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特別支援教育について

小学校の通常学級と特別支援学級(知的障害、情緒障害)との交流及び共同学習-学校給食を通して-

学校の現状

 本校には知的障害と情緒障害の2つの特別支援学級が設置されています。どちらの学級の子どもも、当該学年の通常の学級に「交流学級」があり、各教科等の授業内容に応じて一緒に学習したり、朝の会や帰りの会に出席したりして交流及び共同学習を行っています。
 「すべての子どもに適切な支援を」、本校では、子ども一人一人の実態に応じ、その子どもを更に生かし伸ばすための必要な「特別な支援」を、全職員が行うという考えに立ち、様々な方法を工夫しながら教育活動を推進しています。
 特別支援学級で学ぶ子どもも通常の学級で学ぶ子どもも、みんな仲間であるという思いを育てていくことが基本です。普段から様々な教育活動の場を生かして、教師も子どもたちも、誰もがかけがえのない大切な存在であるという視点に立って、すべての子どもを温かく包み込むという雰囲気を作っていきたいと考えています。

交流及び共同学習の実際

 特別支援学級の子どもは、基本的に交流学級で給食の時間を過ごしています。しかし、子どものその日の状態によっては、特別支援学級において個別に給食指導を受けています。私たち教員は、特別支援学級と通常の学級の子どもたちが更にかかわりを深め、社会性を育んでほしいと願い、大勢の子どもたちと一緒に給食の時間を過ごす機会を設定することにしました。本校では年2回、それぞれの実施方法を変えながら他学年との「交流給食」を実施しています。

1 ねらい

 この活動を特別活動として位置付け、特別支援学級の子どもたちが、通常の学級の子どもたちと一緒に楽しく給食の時間を過ごすことを通して、社会性を身に付けるとともに、通常の学級の子どもたちが、特別支援学級の子どもたちのことをより深く理解することをねらいとしました。また、この取組を広く保護者や地域の方々にも知ってもらうことで、特別支援教育に対する理解の裾野をさらに広げていきたいと考えました。

2 実施方法

<特別支援学級での交流給食>

 特別支援学級のことを知ってもらうために、1学期前半に実施しました。2年生以上の全学級を対象とし、毎日、各学級から6人の子どもが特別支援学級に来室し、一緒に給食の時間を過ごしました。
 特別支援学級の子どもたちが受け入れやすい適切な人数で実施することで、普段見られないリラックスした表情に接する機会をもつことができました。
 さらに、特別支援学級の子どもが、通常学級の子どもに教室内の教材・教具等について説明するような機会も生まれました。

特別支援学級で給食を一緒に食べる子どもたち

<特別支援学級以外での交流給食>

 3学期に、5年生以上の全学級を対象とし、広々とした体育館で毎日1学級ずつと交流給食を実施しました。配膳から後片付けまで、特別支援学級と通常の学級の子どもたちが一緒になって行いました。

 交流給食の前に、特別支援学級担任と通常の学級担任で、子どもの実態、座席配置等について打合せをします。学年会等を利用して、交流及び共同学習の意義やねらい等を担当者間で共有しておくことが大切です。

広々とした体育館で交流給食を楽しむ子どもたち

3 実施に当たっての留意点

ア 教師から子どもへの情報発信

 特別支援学級での交流給食の際は、通常の学級の子どもたちにとって教室内にあるすべてのものが目新しいものとして映るようです。時間割や掲示物等について、子どもたちから様々な質問が出ます。そこで、特別支援学級は、学年の異なる子どもたちが集まって、みんなが仲よく勉強している学級であることや、子ども一人一人に応じて学習内容や方法をいろいろと工夫していることなどについて丁寧に教えています。なお、子どもだけで説明できる時は、本人たちに任せるよう配慮しています。

イ 子どもたちからの教師の情報収集

 特別支援学級担任はできるだけ通常の学級の子どもたちと話をするようにします。例えば、特別支援学級の子どもたちが学校外ではどのように過ごしているのかなどを話題にすると、担任が気付きにくい子どもたちから見た特別支援学級の子どもたちに対する思いや考え等の情報を得ることができます。その情報を以後の指導に役立てています。
 また、特別支援学級担任は、特別支援学級の子どもたちの得意なことについて、いろいろな情報を多くの子どもたちへ発信することにも努めています。その際には、特別支援学級の子どもたちについて、通常の学級の子どもたちに分かりやすく具体的な事例を挙げて話をしています。例えば、「遊びの流れを、話の頭に番号を付けて説明すればその内容を理解でき、見通しをもって最後まで一緒に楽しく遊ぶことができる」といった具合です。そうすることで、通常の学級の子どもたちから、「こんな遊びをしたら、楽しかった」などの有益な情報を得ることができます。

