学校における医療的ケアの実施に関する検討会議(第2回)議事録

学校における医療的ケアの実施に関する検討会議(第2回)
平成29年12月26日

【下山座長】 皆さん、年末のお忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまから第2回学校における医療的ケアの実施に関する検討会議を開催いたします。
 本日は、勝田委員、竹内委員、谷口委員、三浦委員、道永委員が、御都合により欠席となっております。
 また、前回御欠席でしたが、公益財団法人日本訪問看護財団事務局次長の安藤眞知子委員が御出席です。
 安藤委員、一言お願いいたします。

【安藤委員】 日本訪問看護財団の安藤と申します。私は本部の方と、実は愛媛県の松山市で、主に医療的ケア児者の支援をしております訪問看護、及び多機能化事業ということで放課後等デイもして、実際、学校における医療的な子供さんたちの支援を行わせていただいております。まだ始めて間もない者なので、またいろいろと教えていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

【下山座長】 ありがとうございました。
 それでは事務局から、本日の配付資料について確認をお願いします。

【森下企画官】 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。  本日の議事次第の下の4ポツの部分です。配布資料ということで、沿って御説明をいたします。
 まず資料1が、教育委員会や学校における検討体制の在り方についてというペーパーでございます。資料2が、道立特別支援学校における医療的ケア実施体制についてということで、津川委員の御提出いただいた資料でございます。資料3が、豊中市立小中学校での医療的ケアについてということで、豊中市さん、植田先生の御提出資料です。資料4が、神戸市における医療的ケア実施体制への指導医の関わりということで、これは高田委員の提出資料となってございます。
 資料5が、学校における医療的ケアの実施に当たっての役割分担の現状についてという、べた打ちの資料がございまして、資料6が、学校における医療的ケアの実施に関する検討会議、前回第1回の主な意見を項目ごとにまとめたものとなってございます。また資料7に、今後のスケジュールについての資料がございまして、資料の8に、先週末確定いたしました来年度の政府予算案の医療的ケアに関わる部分を抜粋したものをお付けしてございます。
 最後、参考資料に、5年前、特定行為が特別支援学校等で実施できるようになった際の行政通知につきまして、添付をしておるところでございます。

【下山座長】 それでは、本日の議事に移ります。本日の議題は、議事次第にありますとおり、学校における医療的ケアの実施体制の在り方についてです。
 最後の参考資料にあります通知が5年前に出まして、これは喀たん吸引の制度ができて、それを受けて、実施の仕組みということについての通知でございますけれども、それから5年たちまして、現在様々状況は変わっております。そうした中で、これまでの実施体制で改めるべき点はないのか、どんな点を織り込んでいく必要があるのかといったことについて、今日は委員の人数も限られておりますので、活発に御議論いただければと思います。
 具体的には2つありまして、教育委員会や学校における検討体制の在り方。教育委員会の運営協議会ですとか、校内の安全委員会等の状況や、その在り方というものを御議論いただきたいと思います。また後半は、医療的ケアの実施の役割分担の現状を中心に議論してまいりたいと存じます。
 また、本日のスケジュールですが、事務局から資料1、教育委員会や学校における検討体制の在り方の説明の後に、津川委員、植田委員、高田委員から、各10分程度を目安に、各自治体の検討体制の状況について御発表いただき、その後、意見交換を30分程度行ってまいりたいと思います。次に、事務局から資料の5の医療的ケア実施の役割分担の現状について説明を行い、高田委員から、指導医としての取組について御発表いただき、その後、意見交換を15分程度予定しております。議論し切れない分については、次回ということもございますけれども、このような予定で進めてまいります。
 それでは、事務局より説明をお願いします。

【森下企画官】 事務局でございます。資料1、教育委員会や学校における検討体制の在り方についてというペーパーに沿って、御説明をさせていただきたいと思います。
 この会議の検討事項の1つ目の、学校における医療的ケア実施体制の在り方全体のうち、教育委員会や学校において、協議会や校内委員会、安全委員会というものが置かれていることがございます。こうしたところについて、御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ目はおさらいでございます。前回御説明をしましたとおり、学校における医療的ケアの実施体制については、その課題として、医療的な事柄であるにもかかわらず、教育委員会や校長の教育サイドの責任の下で行われていることが、医療的ケア児の受け入れであるとか医療的ケアの実施の判断に当たって、慎重になっている原因になっているのではないかという指摘が挙げられます。
 より具体的には、この下に幾つか掲げてみましたけれども、例えば実施の可否の判断や手続が不明確であるとか、医師がいない環境下で医療的ケアを行いますので、やっていいかどうかの可能性についての検討の進め方についてとか、あるいは、医療的ケアが高度化、複雑化していくのに対して、なかなかその相談をする体制が十分でないであるとか、看護師に対する保護者の要望が多くなっていく中で、戸惑いや不安を持っている看護師さんがいるであるとか、看護師のキャリアアップができる仕組み作りに課題があるとか、看護師と教員の役割分担について、明確化したり連携したりの工夫が必要であるといった、課題であるとか悩み、改善事項といったものが散見されるという状況でございます。
 一方で、学校の中で行われるものでございますので、教職員や看護師の監督をはじめ、校務全体に責任を負う校長ら教育側の関与なく、主治医側、医療サイドのみの判断で実施することもまた困難なわけでございます。そういうわけで、この会議において皆様の御知見をお借りして、御議論いただいているというところでございます。
 本日はまず、教育委員会や学校における検討体制の在り方について、私から御説明をさせていただいた上で、津川委員、植田委員、高田委員から、それぞれの地域の状況について現状をお聞かせいただいて、議論をしていきたいと考えているところであります。
 まず、教育委員会における体制整備でございます。4ページ目には図がありまして、このうちの上の赤い部分です。教育委員会が総括的な管理体制をしいてという部分になります。
 5年前の通知では、特別支援学校が登録特定行為事業者となって、先生、教職員が医療的ケアを実施する際の基本的考え方ということで、都道府県教委等の総括的な管理体制の下に各学校が対応するように通知をしているというところでございます。
 具体的に、総括的な管理体制として、どういうことがあるかということで、中段に列挙してございます。看護師の配置であるとか、学校と医師・医療機関との連携協力、教員等の育成、看護師との連携・役割分担、あるいは医療安全に関する指針の提示ということで、この中にはヒヤリ・ハットなどの事例の蓄積や分析なども含むと。こうしたことを総括的な管理体制の具体例として挙げているというところであります。
 また、この構築に当たっては、医師等が関与するとともに、医師、学校、有識者などによる既存の医療的ケア運営協議会等の組織を活用することを求めているというところであります。
 なお、小中学校等につきましては、この通知の頃は登録特定行為事業者として、教職員がケアを実施することは余り想定しておりませんで、看護師がやることを前提にしておるわけでございまして、基本的な考え方の部分、一番上の3行の部分についてのみ、小中学校についても総括的な管理体制をしくということだけ通知をしまして、残りの部分については指示していないというところになってございます。
 現状でございます。5ページ目をごらんください。都道府県・政令市のうち、今年度において教育委員会の下に協議機関、学校協議会のようなものを置いている自治体は、54自治体ございます。7自治体は、個々の学校ごとに検討を行って、例えば関係の校長会などで情報共有をすることで足りているということで、教育委員会側に協議会を置くには至っていないという状況がございます。
 また、この協議会においてどのようなことを議論しているかということを聞いたところ、例えば県の中におけるガイドラインを改定・策定したり、新たな医療的ケアが上がってきた場合に、それの是非について個別に検討するであるとか、医療的ケアの実施状況や課題を共有するであるとか、ヒヤリ・ハット事例を共有する、あるいは緊急時の対応についてあらかじめ協議をしておくということ、あとは域内の看護師の配置の状況について検討するといったことを議題に上げているという傾向にございます。
 また、その構成員でございますけれども、私どもの指示のとおりというか、通知をしているとおり、教育委員会のみならず、例えば首長部局の保健福祉部局であるとか、あるいは学校サイドでいうと特別支援学校の校長会の代表、あとは保護者の代表としてPTAの代表、医療サイドとして医師会や看護協会の代表が加わっているという状況にございます。
 以上が教育委員会における検討体制でございます。
 続きまして、学校の中における検討体制でございます。学校医、指導医、看護師、養護教諭等による安全委員会において、これは医療的ケアについて言っておりますけれども、最終的に校長が判断するんだということで示しているものでございます。
 5年前の通知ではどのように伝えているかというと、ご覧ください。冒頭の3行は先ほどと同じ文章でございますが、後段が赤くなっています。教育委員会の総括的な管理体制の下に、各学校、特別支援学校においては学校長を中心に組織的な体制を整備することと。その際には、医師、保護者との連携協力の下に体制整備を図ることということを伝えておるところでございます。
 その上で、登録特定行為事業者となって教職員が医療的ケアを行うに当たっては、中段です。看護師との連携であるとか、医療的ケアに関する計画書・報告書、あるいは個別のマニュアルの作成といった、これは社会福祉法で法令上求められているものでございますけれども、こうした対策をしっかりと講ずることを通知し、その上で、この実施に当たっては学校医や指導医に指導を求めるように要請をしているというところでございます。
 このページの一番下に一部だけ引用しましたけれども、登録特定行為事業者となっている施設につきましては、学校に限らず、社会福祉士・介護福祉士法の施行規則によって、医師又は看護職員を含む安全委員会を設置することと求められてございまして、今私が述べたような役割につきましては、各学校の安全委員会が果たすこととして、その設置・運営に当たって学校医、指導医に指導を求めるように指導しておるというところでございます。
 小中学校等においても基本的には同様なんですけれども、看護師が医療的ケアを行うに当たってのことしか示していませんので、先ほどの教育委員会と同様で、冒頭の3行につきましては小中学校等においても組織的な体制を整備することということは求めていますが、安全委員会の方は法令上義務付けられておりませんので、個々の学校の判断で校内委員会などを活用して行っていることが多いと思われます。
 9ページ目は先ほどの省令に基づいた図でございますので、省略をいたします。
 10ページ目は、校内の安全委員会の現状でございます。議題といたしましては、校内における実施要領の作成であるとか、個々の、本当に一人一人の児童生徒のケアの内容の決定あるいは現状報告のほかに、研修の在り方であるとか、関係機関との連絡体制の整備、あとはヒヤリ・ハット事例の報告・共有などが行われています。また、そのメンバーでございますけれども、校長、副校長、教頭といった管理職のほか、学級担任と養護教諭、医療的ケアを実施する看護師に加えて、学校医などが参加をしている例が多いとされてございます。
 以上が文科省から各教育委員会に対して通知をしてきた内容、現状につきまして、御説明をしたところでございます。よろしくお願いいたします。

