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幼児教育振興アクションプログラム 本文

平成18年10月4日
文部科学省

第1 趣旨

 本プログラムは,幼児教育の振興に関する施策を効果的に推進するため,国公私立の幼稚園,認定こども園における教育の条件整備を中心とした文部科学省(以下「国」という。)の施策に関する計画を定めるとともに,地方公共団体において取り組むことが望まれる施策を示した,総合的な行動計画である。

第2 実施期間等

  •  本プログラムの実施期間は,平成18年度から平成22年度までとする。
     ただし,幼児教育をめぐる状況の変化を踏まえ,国は,適宜本プログラムの見直しを行うとともに,施策の実施状況について,中間年での評価を行う。
  •  各都道府県及び各市町村においては,本プログラムを踏まえ,既に策定されている幼児教育の振興に関する政策プログラム(以下「政策プログラム」という。)の活用も図りつつ,地域の実情等を考慮した政策プログラムを策定又は改定することが望ましい。
     特に,次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針にある「幼児教育の充実」の内容を充実させるためにも,その策定に努めることとする。

第3 基本的考え方

  •  中央教育審議会答申「子どもを取り巻く環境の変化を踏まえた今後の幼児教育の在り方について」(平成17年1月28日)では,人間形成の基礎を培う幼児教育の重要性にかんがみ,「家庭」,「地域社会」,「幼稚園・保育所等の施設」それぞれが幼児教育を充実させるとともに,これらが相互に十分な連携を図っていくことが必要であるとの幼児教育の全体像が明らかにされた。
  •  また,少子高齢化の進展の中で,次代を担う人材の育成は重要な課題であり,生涯にわたる人格形成の基礎を担う幼児教育の重要性はますます大きくなっている。このため,国として幼児教育の充実が求められている。
  •  本プログラムは,これらの状況等を踏まえ,家庭が幼児の成長の最も基礎となる心身の基盤を形成する場であることを前提に,幼稚園,認定こども園における教育の条件整備に関する国の施策を中心にとりまとめている。
     幼稚園,認定こども園については,幼児教育の中核としての役割を担うものであり,本プログラムの推進により,もって幼児教育全体の質の向上を図ることをねらいとする。
  •  特に,国は,「教育の機会均等」,「教育水準の維持・向上」という基本的な役割を果たすため,以下の視点に立って施策の展開を図る。
    7つの施策の柱
    1. 幼稚園・保育所の連携と認定こども園制度の活用の促進
       幼稚園教諭・保育士の資格の併有促進や研修の充実等を進めることにより幼稚園と保育所の連携を一層促進するとともに,認定こども園の制度化を踏まえた施策の充実を図る。
    2. 希望するすべての幼児に対する充実した幼児教育の提供
       幼児期の発達の特性に照らして,幼児の自発的な活動としての「遊び」を重要な学習として位置づけ,教員による組織的・計画的な指導を「環境を通して行う」幼児教育の基本に立って,その活動を一層充実する。併せて,教育機会の確保,教育環境の充実,障害のある幼児に対するきめ細かな対応の推進,保護者負担の軽減等の施策を進めることにより,これまでに策定された幼稚園教育振興計画等の経緯をふまえつつ,入園を希望するすべての満3歳児〜5歳児への幼児教育の機会を確保する。
    3. 発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実
       幼児教育と小学校教育との連携を推進するとともに,未就園児の円滑な幼稚園就園を進めることにより,幼児の発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実を図る。
    4. 教員の資質及び専門性の向上
       幼稚園教員の養成・採用・研修の各段階における施策を充実させ,教員の資質及び専門性を向上させることにより,幼児教育の水準の維持・向上を図る。
    5. 家庭や地域社会の教育力の再生・向上
       幼稚園、認定こども園が「親と子の育ちの場」としての役割を担い,子育て支援機能等を充実させることにより,家庭や地域社会の教育力の再生・向上を図る。
    6. 生涯学習振興施策における家庭や地域社会の教育力の再生・向上
       きめ細かな家庭教育の支援や地域における子どもの育ちの環境の改善を図る生涯学習振興施策を進めることにより,家庭や地域社会の教育力の再生・向上を図る。
    7. 幼児教育を地域で支える基盤等の強化
       地域の人材の活用,幼児教育の質の向上のための評価等の推進,幼児教育を推進しやすい行政体制の構築等を進めることにより,幼児教育を地域で支える体制を強化する。
  •  なお,保育所における幼児教育の充実等,主に保育所に係る事項については,特に,次世代育成支援対策推進法に基づく各行動計画等の中での施策の充実が望まれる。

