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公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する施設整備基本方針

平成18年4月24日 文部科学省告示第61号 
(最終改正 平成28年8月2日 文部科学省告示第203号)

    公立の義務教育諸学校等施設(義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律(昭和33年法律第81号。以下「法」という。)第11条第1項に規定する義務教育諸学校等施設をいう。以下同じ。)は、児童生徒等の学習・生活の場であり、公教育を支える基本的施設となっている。地域住民にとっては、生涯にわたる学習、文化、スポーツなどの活動の場として利用される身近な公共施設であるとともに、災害発生時には地域の避難所としての役割を果たす多機能かつ重要な施設となっている。
    このような公立の義務教育諸学校等施設の役割を踏まえ、児童生徒等の安全を守り、安心で機能的かつ豊かな教育環境を確保するとともに地域住民の安全と安心の確保に資することを目的として、地方公共団体の創意工夫を活かしながら公立の義務教育諸学校等施設の整備を着実に進めていく必要がある。
    この基本方針は、このような認識の下に、公立の義務教育諸学校等施設の整備を推進するため、公立の義務教育諸学校等施設の整備の目標に関する事項その他公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する重要事項を定めるものである。


一 背景

   近年、公立の義務教育諸学校等施設については、平成27年度までの耐震化完了を目標に、補助率の嵩上げ等制度の充実を図りつつ、重点的な整備を進めてきた。その結果、構造体の耐震化は概ね完了した状況となっている。
    平成28年4月に発生した熊本地震においても、構造体の耐震化や吊り天井(照明器具及びバスケットゴール等高所に設置されたものを含む。以下同じ。)の耐震対策が実施されていた施設については倒壊や大規模な天井の落下はなく、多くの地域住民が避難所として公立の義務教育諸学校等施設を利用したところである。
    しかしながら、未だに構造体の耐震化や吊り天井の耐震対策が未了の施設や、老朽化による劣化が著しく安全性等に問題のある施設も存在しており、これらについては一刻も早く対策を完了することが課題である。また、地域住民の避難所として十分に役割を果たすことができるよう、公立の義務教育諸学校等施設の防災機能をより一層強化することも課題である。
    公立の義務教育諸学校等施設については、昭和40年代後半から50年代にかけての児童生徒急増期に建設された大量の校舎等が一斉に更新時期を迎えてきており、老朽化が深刻さを増している。これまで耐震化を優先して進めてきたために、老朽化対策の遅れが全国的に生じており、建築後25年以上を経過した未対策の校舎等が保有面積の約7割を占めるなど、対策の実施が喫緊の課題となっている。古い工法で外壁・窓等が設置されている施設や、経年劣化が著しい施設では、施設の老朽化に起因して非構造部材等の破損・脱落等の事故が頻発しており、地震発生時には被害がより大規模に拡大する危険性が高い。児童生徒等の安全確保はもとより、防災機能を強化する観点からも、老朽化対策を速やかに実施し、多機能型の学校施設を実現することが必要である。
    さらに、近年の公立の義務教育諸学校等施設については、小中一貫教育等多様な教育活動に柔軟に対応できるスペースの確保や情報化への対応等の質的向上を図るとともに、地球温暖化等の環境問題に対応するためのエコスクール化、トイレ環境の改善や空気調和設備の設置等の社会的要請にも応えていく必要があり、老朽化対策の実施に当たっては、これらについても取り組むことが重要である。
    このような状況を踏まえた上で、各地方公共団体が地域の実情等に応じ、主体的に公立の義務教育諸学校等施設の整備の計画的な推進を図る必要がある。       


二 公立の義務教育諸学校等施設の整備の目標に関する事項


    地方公共団体は、学校種別ごとに策定された「学校施設整備指針」等を踏まえ、特に、次に掲げる事項に留意し、公立の義務教育諸学校等施設の整備を進めることが重要である。


1 公立の義務教育諸学校等施設の老朽化対策を図る整備
   
    老朽化対策については、膨大な整備需要が見込まれる中、安全性を最優先として、公共施設等総合管理計画等を踏まえつつ、将来の財政状況を見通し支出の平準化を図りながら、改修等の実施時期や規模等を定めた中長期的な整備計画を策定し、計画的に整備を進めることが必要である。
    その際、築後40年を超過する老朽化した施設の更新に当たっては、施設の長期的な使用を図るための改修(以下「長寿命化改修」という。)に重点を移すこととし、長寿命化改修が合理的ではない場合(施設の劣化の状況、経済効率性又は立地環境等の要因から長寿命化改修に適さない場合等)には建て替えとするなど、整備手法を工夫することが重要である。
    また、長寿命化改修の実施に当たっては、単に数十年前の建設当初の状態に戻すのではなく、近年の多様な教育活動や情報化等に対応できるよう教育環境の質的向上を図るとともに、現代の社会的要請に応じた整備を行うことが必要である。
    なお、平成28年度から32年度までの5年間は、特に安全面に支障がある老朽化が著しい施設の更新等、緊急性の高い事業から優先的に実施を図ることが必要である。


