資料2:これまでの主な意見について(第1回、第2回)

学校における医療的ケアの実施に関する検討会議(第1回、第2回)における主な意見


1.<教育委員会の検討体制の在り方について>
・実際に医療的ケア協議会が置かれていたとしても、それが本当に機能的に動いているのか、単に置かれているだけの形式的なものになっているのかというところがある。実際に置かれている協議会がいかに機能するということが大切。
・1つの県としても、大都市部と過疎地域というのを抱えており、なかなか同じシステムで動くことは難しい。それぞれの地域に合わせた形でシステムを運用していかないと、上手くいかないところがある。そういう意味で、余り枠組みを固くしてしまうと、応用できないと言うことがある。特に全体の枠組みをフレキシブルなもの、それから個々の学校においても、個別性ということも考えながら対応できるような仕組みが必要ではないか。
・教育委員会に対して、医師会が協力をしていくシステムができていけばよい。医師会の中には小児在宅や医療的ケアを専門的にやっている医師のグループがあるはずなので、先ずそちらでの働き掛けが重要。

2.<学校の検討体制の在り方について>
・医療的ケアを実施しない先生も医療的なケアの基本的な知識ということは知っておくことが必要。他の先生方がある程度、そういうケアをするということの意義とか意味とかいうことを理解されていないと、実際にケアに携わる先生方の立場が非常に少数である場合、学校の中でうまく回らないということが出てくる。他の先生方の理解が非常に大事。
・主治医と学校と、指導医も含めて意見を十分交わして、結論を1つにできるような場があるといい、役割を明確にする中で、連携やケースごとに判断をしていくようなシステムが、もっとできていかないか。
・(指導医として)こういうことができないかということを主治医から要望される場合がある。その際に、ここまではできます、これからはできませんということで、お話をして、その範囲内をある程度、学校の実情に合ったものにしていただくということを行っている。
 なので、それぞれの子供の状況が1つの状態であったからといって、同じような対応をするわけではありませんので、場合によっては保護者の方に御説明するという役割も担っている。
・ほとんどの病院では、安全管理のためにいわゆるヒヤリハットとインシデント報告を集めている。学校の中でもこれまでに起こった事例を集めて、個人情報保護にも配慮しながら、透明化することも必要ではないか。
・医療は、個別的な対応であるという点は非常に大切。それに比べると教育では、ある意味で一律にとか、同じようにという論理が、前面に出てくる。そういう場合、非常に慎重な判断に陥りがちになる。かといって普通の病院の医療をそのまま持ち込んでいくことは、あってはならないが、子供の状況に応じて判断をできる機会(共に話し合う場)を医療と教育の関係者が一緒につくることが基本ではないか。

3.<学校における医療的ケアに係る役割分担について>
・学校における医療的ケアは、自分の所属の教職員が行うものなので、主治医の判断、指導医の判断、学校医からの意見を集めた上で、校長が責任を持って、安全にできるかどうかという判断をしている。
・主治医と学校と、指導医も含めて意見を十分交わして、結論を1つにできるような場があるといい、役割を明確にする中で、連携やケースごとに判断をしていくようなシステムが、もっとできていかないか。(再掲)
・学校における医療的ケアの実施についての責任の検討に当たっては、すでに取り組まれている小児の在宅医療の取組があるものの、そこでのやり方をそのまま学校に持っていくのは当てはまらないとは思うが、連続したものなので整合性を取っていかなければならない。そうでないと指示をする医師側としても戸惑ってしまう部分があるのではないか。
・訪問看護ステーションと契約を結び、診療報酬ではなく行政が費用を払って、訪問看護師に学校に入ってもらうという形で取り組み始めている自治体がある。訪問看護師の仲間と責任を分かち合えるし、辞職を減らす効果もあって、広がっていくといいと思う。ただ、訪問看護師も、例えば、人工呼吸器の管理のように朝からずっと付きっ放しというのはなかなか難しいと思うので、常時、ケアが必要な子供に対しては、教育委員会が看護師を雇用、しっかり確保する。導尿など、時間の決まった医療的ケアだけケースであれば受け入れられやすい。医療的ケアの種類によって協力できる医療機関が違ってくることがある。
・いろいろな判断をするときに、校長先生一人にその肩に荷を負わせるというよりも、ある程度の責任というのは、医療側も教育側も両方が少しずつ分担して持っていくのがいいのではないか。
・養護教諭は医学的、看護的な知識を学んでおり、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校に配置され、子供たちの健康、安全のための支援を行っている。学校全体の子供たちに関わる保健管理、健康観察をしながら、様々な課題を抱える子供たちの指導、支援という役割を果たしている。医療的ケアに関しても、学校の看護師、担任等のコーディネーター的な役割を果たしている現状がある。この会議において養護教諭の役割というものも検討していただきたい。
・保護者としては、子供が勉強したいと思うところに、保護者が勉強させたいと思うところに通わせたいと思う。また、集団の中でできる経験が、成長につながるとも感じている。障害のある子供の保護者としては、他の子供たちと同じようにさせたいという思いが本当に強い。その思いが強いのであれば、保護者としても勉強しなければいけないと思うし、保護者としての責任を持って学校にお願いをすること、看護師の方にお願いすることというのもあると思うので、そこの部分も議論できるといい。

4.<都道府県と市町村の連携について>
・児童生徒については、例えば小学校から特別支援学校中等部に進学される場合は、引き継ぎということで特別支援学校の先生が小学校にお越しいただいて、ケアの様子を見ていただくということは、既に行っている。
・センター的機能の一環として、OT・PTの資格がある自立活動教諭やコーディネーターの先生方が、支援しているケースはある。北海道教育委員会では、看護師を対象とした研修について、一緒に研修しましょうということで市町村に呼び掛けた状況になっている。
・昨年度から県立の特別支援学校と市で、看護師の合同の研修会が始まった。ただ、勤務の在り方が様々で、なかなか同じ時間帯に一堂に会するということができず、主に常勤の看護師と支援学校の養護教諭が代表として連携するということを、年に1回程度というところから始まっている。

5.<地域連携・協力の在り方>
・人工呼吸器の管理を要する児童生徒を受け入れるための体制整備として、教職員は、看護師の配置を充実してほしいという希望が大変多くあったが、看護師に聞くと、看護師配置よりも医師との連携を何とかしてほしいという声が多い。自分が最終ラインになっているということに対する負担感や不安を解消することが必要。
・人工呼吸器を見たことも触ったこともない看護師はたくさんいるが、もし病院に勤務したら絶対に関わらなければならないもの。安心、安全がきちっと確保されれば、看護師も受け入れることができる。そのためには、受入れ時の進め方と緊急時の対応、地域の身近なところで相談できる体制があると、スムーズにいきやすいのではないか。
・教育委員会に対して、医師会が協力をしていくシステムができていけばよい。医師会の中には小児在宅や医療的ケアを専門的にやっている医師のグループがあるはずなので、先ずそちらでの働き掛けが重要。(再掲)
・ほとんどの病院では、安全管理のためにいわゆるヒヤリハットとインシデント報告を集めている。学校の中でもこれまでに起こった事例を集めて、個人情報保護にも配慮しながら、透明化することも必要ではないか。(再掲)
・新しく学校ができた場合、医師会の推薦を受けて学校医を配置している。その場合、学校に在籍する児童生徒の障害の状態に応じてというよりは、近隣の小児科のお医者さんの推薦を受けている場合というのが多くある。医師会との信頼関係は大変重要なので、今後どのようにしていくかということが課題になっている。
・指導医をお願いしている医師については、訪問診療を主にやっているので、比較的フットワークよく動いてくださる部分があるが、それが継続的なシステムとして成り立つのかどうか問題となる。また、大きな拠点病院の医師になると、外来が中心になるので、学校に来てもらうことが、難しい場合がある。
・医療的ケアの保護者は、孤立しやすいとも思う。隣の子と比べて、どうして私だけという思いも、なかなか言い出せない。その相談の窓口を学校ごとに置いていただけるかというところも考えてほしい。
・保護者が、いろいろな情報を簡単にとれる社会になり、それぞれの地域の違いがはっきり分かり、比較できる状況になっている。保護者としても、しっかりと理解ができる説明を受けたいと思う。こうした検討会議や、それぞれの地域で、様々な委員の先生により、議論、検討がなされているということを、知らない保護者も多い。文科省から、それぞれの教育委員会に体制整備をとるように指示していること、それを受けて、それぞれの学校が準備をしていることについて、学校に入る前の段階からも含め、保護者への説明していくことが必要。
・小児医療保健協議会では、地域に医療的ケアの分かる小児在宅医療の医師を増やすため、実技講習会の開催やそのマニュアルを作成・公開している。小児在宅の医師を増やすことは、地域で医療的ケアがある子たちを診てくれる医者を増やそうということで、地域に密着した医師なため、小・中学校や特別支援学校などにしっかり関われる形になる。主治医が遠くの大学病院の医師では連携が難しく、地域の在宅の医師に主治医が移っている例もあるため、地域の小児在宅の医師たちを学校に巻き込んでいくと、連携がうまくいくのではないか。
・放課後等デイサービスを通して学校と接する機会があり、学校側が人工呼吸器の手順等についてすごく悩んでいたことがあった。情報を共有する環境ができていたら、そういう手順についても、在宅の情報を提供することによって、より安全な行為ができたように思う。
・看護協会又は訪問看護においては、各都道府県に訪問看護の連絡協議会ようなものがあり、様々な研修が行われている。医療的ケアに対しては学校だけ、病院だけ、在宅だけというわけではなく、広域的な連携が重要だという意見が出ている。
・主治医は大きな医療機関や大学病院、あるいは専門病院の大変多忙な医師が担っておられることが多い。ただ、主治医の方には大変聞きたいこと、御相談に乗っていただきたいことは沢山あり、2か月に1回ぐらいの診察の中で、少しだけ時間を取っていただいているという実態。どのように主治医とコミュニケーションを取っていけばいいのかというのは、課題と感じているところ。
・在宅医療というのが非常に進んでいるので、訪問看護等であったり、開業医の先生で在宅をされている先生方とうまくつながっていく方が、児童生徒の将来に向けて良いのではないか。是非そういう意味で、一般の開業医の先生方にどんどん関わっていただきたい。
・一部の地域で訪問看護師が入って、学校の看護師さんに日頃の状態とかを教えるとか、最初は何日間か一緒にいるというだけでも、随分と安心するという話しがある。そういう意味で、ある程度医療と教育という形が連携しながらやっていくと。それから指導医としては、全体の研修のシステムを学校側と一緒に考えていくことが必要だと思う。

6.<医療的ケアの範囲について>
・医行為なのかどうか、医行為の中でも、看護師でもできる一般的医行為なのか、医師しかできない絶対的な医行為なのか、といった判断についての相談が教育委員会には多い。例えば、スポイトのようなものを使って鼻水を取ることは医行為なのだろうかというような、大変微細にわたるところでも学校では慎重に判断しながらやっている。
・医療的ケアの解釈が違うという点は、学校内でも同じことが起こっている。例えば、養護教諭、看護師、教員で、子供の見立て、行為の可否などについても解釈が違うというようなことが聞かれる。
・保護者が自主的に情報を集めて、学校ごとに判断が異なるのではないかという話もあるが、例えば、学校の所在地によって看護師の求人の状況が違う、職員のスキルや年齢層も違うといった学校ごとに条件や特性が異なる中で、校長が個々に判断するため、全国一律でないというお話をする。個々の状況を踏まえて、総合的にどうベターに判断していくかということを説明することで理解いただける。
・医療的ケアについて、どこまでが看護師のみがするのか、どこまでが研修を受けた教員がするのか、どこまでが一般の教員がするのか、解釈が異なっている。一方で、地域ごとに条件は違うので、全国一律に決めるのは難しく、あまり厳格に決めてしまうと、実際には動きにくくなってしまう。例えば、モデル事業などにより、好事例を示すのがよいのではないか。
・例えば、気管チューブが抜けてしまったとか、突発的な場合の対応についても、議論をしないと学校の先生や現場の看護師は困る。

7.<医療的ケアを必要とする児童生徒等の受入れについて>
・人工呼吸器の管理を必要とする児童生徒について、保護者の付添いなしで学校へ来ているケースでも、やすやすと登校できるようになっているわけではない。自発呼吸の有無やコミュニケーションの可否なども考慮しながら、最初は毎日の保護者の付添いから、付き添いなしを次に週に1回から徐々に増やすなど、段階的に慎重に進めている。これを1か月ぐらいから、長ければ1年ぐらいの単位のこともあるが、本人にとっても、保護者にとっても、看護師にとっても、学校にとっても、非常に安心で安全な受入れをすることが可能になる。
・人工呼吸器の管理を要する児童生徒を受け入れるための体制整備として、教職員は、看護師の配置を充実してほしいという希望が大変多くあったが、看護師に聞くと、看護師配置よりも医師との連携を何とかしてほしいという声が多い。自分が最終ラインになっているということに対する負担感や不安を解消することが必要。(再掲)
・お母さんたちの就労が増える中で、学校に付き添ったり、いつ呼ばれるか分からなかったりの状態だと非常に困るという話を耳にする。保護者が付き添えないので、週何回かは学校に行かずに福祉サービスにお願いして学校に行かないという話もある。教育の保障という意味で、そういう点も考えていかないといけない。
・医療的ケアが必要であっても、通学したり、友達と接したりすることで教育的意義を上げていこうとする教育的視点が重要。経管栄養の児童の例で、保護者が付き添っているとなかなか口から食べてくれなかったが、保護者の在校時間を短くし、教師が対応するようにしたら食べるようになってきた例がある。社会的自立という意味でも、保護者の付添いはなくしていかないといけない。

8.<研修について>
・看護師に対する研修ということも非常に大事。また、研修は、必ずしも医療関係者のみでなく、学校関係者など他職種が共通理解をもつ機会として設けていくとことが非常に大事。
・学校の看護師だけでなく、訪問看護や病棟の看護師も基本的なところは同じ小児看護なので、様々な領域にいる看護師との連携という意味でも、合同で研修を行うことが必要になってくるのではないか。
・小児在宅医療実技講習会の対象として、医師だけではなく、地域の訪問看護師も含めている県もある。多くは土日に行われており、学校の看護師も参加すれば、いい研修会になるのではないか。個別の研修会の立ち上げは難しいので、医師会が力を入れ始めている研修に乗っかってはどうか。
・県の看護協会が実施した小児の訪問看護の研修に、特別支援学校の看護師、保健師も交えたところ、看護職が学校に少ない中で連携する相手がなかなか見えなかったが、顔が見えるつながりができて、いろいろ相談していけるという前向きな意見も聞かれた。医師会や看護協会の研修などに、学校の看護師が参加するというのは非常にいい取組。
・センター的機能の一環として、OT・PTの資格がある自立活動教諭やコーディネーターの先生方が、支援しているケースはある。北海道教育委員会では、看護師を対象とした研修について、一緒に研修しましょうということで市町村に呼び掛けた状況になっている。(再掲)
・昨年度から県立の特別支援学校と市で、看護師の合同の研修会が始まった。ただ、勤務の在り方が様々で、なかなか同じ時間帯に一堂に会するということができず、主に常勤の看護師と支援学校の養護教諭が代表として連携するということを、年に1回程度というところから始まっている。(再掲)

9.<学校における看護師について>
・看護師のキャリアや経験にも差がある。子供の状況だけではなく、それを取り巻く環境、バックアップ体制も考えた形で、個々に判断していかないといけない。
・看護師の確保に苦労している。かつては、学校を固定して看護師を配置してきたが、平成22年以降、教育委員会に看護師をまとめて配置し、各学校において医療的ケアが必要な時間帯に看護師を巡回派遣するという形をとっている。
 医療的ケアの部分は看護師、教師の方は指導に専念と、業務をきっちり分けている。部活動や補習授業など、教育課程に準ずる時間も含め、看護師の安定的で継続的な人材確保するための研究を、モデル事業により進めていきたい。
・例えば、導尿のように、時間のある程度決まった医療的ケアだとしても、看護という視点では、やっぱり飲みたいときに飲んで、排泄したいときに導尿すべきと考える。しかし、学校では決まった時間にしか導尿ができないことがあり、看護師としてのジレンマがある。こういう葛藤が、看護師が学校に行くことへの心理的な敷居、戸惑いにつながっている。訪問看護の活用もあるとは思うが、そこにまつわる看護管理やケアマネジメントという考え方も視点としては必要なのではないか。
・看護師の葛藤の部分は、特別支援学校でも、通常の学校でも、同じように起こる。学校では、水分補給の仕方など生活の部分というのは教師が担っている部分がかなりあるが、看護師は、患者の全部、家族まで含めて全部みるものだとずっと基礎教育で学んできている。その認識のままでいこうとすると、非常に葛藤が大きくなってしまう。看護職は医療的ケアのために雇用されているという認識が大切。
・学校の看護師が医療側と教育側との考え方の違いから孤独になり、どこにどう相談したらいいかも分からずに葛藤して辞めてしまうという状況は以前からあった。自治体の中には相談体制を教育委員会に作っているところもあるが、同じ看護職として相談できる方がいないことが多く、まだまだ支援をしていかないといけない。
・看護師は病院で、患者に最も負担がないようにということを常に考えているから、たんがたまっていたら吸引して楽にしてあげようというのが普通の看護師。一方、学校で教員は、自然排たんを促して、できるだけ吸引しなくてもよいように持っていくかということを常に考えている。こうした病院と学校でそれぞれが考えてきたこととの違いを看護師がよく認識していると、教員の考え方も理解できるし、非常に納得がいくのではないか。
・看護師は、いつでも正規職になれて、いつでも公務員にもなれるという職業。雇用を確保するためには、自治体によって倍ほどの給料差があったりするが、正規、常勤といったきちっとした待遇が必要。
・医療的ケアを行っている看護師が不安を大きく抱えている。実際には校長先生が責任を持って判断しているとか、都道府県教委が責任を持って国家賠償法等で守っているとお話をしても、それでも不安で、個人で保険に入らなきゃならないだとか、お医者さんがいないので、やはり病院とは違うので、そこまでできないですとか、というところがある。

10.<その他>
・医療的ケアのある子たちの通学手段について、どういう形で保障していくのかについても何らかの方向性を考えていかなければならない。
・校外学習と併せて、寄宿舎という夜間の部分をどうするかも検討課題。
・指示書の扱いについて、看護師は医師の指示の下に医行為等を実施するということになっているが、医師からの指示が十分でない例がある。標準的な形をある程度決めないと動かない面もあるのではないか。

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(初等中等教育局特別支援教育課)