第4 目標及び具体的施策

1.幼稚園・保育所の連携と認定こども園制度の活用の促進

目標1 幼稚園と保育所の連携を一層促進するとともに,幼稚園と保育所とで区別なく,小学校就学前の子どもの育ちを支える体制を整備する。

(1)幼稚園と保育所の連携の促進

  • 1研修の充実
     国及び地方公共団体は,認定こども園等幼稚園と保育所の連携を研修の一つのテーマとして取り上げ,幼稚園と保育所の関係者がともに参加する機会の充実に努める。
  • 2幼稚園教諭・保育士の資格の併有の促進
     国及び地方公共団体は,幼稚園教諭免許と保育士資格の併有を促進するための施策の充実に努める。
  • 3教育・保育内容の整合性の確保
     国は,幼児教育の実施にあたり,幼稚園教育要領と保育所保育指針における教育・保育の目標やねらい,指導事項等の内容の整合を図る。
  • 4窓口の一本化
     地方公共団体は,小学校就学前の子どもの育ちに関する保護者向けサービス窓口等について,事務の一元的な対応に努める。
  • 5相互理解の促進
     国及び地方公共団体は,幼稚園・保育所の関係者の意見交換や相互の交流を更に進め,それぞれが積み上げてきた経験の共有に努めるとともに,相互理解を促進する。

(2)認定こども園制度の活用促進

  • 1認定こども園制度の周知促進
     国及び地方公共団体は,小学校就学前の子どもの育ちに関する機能の充実が図られるよう,地域の実情に応じて,認定こども園制度の周知・活用に努める。
  • 2認定こども園に関する事務手続きの簡素化
     国及び地方公共団体は,利用者や施設の視点に立って,関係機関間の連携を強化し,認定こども園に関する事務手続きの簡素化に努める。
  • 3認定こども園制度の活用促進
     地方公共団体は,幼保連携型認定こども園について,幼稚園と保育所の合計定員が現在の幼稚園認可基準に達する場合には,幼稚園の定員が10人程度の少人数であっても,幼稚園の認可を認めるなど,地域のニーズに応じた認定こども園制度の活用に努める。
  • 4認定こども園の質の確保・向上
     国は,認定こども園における評価の在り方について検討を行うとともに,研修の充実を図り,認定こども園の質の確保・向上に努める。
  • 5認定こども園制度の機能強化
     国は,幼児教育の振興に当たっては,幼稚園教育に関する施策を認定こども園についても活用を図り,認定こども園の活用促進に努める。

2.希望するすべての幼児に対する充実した幼児教育の提供

目標2 入園を希望するすべての満3歳児〜5歳児に対して質の高いきめ細かな幼児教育を提供する。

(1)教育機会の確保

 国及び地方公共団体は,幼稚園,認定こども園の活用等により,入園を希望するすべての満3歳児〜5歳児が幼児教育を受けられる機会の確保を図る。

(2)教育活動の充実

  • 1幼児教育の理解推進
    • (ア) 国及び地方公共団体は,研究協議会等の開催により,幼稚園教育要領の趣旨や内容について,幼稚園・保育所・認定こども園関係者等の理解が深まるよう努める。
    • (イ) 国及び地方公共団体は,幼児教育の重要性や幼稚園教育の内容や活動(「遊び」,「環境を通して行う」などの独自性を表す用語を含む。)について,パンフレットや用語集等を作成し,保護者・地域の人々等の理解に資するよう努める。
  • 2学級規模の在り方の検討
     国は,幼児の年齢や発達状況に対応したきめ細かな教育を推進するため,例えば1学級の幼児数を30人以下とするなど,幼稚園設置基準の改正も視野に入れた適切な学級規模の在り方について検討する。

(3)教育環境の充実

  • 1幼稚園の施設整備の推進
     国は,教育環境の充実に加えて,耐震化,アスベスト,防犯等の安全対策にも対応できるよう,所要の施設整備費を確保する。
  • 2教員配置の改善
    • (ア) 市町村は,公立幼稚園の園長及び教諭の給与費が,地方交付税を算定する際の基準財政需要額に算入されていることを踏まえ,専任の園長及び教諭の配置(特に非常勤講師の学級担任の抑制)に努める。
    • (イ) 国は,幼稚園の学級制・学年制を原則として,保育所の職員配置の基準も参考にしつつ,教員1人当たりの望ましい幼児数の在り方について検討する。
  • 3施設整備の在り方の検討
     国は,教育活動の充実を図るため,例えば「子育て支援室」の整備など,幼稚園設置基準の改正なども視野に入れた施設設備の在り方を検討する。

(4)障害のある幼児に対するきめ細かな対応の推進

  • (ア) 国は,幼稚園における障害のある幼児の受入れを促進し,当該幼児に対する適切な指導及び必要な支援を行うため,私学助成(幼稚園特殊教育経費)の充実や公立幼稚園に対する地方交付税の確保を図るとともに,実践的な調査研究を実施して,その成果を普及する。
  • (イ) 国及び地方公共団体は,その設置する盲・聾・養護学校(平成19年度からは,特別支援学校)が地域の幼稚園,小中学校等の要請に応じて助言援助を行う「センター的機能」を通じ,障害のある幼児の教育に関する支援の充実に努める。
  • (ウ) 国及び地方公共団体は,発達障害のある幼児を早期に発見し,早期の発達支援を行うことなどを定めた発達障害者支援法等も踏まえ,幼児から就労に至るまでの一貫した支援体制が整備されるよう,教育,医療・保健,福祉,労働等の関係の部局や機関が連携して行う幼稚園等への支援の促進に努める。

(5)保護者負担の軽減等

  • 1幼稚園就園奨励事業の充実
    • (ア) 国は,幼稚園就園奨励費補助を充実することにより,公私立幼稚園間の保護者負担の格差の是正を図る。
    • (イ) 国は,幼稚園就園奨励費補助における第2子以降の園児が優遇を受ける措置を充実することにより,子どもの多い世帯の経済的負担の軽減を図る。
    • (ウ) 地方公共団体は,保護者負担の軽減を図るため,幼稚園就園奨励事業の実施に努める。
  • 2私学助成の充実
     国は,私立幼稚園に対する経常的経費の補助を充実することにより,保護者の経済的負担の軽減を図る。
  • 3幼児教育の無償化の検討
     国は,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」(平成18年7月7日閣議決定)を踏まえ,幼児教育の将来の無償化について歳入改革にあわせて財源,制度等の問題を総合的に検討する。

3.発達や学びの連続性を踏まえた幼児教育の充実

目標3 各都道府県において,少なくとも1例以上,幼稚園と小学校間の長期にわたる派遣研修もしくは人事交流を実施する。

(1)小学校教育との連携・接続の強化

  • 1教育内容・方法の充実
    • (ア) 国は,幼稚園において小学校以降の生活や学習の基盤を培う指導(特に,5歳児を対象とした「協同的な学び」の実施等)を一層充実するため,幼稚園教育要領の改訂を検討する。
    • (イ) 地方公共団体は,域内の幼稚園が小学校教育との移行に配慮した教育課程・指導計画等を策定・実施できるよう,例えばモデルカリキュラムを策定するなど,各種支援に努める。
    • (ウ) 国は,生涯を通じた食育の重要性をふまえ,幼児期から望ましい食習慣等を身に付けられるよう,幼稚園教育要領の改訂を検討するなど,幼稚園における食育を推進する。
  • 2教員の長期派遣研修・人事交流の推進
    • (ア) 都道府県は,政策プログラムにおいて,幼稚園教員と小学校教員の相互の免許併有率の目標値の記載に努める。
    • (イ) 地方公共団体は,例えば以下のような長期(6ヶ月以上)にわたり派遣する研修もしくは人事交流の実施に努める。
      • <公立小学校と私立幼稚園間>
         都道府県・市町村と受入幼稚園は,連携・協力して,公立小学校教員を私立幼稚園に長期にわたり,派遣する研修を実施 等
      • <公立幼稚園と公立小学校間>
         都道府県と市町村は,連携・協力して,公立幼稚園教員と公立小学校教員との間で人事異動を伴う人事交流を実施 等
    • (ウ) 国は,幼稚園教員と小学校教員の長期派遣研修・人事交流が適切に行われるよう,その仕組みや研修内容等についてガイドラインを策定する。
    • (エ) 地方公共団体は,幼稚園教員と小学校教員が相互の教育内容や指導方法の理解を推進するため,特に5歳児の担任と小学校1年の担任を中心に,保育参加・授業参加を通した合同研修の実施に努める。
  • 3幼小連携の明確化・制度化
    • (ア) 国は,幼児教育と小学校教育の具体的な連携方策を教育課程上明確にすべきとの中央教育審議会における意見を踏まえ,幼稚園教育要領において,幼児教育と小学校教育の連携(以下「幼小連携」という。)の推進に関する記述の明確化を検討する。
    • (イ) 国は,子どもの発達や学びの連続性の重要性に鑑み,学校教育法における幼児教育の在り方などを含め,幼小連携の在り方について検討する。
    • (ウ) 国は,幼小連携を一層推進するため,教員・生徒間交流などの面での幼小連携の成果や課題に関する情報の提供に努めるとともに,幼小一貫教育についても検討する。
    • (エ) 地方公共団体は,幼小連携の理解を深め,幼児の小学校への円滑な接続を図るため,地域の幼児教育の関係者と小学校等の関係者による連絡協議会を設けるなどして,連携・協力体制の整備に努める。

(2)未就園児の円滑な幼稚園就園の推進

  • 1幼稚園における未就園児に対する幼児教育の推進
    • (ア) 国は,私学助成(子育て支援活動の推進)の充実や公立幼稚園に対する地方交付税の確保を図ることにより,幼稚園における親子登園や園庭開放等による未就園児と園児との触れ合いやかかわりあいの機会等の増加を図る。
    • (イ) 国は,未就園児が,家庭・地域における生活から幼稚園に無理なく円滑に移行できるよう,低年齢児の発達や特性への理解の促進を図るとともに,発達に即した幼児同士のかかわりあい,それに資する遊具・園具等の研究を行う。
  • 2幼稚園就園当初の園児に対するきめ細かな対応の推進
     国は,特に,幼稚園就園当初の園児に対するきめ細かな対応を図るため,私学助成(少人数教育等きめ細かな学習指導等の推進)の充実等を通じて,ティーム保育を推進する。

4.教員の資質及び専門性の向上

目標4 幼稚園教諭一種免許状を所有する現職幼稚園教員数について,おおむね現行(約2万1千人)の2〜3割増を目指す。

(1)教員養成の改善・充実

  • 1教員養成の改善
    • (ア) 国は,幼稚園教員免許課程認定大学への最新の幼児教育に関する行政情報等の提供を通じて,当該大学間における幼児教育に関する情報交換の活性化等が進むよう,大学間のネットワークづくりを支援する。
    • (イ) 国は,大学における幼稚園教員の養成や現職教育の充実・強化のための取組を支援する。
  • 2一種免許状の取得の機会の拡大
     国は,一種免許状の取得の機会の拡大を図るため,短期大学における専攻科の設置が届出であることも踏まえ,情報提供等を通じ,その設置に向けた自主的な取組を支援する。

(2)教員採用・配置・待遇の改善・充実

  • 1一種免許状所有教員の採用・配置の促進
    • (ア) 都道府県は,政策プログラムに,幼稚園教員の一種免許状所有率の目標値の記載に努める。
    • (イ) 国は,各都道府県内の幼稚園における一種免許状所有教員の配置数の改善のための支援措置に向けた取組を行う。
  • 2優秀教員の表彰の実施
     国は,各地方公共団体における優秀教員や優秀園への表彰・顕彰等に係る自主的な取組を促進する。

(3)教員研修の改善・充実

  • 1園内研修の改善・充実
     国は,園内研修の改善・充実を図るため,日々の教育を反省・評価し週・日案の作成に生かす方法,個々の教育課題の解決を図る研修方法,職員会議の開催方法等の好事例を収集し,普及を図る。
  • 2行政主催研修の改善・充実
    • (ア) 国は,「各地域の中核となる校長・教頭等の育成を目的とした研修」(独立行政法人教員研修センターにおいて実施)において,幼児教育担当者を派遣するなど,研修内容の充実を図る。
    • (イ) 国は,地方公共団体等が主催する幼稚園教員の新規採用教員研修・10年経験者研修・園長等専門講座等について,就園前の子どもへの理解,障害のある幼児への適切な指導,幼小連携,カウンセリングを含めた子育て支援等の課題に対応した研修内容への改善・充実が図られるよう努める。
    • (ウ) 地方公共団体は,その主催する研修に,私立幼稚園教員等の参加を一層促進するとともに,その研修計画等を策定する際に,私立幼稚園団体等関係者の参画に努める。
  • 3幼稚園教育研究団体主催研修への支援
     国及び地方公共団体は,当該職員の出前講義等による,幼稚園教育研究団体主催の研修の支援に努める。
  • 4免許法認定講習の拡大
    • (ア) 国は,すべての都道府県において,幼稚園教諭一種免許状取得に係る免許法認定講習が開設されるよう支援し,その実施状況について適宜公表する。
    • (イ) 国は,免許法認定講習について,中核市教育委員会が開催できるよう,実施主体の拡大を検討する。また,教育研究団体等の参画の方法についても検討する。

5.家庭や地域社会の教育力の再生・向上

目標5 幼稚園及び認定こども園が「地域の幼児教育のセンター」としての役割を果たすよう,当該園児のみならず,地域の幼児及びその保護者を対象とする子育て支援活動を推進する。

(1)子育て支援活動・「預かり保育」の推進

  • 1子育て支援活動の推進
    • (ア) 国は,私学助成(子育て支援活動の推進)の充実や公立幼稚園に対する地方交付税の確保を図り,子育て支援活動を推進する。
    • (イ) 国は,各地方公共団体の協力の下,幼稚園及び認定こども園における子育て支援活動の実態を調査するとともに,子育て支援活動に関する参考資料を作成し,普及を図る。
    • (ウ) 国は,家庭や地域社会の教育力を再生・向上させる観点から,幼児教育における子育て支援活動の意義や位置付けの明確化について検討する。
    • (エ) 地方公共団体は,中学生・高校生等これから親になる世代に対して,幼稚園等の幼児と接する体験の機会の提供に努める。併せて,幼児が小学生等の異年齢児とともに育つ機会の提供に努める。
  • 2「預かり保育」の推進
    • (ア) 国は,私学助成(預かり保育推進事業)の充実や公立幼稚園に対する地方交付税の確保を図り,「預かり保育」の取組を推進する。
    • (イ) 国は,各地方公共団体の協力の下,「預かり保育」の実態調査を通じて,子どもの視点に立った,「預かり保育」の内容の充実やその質の向上のための新しい「預かり保育」の参考資料を作成し,普及する。
    • (ウ) 国は,家庭や地域社会の教育力を再生・向上させる観点から,幼児教育における「預かり保育」の意義や位置付けの明確化について検討する。また,「預かり保育」のより適切な名称についても,あわせて検討を行う。

(2)地域の教育団体等との連携による幼児教育の総合的な推進

  • 1地域の教育団体等の利用の推進
     市町村は,教育上支障のない限り,地域で活動している幼児教育に関する教育団体・子育て支援団体等による園庭や余裕教室等の利用が進むよう,情報提供等に努める。
  • 2家庭・地域社会・幼稚園等の三者による幼児教育の総合的な推進
    • (ア) 国は,幼児の日々の生活の連続性を確保するため,幼児教育とその後の家庭や地域社会での教育とが一貫して総合的に提供されるよう(「幼児教育の総合化」),モデル事業の実施やその成果の普及を図る。
    • (イ) 地方公共団体(特に市町村)は,幼児教育の総合化を推進するため,幼稚園等と地域の教育団体・子育て支援団体等を円滑につなぐコーディネーターの役割を担うよう努める。

6.生涯学習振興施策における家庭や地域社会の教育力の再生・向上

目標6 子どもたちが家庭や地域社会の中で伸び伸びと育まれるような環境を整備する。

(1)家庭の教育力の再生・向上

  • 1すべての親に対するきめ細かな家庭教育の支援
     国は,家庭教育に関する学習機会や情報を提供するため,以下の施策を実施する。
    •  子育てのヒント集として家庭教育手帳を作成し,幼児や小学生等を持つ全国の親に配付
    •  様々な機会を活用した子育て講座の開設の推進
    •  携帯電話やパソコンなどのITを活用し,子育てに関する学習機会や情報の提供等の推進
  • 2社会全体による家庭教育の支援
    • (ア) 国は,気軽に子育てに関する相談に応じる人材の活動支援を通じ,相談体制の整備を推進する。特に,子育ての悩みなどを抱える家庭に対する訪問型の育児相談や,地域の子育てサークル,子育て講座等に関する情報提供等を推進する。
    • (イ) 国は,子どもの望ましい基本的生活習慣を育成し,生活リズムを向上させるため,全国的な普及啓発活動や地域における先進的な実践活動の調査研究を行うとともに,PTA等の民間団体で構成される「早寝早起き朝ごはん」全国協議会と連携し,国民運動を展開する。

(2)地域社会の教育力の再生・向上

 国は,地域住民等の力を結集した地域づくりや地域社会における子どもの育ちの環境の改善を図るため,以下の施策を実施する。

  •  地域の大人たちの協力による,子どもたちの安全で安心な居場所づくりの普及・定着を推進
  •  地域の教育力向上に関わる人材の育成を推進
  •  幼稚園におけるPTA活動の推進
  •  社会教育施設等を活用して,読み聞かせや子どもたちの交流の機会等を促進
  •  地域住民のボランティア活動の全国的な展開を推進

 なお,家庭や地域社会における教育力の再生・向上を図るためには,働き方の見直しや育児休業制度の活用の促進等,仕事と家庭の両立に向けた幅広い取組も必要であり,関係省庁と連携しつつ,各種施策の推進に努める。

7.幼児教育を地域で支える基盤等の強化

目標7 地方公共団体における幼児教育関係職員が,必要に応じて国及び都道府県の幼児教育関係職員等の支援が受けられる体制を整備する。

(1)地域の人材等の活用

  • 1専門的・技術的な人材の活用
     国は,地方公共団体が幼児教育や保育に関する専門的・技術的なアドバイザーやカウンセラーを幼稚園等に派遣する調査研究の成果の普及等を通じて,幼稚園等における専門的・技術的な人材の活用を促進する。
  • 2地域の多様な人材の活用
     市町村は,幼児教育において,学生,保育や育児の経験者,退職者等の多様な人材の活用を進めるため,人材を必要とする幼稚園等の情報を提供するなど,コーディネーターの役割を担うよう努める。
  • 3幼児教育を支える地域の人材の育成
     市町村は,地域の実情に応じて,例えば園児の保護者が中心となって幼稚園を支援するNPO等の育成を支援することなどを通じて,地域の人材が幼児教育を恒常的に支える体制づくりに努める。
  • 4地域の施設・設備の活用
     市町村は,幼児教育において,地域の図書館・博物館,児童館・公民館,公園等を教育活動の一環として利用しやすくするため,情報提供等の支援に努める。
  • 5学校評議員制度等の活用の促進
     国は,地域に開かれた幼稚園を推進するため,保護者や地域住民等が構成員である学校評議員制度等の活用を促す。

(2)幼児教育の質の向上のための評価・研究・拠点機能の推進

  • 1評価の充実
    • (ア) 国は,幼稚園における教育の水準を維持・向上し,子どもの健やかな成長を保障する観点から,自己評価,外部評価の充実を図るための評価のガイドラインを策定する。このガイドラインにおいては,幼小免許状併有率,一種免許状所有率,園内研修の実施状況等の項目を設ける方向で検討する。
    • (イ) 国は,幼稚園設置基準などの改正も視野に,自己評価とその結果の公表の義務化について検討する。
  • 2幼児教育に関する実証的な研究の推進
     国は,幼児教育の実践の課題に関する研究(例えば,義務教育につながるものとしての幼児教育の在り方の研究,幼児教育の望ましい時間の研究等)を支援し,有意な研究成果については,その活用を図る。
  • 3科学的研究成果の幼児教育への活用
     国は,脳科学等の研究成果から得られる知見を幼児教育現場等へ活用するため,子どもの情動やこころの発達上の諸問題に関する研究を振興する。
  • 4幼児教育を支援するための拠点機能の整備
     国は,地域の実情に応じ,幼児教育を支援する機能が,各都道府県で1市町村以上整備されるよう,実践的な調査研究等を推進する。

(3)幼児教育を推進しやすい行政体制の構築

  • 1市町村における幼児教育の振興
    • (ア) 市町村は,私立幼稚園等を含めた域内の幼児教育の振興の一層の推進に努める。
    • (イ) 国は,幼小連携や幼稚園と生涯学習部局との連携などの観点から,幼児教育の振興において,市町村教育委員会が積極的な役割を果たせるような支援を行う。
  • 2市町村における私立幼稚園等の担当部署の明確化
     市町村は,私立幼稚園及び認定こども園の担当部署の明確化に努める。国は,必要に応じて,情報提供を行う。
  • 3地方公共団体の幼児教育関係職員への支援
    • (ア) 国は,地方公共団体における幼児教育関係職員を支援するため,インターネット等の活用による定期的な行政情報の提供を行う。
    • (イ) 国は,都道府県及び指定都市の幼児教育関係職員を支援するため,全国ブロック単位ごとの会議の開催を推奨する。この場合,国は,幼児教育関係職員,あるいは国から委嘱を受けたアドバイザー等を派遣して,行政情報の提供や意見交換・相談等を行う。
    • (ウ) 都道府県は,各地域の実情に応じ,市町村の幼児教育関係職員を支援するため,会議等を通じて行政情報の提供,政策プログラムの好事例の紹介等に努める。国は,市町村における政策プログラムの策定が進むよう,調査研究を実施する。

以上

-- 登録:平成21年以前 --