2 地震、津波等の災害に備えるための整備
   
    児童生徒等と地域住民の生命の安全を確保するために、平成27年度までに構造体の耐震化や吊り天井の耐震対策が完了していない全ての公立の義務教育諸学校等施設について、早期に耐震性の確保に取り組むことが必要である。また、老朽化対策を中心として、天井材や内・外装材等の非構造部材の耐震対策にも万全を期することが重要である。
    さらに、公立の義務教育諸学校等施設は、地震等の災害発生時には地域の避難所としての役割を果たすことから、耐震化のみならず、地域防災計画を踏まえ、バリアフリー化、トイレ、非常用電源、貯水槽、井戸、備蓄倉庫等を整備することにより、防災機能の強化を図ることが必要である。また、津波による被害が発生する可能性がある地域においては、児童生徒等の避難経路を確保する等の工夫をする必要がある。
    なお、これらの施設整備に当たっては、学校施設予算のみならず、防災関連予算等の関係行政分野の予算を活用しながら整備していくことが適当である。

3 防犯対策など安全性の確保を図る整備
   
    公立の義務教育諸学校等施設については、学校に不審者が侵入するなどの事件に鑑み、不審者侵入の防止など児童生徒等を犯罪から守るための防犯対策に配慮した施設整備を図る必要がある。
    また、学校施設等における吹き付けアスベスト等使用実態調査によりアスベストの使用が明らかになった施設のアスベスト対策や、衛生管理の充実強化など、児童生徒等の安全対策には万全を期する必要がある。


4 教室不足の解消等を図る整備
   
    公立の義務教育諸学校等施設については、社会的、自然的要因による児童生徒数の増加等に伴い、小学校、中学校、義務教育学校及び特別支援学校の教室等に不足が生じる場合、小学校、中学校及び義務教育学校を適正な規模にするために統合する場合又は障害のある児童生徒等が学校生活を送る際に施設面に課題があるなどの場合には、教室数等について、必要な水準を安定的に確保する必要がある。また、新増築整備のみならず、既存施設を大規模改修して活用するなど、多様な手法を検討することも有効である。
   
5 教育環境の質的な向上を図る整備
   
    公立の義務教育諸学校等施設については、老朽化対策の実施にあわせて、教育内容・教育方法等の変化や、地域との連携、環境との共生、バリアフリー化、木材の積極的な活用、太陽光をはじめとする再生可能エネルギーの導入、教育の情報化、トイレ環境の改善や空気調和設備の設置等の様々な社会的要請、地球温暖化等の自然的要因を踏まえ、これに適切に対応するために教育環境の質的な向上を図ることが必要である。
    また、児童生徒の学校教育活動の充実や、地域と学校の連携の強化に資するよう、学校施設と公共施設(社会教育施設や福祉施設等)との複合化等による施設整備を検討することも有効である。


6 施設の特性に配慮した教育環境の充実を図る整備
 
(一)産業教育施設
     
    産業教育施設については、我が国の産業経済の発展の基礎となる産業教育を行い、産業経済の発展を担う専門的職業人を育成する重要な役割を果たしていることから、実験実習のために必要な施設を計画的に整備し、産業教育の振興を図っていくことが必要である。
 
(二)幼稚園等施設
     
    幼稚園等(法第11条第1項に規定する幼稚園等をいう。以下同じ。)及び幼保連携型認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第7項に規定する幼保連携型認定こども園をいう。)の施設については、幼児期にふさわしい発達を促すことに留意し、質の高い幼児教育の機会が提供されるように整備を進めていく必要がある。その際、幼稚園等については、従来の幼児教育の機能に加え、必要に応じて、保育・子育て支援を総合的に提供できる施設の整備を推進することが重要である。
     
(三)学校給食施設
     
    学校給食施設については、学校給食における食中毒の発生を防ぎ、食の安全を確保するため、学校給食衛生管理基準(平成21年文部科学省告示第64号)を踏まえ、汚染作業区域と非汚染作業区域を区分するとともに、床を乾いた状態で使用するドライシステム方式等による調理施設の整備を推進することが必要である。


(四)スポーツ施設
     
    スポーツ施設については、施設の老朽化等を背景として施設数が減少する等、地域におけるスポーツ環境を持続的に整備することが一層困難になると予想される中で、児童生徒の体力の低下等の問題、中学校学習指導要領において必修とされている武道の安全かつ円滑な実施、地域住民への適切なスポーツ機会の提供等に対応するため、各地域の中核となるスポーツ施設や学校におけるスポーツ施設について計画的に整備していくことが必要である。その際、地域の防災拠点としての役割も踏まえ、地域のスポーツ施設と学校におけるスポーツ施設の双方が連携し、互いに効率的な利用ができるようにすることが重要である。


三 その他公立の義務教育諸学校等施設の整備に関する重要事項


    この基本方針は、諸情勢の変化等を踏まえ、今後概ね5年を目途に見直しを行うこととする。


-- 登録:平成23年05月 --