【下山座長】 御説明いただきました。先ほども少し申し上げましたが、5年前、喀たん吸引を行う仕組みが、これに基づいてできてきたわけですが、それを前提とした体制になっています。現状は、前回事務局から御提案がありましたとおり、この特定の行為以外の子供たちが大変多くなって、特別支援学校等には看護師が多数配置されているという現状があります。
 こういう状況の下で、例えば新たに申請されてきた行為ができるのかどうかといった判断、これが学校で戸惑ったり、あるいは県の医療的ケアの運営協議会という中でも、なかなか判断できないというケースもあると聞いております。この辺りのところをどう考えていくかといったところが、1つ検討しなければいけない課題だろうと思います。
 それでは、都道府県の事例ということで、津川委員から御発表願います。

【津川委員】 北海道の津川です。よろしくお願いいたします。座ったままで失礼いたします。
 道立特別支援学校における医療的ケアの実施体制ということで、本道の医療的ケアの実施体制について、それから校内委員会についてお話しします。
 道立特別支援学校における医療的ケアの実施体制ということで、こちらの簡単な図を示していますが、学校が登録特定行為事業者として登録して行っているということですとか、道教委が登録研修機関として研修等を実施しているというような、こういった図については多分、他の都府県と変わらないものかなと思っております。
 ただ、この中に指導医がないということで、現在指導医については、文部科学省の事業を受託して行っている事業の中で、指導医を配置して行っていますが、位置付けという形にはなっておりません。現在行っている事業の中で、成果を受けて、この中にどのような形で関連付けていくのか、位置付けていくのかということについて、現在検討しています。
 本道における医療的ケアにつきましては、特別支援学校医療的ケア体制整備事業という事業の下に実施しています。目的については、ここにあるとおりです。医療的ケア連絡協議会、医療的ケア実施校長等会議、喀痰吸引等研修、看護師研修会という4つの事業を軸に据えて、事業を推進しています。
 このうち、特別支援学校における医療的ケア連絡協議会は、特別支援学校において日常的に医療的ケアが必要な幼児児童生徒に対して、安全に医療的ケアを実施する体制について検討するとの設置目的の下に設置しています。年1回、2月から3月の時期に開催し、研修体制、医療・福祉機関との連携の在り方等について検討しています。
 これは現在の構成員になります。医師会、看護協会の医療関係者のほか、保護者の代表として特別支援学校のPTA連絡協議会の代表者、学校の立場から特別支援学校長会の代表に参加をお願いしています。また、知事部局からも、医療的ケアに関連する取組を行っている部署の代表者に参加をお願いしています。医師会からは例年、副会長、それから看護協会については常務理事ということで、それぞれの会を代表する方に今、参加をしていただいております。
 先ほどもお話ししました、今受託している事業の中でお願いしている指導医については、現在、参加の構成員としてはなっておりませんが、本年度についてはその指導医、それから、知事部局において別途、医療的ケア児に関わる取組を行っている部署が現在増えておりますので、そちらの部署の参加について、今年度から構成員とするか、ないしはオブザーバー参加をしながら、その参加の在り方について検討するかということについて、現在道教委内で検討をしております。
 昨年度の連絡協議会においては、各校における取組状況や、議論になった事項等について情報を共有した上で、今後の取組について協議をいたしました。さらに、本年度より取り組んでいる文部科学省事業の受託、及び具体的な取組について報告した上で、構成員の方々から御意見を頂きました。
 また、ヒヤリ・ハットの事例の共有ということで、この連絡協議会に先立って、各学校からヒヤリ・ハット事例を収集して共有しております。一覧にして配付して、特にリスクが高い事案について協議をいたしました。平成28年度の協議会の中では、ヒヤリ・ハット事例が頻発した1校について、特に協議がなされました。毎回対応が、複数で確認するということで終わっていて、具体的な対応がなされていなかったということが原因の一つではないかとした上で、他校における対策について共有するなど、単なる情報共有に終わらず、活用していくことが重要だということについて確認をいたしました。
 そのほか、手続等について当課に問い合わせの多かった事項に対する回答について、検討しました。平成28年度の中では、教員による特定行為の研修において、保護者が立ち会う件数ということについて検討がされました。立ち会い回数については、実施要項の中では明記はしていませんが、道教委としては1回以上という意味合いで、最終的に確認するということでしております。資料の中にもありますので、ご覧ください。
 ただ、1回以上ということについて、各学校によっては慎重に2回、ないしは実地研修全て立ち会ってもらわなければ安心できないということで判断がありました。そういったところで、慎重にやることについては、とてもいいことだけれども、保護者負担の軽減ということからも、道教委としての最低ラインを示した上で、各学校の判断でやっていることなんだということで、道教委で判断したこと、それから各学校で判断したことというのを、分けて説明することが重要だということで確認をしました。
 また、医療的ケアの内容の判断としては、昨年度検討された中で、ぜんそく予防のテープを張る行為が医療的ケアに該当するかということで、質問が複数の学校から寄せられました。この点については、知事部局の医師法を管理している部局に問い合わせして確認した上で、各学校に対しては個別に回答していましたが、この協議会の中で医師会の代表等にも確認した上で、別途学校に周知しておくことが必要なのではないかということで話が確認されました。
 この連絡協議会で得られた成果については、年度末に行っているということもありますので、道教委における事業の評価及び翌年度の計画に生かすようにしています。
 さらに、新年度の早い時期に医療的ケア実施校長等会議を開催しております。こちらについては、制度改正があった際の説明のほか、新規に医療的ケアを開始する学校に対しての情報提供ということが目的で当初行われておりましたが、連絡協議会の中で検討された内容について交流し、それぞれの学校における医療的ケア実施体制の充実や、道教委としてのその年度の事業の推進と改善、充実に生かしております。この会議においては、新年度から医療的ケアを実施することになった学校の管理職も参加するということになりますので、先ほども説明した前年度末に連絡協議会において確認した内容についても、この会議で周知を図るようにしています。
 この流れをPDCAサイクルで示すと、計画したものを実施校長等会議を通して周知した上で、各学校における医療的ケアの実施、その中には校内委員会での検討というものも含まれます。その上で、研修、それから現在行っている文部科学省事業等を実施し、連絡協議会における評価につなげているという、こういった流れで示せるかなと考えております。
 続けて、各学校における校内委員会について説明します。今回、情報提供するに当たって、文部科学省事業のモデル校である3校に、医療的ケアに係る校内委員会の構成員や、検討内容、回数、及び成果と課題について聞き取りを行いました。この表は、構成員の一覧等の内容になっております。B校のみ校長が委員として入っておりますが、それ以外の学校については教頭が全て入っている。それから、養護教諭が入っているというところがあります。看護師も、A特別支援学校、B特別支援学校に入っておりますが、Cの特別支援学校については、全て非常勤の看護師であるということで、会議の時間の調整が難しいということで、養護教諭が看護師からの意見を聞き取った上で会議に参加するという手順を取っています。
 Bの特別支援学校は常勤の看護師がおりますので、常勤の看護師が主に窓口を担っております。A特別支援学校では養護教諭が窓口を担っていて、Cの特別支援学校では自立活動教諭が窓口を担っています。この自立活動教諭につきましては、作業療法士の資格を持っている教員になります。いずれの学校においても、個別のケースの検討や機関連携、医療的ケアに関する研修の企画・推進等について行っておりますが、安全な医療的ケアの実施について、どのように検討していったらいいのか、具体的な連携体制の構築のためにどのようなことが必要か、課題を明確化させていくということについて、教員間でどのように意識を持ったらいいかということについて、課題になっている部分があるということでした。
 特に課題として多くありましたのが、会議に参加していない教職員との情報共有、それから特定行為以外の医療的ケアの実施者等の判断ということで、課題として挙げられました。こちらについては、看護師が行うべきなのか、保護者にお願いするのか、又は学校で行っていい行為なのか、そういったことについての判断が難しいということでした。
 その上で、各学校においては学部主事から会議の内容を報告するとともに、会議録を職員全員に回覧することによって情報を共有したいということ。非常勤看護師のうち1名は会議に参加できるよう勤務時間を調整して、看護師が直接意見を言えるようにすることで、具体的な検討につなげたいということ。医療的ケア推進委員会のほかに、少人数による医療的ケアミーティングを月1回開催することで、細かな議題についても検討できるように体制を作っているということ。「ひやりはっと・インシデントレポート」というものを作成して学校内で共有するということが、工夫としてされているということでした。
 昨日、文部科学省の事業に関わっての医療的ケアに関するモデル校の管理職、それからキーパーソンになっている看護師ですとか、自立活動教諭等が集まっての会議を開催していました。その中では、道教委で示しているもの、また通知等で示されている、何々できるという解釈を、どう解釈するのか。本当にやっていいことなのか、ケースによってできることなのかという解釈が、学校によってばらばらだということ。その上で、他校の例を看護師同士でこそっと情報を聞いて、収集して、データベース化してということをやっている場合もあるんだけれども、果たしてそれが個別の判断として適切なのか。
 そもそも看護師同士のネットワークということがないことから、情報共有が難しいという意見が寄せられて、きのうの会議の中では、ICT等を活用して掲示板などで情報を共有したり、データベース化したりということはできないだろうかだとか、また道教委として判断する、示す部分。それから、各学校で判断する部分。それから、個別に判断する部分というのを階層的に示してもらえたらいいなという意見が、昨日の会議の中では寄せられていました。
 その上で、道教委では本年度、医療的ケアに精通した指導医による巡回指導や助言等を通して、人工呼吸器の管理等の高度な医療的ケアが必要な児童生徒に対する校内支援体制の充実を図ることを目的に、文部科学省事業を受託して、高度な医療的ケア等に対応した校内支援体制充実事業を実施しています。この事業の成果は、医療的ケアのハンドブックということで全道に普及することとしているんですけれども、このハンドブックの中には手順だけではなく、こういった校内委員会の持ち方であったり、情報共有の仕方であったり、こういったことについても盛り込む必要があると考えております。
 雑駁ですけれども、以上で北海道教育委員会からの情報提供を終わります。ありがとうございました。

