舎のベランダ、屋上、中庭等の計画的な緑化、屋上の有効利用に反映され生徒が利用しやすいよう構成されていること、また、雨水を利用した池を配置し気持ちの良い屋外環境を作り上げていること等から、平成12年度に公立学校優良施設表彰文部科学大臣奨励賞を受賞している。
![]() 雨水池と屋上緑化 |
![]() 中庭雨水池 |
| うるおいのある教育施設 |
新潟県聖籠町立聖籠中学校 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
聖籠中学校は、「日本一いきいきした中学校」を目指して、県内初の教科センター方式を導入した統合中学校である。教科ごとに特色ある専用の教室や学習空間がつくられている。生徒は生活拠点「ホームベース」から毎時間教室を移動しながら学習に励む。「地域交流棟」には創造教科ゾーン、カフェテリア、町民ホームベースがあり町民の活動拠点にもなっている。
田園風景に調和するよう建物は2階におさえ、緩やかな勾配屋根を架けた。RC造の1階に大断面集成材木造の2階をのせ、吹き抜けが上下階をつなぐ。個性ある部分空間をつくりつつ、全体は明快な構成となっている。自然換気・採光に有効な建物形状に加えて、太陽光発電パネルや井戸水で冷やされた外気による涼風換気を採用し、効果をあげている。
聖籠中学校(http://www.seiro.ed.jp/)のHPへ
岩手県胆沢町立若柳小学校 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
若柳小学校の建物は、昭和34年および同40年に建設された鉄筋コンクリート2階建ての校舎を、老朽化により移転改築したものである。
外観は町独特の散居景観に調和するようエグネ(屋敷林)を背にした伝統的な農家屋敷を念頭に木造風に建設した。教室の南側には縁側に相当する木製デッキを、校舎南側にはせせらぎ水路を整備した。また、西側には屋敷林に相当する郷土の森を整備し、生物が棲みつくビオトープ空間として環境学習の場として活用している。
内部は温もりと優しさが感じられるよう、できるだけ塗料を使用しない木仕上げである。管理・特別教室は2階建ての東校舎、普通教室を平屋建ての西校舎に配置した。教室には廊下拡張型のワークスペースを配し、教師のための教材準備室、校舎中央部には多目的ホールも整備した。暖冷房にはプロパンガスを使用、教室は遠赤外線暖房(多目的ホールは床暖房)を採用し、短時間で暖がとれるように配慮した。
![]() 普通教室と廊下拡張型のワークスペース |
![]() 多目的ホール |
![]() 農家屋敷を象った校舎と、せせらぎ水路 |
|
| 木材利用 |
![]() 多様な授業形態に対応できる開放的な多目的スペース |
![]() 図書室。木に囲まれた吹き抜け空間 |
![]() 専用講堂。300席の固定椅子を備える。 |
| 余裕教室の転用 |
| ● | 転用施設の内容 1階の4教室分をデイサービスセンター、2階の1.5教室分をデイホーム、1教室分を在宅介護支援センター、1.5教室分をデイサービスセンターに転用。 エレベータ及び玄関の増築。 |
| ● | 転用の経緯 宇治市は、平成3年に「宇治市長寿社会プラン・シャイニングプラン」を策定し、平成6年には「宇治市老人保健福祉計画」を策定し、平成11年度までに、「特別養護老人ホーム」300床、「デイサービスセンター」12施設、「在宅介護支援センター」9施設を整備する計画をたてた。 うちデイサービスセンターについては、中学校区に1施設の計画を立てていたが、たまたま小倉小学校を含む2小学校に12クラス以上の余裕教室があったことから、余裕教室の転用による活用を計画した。 さらに平成5年度に制度化された「地方分権特例制度」で、余裕教室を転用したデイサービスセンターの設置も特例措置の対象となったことも要因となった。 |
| ● | 交流活動内容 交流活動としては、昼休みのデイサービスセンター訪問交流や、学校行事へのお誘い、授業の中での交流等が行われている。 |
| ● | 施設計画上の配慮事項 転用施設専用の玄関を設置し、既設の階段も転用施設専用とすることで、児童との動線を分離している。また、1、2階の転用施設と3階の学校施設を分離するために3階の階段室へのドアの設置、児童用渡り廊下の設置を行っている。高齢者が使用する施設については、手摺の設置、出入り口段差解消、身障者用トイレの設置、床暖房の設置等を行っている。また内装については、障子やふすまの設置、仕上げ材に木を使用する等、潤いを持たせている。設備配管についても露出配管は極力避けている。 |
| ● | 現地調査担当委員の感想 転用施設と学校は建物として明確に区分されて、それぞれが独立した施設として機能しているが、同じ校地内に並存し、同じルートを通ってそれぞれの施設にアクセスしていることから、お互いの存在を意識し合い、自然な交流が育ってきている。学校にとっても実物教材としてのメリットの大きな転用施設となっている。 学校が地域コミュニティの中心に位置していることを想起すると、地域施設機能が学校に充実されることは地域施設にとって望ましい。 |
| ● | 転用施設の内容 2階の2教室及びトイレ、階段室部分をデイサービスセンターに転用。 |
| ● | 転用の経緯 羽曳野市全体で、高齢化率は13.7%で、この数値は急速に高まりつつある。これを受け、市では老人保健福祉計画において平成11年までにデイサービスセンターを7ヶ所整備する計画を立てた。 既設のデイサービスセンターは特別老人養護施設の併設型であり、地域密着型にしていきたいという考え方から、小中学校の余裕教室を活用することを市全体で検討した。 このような背景から、教育委員会と学校、保健福祉部で協議を進め、学校の了解を得て、教育委員会に埴生小学校の余裕教室をデイサービスセンターに転用することについて承認を得て、財産処分報告に至った。 |
| ● | 交流活動内容 特に教育カリキュラムの中に組み込むことはしていないが、児童会で学校行事の際に交流が企画されたり、学年毎に老人の方々から話を聞かせてもらう機会を持ったり、一緒に工作をしたりしている。 |
| ● | 施設計画上の配慮事項 専用のアプローチ、玄関を設け、児童とは別に動線は確保しているが、日常的なふれあいが大切と考え、普段から児童もこの部分から出入りを行っている。また隣接する地区公園と将来的には連絡させるなど、周辺の社会資源の有効活用を考えている。 トイレについては、男女別に、ゆったりとしたトイレを確保し、それとは別に車椅子用のトイレを設けている。また各々から非常時には人が呼べるようにコールボタンが設置されている。 床にはフローリングを使用し、セミオープンプランの採用で全体に明るく、一体感のある施設としている。他に送迎車輌用の専用通路を整備し、玄関に自動車が横付け出来るようにしている。 |
| ● | 現地調査担当委員の感想 D型サービスセンターとして学校施設の東南部にある別棟の2階の利用は、最高の条件である。児童との動線を交錯させないために、新たに専用の門とスロープを新設し、学校教育とデイサービスセンターの各々の独立性を確保している。 |
Copyright (C) Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology