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学校施設は、児童生徒が一日の大半を過ごす学習や生活の場であるとともに、非常災害時には地域住民の応急避難場所としての役割をも果たすことから、その安全性の確保のための耐震化の推進は重要です。しかし、平成15年4月に実施した文部科学省の調査によると、公立小中学校の半数以上の建物については耐震性が確認されておらず、公立学校施設の耐震化は喫緊の課題となっています。
【平成15年4月1日現在の全国公立小中学校施設の耐震化状況】
また、公立学校施設の多くは、昭和40年代から50年代の児童生徒急増期に建築されたものが多く、老朽化した建物が増加しています。平成15年5月1日現在、公立小中学校のうち、建築後20年から29年を経過した建物は全体の約42%、建築後30年以上を経過した建物は全体の約29%を占めており、公立学校施設の老朽化対策も重要な課題となっており、今後経年とともにますますその重要性が高まるものと考えられます。
【全国公立小中学校非木造建物の経年別保有面積(校舎・屋体・寄宿舎合計)】
(平成15年5月1日現在)
保有面積単位:万 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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経過年数 | 平成15年度 | |
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保有面積(万) | 割合(%) | |
30年以上 | 4,671 | 29.0 |
20~29年 | 6,682 | 41.5 |
20年未満 | 4,739 | 29.5 |
合計 | 16,092 | 100.0 |
公立学校施設を取り巻く以上のような状況を踏まえ、地方公共団体においては公立学校施設の適切な整備を進めていく必要がありますが、現在の厳しい地方財政状況を勘案すれば、計画的で効率的な整備が求められることとなります。
一方、公立学校施設の整備に当たっては、その安全性の確保のみならず、児童生徒の「生きる力」をはぐくむための教育環境の充実や、地域と学校との連携の推進という観点も十分に考慮する必要があります。
平成14年4月から実施されている新学習指導要領は、自ら学び、考える力などの「生きる力」をはぐくむことを基本的な狙いとしており、選択学習の幅の拡大、個に応じた指導の充実などの特色を有しています。このように、学校教育における教育内容や教育方法が多様化する中で、個別学習や少人数指導による学習などの多様な学習形態に対応した施設整備を進めていくことが重要です。
また、公立学校施設は、地域住民にとって最も身近な公共施設であり、生涯学習など様々な活動の拠点としての活用を推進していくことも重要です。このため、様々な利用者が有効に活用できる施設として計画するとともに、学校開放の運営と維持管理の行いやすい施設となるよう計画することが重要です。
さらに、児童生徒の体験的活動の充実や学校と地域社会との連携を図る上で、学校施設と社会教育施設や高齢者福祉施設等との複合化は有効であると考えられています。現在、いくつかの地方公共団体においては、このような複合施設の整備が進められており、その実施に当たってはPFI方式を導入している事例もあります。(参照ページはこちら)
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-- 登録:平成21年以前 --