ウ 教師から教師への情報発信と情報収集

 交流給食の様子を特別支援学級担任から通常の学級担任へすぐに伝えることも大切です。その際、給食の様子を写した写真を活用して伝えるようにしています。聴覚的な情報だけでなく、視覚的に様子を伝えることで、更に通常の学級担任とその子どもたちとの会話が増えていくという効果もあります。
 また、通常の学級担任からは、特別支援学級の子どもたちと通常の学級の子どもたちが休み時間等に一緒に遊んでいる様子を教えてもらいます。このことにより、特別支援学級内だけでは気付かない子どもたちの様子を把握することができます。その際、ただ「楽しく遊んでいたよ」といった抽象的な感想ではなく、具体的な行動の様子について詳しく話を聞くようにしています。

ガイド:交流及び共同学習以外の場面での姿をとらえる。

 以上のようにして、様々な場面での子どもたちの姿を多面的にとらえるようにします。それは、子どもたちの変容を把握するとともに、この交流及び共同学習の成果を評価することにもつながります。

エ 教師から保護者への情報発信

 特別支援学級及び通常の学級の保護者には、交流給食の様子をいつでも参観してよいことを事前に学級通信等で知らせておきます。保護者にとっては、子ども同士の何気ない会話や特別支援学級の子どもたちの様子を見ることができる絶好の機会となります。担任は、保護者の前で意図的に特別支援学級の子どもの発表や活躍の場を設定したり、特別支援教育についての話をしたりして、保護者が特別支援学級の子どもたちのことをよりよく理解できるようにしています。

オ 学校から地域への情報発信

 交流給食の様子は、毎月発行される学校便りで紹介します。この学校便りはすべての保護者だけでなく、回覧板で校区内の全戸で読まれるものです。また、このような機会だけでなく、随時、ホームページ等でも特別支援教育に関する取組についての情報を発信することで、学校と地域が子どもたちの実際の活動を通して交流できる環境を整えています。
 さらに、地元の新聞社やテレビ局に情報を提供しています。学校としての取組を地域内だけでなく、広く県内にも発信することによって理解者を増やすことがねらいです。交流及び共同学習の意義を多くの学校や地域の活動、そして、日常生活の中にごく自然に根付かせていくように方向付けていきたいと考えています。

ガイド:結果や活動の様子等を学校便り等を活用して広く伝える。

 交流及び共同学習に関する様々な取組について、特別支援学級担任から積極的に情報を発信することが大切です。このことにより、子ども、保護者、教師、地域、関係機関等とのネットワークが更に広がり、みんな仲間であるという思いが浸透していき、すべての子どもをみんなではぐくむことにつながっていきます。

4 取組の効果

 交流給食を実施したことがきっかけとなり、本校の特別支援学級では、昼休みになると一緒に遊ぶ子どもたちで大にぎわいです。通常の学級の子どもたちは、特別支援学級の子どもたちに分かりやすい話し方や行動で接し、「先生、まるまるさんとこんなことをしたら楽しかったよ」と笑顔で伝えに来ます。これまでの地道で継続的な実践の積み重ねで、通常の学級と特別支援学級の「壁」を少しずつ取り払っていくことができ、すべての子どもたちが自然な形で交流することができるようになりました。

昼休みの風船バレー

全校の前で歌とダンスの披露

 また、「特別支援学級の友達と一緒に遊びたい。一緒に参加したい」という通常の学級の子どもたちの気持ちが高まり、みんなで楽しむことができる風船バレー大会を計画したり、総合的な学習の時間に特別支援学級の子どもたちと一緒に全校の前で歌とダンスを披露したりして、互いの理解を一層深めることができるようになりました。
 これらの取組は一過性で終わらせるのではなく、日常の活動や生活にごく自然な姿として根付いていくことに意義があります。そのためにも、特別支援学級の担任は常に他の学級の子どもたちや教師たちと連携を図りながら、子どもたちの方から「交流したい」と言ってくるような雰囲気を作り出すことが大切です。併せて、子どもたちが見通しをもって楽しく交流できるように、教務主任や担当の係とスケジュールを確認しながら、事前に子どもたちや保護者、地域の方々に対して活動内容を分かりやすく広報することも大事です。

-- 登録:平成21年以前 --