特別支援教育について

発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業

1.趣旨

 特別支援教育の更なる推進のためには、すべての教員が特別支援教育についての基礎的な知識及び技能を有する必要がある。現在は、教員養成段階において、特別支援教育に関する内容を含む科目を単位修得することになっているが、特別支援教育に特化した科目は必修となっていない。このような中、「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」(平成24年7月23日中央教育審議会初等中等教育分科会)において、「発達障害に関しては、すべての教員が養成段階で学ぶ仕組みづくりが必要である。」との指摘がなされている。一方、現職教員についても、「インクルーシブ教育システム構築のため、すべての教員は、特別支援教育に関する一定の知識・技能を有していることが求められる。特に発達障害に関する一定の知識・技能は、発達障害の可能性のある児童生徒の多くが通常の学級に在籍していることから必須である。これについては、教員養成段階で身に付けることが適当であるが、現職教員については、研修の受講等により基礎的な知識・技能の向上を図る必要がある。」との指摘がなされている。
 また、文部科学省において、平成24年に実施した「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」においては、学習面又は行動面において著しい困難を示す児童生徒の割合は6.5%程度であるという結果となっており、各小中学校において、通常の学級の中でこれらの児童生徒も含めて、学習面又は行動面で困難を有するとされる児童生徒に対する支援を進めていくことが、喫緊の課題となっている。
 これらを踏まえ、本事業では、学校現場において、発達障害に関する専門的・実践的な知識を有する教職員を育成するため、大学・大学院研究科において、教員養成段階や、中核的な現職教職員に対する、育成プログラムの開発を行う。

2.事業の内容及び実施方法

(1)実施の内容

 委託を受けた団体(以下「実施機関」という。)は、以下○1~○3の取組を実施する。なお、以下の取組を実施するに当たって、知識付与にとどまらず、域内の教育委員会と連携するなどして、実践的な技能の育成に留意すること。

○1 大学の教員養成段階における発達障害に関する専門的・実践的な知識・技能を習得するためのプログラムの開発及び実施
【プログラム例】

  • 発達障害の障害特性とそれに応じた指導、支援方法、支援技術について(学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒が理解しやすいよう配慮した授業改善、社会生活上の基本的な技能を身に付けるための学習を取り入れた指導、教材・教具の工夫、支援技術の活用等)
  • 発達障害のある児童生徒が在籍する学級における学級経営について
  • 自立と社会参加を意識した「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」の作成及び効果的な活用法、引き継ぎについて
  • 発達障害のある児童生徒の支援体制について(校長のリーダーシップ、校内体制の整備、校内委員会の設置・運営、教職員による実態把握、特別支援教育コーディネーターとの連携、通級による指導の理解と担当教員との効果的な連携、保護者との連携等)

◎プログラムの有効性を検証するため、上記プログラムを実施

○2 大学院研究科等における中核的な教職員(特別支援学級担当教員、通級による指導の担当教員、特別支援教育コーディネーター、養護教諭、特別支援教育支援員、スクールカウンセラー等)に対する発達障害に関する高度で専門的な知識・技能を習得するための研修プログラムの開発及び実施
【プログラム例】

  • ○1におけるプログラムの内容をより高度化したもの
  • 高度なアセスメントによる実態把握の方法について
  • 専門的な知識・技能によりケース会議の運営手法について
  • 学校内、地域内(医療、保健、福祉等)における効果的な早期からの連携方法について

◎プログラムの有効性を検証するため、上記プログラムを実施

○3 成果普及の実施
1 教職員、保護者、地域等を対象とした成果普及のためのワークショップの開催
2 大学の教員養成段階における学生向けの指導的なシラバスの作成
3 中核的な教職員に対する発達障害に関する高度で専門的な知識・技能を習得するための研修プラグラム等の仕組みについてのマニュアル、研修テキスト等の作成
4 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校内での校内研修プログラムの開発
※3、4については、連携する教育委員会により既に作成されている同様の類のものを共同で改訂することも考えられる。

(2)実施方法

○1 発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業学内企画委員会の設置
 本事業を実施するに当たって、具体的な計画の策定や運営、連絡調整等を行う関係者から構成される発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業学内企画委員会を設置する。

○2 発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業推進委員会の設置
 本事業を実施するに当たって、具体的な計画立案、事業の実施への指導・助言、成果の評価分析等を行う外部有識者、教育委員会関係者も構成員に加えた発達障害に関する教職員育成プログラム開発事業推進委員会を設置する。

○3 専門家、教育委員会との連携 
 実施機関は、発達障害に関する専門的な知見を有する医療、保健、福祉等の専門家との十分な連携を図る。また、特に、中核的な教職員に対する研修プログラムの開発及び実施に当たっては、近隣の教育委員会とも十分な連携を図る。

お問合せ先

初等中等教育局特別支援教育課

(初等中等教育局特別支援教育課)

-- 登録:平成26年09月 --