【下山座長】 津川委員、ありがとうございました。
 津川委員には、特別支援学校が19校あるという道内の体制整備の状況についてお話しいただきました。
 次に、植田委員から御発表いただきますが、植田委員は豊中市ですので、市町村の一つということになりますが、都道府県とは状況が違うということを少し念頭に置きながら、お話を聞いていただきたい。また、先ほど医療的ケアの協議会が54あって、ないところが7自治体だと。これは都道府県等でございますので、市町村の場合にはまた状況が違いますし、医療的ケアを必要とする子供の数も違います。そうしたたくさんある市町村の中での1つの進んだ自治体の体制整備ということで、お話を伺っていきたいと存じます。
 それでは植田委員、お願いします。

【植田委員】 失礼いたします。豊中市教育委員会児童生徒課支援教育係の植田でございます。
 それでは、本市における地域の小中学校での医療的ケアの体制について、市の教育委員会と学校の連携体制を中心に説明をさせていただきます。
 まず、市立小中学校への医療的ケアの導入部分から御説明いたします。保護者や小中学校から、医療的ケアを必要とするお子様についての情報が市の教育委員会に入りますと、市教委は就学前であれば就学相談を、既に在校している場合であれば小中学校から情報収集をし、本市での学校での医療的ケア体制について、私を含む市教委の常勤看護師から保護者に説明をさせていただきます。
 新1年生や他市からの転入生の場合は、就学先について本人・保護者の意向を尊重して、就学先を市の教育委員会が決定いたします。豊中市立小中学校への就学であれば、保護者様より医療的ケア依頼書を市教育長宛てに提出していただきます。お手元の資料のパワーポイント資料の後の7ページの資料の左側が、本市の依頼書でございます。医療的ケアの内容のところに、まずは保護者様が学校で必要と考えている内容を記載していただきます。
 医療的ケア依頼書を受けて、市教委で医療的ケア検討委員会を開催いたします。これは対象幼児が通うこども園や療育施設に、このメンバーが集まり、小学校で実施しなければならない医療的ケアの内容の検討を行います。主には医師の立場で御参加いただいています市立豊中病院の小児科部長が、保護者様より出生時の状況や成育歴、現在の治療内容や主治医からの説明内容を聞き取り、検討会医師の立場で意見書を作成いたします。他市からの転入や、あるいは既に在校している児童生徒が、年度の途中で医療的ケアを必要とする状態になった場合は、個々に検討会を実施する場所を判断しております。
 お手元の資料の先ほどの裏面、8ページをご覧ください。本市の面談記録と意見書について御説明をさせていただきます。お子様のプロフィールや観察内容は、同席する市教委の看護師が記録をします。こども園の看護師や園長が同席をする場合もあります。検討会医師は、こども園での実際の医療的ケアの様子や、日常生活動作の状況、あるいは自立の程度を観察します。家庭で行っている医療的ケアについては、依頼書に記載されている医療的ケアの内容を基にして、家庭で保護者が行っている毎日のケアの内容や緊急時対応について確認をいたします。
 資料の右側です。検討会医師としての意見をここで具体的に記載します。経管栄養や導尿などの場合は、主治医の指示があれば実施可能としていますが、気管カニューレやマーゲンチューブなどの再挿入、人工呼吸器の管理などは、その方法や程度について主治医と調整した範囲のみ、学校で実施可能としています。気管カニューレであれば、自己抜去時の再挿入のトライはするが、困難と判断する場合もあるという表現や、酸素吸入についてはSpO2の範囲の記載を依頼するなど、検討会医師としての意見を記載します。
 検討会医師が判断した内容について保護者様に確認をしていただき、同意を得た状態で、主治医を訪問いたします。主治医訪問は入学までに、あるいは登校再開までに行います。検討会医師の意見の範囲内で学校における医療的ケア指示書を作成していただくことを、同行する市教委の看護師が主治医に直接説明します。緊急時の対応も、この場で主治医に確認し、指示書に記載をしていただきます。本市では、保護者の依頼書に書かれている内容全てをそのまま学校で実施するのではなく、検討会の際に、学校で実施する必然性について医学的な見地で検討会の医師が調整し、その内容を主治医に伝え、その範囲で指示書を作成していただくということを、この流れの中で行っております。
 この流れを、お手元の資料7ページの右側のフロー図を今から順番に説明させていただきます。まず、保護者様から教育長への依頼書が提出されますと、教育長は医療的ケア検討会の開催を事務局に指示します。検討会は子供を観察し、主治医に対して意見書を提出いたします。主治医はこの意見書の範囲で教育長に指示書を提出いたします。教育長は指示書の範囲で、学校で医療的ケアを看護師が行うことを学校長に指示し、市教委から看護師を小中学校に派遣いたします。
 お手元の資料の9ページ目が本市の指示書になります。指示書の内容も保護者に御確認いただき、右下にサインをしていただきます。この指示書は、毎年度初めに必ず主治医に内容を確認していただき、変更があれば、この用紙に追記などをしていただきます。追記が多い場合は、大変見づらくはなってくるのですが、文書量の御負担等もありますので、この1枚を長く使う様式にしております。
 学校内の体制につきましては、支援教育コーディネーターを中心に、校内で組織的に課題に対処し、必要に応じて校内会議を開催し、内容に応じて市教委と連携します。医療的ケアに関することは医学的な内容での検討も必要になりますので、市教委と連携をすることで、主治医や市教委の医療的ケア検討会医師に相談できるという仕組みにしております。
 今回本市では、文科省委託事業を受けまして、医療的ケア運営会議という名前で会議を立ち上げました。運営会議では、主には本市の学校における医療的ケア実施体制の課題について、関係機関との連携を中心に協議をしていただいております。医療的ケア実施校連絡協議会では、医療的ケアの子供が在籍する学校の校長全員と市教委で構成をしております。ここでは、宿泊行事の行き先の選定や、現地での医療機関や救急体制についての情報交換、あるいは中学を卒業後の進路や高校受験の配慮事項などを話題にしていただいております。
 以上が本市の学校における医療的ケアの、豊中市教育委員会と学校の体制でございます。

【下山座長】 植田委員、ありがとうございました。関係者のコミュニケーションが大変よく取れているということが伝わってまいりました。ありがとうございます。
 それでは、次に高田委員から発表をお願いいたします。

【高田委員】 神戸大学の高田です。私は、ちょうど阪神・淡路大震災の前、1992年ぐらいから神戸市の支援学校の相談員、指導医師として働いております。後で指導医としての関わりということをお話しいたしますけれども、その前に、現在神戸市で行われている体制ということについてお話ししたいと思います。
 資料の4をご覧ください。一部順序が入れ替わったりしながらお話しするかも分かりません。
 まず、指導医として依頼されている活動と書いております。神戸市の場合、校内の医療的ケア委員会と全体の医療的ケア連絡協議会等を置いているのですけれども、研修の中に、多職種による巡回研修ということを入れております。多職種での巡回研修としては、看護師、理学療法士、医師が実際に医療的ケアをしている場面を巡回して、保護者の方、教員の方と一緒に、そこで問題点、疑問点について話し合うということを行っております。
 それから、現在、神戸市では分校を含めて4校の支援学校があるわけですけれども、その中で4校を回る統括看護師というのを置いております。統括看護師は各校を順番に回っていきまして、各校での問題点を把握すると同時に、それぞれの学校でほぼ共通のやり方、解決の仕方ということを提案してきます。
 あともう1点、泊を伴う行事いうときには、原則として神戸市内の医療機関が協力して、医師が一緒に同伴しているということがあります。大体その辺りが他の都市のシステムと少し違った点だと思います。
 まず、校内医療的ケアの委員会ですけれども、各学校の校医が指導医を兼ねております。毎月開かれまして、そこでは、各児童生徒の実際のケアの実施内容と実施者、誰が担当しているのか、それから宿泊行事等ですと、何かいつもと違ったケアがあれば、その注意点等について確認しています。それから研修ですけれども、教職員に関しての研修は、3校が知的障害との併置校ですけれども、それらの知的障害の教員の方も一緒に基礎研修を受けるということになっております。
 こちらの医療的ケア連絡協議会とでは、メンバーとして各校の看護師さんが入っております。ですから、そこでもう一度、各校での状況を聞いて、個別の症例の検討をお子なっております。後でまた個別の症例の検討例についてはお話ししたいと思います。医療的ケア連絡協議会の中では、メンバーの中には看護大学の教授、ちょうど小児看護学会で医療的ケアを担当されております二宮教授がいらっしゃいますので、看護師さんの研修、それから看護師さん同士の症例検討ということもされており、看護師独自の研修ということを別に設けております。
 医療的ケア連絡協議会で行っておりますのは、主に研修内容の決定、それから宿泊行事での医療的ケアの状況の確認、児童生徒の状況、各校で上がってくるインシデント等の状況の確認とお互いの情報共有ということになっております。最後に、判断が難しい事例についての検討と情報共有ということです。 以上です。

【下山座長】 ありがとうございました。
 神戸市さんの場合には、市町村といいましても政令市ですので、特別支援学校もお持ちですし、ほぼ都道府県と同様の体制だろうと思いますが、比較的そういった大規模な自治体から2つと、それから、豊中市さんは市町村代表ということですけれども、比較的体制の整備が整っているという状況の御発表を頂きました。委員の皆さんから、それぞれの御発表について御質問等ございましたら、まずお受けしたいと思います。
 私から津川委員にお聞きしたいんですが、4ページ目の各学校の校内委員会の体制をお話しいただきましたが、この校内委員会には医師は関与されていないんでしょうか。

【津川委員】 直接は関与していません。事前に看護師が病院へ行って指示を受けてきた内容について交流するといった形では関与しております。

【下山座長】 ということは、主治医の意見が反映されているということですかね。

【津川委員】 そうです。

【下山座長】 例えば、指導医はまだ置かれていないということでしたので、校医さんが関与されるということはございませんか。

【津川委員】 そこについては課題となっていて、先ほどもお話しした昨日の会議の中でも、学校医が必ずしも医療的ケアに精通しているわけではないというような状況があって、その活用について課題になっています。

【下山座長】 ありがとうございました。
 もう一つなんですけれども、各校における課題と工夫というところがございました。5ページですね。そこで口頭で、何々はできるという解釈が学校によってばらばらになりがちだということでしたが、何々はできるというのは、医療的ケアの行為のお話でしょうか。

【津川委員】 そうです。主に行為と、それから手順等についても、何々できるとか、してもよいとかという表現が含まれていたときに、どう解釈するかということが、なかなか統一した見解として各学校で共有されていないということが課題だということです。

【下山座長】 分かりました。ありがとうございます。
  皆さんから何かございませんか。高田委員。

【高田委員】 教職員の中での共有ということもあるかなと思うんですけれども、北海道みたいに、札幌市のような地域と非常に人の少ない地域があるかと思うんですけれども、そういう場合、医師とか医療人材の確保とか、医療者同士の共通の認識をどうやって取るかということについて、何か御工夫とかされていたら教えていただけたらと思うんですけれども。

【津川委員】 特別支援学校がある学校については、地方であっても都市部にあるので、そこの中核病院のお医者さんが主治医になっている場合というのも多くあります。ただ、そうではない例もたくさんあるというのは現状です。
 道教委としてではないんですけれども、先ほどもお話しした知事部局で厚生労働省の事業を受けて行っている事業があります。そちらについては、今、道教委の事業で指導医をお願いしている先生が補助事業者として実施しているということがありますので、そちらの中で、各地方で医療的ケアに関わっているお医者さんが集まっての会合等を行っています。その中に道教委としてもオブザーバーとして参加しており、情報提供したりですとか、課題について共有したりということで行っています。その中で、学校だけではなく、医師同士のつながりということについても検討がなされていますので、勉強しながらやっていく必要があるかなと認識しています。

【下山座長】 それでは、都道府県、市町村という話を一緒にしていくのは、ちょっと乱暴かと思いますので、まず都道府県の実施体制、神戸市さんのような政令市を含めて、この実施体制について、お考えを交換していただければと思います。どなたか。高田委員。

【高田委員】 兵庫県の場合、阪神地区、神戸市というような大都市部と、県北部のような非常に過疎が問題になっている地域というのを抱えています。そういたしますと、1つの県としても、なかなか同じシステムで動くことは難しい状況です。実際のところ、それぞれの地域に合わせた形でシステムを運用していかないと、上手くいかないのかなと思っておりまして、そういう意味で、余り枠組みを固くしてしまいますと、それぞれの地域の中でそれを応用できないと言うことが起きると思います。全体の枠組みをフレキシブルなものとし、個々の学校においても、個別性ということも考えながら対応できるような仕組みというのを考える必要があると思っております。

【下山座長】 なるほど。1つの県の中でも資源の違いというものに目を向けて、フレキシブルさと個別性が必要ではないかという御議論でした。この辺りについてはいかがでしょうか。津川委員。

【津川委員】 先ほど指導医の配置について検討ということでお話ししました。先ほど質問いただいた中にもあったんですが、実際、学校医というのが医療的ケアに必ずしも精通しているわけではないというのが、なぜそうなっているかというと、現在の北海道の中では、新しく学校ができた場合、医師会に学校医を紹介してほしいということで、推薦を受けて配置しています。その場合、学校に在籍する児童生徒の障害の状態に応じてというよりは、主に従来、内科検診ですとか、そういったことを担っていただいている学校医さんですので、近隣の小児科のお医者さんであったりとか、近さですとか、そういったことで推薦を受けている場合というのが多くあります。
 そういった流れをどのように変えていくかというのは、道教委だけの判断ではなくて、医師会ですとか、そういったところとも共有していかなければ、これまで築いてきた医師会との信頼関係というものも損なうことになりかねませんので、どのようにしていくかということが課題になっています。
 また主治医が、札幌市については拠点の病院が複数ありますので、そうなった場合、主治医が複数いる場合というのがあります。逆に地方で、例えばかん腸だけのお子さんなんかだと、まちの診療所のお医者さんが主治医として指示書を書いている場合もあります。その辺り、一律に指導医というものを置いたときに、各地区に置く必要があるのか、1人置く必要があるのか。
 又は、指導医としてお願いしたときに、現在指導医をお願いしている先生については、訪問診療を主にやっているお医者さんですので、比較的フットワークよく動いてくださる部分があるんですが、それが継続的なシステムとして成り立つのかどうか。大きな拠点病院になりますと、今度は外来が中心になりますので、そういった訪問して学校に行っていただくことが、広域だということもあって難しい場合があります。また、その場合の旅費等を考えた場合、どのような基準で置くのかということで、別途予算措置をしていく際の財源の取り方といったことについても、現実的な課題としてあるというのが現状です。

【下山座長】 ありがとうございました。指導医の置き方ということ、あるいは学校医の選び方といいますか、こういうことについても今後検討が必要ではないかということですね。
 先ほど高田委員の御発言の中で、神戸市は学校医が指導医だというお話でしたか。

【高田委員】 はい。

【下山座長】 これはどういうところから、そんな仕組みになってきたんでしょうか。今のことと関連して。

【高田委員】 学校医に指定されている方は小児科の専門医である方ということで指名していただいております。そういうこともありますので、比較的一般的な医療、それから医療的なケアに関しても一定の知識をお持ちの方がなっておられます。その中で、私が指導医のまとめ役みたいなことをいたしております。

【下山座長】それは、学校のニーズということを医師会としても十分汲んで、ふさわしい方を配置していただいているという理解でよろしいですか。

【高田委員】 実は、20年ぐらい前までは、近くの内科の先生が校医をなさっていたんですけれども、疾患が先天異常とか染色体異常とか、非常に多様化してまいりまして、内科の先生自身が、とてもじゃないけどお話に付いていけないから、こういうところで校医を選ぶ場合には、ある程度専門性を優先してほしいということを言われまして、そういうことも含めて医師会から、それぞれの校医に関しましては小児科の専門医を推薦いただいているということになっております。

【下山座長】 なるほど。
 田村委員、東京都では学校医というのは、どのような方が担当されているんでしょうか。

【田村委員】 各診療科目と人数の決まりが東京都の教育委員会の中にありまして、併置校の場合、それから単種別の特別支援学校の場合ということで、それぞれ診療科も決まっている中で、医師会等にお願いをしているという形になります。

【下山座長】 単純に指導医と学校医を兼ねていらっしゃるという先生もいらっしゃるんでしょうか。

【田村委員】 学校医と指導医を兼ねている場合もあります。東京の場合にもう一つ、中核等の病院が多いので、主治医を兼ねている方もいて、そこが非常に複雑に入り組んでいますね。

【下山座長】 なるほど。体制を考えていく上で、主治医は子供サイドに立って、何とか学校生活を充実させようと考えるでしょうし、学校サイドに立って医ケアのことを判断してくれる指導医さんですとか学校医さんという存在、この両者の医療関係者のコミュニケーションというのは、大変大事な問題ではないかなということを思うんですけれども、そんなことが1つ浮かび上がってきたなと思います。
 他にいかがでしょうか。都道府県レベルでの実施体制ということで、御意見のある方はいらっしゃらないでしょうか。
 最初の問題提起にあります永田町の子ども未来会議というところで、学校で行われる医行為について慎重な対応ということで、何を学校で行うか、あるいはできないのかという判断という辺りが、課題として指摘もされておりますし、現実的に大きな問題なんだろうなと思うんですけれども、高田委員、先ほど判断の難しい症例がおありだということでしたけれども、こういうことに関わるのではないかと思いますが、少しそこのお話を具体的にしていただけますでしょうか。

【高田委員】 例えば、人工呼吸器の場合ですと、そういう子供たちを受け入れるのか。これは原則受け入れているわけですけれども、そういうときに、保護者の方がどこまで対応するのかということに関しましては、それぞれの方によって異なってまいりますので、そこでの対応というのは必ずしも一様ではありません。
 それから、幾つか特別な状態で、こういうことができないかということを主治医から要望される場合があります。そのときに、ここまではできます、これからはできませんということで、私からお話をして、その範囲内をある程度、学校の実情に合ったものにしていただくということを行っております。
 それぞれの子供さんのケアが同じであったからといって、同じような対応をするわけではありませんので、場合によっては保護者の方に説明するという役割もしております。

【下山座長】 そこで主治医の方と指導医の方とのコミュニケーションは、比較的スムーズに行えるものですか。

【高田委員】 東京ぐらい大きくなりますと、たくさんの方がいらっしゃるのかなと思うんですけれども、神戸市ぐらいの150万ぐらいの都市ですと、重い医療を必要とされる方は、比較的大規模な、小児神経科の専門医がいるようなところで来ておりますので、ほとんどの先生方が顔見知りというか、お互いよく、常にいろいろなところでお会いしている方たちですので、そういう意味でのコミュニケーションは非常に取りやすいと思います。

【下山座長】 なるほど。分かりました。
 同じく医療関係者のコミュニケーションという視点で見ますと、植田委員、豊中市も大変、医療的ケアの検討委員会と主治医の方とのコミュニケーションということを図っていらっしゃる。そこの状況はどうでございますか。

【植田委員】 本市の場合は中核市ですので、神戸市さんよりは更に人口規模が少ない市でございます。なので、豊中市の病院と、豊中市の保健所と、そして近隣の病院と教育委員会あるいは市長部局との関係は、割と小ぢんまりした関係では行えています。ただ、実際に検討会の医師と、それから主治医である医師とは、実際に会ってお話をするということはほぼ不可能で、我々のような常勤看護師が書面を持っていきながら、検討会の医師の内容を口頭でお伝えするということで、何とかコミュニケーションを図って、両方で調整あるいは折り合いを付けていただくと。そういったやりとりを全て、保護者さんが御了解いただいているプロセスの中で調整させていただいている状況です。

【下山座長】 医療関係者の中、医師の間に、看護師という医療関係者も入ってコミュニケーションを取っていると。それも保護者の了解が得られているということですね。分かりました。
 全ての自治体を見渡しているわけではありませんが、医療の関係者、学校サイドの状況と、子供サイドの情報と、ここをうまくコミュニケーションするということが大変大事ではないかなということが浮かび上がってくるように思います。そうした都道府県での実施体制作りということの中にあって、医療的ケアの運営協議会というところが多くのところで持たれているんですけれども、この在り方について、何か御意見のある方はいらっしゃらないでしょうか。
 先ほど高田委員は、フレキシブルさと個別性ということをおっしゃったんですが、これは例えば医療的ケアの連絡協議会のようなものを置きますと、それが損なわれるという意味合いはございますでしょうか。

【高田委員】 いえ、それは規模とか、中に入っている参加者の方によるかなと思います。余りに大きな単位でこういう協議会を持っていきますと、個別の症例というのを検討するような余地はなくなってくると思いますので、ある程度の規模というのが要るのかなと思いますし、それから、実際に医療的ケア協議会が置かれていたとしても、それが本当に機能的に動いているのか、単に置かれているだけの形式的なものになっているのかというところがありますので、その辺りの、実際に置かれている協議会が機能するということが大切だと思います。

【下山座長】 なるほど。確かにそうですね。54置かれているんですけれども、それが機能的に動いているかどうかということがありますが、この辺り、何か情報はございますか。

【森下企画官】 御指摘のとおり、非常に頻回開かれている教育委員会から、年に1回という形で開かれているところまで、まちまちでございます。必ずしも回数が少ないからいけないわけではなくて、年に1回であっても、北海道もそうですけれども、1年間の情報をしっかり集めまして、それを次年度に向かって展開していくという意味においては、回数だけで比較するわけにはいきませんが、なかなか形式的に開かれています情報は、私どもに入りにくいわけでございますけれども、高田委員御指摘のとおり、これを有機的に回していくというのは非常に大事なことなのかなと思います。

【下山座長】 今、事務局で捉えている範囲内での情報の提供がございました。
 ほかに御意見のある方はいらっしゃいませんか。
 安藤委員、前回随分、在宅医療との関連ということを御発言される委員の方が多くございました。地域で在宅に看護師さんたちが取り組んでいる状況、それと、例えば学校の看護師さんたちが研修を一緒に持つとかいうようなことですとか、在宅にお医者さんたちも行っていますので、そことの関連を図っていくと。訪問看護がその大きな担い手になっていますけれども、学校での医療的ケアの仕組みの中に、訪問看護はリンクされているものでしょうか。

【安藤委員】 私どもは放課後等デイを併設しまして、初めて学校の先生と連絡というものができました。それまでは、今思えば、同じ子供さんが家にいて、学校に行って、また病院という、本当にいろいろな意味で共有するべきものがあったんですが、壁はすごく高かったなというのはすごく感じております。
 放課後等デイを通して初めてお互い共有することによって、私どもは近くにしげのぶ特別支援学校がありまして、そちらに人工呼吸器の、また私どもの当然利用されているお子さん方が行っておりまして、そのときに学校の先生たちが、やはり手順のことですごく悩んでいたのが、今までどうして共有されなかったのだろうか。放課後等デイを通して、お迎えに行ったときの、ちょっとした学校での、今日の健康はどうでしたかとか、また、何かお困りはありませんかとか、反対に先生から聞かれることによって、共有することによって初めて、もっと早くこういう環境ができていたら、そういう手順におきましても、在宅では既に日常のことができておりますので、それを御提供することによって、より安全な医行為というものができなかったかなと思っております。
 今、看護協会又は訪問看護におきましては、各都道府県に訪問看護の連絡協議会ようなものがありまして、そういうところからもいろいろな研修が行われております。愛媛県におきましても今年11月に、学校、ドクター、教員の方、保母さん、そして行政、ドクターを含めて、連携会議の大きな研修をしまして、80人定員が99名、ドクターも3分の1来ていただきまして、小児のドクターばかりだったんですが、それで、こういう医療的ケアに対しては学校だけではなく、また病院だけではなく、在宅だけではない、広域的な連携というのがすごく重要だなというのが出ております。
 私たちステーションが、どこまで教育というところに御支援できるかどうかはまた別として、いろいろな意味での情報提供はできるのではないかなと思っております。
 以上です。

【下山座長】 ありがとうございます。
 田村委員、たしか先生の学校などでは、卒業後の医療的ケアということに関する関心が大変高かったと承知しておりますけれども、そういう意味では、地域の医療的ケアとのつながりということを、どう考えていくのがよろしいでしょうか。先生のお考えがありましたら。

【田村委員】 地域とのつながりというところでいいますと、医療的ケアなどがあることによって、在宅で教育を受けているお子さんが、そのまま家庭でどうやってライフクオリティーを維持向上させていくかというところ。それから、家庭の方には訪問看護ステーションから専門スタッフが来ており、そのお子さんを在学中から、学校に一緒に来られないか、あるいは、そうすると卒業後もなだらかにつながっていくなどの個別の御相談は、かなり以前からずっと来ていますけれども、ここは教育と福祉で境目があるところで、なかなか難しいところです。
 ただ、生涯学習の一環として、学校での医療的ケアの経験や教育の経験を生かして、退職後の教員などを組織して、生涯学習の一環として医ケアをやりながら在宅で学び続ける形を、幾つかの区市町村の制度を使って月に1度程度行っていたり、あるいは、その中でも集まってこられるお子さんには、数人グループの集団を用意してなどやっている実績が、時々私どもの保護者の大きな大会でも発表されます。それに関しては、保護者から大変希望を持てた、よかったという声も上がっていますので、そうした御相談があるので、潜在的にはそこのところに対する期待や、あるいは不安も大きいところだと学校としても理解しております。

【下山座長】 都道府県の実施体制と関わって、地域で行われている医療との関連というのを、どう考えていくかという課題もあるのではないかなと思っております。
 ほかにございませんか。高田委員。

【高田委員】 先ほどの地域との関連ということですけれども、私は小児神経学会を代表してということで、この席に来ているわけですけれども、小児神経学会では2004年から、各地域で医療的ケア研修会を、当初は講師養成、医師の方がケアの指導をどうするのかという講師養成ということでやっていたのですが、2009年からは看護師さんとか、他の専門職の方たちも一緒に参加していただいて、医療的ケアの研修会をやっております。
 小児科学会も数年前から、小児の在宅医療研修会ということでやっておりまして、ここ2-3年で医療の方向性が、在宅というところに急激に変わってきておりますので、5年前に比べまして、恐らく地域の支援学校等の医療的ケアに協力しようという医師、医療関係者の数は格段に増えていると感じております。

【下山座長】 地域に向かう医療との関連で、学校における医療的ケアも位置付けを考えていく必要があるんだろうなと。前回の御意見などを踏まえて、そういうことが1つのテーマになるんじゃないかなと考えています。
 それではこの辺りで、今は都道府県中心に考えてきましたが、市町村ですね。豊中市から取組発表をしていただきましたが、市町村数は相当に多くありますので、まだ未整備なところもたくさんあります。そうしたところでの医ケアの体制というのを、どのように考えていったらいいのか。事務局からも説明がありましたが、前回は、医療との関係をしっかり作らなきゃいけないという程度のことしか触れられていないということです。この点について、豊中のような体制を作っているところもございますし、まだ未整備なところもあるという状況です。この点についての皆さんの御意見をお聞かせいただければと存じます。田村委員。

【田村委員】 まず、1つ教えていただきたいのですけれども、実は今、全国の学校を代表して、ここに来ているわけですけれども、私の学校の立地しているところでも、地元の区市町村から医療的ケアについて、進めていく形を検討しているなどの話が来ます。私は都道府県立の立場ですけれども、先ほど豊中市さんのところで、システム図などの御説明を詳しく頂いたんですけれども、豊中市にも県立の学校がありますが、主に肢体不自由の学校では、歴史的にも早くから医療的ケアのノウハウや人材が育っているわけですけれども、そうした県立の肢体不自由校等との関わりみたいなところは、どの程度ノウハウとか人材とかは入っているのかなというところがあります。
 そこの御質問したいところの背景としましては、今回この検討に当たり、全国の特別支援学校長会から私は今ここに委員として出ていますので、各都道府県から様々、先ほど高田委員からあったように、状況はかなり違いますので、私の東京の経験だけで言ってもいけないということで、ちょうど昨日取りまとめが終わったところなんですけれども、ある県のところでは、各市町の教育委員会が開催する小中学校における医療的ケアに関する連絡協議会の内容について集約して、県立学校と報告したり情報を共有できると、更によいだろうと。
 そんなところも出ていますので、地域の1つの資源や実績としての都道府県立の特別支援学校の医ケアのノウハウと、これから更に展開する可能性のある地元区市町村、市町村の特別支援学校を直接設置していないところもたくさんあるわけですね。そうしたところがうまくノウハウを共有し合っていったり、人材交流ができたり、看護師さんにしてもノウハウが要るわけですね。そうしたところが何かヒントになるものがないか、教えていただけたらと思っております。

【下山座長】 今のお話は、特別支援学校センター的機能といわれるんですけれども、センター的機能の発揮の形の一つとして、医療的ケアもあるだろうということですね。県の連絡協議会などがあるとしても、その支援が全ての市町に向かうということは難しいわけですから、地元にある特別支援学校が果たす役割ということが、現状でどうかということですね。
 何かそれに関する情報がありますか。

【森下企画官】 それについて、データみたいなものはないもので、むしろお伺いしたい。例えば豊中市さんが府立の特別支援学校と連携している件であるとか、あとは神戸市であると、特別支援学校も設置していれば、小中学校も設置していると思いますので、地域の学校と特別支援学校の共有の例とか、道教委さんの地域の区市町村との連携といったことを、もし現状ございましたら、お話を頂けたらと思うんですけれども。

【下山座長】 植田委員、どうですか。

【植田委員】 本市の場合、大阪府にございますので、肢体不自由の学校であれば大阪府立箕面支援学校か、あるいは豊中市立の小学校か中学校かという進路になっております。特別支援学校と地域の小中学校は、若干教育課程とか学び方とかが異なりますので、全く同じノウハウではないと我々は認識しております。ただ、例えば人工呼吸器のお子様であれば、多くの特別支援学校、大阪府立の支援学校であれば、基本、訪問籍で、通学籍になられる方の方が大変少ないので、我々のような学校でどのようにケアをするかというノウハウにつきましては、市町村の方が先行したような形になっております。
 それ以外の部分につきましては、実際、人が交流して情報交換するというところまではなかなか至らなかったんですが、昨年度から箕面支援学校と我々とで、看護師レベルで合同の研修会をするということも、同じ校区ということでさせていただいたのが、昨年度から少し始まりました。ただ、勤務の在り方が非常勤だったりする職員が多いですので、なかなか同じ時間帯に一堂に会するということができず、主に常勤の看護師と支援学校の養護教諭が代表として連携するということを、年に1回あるかなというところから始まっているような状況です。
 お子さんにつきましては、例えば小から中等部に進学される場合は、引き継ぎということで支援学校から地域の小学校にお越しいただいて、ケアの様子を見ていただくとかいうことは、既にさせていただいています。
 以上です。

【下山座長】 高田委員、神戸市についてはいかがでございますか。

【高田委員】 特別支援学校の専門的な役割ということで、肢体不自由の場合はかなり難しいところもあるかなと思っております。神戸市の場合、一般の小中学校は訪問看護師さんを利用するという形での制度を使っておりまして、その訪問看護師さんのところとの情報のやり取りということはあるんですけれども、なかなか肢体不自由の先生がそこで直接ということはありません。
 養護教諭さんですね。市の中の全体的な養護教諭さんの勉強会であるとか、看護師の研修会というのは、一緒にやっております。むしろ、視覚であるとか聴覚の場合ですと、それぞれの支援学校から各学校に先生方が行かれて、そこで直接的な指導を一緒にされているという例は多いかなと思うんですけれども、肢体の場合ですと、かなりそ限られていると思っています。

【下山座長】 北海道ではどうですか。

【津川委員】 システムとして、医療的ケアに関わって特別支援学校が小中学校に支援しているというケースは把握していません。ただ、教育内容ですとか、その周辺に関わる教育環境、それから関わり方等については、センター的機能の一環として、OT・PTの資格がある自立活動教諭ですとか、コーディネーターであったりという先生方が、支援しているケースはあるとしております。実際には、お医者さんを介して情報を共有したりという部分があるということで、道教委としては今回初めて、看護師を対象とした研修について、一緒に研修しましょうということで呼び掛けたのがスタートという状況になっております。

【下山座長】なるほど。今お聞きした範囲の中では、まだ特別支援学校のノウハウが市町村へというところが少ないようですが、今後課題にはなっていくでしょうね。
 ほかに市町村の体制について、いかがでしょう。
 村井委員、学校の立場から、市町村の体制がこうあったらということはございませんか。

【村井委員】 常勤の看護師さんや施設の面が、それを整えるまでには至っていない学校もありますので、学校の体制の中で、養護教諭がコーディネーター的な立場で看護師さんとの情報の共有等の対応をしているところだと思います。なかなか一律にいかないところではあると思いますが、市町村の体制を整えていただき、それに沿ってどの学校においても同様の対応がとれるようになればいいと思います。

【下山座長】 田村委員がおっしゃったところは、むしろ医ケアを誰がやるかというよりも、その体制をどう作るかということで、例えば養護教諭さんがどういう働きをしなければならないとかという辺りに、特別支援学校がノウハウを持っているということですね。例えば、清潔だとかいう問題について、どう取り組むかというノウハウ。だから、市町村の小中学校でやろうというときに、行為を誰がやるかという問題だけにしてはいけないということになります。
 したがって、そういうことを市町村として、どう体制整備していくかということですよね。それが非常に大事なことになってくるということだったろうと思うんです。そのノウハウを蓄積してきているというお話だったろうと思いました。
 市町村につきましては、七、八百名ぐらいの子供さんが小中学校に、医療的ケアが必要だということでいるという状況。そしてそれは、小中学校はトータル3万校ぐらいありますので、かなり散らばりがあると考えなければならない。そこで看護師さんが配置されたとして、あるいは訪問看護ステーションを使ったとして、それだけでは多分済まないということになりますよね。そこで看護師さんと子供たちが細々と医ケアをやっている状況というのは、非常に危ういんだろうと思うんですね。そこの体制をどう作るかということは、今回の1つの大きなテーマではないかなと思います。
 どなたか御意見がある方、いらっしゃいましたらお願いします。また、次回にも少し議論はつながると思いますが。高田委員。

【高田委員】 先ほど言われましたように、肢体不自由の学校の中でも、医療的ケアを必要とする子は必ずしも多数を占めるというわけではありませんので、そういうときに、肢体不自由の学校の中で、他の先生方が医療的なケアの基本的な知識を知っいることが必要だと思います。
 現在、知的・情緒の学校と肢体の支援学校が併置される学校が多く占めてまいりますと、知的・情緒の教室にも医療的なケアを必要な子供たちが在籍しているということが増えてまいりました。知的・情緒の担当をされている先生方も、できるだけ一緒に研修を受けるということにしています。まずは一般の先生方が、そういうケアをするということの意義とか意味とかいうことを理解されていないと、実際にケアに携わる先生の立場が非常に少数派となって、学校の中でうまく回らないということが出てまいります。一般の方々の理解ということが非常に大事だと思います。

【下山座長】 ありがとうございました。それでは、この議論は次回にも少し続けたいと存じます。
 次に話題を、学校における役割分担というところに移してまいりたいと思います。では、事務局から説明をお願いします。

【森下企画官】 資料5をお手元に御用意ください。学校における医療的ケアの実施に当たっての役割分担の現状についてというペーパーでございます。冒頭にも米印でお示ししてございますけれども、各都道府県教育委員会で定めておりますガイドラインなどにおいて示された関係者、校長から始まって、看護師であったり、指導医、学校医、その他関係者それぞれの役割分担を、私ども事務局で整理したものでございます。
 実際には、ここまでの議論でもお話ありましたけれども、個々の地域や学校において多様であるんですが、今後この標準的な役割分担といったものを議論する際に、参考に資するように作ってみたものでございます。それぞれの当事者が、ここにあるようなことについて役割を担って、この範囲の仕事についてはしっかり責任を果たさなければいけないと。過失があれば、その責任を負うというイメージでお聞きいただければと思います。繰り返しになりますけれども、飽くまでも例示でございまして、地域の実情に応じて出入りといいますか、役割が変わっていることもあるということも御留意を頂けたらと思います。
 では、1ページ目からでございます。まず教育委員会でございます。教育委員会は、まず域内における学校の設置者という立場でございまして、きょう冒頭御説明したとおり、統括的な管理体制の整備について責任を取るわけでございます。そのため、医療的ケアに関する基本方針を策定したり、今日御議論いただいた協議会を設置・運営したり、あるいは各学校に配置する看護師を確保する。これは雇用する場合もあれば、病院等に、あるいは訪問看護ステーションに派遣を委託するようなこともあろうかと思います。医ケアを実施する看護師の確保。あるいは、各学校において研修を受けて医ケアを実施する教職員、あるいは雇用した看護師の研修などについても、教育委員会が役割を担うということになります。
 ここは医療的ケアに特化しておりましたけれども、先ほど豊中市さんの御説明にもありましたように、教育委員会は就学決定というか、どこの学校で受け入れるかということを決定する任も負っていると考えておるところでございます。
 その下、校長先生でございます。校長は校務をつかさどると学校教育法に記載がございまして、学校における最終責任者の立場でございます。その立場から、校内における組織的な体制の整備を担うということになってございます。具体的には、校内における実施規程を整備いたしましたり、先ほど来お話をした校内の安全委員会の設置・運営を責任を持って行ったり、あるいは、各教職員の責任分担を明確化する。これには看護師も含まれると思います。
 また、校内だけではありません。外部も含めた連携体制の構築・管理・運営といったこともしなければいけませんし、本人や保護者への説明につきましても校長が任を負うというところでございます。また、設置・管理を行っています教育委員会に対しても、現状の報告といったことも行わなければいけませんし、先ほど責任分担の明確化のところでもお話ししましたが、そもそも校内に配置された看護師あるいは教職員の上司に当たりますので、その服務監督を担うというところでございます。
 あとは、個別の例でいえば、授業中のみならず、課外活動、宿泊学習への参加の判断であるとか、緊急時の体制を整備し、本当に実際にそれが起きた場合の最終判断の任を負うというのが校長先生の役割になっておるところでございます。
 1枚おめくりいただきまして、今度は副校長・教頭先生でございます。それぞれ校長先生の校務を助ける立場ということで、今述べたような校長の役割を、一部教頭先生が担ってサポートしているケースもございますし、特に教頭先生・副校長先生の役割として、外部の関係機関の窓口を担っているというケースもございました。また、これから御説明する指導的立場の看護師がおらない場合ではないかと思いますけれども、副校長や教頭が看護師の勤務調整などを行っているケースもございました。また、校内外の関係者からの相談の対応、窓口についても、副校長・教頭が担っているケースがございます。
 2番目で、看護師でございます。ここではまず、原則として学校あるいは教育委員会で採用している、学校に配置された看護師を念頭にご覧いただけたらと思いますけれども、看護師は指示書に基づいて医療的ケアを実施する方という役回りを、まず持っておりまして、医療的ケアの実施が一番の役割ということになりますが、それにとどまらず、例えばほかの研修を受けている医療的ケアを実施する先生への指導・助言であるとか、あるいは校内で用意する必要な医療器具や備品の管理、時には親御さんから預かって管理することもあろうかと思います。こうした備品の管理。また、医療的ケアの日々の記録・管理・報告、あとは指示書に基づいて個別のマニュアルを作成したり、あるいは緊急時のマニュアルを作るということも看護婦さんが担っていることが多いです。
 また、保護者・主治医に対する適切な情報提供・連携ということで、医療職としまして専門的な観点から保護者や主治医との連絡窓口を担っているケースも多いようでございます。あと、先ほど教員全体の理解啓発が必要だということで、地域によっては看護師さんがこの任を担っているということで、校内全体への研修を担っているケースもございます。あとは、ヒヤリ・ハット事例の蓄積であるとか、時に看護師さんが臨時の免許証をもらって自立活動の授業を持っているケースがございます。1回目の会議で私が御説明したような医療的ケアの教育的な役割を、看護師さんが担っているケースもあるというところでございます。また、当然緊急時の実際の対応を校長の判断の下に対応するのは、看護師が対応しているということが多かろうと思います。
 また、地域によりまして、指導的な立場となる看護師ということで、例えばこれを常勤の看護師で、ほかの方は非常勤でという組み合わせで、上記に加えまして、外部機関との連絡調整をその看護師さんが対応したり、あるいは、ほかの看護師全体の勤務調整、スケジュール管理を行うであるとか、あとは他の看護師の相談役・指導役になるということ。併せて、研修会の企画や運営であるとか、時には看護師さんが不足した場合にピンチヒッターで指導的な立場の看護師が入っていくというような運用がなされていると聞いています。
こうした指導的な看護師ではなくて、教職員に医療的ケアコーディネーターなどの名前の職を置きまして、先生として、こういう各種の調整や研修の企画などの役割を果たしている例もございます。
 続きまして、今度は医療的ケアを行うことができるようになった、研修を受けた認定特定行為業務従事者としての教職員でございます。先ほどの看護師とダブる部分がございますけれども、先生でございますので、医療的ケアの実施のほかに、例えば保護者との連絡を担ってみたり、医療器具や備品の管理は同じですね。ただ、下から2つ目、教科・自立活動等の指導は、本来業務としての、教員としての任を併せて担っているというところが看護師との違いかと思います。
 また、ガイドラインに入っているケースは多くないんですけれども、医療的ケアを実施しないその他の教職員、例えば学級担任であったり、中学校以上であれば教科担任がそれぞれおるわけでございますけれども、彼らについては、看護師や医療的ケアを実施する教職員との連携などの役割を担っているのかなと思っております。なので、今の議論を聞いていると、単に連携にとどまらず、医療的ケア全体に対する理解みたいなものも、それを役割と言うのかはあれですけれども、ほかの全職員に対して必要なのかなと感じていたところであります。
 また、養護教諭でございますが、医療的ケアの必要な子供に限らず、全ての児童生徒の健康をつかさどるという役割で各学校に配置されております。したがいまして、全ての児童生徒の健康状態の把握であるとか、あとは学校全体の緊急時のマニュアルの作成を養護の先生が全体で担っているケースもあると聞いています。また、医療的ケア児に限らず、緊急時の対応・応急処置なども、本来する業務でございますので、医ケアに限らずでございますけれども、そういう役回りを持っているということ。
 あとは、養護の教諭としても、これまで何度か出てきた役割ですけれども、外部の関係機関との連絡調整であるとか、看護師の勤務調整、ヒヤリ・ハットの蓄積。あと、看護師や医療的ケアを実施する教職員の補助、研修会の企画・運営ということで、こういったところは恐らく小中学校などでは、こういうことを養護の先生が担っているケースが多いのではないかと思いますけれども、養護教諭も医療的ケアを実施するに当たって、こうした重要な役割を担っているというところであります。
 学校医と指導医は、あえて分けて書いてございます。学校医は各学校に置かれて、本当は保健や医療に係る指導・助言を行うという立場でございますので、特に指導医がおらない場合には、学校医が医療的ケアについての判断について、学校の校長先生なりにアドバイスをしているという実態が多かろうと思います。したがいまして、一般的なところにとどまらず、緊急時に係る指導・助言であるとか、個々の実施規程やマニュアルについて内容を確認したりであるとか、個々のケースに指導・助言をするケース、あるいは主治医との連絡を担っていただいているケースもあると聞いています。
 また、課外活動や宿泊学習の判断に当たっての指導・助言ということを、学校医が行っているというケースもあるわけでございますが、今日北海道さんからも御説明ありましたけれども、先ほどの通知にも、特に医療的ケアについて専門的知見を有する指導医という、通称ではございますけれども、医療的ケアに専門的な知見のある、あるいは小児科に専門的知見のあるお医者さんに、今申し上げたような個別の実施規程、個別のマニュアル等の確認等々を行っていただいている例がある。指導医がいれば、こうした役割を担っているというところでございます。
 主治医の方について、こういう役回りをということで、まず主治医としては、かかりつけのお医者さんでございますので、本人あるいは、学校での医療的ケアでございますので、その状況を踏まえた形で指示を行う。特に、これは書面によって指示を行ってもらうようにお願いをしているところであります。
 2つ目、個々の主治医としては、一人一人の子供の様子、あるいはケアについての手技について特徴を御存じなので、個別の手技に関する看護師へのアドバイス・指導を行ったり、あとは個別のマニュアル・緊急時のマニュアルを各学校で看護師が作りますので、それに当たっての指導や助言、時に承認を医師が負っているケースもあると聞いていますけれども、こうしたことの一定の関与を行うというところ。また、学校への情報提供ということで、通常の診察という中で、子供の様子であるとかいうのもしかりでございますけれども、看護師や教職員と連携するために、時に巡回指導を担っていただいているケースもあると聞いています。
 また、一般論として、医療的ケアの研修の講師としてお招きを頂いたり、保護者への説明の任を担っているケース。また、緊急時には連絡を取れるような体制にしていただいて、個別の指導・助言していただくということを、主治医にはお願いしているケースが多いようでございます。
 あと最後、前回、保護者にも一定の責任があるのではないかという御発言を、保護者の竹内委員からお話がありました。実際、各県のガイドラインを見ると、保護者にも一定の役割を求めているところがございまして、手続的には先ほどの依頼書を出したりするという手続もあるんですけれども、例えば学校との連携・協力ということで、学校で医療的ケアが安全にできるようにするために、家庭での状況をしっかりと学校に伝えるとか、そういったことを担っているということで、ここでは、例えば緊急時の連絡手段をしっかりと確保していただくことであるとか、自分のお子さんのことでもありますので、学校の外でもちゃんと定期的に主治医、医療機関への受診をしていただいて、適切な指示を仰いでいただく。その上で、日々の健康状態もそうですし、先ほどの主治医からの指示もそうですし、適切に健康状態を学校に報告していただくというのも、保護者の大事な役割ではないかと思います。
 あと、備品の観点では、学校で共通に使うものは学校で準備するかと思いますが、個別にそのお子さんのみに使うものは多くの場合、保護者で用意をしているということ。あとは、緊急時の対応につきましても、通常駆け付けていただくような仕組みになっていることが多かろうと思います。また併せまして、学校と主治医の間での連携の重要性は、ここまでも議論があったところですけれども、その際には保護者の協力もお願いしているという例があるというところであります。
 駆け足で恐縮でございますけれども、全県的な状況というか、議論に資するようにまとめてみたものでございます。よろしくお願いいたします。

