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みんなのものを大切にする



 
イラスト:落書きをする子どもたち

   「先生,先生,小さい組の子がホールで大変なことをしているよ」と5歳児の幼児が走ってきました。あわててホールにいってみると,壁や修了記念に送られたピアノカバーにマジックでいくつもの落書きがしてあります。

「ここにもオバケがいるのね。」

「おもしろいね。」

イラスト:落書きを消そうとするけど・・・

   園長,主任,担任,主事さん,幼稚園中の大人が集まって,壁をこすり始めました。それでも落書きは消えません。
   子どもたちも一緒に落書きを消し始め,壁の落書きはなんとか消えました。

イラスト:うなだれる子どもたち

   ところが,ピアノカバーの落書きはこすってもこすっても消えません。
   ひとりの幼児の「どうするの?また買うの?」の問いかけに,「このカバーはね,修了の記念にお母さんたちが特別につくってくれたものなのよ。だから買い換えることはできないし,つくり直すこともできないのよ。本当に困ったわねえ」
と園長のきびしい一言。
   子どもたちはすっかりうなだれてしまいました。

イラスト:ほっとする子どもたち

   軽い気持ちでやったことがとんでもないことになってしまったことに,だんだんと気がついてきた子どもたち。
   「仕方がないわね,これからは大切に使いましょう」
   園長の言葉に子どもたちはやっとほっとした表情になりました。

   幼児は,してよいことや悪いことの区別がつかなかったり,分かっていても,面白いからついしてしまうことがよくあります。そんなとき,叱ることで,幼児にしてはいけないことを理解させたつもりになってしまうことがありますが,叱るだけでは指導として十分ではありません。失敗の場面では,叱られることでしてはいけないことだったことを理解するとともに,許されていく過程を通して自分自身を取り戻していく体験が重要なのです。