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特別支援教育について

小学校と特別支援学校(肢体不自由)との交流及び共同学習

学校の現状

 A君は本校に入学しましたが、脊髄性筋萎縮症という進行性の病気のため車いすの生活を続けていました。しかし、筋力の低下が見られ、3年生から特別支援学校(肢体不自由)に転校することになりました。学習面については当該学年の教科学習の履修がほぼ可能でしたが、特別支援学校では同じ教育課程で学習する子どもが1人だけであったため、同級生と一緒に学習したり話し合ったりする経験が少なかったようです。
 そこで、2年間在籍していた本校の友達との関係を継続したいという本人の願いと、学校外での経験を広げさせたいという保護者の希望もあり、3年生の時から居住地である本校での交流及び共同学習を続けて、今年で4年目になります。

ガイド:保護者や本人に事前に説明し、計画について理解を求める。

 本人と保護者の願いを受けて始まった交流及び共同学習ですが、本人の病状や体調等を考慮して活動計画を立てていく必要があります。そのため、年度初めに計画について説明し、理解を得ながら進めるようにしています。

交流及び共同学習の実際

 交流及び共同学習の日は、A君の体調を考えて、朝の会から始まり、午前中の授業に参加し、給食を一緒に食べて昼休みに下校することにしています。時期もできるだけ体に負担をかけることが少ない季節に実施するようにしています。
 実際に交流及び共同学習を行う活動は、A君が車いすに乗っていることや手足が自由に動かせないことなどを考慮して、できるだけ参加できる活動となるよう事前に特別支援学校の担任と打合せを行っています。また、体育等実技的な内容の授業への参加は難しいので、A君が参加して活躍できそうな学習を担任と学級の子どもたちで考え、学習内容・方法を工夫したり、時には時間割を変更したりする場合もあります。
 また、本校の校舎はバリアフリー化されており、エレベーターや車いす用のトイレが整備されていることもあって、本校でも特別支援学校と同じように、A君が活動することができました。

1 ねらい

 各教科・領域等の目標の達成と同時に、本校の学校目標である「心豊かで思いやりのある子」の育成を目指しています。また、A君自身の目標は、「授業や休み時間の活動を通して、同学年の友達と楽しく過ごすことができる」ことです。
 A君は、人一倍明るく優しく、できることは一人でやろうと努力する子どもなので、交流及び共同学習は他の子どもたちの心を育てる大切な機会になっています。

2 学習の様子

ア 国語科「しょうかい文を書こう-学校の紹介-」

 学級の紹介文を書く学習の中で、A君は自分の学校について紹介しました。事前に考えた内容を、当日、パソコンで文章にしました。パソコンは大好きで上手に入力することができます。できた文を発表し合い、互いの日常の様子を知ることができました。

イ 家庭科「楽しい食事を工夫しよう-野菜の油いため-」

 A君は4人グループの中に入り、野菜の油いためを作りました。作業が伴うので、どのような支援を行ったらよいのか迷いましたが、友達と一緒に野菜を洗い、包丁で切り、フライパンの中の野菜を混ぜることができました。A君は生き生きと調理実習に取り組み、最後にみんなと一緒に試食しました。

ウ 音楽科「声でアンサンブル-光の川-」

 声・楽器・体の3種類のアンサンブルに分かれて「光の川」を演奏する学習です。A君は声のパートを選び、練習に臨みました。最後にグループごとにアンサンブルを楽しみましたが、一生懸命に歌うA君の姿に、子どもたちは共に歌う喜びを味わうことができました。

エ 学級活動「思い出を残そう-似顔絵を書こう-」

 今年はA君にとって小学校最後の年です。A君に何か思い出に残るプレゼントをしたいという本校の子どもたちの意見で、A君の似顔絵を描くことになりました。A君にモデルになってもらい、全員で似顔絵を描いた後、A君へのメッセージと自分のサインを入れてプレゼントしました。A君はモデルになっている時は恥ずかしさもあったようですが、友達が一生懸命に自分の顔を描いてくれている姿をうれしそうに見ていました。

3 交流及び共同学習に当たって工夫したこと

  • ア 毎回、学級活動を行いA君と共に楽しめる時間を設定しました。1時間ではありますが、リラックスした雰囲気の中で仲間と共に楽しく遊ぶことができました。
  • イ できるだけ学習可能な内容を選んだり、子ども同士の話合いの場を多く取り入れたりしました。一人で取り組むことができない場合もありますが、ほぼできそうな内容を考えて、できないところは友達や教師が支援しました。活動を重ねるにつれて、子どもたちは手助けすべきところと、本人に任せた方がよいところが理解できてきたようです。相手のことを考え実践するという体験は、共生の心を育てることにつながったと考えます。

4 交流及び共同学習の成果

  • ア A君は、同学年の友達と会話したり一緒に活動したりする時間をもつことができ、交流及び共同学習の日を楽しみにしています。また、この活動をきっかけにして、休日に本校の子どもがA君の自宅で遊ぶという友達関係が継続しており、A君とその保護者は大変喜んでいます。A君にとって、貴重で有意義な活動となっていることが分かります。

    ガイド:学校以外の地域の生活等での変容をとらえる。

     相互理解が進んだことを評価するためには、設定された交流及び共同学習の活動だけでなく、地域等で自発的に見せる姿をとらえることが大切です。

  • イ 学級の子どもたちは、かつて一緒に学んだ友達に会えるという喜びから、交流及び共同学習を始めました。A君の明るさや優しさに触れ、障害があるなしにかかわらず一生懸命に努力するA君の力強さを感じているようです。自分がそれまで不自由なく暮らしていたことが、素晴らしいことだったと改めて気付くことができ、困っている人に優しく接したり、相手の気持ちを考えて行動したりすることもできるようになりました。
  • ウ 交流及び共同学習の後に児童の感想や印象を作文や絵にまとめる機会をもつようにしました。

<児童の感想>

 A君がこのクラスにきた時、A君についてきた先生が車いすをおそうとすると、「いいよ。自分でやるから」とえみをうかべて言っていた。それを見てぼくは、「ああ、A君は一生けんめいがんばっている。ぼくも、がんばらなくちゃ」と思いました。このA君との交流を忘れずに自分もがんばっていきたいです。ぼくが、何かでつらく逃げ出しそうになった時は、A君のことを思い出して困難を乗りこえていけたらいいなと思っています。

ガイド:子どもたちが感想や印象を作文や絵にまとめる機会を設ける。

 子どもたちの気付きを学級全体で共有したり、一人一人が深く考えたりすることで、相互理解が進みます。そのことが交流及び共同学習に対する関心を深めたり、次回への期待を高めたりします。

-- 登録:平成21年以前 --