【下山座長】例示であるがという断りがありましたけれども、このような役割分担になっているところが多いというところです。
 指導医の役割を中心に、高田委員に少し御説明をお願いしたいと思います。

【高田委員】私自身の指導医としての仕事ということで、教育委員会とも確認しながら、どんなことをしているかということをまとめさせていただきました。資料4の1ページのところに、現在指導医として依頼されている活動ということで書いています。先ほど言いましたように、巡回研修をしておりますので、そちらの医師、看護師、理学療法士、それぞれは神戸大学、神戸市立看護大学、それから近隣の重症児の療育施設、そして県立のこども病院から参加し、医師を含む医療チームということで行っております。それぞれの実際のケアをされている様子等を観察して、先生から疑問点があったり、不安ということがあったら、現場でお聞きして答えるということをしております。それに対しての日程を調整したりとか、どの方に行っていただくという割り振りをしております。
 それから、実際に私自身もそういうチームの一員として参加しておりますけれども、全体の研修、基礎研修であるとか、それ以外の独自の研修ということで幾つかの、食べるとか、呼吸するということに関して、テーマを置いた形の研修をしておりますので、そういうときに、講師の先生をどの方に来ていただく、それから、そういう研修計画を立てるということをしております。
 宿泊行事ですけれども、今は主に神戸市内にあります兵庫県立こども病院の小児科救急のレジデントの方たちに、勉強も兼ねてということで、一緒に参加していただいております。そういう方たちの割り振りということもさせていただいております。それから、判断の難しい症例へのアドバイス、各主治医の先生方との連絡ということを行っております。
 例として、ページ数の3ページのところに、医療的ケアの実施行為等の検討についてというところで、判断に迷うケースについての検討ということで、幾つか挙げさせていただいております。例えば、人工呼吸器のアラームへの対応を誰がするかと。何かしたときに電源を抜いてもアラームが鳴ると。アラームを止めるのは看護師でないといけないですかということがありますと、各校の校医さん、指導医の先生方と私たちが一緒になりながら、教員が消音することも可能ですけれども、後で必ず看護師の確認を受けましょうというような対応を決めております。
 カニューレ及び胃ろう、経鼻チューブが抜去したときはどうするかと。こういうときも、気管カニューレについては、あらかじめ緊急のマニュアルというのをそれぞれのところから届けていただいておりますので、それに応じた形で看護師が処理をするとしています。胃ろう等に関しましても、緊急性を要するというか、抜けたまま放置しておくとだんだん締まっていくというような場合には、そこに何らかの処置をするということで、個別のケースで緊急時の対応ということを決めております。
 例えば、中心静脈栄養で、閉塞のアラームが鳴ったとき、どうするのかということが出てきたりいたします。家庭で行っている手技ではあるけれども、常時対応ではできないが、緊急のときには、こういうぐあいに看護師も一緒に対応するというように、どういうときには対応する、どういうときには対応できないということを、個々の症例の状況に応じて判断するようにしています。
 4番目のところで、自発呼吸のない人工呼吸器装着児童の保護者付き添いについて書いています。これも子供さんそれぞれの状況によって判断をしておりますので、実際に駄目という場合もありますし、限定した形でやるのはいいということもあります。例えば、5番目のアンビューバックの使用とかいうときですと、よほど悪くなったときには緊急対応として行うけれども、通常のときには行わないというようなことも含めて、時にはノーを言うときもありますし、時には、この範囲の中ではやっていただいていいという対応をしております。
 後ろのところのパワーポイントに、本日、欠席している三浦委員が豊田市で行っている指導医の対応ということを書いておられます。愛知県は教職員が医療的ケアには参加していないんですけれども、教職員の方々は医療的なケアに関する研修は受けておられます。知識を十分持って、見守りとかそういう形での参加は行っておられるとのことでした。
 それから、3枚目のスライドのところに書いておりますように、看護師や学校側からの質問に対して指導医が答える、対応する。何かあったときに、医療機関との調整役もすると。そういうことだけで、かなり安心できると思います。
指導医の役割に教育委員会は考えているのかということを2ページ目に書かせていただきましたけれども、要は、医療の専門家が協議会に入っているということだけで、かなり教員のスタッフの方が安心するようです。いろいろな判断をするときに、校長先生お一人の肩に荷を負わせるというよりも、ある程度の責任というのは、医療側も教育側も両方が少しずつ分担して持っていくのがいいんじゃないかなと感じております。
 最後に、これは小児神経学会で、特別支援学校の医療的ケア指導医・担当医についてのアンケート調査というのを行って、2015年に学会誌でまとめたものなんですけれども、大体どれぐらいの自治体に設置されているかを書いています。専門医集団とどういう具合に連携を図るか、今ですと在宅医療というのが非常に進んでおりますので、訪問看護等であったり、開業医の先生で在宅をされている先生方とうまくつながっていく方が、子どもたちが学校から離れて、将来社会に出ていかれるときに良いと思います。是非そういう意味で、一般の開業医の先生方にどんどん協議会のメンバーに入っていただくのが良いと思います。
 全国調査をしておりますと、訪問看護師さんが学校に入って、学校の看護師さんに日頃の状態を教えるとか、最初は何日間か一緒にいるという地域もありました。そうすると、随分と安心するということが出ておりますので、そういう意味で、ある程度医療と教育とが連携しながらやっていくことが有用と思います。それから指導医の役割としては、全体の研修のシステムを学校側と一緒に考えていくことも必要と思っております。

