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特別支援教育について

小学校の通常学級と特別支援学級(情緒障害)との交流及び共同学習

学校の現状

 本校には知的障害児学級と情緒障害児学級の2つの特別支援学級が設置されています。どちらの学級に在籍する子どもも特別支援学級だけではなく、その子どもの学年の通常の学級に「交流学級」があり、朝の会と帰りの会はそこで過ごしています。机、椅子、ロッカー等も特別支援学級と交流学級の両方に用意されています。全校関係の便り等の配付物は交流学級で渡されることが原則となっています。通常の学級の集団にどうしても入れない子どもには、本人とかかわりやすい子どもが特別支援学級に届けるようにしていますが、それも難しい場合には、交流学級担任が特別支援学級まで届けています。
 どの子どもも交流学級では生活班に所属しています。多くの子どもは係を分担し、高学年になると児童会やクラブ活動の所属先を交流学級で決定します。

ガイド:障害のある子どもがそれぞれの活動場所で所属意識をもつことができるよう工夫する。

 このように、交流学級と特別支援学級との両方に居場所があることで、双方を行き来することが当然であるという理解のもとに生活できるようになります。こういった環境づくりがとても大切です。

交流及び共同学習の実際

 B君は特別支援学級に所属する4年生で、理科、音楽、体育、特別活動等で交流及び共同学習を行っています。交流学級では、これらの教科及び領域を同じように教育課程上に位置付けています。ここでは、理科で実施している交流及び共同学習の取組について紹介します。
 B君は体験を通して学ぶとよく理解できますが、指示や説明を聞き取ったり、特に自分の考えを書いたりすることには困難さがあります。理科は観察や実験等の実体験を大切にした教科で、B君が興味をもっている教科です。

1 ねらい

 理科において交流学級の子どもたちは、「自然に親しみ、見通しをもって観察、実験等を行い、問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を図り、科学的な見方や考え方を養う」ことをねらいとしています。
 B君の個別の目標には、「不思議だなと思って自然に関心をもつこと。不思議だなと思ったことを友達と共に実験をすることにより確かめられる」という理科としてのねらいに加えて、「多くの友達と一緒に活動することに慣れ、見通しをもって活動できるようになる」「説明を聞き取る力を高める」ことなどをねらいとしました。

ガイド:双方の子どもに対して事前にねらいを明確にしておく。

 同じ場で授業を受けていても、障害のない子どもと障害のある子どもとでは、学習のねらいが異なる場合があります。一人一人の子どもの実態に応じて適切なねらいを設定します。

2 指導計画

ア 学年が始まる前に

 交流及び共同学習の計画立案は前年度から始まります。2月になると、特別支援学級担任と交流学級の担任とで担任者会を開き、各教科の学習の様子についての情報交換をし、通知票や指導要録等の評価を分担します。その時に次年度に交流及び共同学習を実施することが可能な教科についても検討します。
 特別支援学級担任は、保護者に1年間の反省と今後身に付けたい力、交流及び共同学習の希望等についての聞き取りをします。その際、本人に授業の内容を説明し、希望も聞くようにしています。
 3月には、児童懇談会で後期の通知票を見ながら学習状況を振り返り、交流学級での授業の参加方法や活動内容等を相談して、次年度の目標を決定します。
 その後も、家庭訪問・担任者会・児童懇談・保護者懇談等、様々な機会を通じて家庭や学級での様子を確認し合いながら、活動に無理がないよう検討していきます。

イ どの時間にどこで学習するか

 年度末には、それぞれの子どもが交流及び共同学習を行う教科とその内容や目標を決定して、特別支援学級担任は時間割編成に取りかかります。特別支援学級の全員がそろって学習したい時間、他学年とは別に学習した方が学習効果が上がる時間等を考えます。そして、新年度準備の特別教室時間割作成の係に要望を伝え、一緒に全校の特別教室時間割を作成します。この時間割により、全校の時間割も確定します。その後、4月に時間割の再調整を行い、新学期がスタートします。

ガイド:全校の時間割を特別支援学級の事情を考慮しながら決定する。

 交流及び共同学習を円滑に進めるには、事前に時間割を整えておく必要があります。これは、双方の学級の事情だけで決められるものではないため、全校で見通しをもって協力体制を整備することが必要です。

3 指導に当たって工夫したこと

ア 本人が学習に取り組みやすい環境を整える

 B君が交流学級の中で学習活動に意欲的に取り組めるよう、同じグループにB君がかかわりやすく、行動の手本となったり、困っている時に支援してくれたりする友達を入れるように配慮しました。

イ 友達の協力を受けながら無理なくできる活動へ

 B君は観察や実験等は同じグループの友達と意欲的に参加していますが、観察カード・学習のまとめを記入するなどの書く活動になると意欲を失ってしまうこともあります。そこで、困っている時には、理科専科の担当が周りの子どもたちに声をかけます。すると、自発的に数人の友達がB君のそばに行き、B君がカードに記入する支援をします。
 また、テストの時には理科専科の担当が問題を読み上げることで、B君がテストに取り組めるようになっています。

ウ 周囲の子どもたちの気づき(評価)を尊重する

 B君が実験の準備を班の友達と協力して行っている様子や、実験に集中して取り組んでいる様子には交流学級の友達も感心しています。しかし、教師の指示を聞きながらメモをしたりする活動には苦労しているので、さりげなく近くの友達が言い直したり、メモしやすいようにまとめたりしています。担任や理科専科の担当は、「B君、とても上手にまとめられたね」とほめるとともに、支援してくれた友達の行動の良さも評価しています。

4 指導の効果

 B君は、見通しをもって準備をしたりすばやく用意をしたりすることが苦手でしたが、理科の時間に遅れないように準備をし、「次は理科だ」と急いで準備を整え理科室に向かう姿が見られるようになりました。また、特別支援学級に戻ってきてから「今日は種子のことを勉強したんだよ」と学習した内容を話してくれる姿が増えました。
 交流学級の子どもたちにとっても、B君に分かりやすく説明することを通し、自分たちの理解も確かなものになりました。
 また、B君が両方の学級で学習することは、交流学級と特別支援学級の間ですっかり定着しています。交流学級の子どもたちは「僕たちのクラスのB君が、この時間は特別支援学級に勉強しに行っている」と思うぐらいまで、同じクラスの仲間としての意識をもっています。

-- 登録:平成21年以前 --