【下山座長】 短い時間にありがとうございました。たくさんの情報があったと思います。医療側も一定の責任を持つということもおっしゃっていただきました。それから、在宅とのつながり。先ほどもちょっと議論しましたけれども、この点についても入れていただきました。
 余り時間がなくなってきました。議論は次回にも続けたいと存じますが、本日二、三、御意見を頂けると思います。御意見のある方、挙手をお願いいたします。
 田村委員、どうぞ。

【田村委員】 今、事務局から説明があったんですけれども、私の学校の所在している東京都の医療的ケアの運営協議会に9年間ほど入っていますが、医療の進歩を含めて、東京都のガイドラインとしての要綱の改定が、特に頻繁になってきました。その中では肢体不自由校、あるいは肢体不自由校以外の場合の様々な設定をする中で、学校と医療とだけだったのが、かなり詳しく役割について、その中には保護者も当然なんですけれども、あるいは副校長とか、様々な役割を明確に規定していく形になってきていて、先ほどのいろいろなところの説明がよく分かるところです。
 判断の責任はどうかというところも、この委員会の中で1つ、検討事項になっているんですけれども、実際に校長としてやっているときに医ケアをやると、いろいろなところであって、実際にある場面、例えば修学旅行など、非常に条件の制約される中でやるかどうかというところに、主治医から意見書をもらってきてくださいと。主治医の意見書をもらってきて、最終的に所属職員がやるときのリスクも考えて、命を守るという観点からも、順序からいうと校長が最終的に判断するんですけれども、現実としては、お医者さんの判断を生かした判断をほとんどの場合、しているわけですね。
 ですけれども、学校での状況を見ていて、ここでイエスをしたら厳しいのではないかということが、私の実体験としては1回だけノーを出したことがあるんですね。そのときは後でドクターから、では意見書の意味がなかったのではないかと厳しく御指摘を受けたこともあります。順序からいうと、校長が最後の判断になってくるわけですけれども、実はこういうケースでこういうところというのを保護者から伝えてもらっても、なかなかニュアンスが伝わらない。でも、学校は非常に様々な厳しい条件が重なったときでもお子さんを守るというところで、具体的な想定をしていると。で、保護者と主治医は非常に深い関係がある。
 そうした中で、どうしていくのがいいのかというところでは、1つは、主治医と学校と、指導医も含めて意見を十分交わして、結論を1つにできるような場があるといいだろうなというところでは、こうした役割を明確にする中で、連携やケースごとに判断をしていくようなシステムが、もっとできていかないといけないだろうと思っています。
 こうした中で、私どもの会員からの意見の中でも、年に1回ではなかなかそこはできないとか、ガイドラインの改定をするのが数年に1回になってしまっているけれども、もっと定期的にできないかなど、様々な実態がある中で、広域としての在り方と、各学校の中の在り方の役割分担をしながら、さらに、関わる者の責任と権限の明確化というのが、非常に課題意識としてみんな出ています。
 もしその中で、今こういう形が出てきているなど、委員や事務局から情報があったら、是非この検討委員会の中で、こういう形もあるよというものが提案できたらいいなと考えているところです。
 以上です。

【下山座長】 今、責任と権限の明確化というお話がございました。役割というのは、裏返せば責任ということにもなるんだろうと思います。これを、いろいろな例があるんでしょうけれども、出し合いながら、そこをはっきりさせていく方向を考えていけたらと思います。
 ほかにないでしょうか。津川委員。

【津川委員】 今、校長先生からもお話があった、適否の「否」を出せないということについては、道内の学校でも課題として出されています。お医者さんの判断を重視すると言いつつも、お医者さんの中には保護者の方が求めることについて、病院で大丈夫だからということで判断しているというふうに、学校が捉えてしまう状況というのがあります。
 実際には、十分分かった上で判断してくださっている部分もあるのかもしれませんが、それまでの蓄積の中で、なかなか学校のことを分かってもらっていないんじゃないだろうかといった不安もある中で、学校が判断しているという状況がありますので、医師、医療機関に対して、学校を知ってもらう機会というのが必要だということについて、先日の文部科学省主催の都道府県の教育委員会が集まる会議の中でも話題になっていたかと思いますが、そういったことも重要だなと考えています。
 そのほか、役割分担の中で、現在北海道の中でも課題になっていることとしては、看護師の責任ということです。看護師の責任、実際に実施して、特定行為以外の医療的ケアを行っている看護師が、実際には校長先生が責任を持って判断しているんだよとか、都道府県教委が責任を持って国家賠償法等で守っているんだよとお話をしても、それでも不安で、個人で保険に入らなきゃならないだとか、お医者さんがいないので、やはり病院とは違うので、そこまでできないですとか、そういった不安を大きく抱えているというところがあります。役割分担をしていくときに、責任の在りかというのをしっかり確認していくということが重要だということが1点。
 それからもう1点、資料5の中にもあった医療的ケアを実施しない教職員ということについては、現在、文部科学省の事業で指定しているモデル校の2校については、知的障害の児童生徒を主に教育している特別支援学校になっています。その1校については大半が知的障害の、肢体不自由等のないお子さんが在籍している学校ということで、担任の先生不在時に、どのような安全な体制を確立できるか。そういったところについて、先ほどもお話があったように、医療的ケアを実施しない教員、ふだんは関わっていない教員についての専門性を向上させていくということは、本当に重要なことだなと考えています。

【下山座長】 ありがとうございました。最後になると思います。植田委員。

【植田委員】 主治医の役割のところで、本市で感じていることを少し申し上げさせてください。主治医はほとんど大きな医療機関、大学病院ですとか、あるいは専門病院の大変多忙なドクターが担っておられることが多いです。保護者の方は大変主治医の方に気を遣っておられて、大変お忙しいので、2か月に1回ぐらいの診察の中で、少しだけだったら時間を取っていただけるということを頂きつつ、我々も大変恐縮して訪問させていただくような実態です。
 ただ、主治医の方には大変聞きたいこと、御相談に乗っていただきたいことはたくさんございますので、そういった保険診療の中で外来診察の一部を使って、我々にお時間を頂くんですけれども、先ほど申し上げましたように、例えば指示書の文書量の問題ですとか、あるいは診察時間の診療報酬の問題ですとか、様々なことが病院には、いろいろなルールがあるとは思うんですけれども、学校というところでどのようにコミュニケーションを取っていけばいいのかというのは、我々でも課題と感じているところでございます。

【下山座長】 ありがとうございました。

【分藤特別支援教育調査官】 特別支援教育調査官の分藤と申します。きょうは本当に意義の深い意見をたくさん出していただきました。田村委員や高田委員から、役割を明確にしたシステムを作るというお話がありました。是非この後、指示書がつなぐ連携という視点から、それぞれの役割の中でどのように仕組みを作っていくかという視点でも御議論をしていただきたいなと思います。
 そういう中で、豊中市さんの意見書の仕組みとか、いいなと思っていました。資料の1のスライド番号4番、特別支援学校の例でございますけれども、主治医から出ている指示書の矢印というのが、学校に出ていると。右側に指導医や学校医さんがいると。こういったところを具体的に役割分担の中で、子供の医ケアの指示書、連携をつなぐという視点から、どのような流れが、仕組みが必要なのか、是非今後の会議で意見を頂きたいと思います。ありがとうございました。

【下山座長】 今、調査官の意見は、役割を明確にしたシステムを、指示書というところにいかに反映させるかということが大事だというところですね。
 きょうは幾つもの論点が、大事な論点が出てきたのではないかと思います。少し整理をして、次回もう少し御議論いただく必要があるのではないかと思っています。
 お約束の時間になりましたので、これで意見交換は終了とさせていただきます。まだ御意見はあろうかと思いますし、きょう御欠席の方も多いものですから、御発言時間のなかった方、あるいは御欠席の方も含めて、御意見、御質問を集約したいと存じます。事務局にメールやファクスで直接お寄せください。
 それでは、事務局に議事をお返しします。

【森下企画官】 ありがとうございました。
 最後に、残りの資料について御説明をさせてください。まず資料の6でございますけれども、前回会議の主な意見ということで、これに本日の意見も加えましてブラッシュアップをして、これまでの意見をまとめていくようなことを考えてございます。
 続いて資料7、今後のスケジュールでございます。まだ予定ではございますけれども、次回は今、1月25日を予定してございます。正式にはまた改めて御連絡をさせていただきたいと考えております。今考えておりますのは、2月、3月にもう2回ほど会議を開かせていただいて、一旦年度末をゴールに目指して、何か論点をまとめて、途中段階でもまとめられないかと考えておるところでございます。
 最後、資料の8でございます。報道等で御案内と思いますけれども、先週の金曜日に来年度の政府予算案が閣議決定されました。その中に私ども文科省の医療的ケアの子供たちへの支援策が入っていますので、御紹介申し上げます。資料8の上の段が、看護師の配置のための費用を国で3分の1補助しているという制度でございまして、今年度1,200人相当の補助額を確保しましたが、人数が非常に多いということで、300人増の1,500人分の予算を確保する形で折衝を終了してございます。
 また、下の段、北海道さん、豊中市さんに受託を頂いています医療的ケアの実施体制の構築事業でございますが、先週、受託教育委員会以外にも、各教育委員会においては傍聴自由で話したところ、関心のある教育委員会が多くて、大分傍聴者が出ておりました。実は、来年度これに手を挙げたいという自治体が幾つか出てきてございまして、これも予算額を1.5倍ほどにいたしまして、来年度も引き続き実施をしていきたいと考えておるところでございます。正式には来年議会を通ってからでございますけれども、御報告をいたしたいと思います。
 本日の議事はこれまでということで、本当に委員の皆様につきましては、毎回長時間にわたり、誠にありがとうございました。来年になりますけれども、次回もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

── 了 ──

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課支援第一係

(初等中等教育局特別支援教育課)