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特別支援教育について

第1章 よりよい交流及び共同学習を進めるために

1 交流及び共同学習の意義

 我が国は、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し合える共生社会の実現を目指しています。そのためには、障害のある人と障害のない人が互いに理解し合うことが不可欠であり、障害のある子どもたちと障害のない子どもたち、あるいは、地域社会の人たちとが、ふれ合い、共に活動する機会を設けることが大切です。
 障害のある子どもが幼稚園、小学校、中学校、高等学校等(以下、「小・中学校等」という。)の子どもと共に活動することは、双方の子どもたちの社会性や豊かな人間性を育成する上で、重要な役割を果たしており、地域や学校、子どもたちの実態に応じて、様々な工夫の下に進められてきています。
 小・中学校等や特別支援学校の学習指導要領等においては、障害のある子どもと障害のない子どもが活動を共にする機会を積極的に設けるよう示されています。

<小学校学習指導要領>(平成20年3月告示)

第1章 総則 第4の2

  • (12) 学校がその目的を達成するため、地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また、小学校間、幼稚園や保育所、中学校及び特別支援学校などとの間の連携や交流を図るとともに、障害のある幼児児童生徒との交流及び共同学習や高齢者などとの交流の機会を設けること。

※中学校、高等学校の学習指導要領にも同旨の記述あり。

<特別支援学校小学部・中学部学習指導要領>(平成21年3月告示)

第1章 総則 第2節 第4の1

  • (6) 学校がその目的を達成するため、地域や学校の実態等に応じ、家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また、学校相互の連携や交流を図ることにも努めること。特に、児童又は生徒の経験を広めて積極的な態度を養い、社会性や豊かな人間性をはぐくむために、学校の教育活動全体を通じて、小学校の児童又は中学校の生徒などと交流及び共同学習を計画的、組織的に行うとともに、地域の人々などと活動を共にする機会を積極的に設けること。

 また、平成16年6月に障害者基本法が改正され、第14条に以下のような内容が追加されました。

第14条  国及び地方公共団体は、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない。

 障害のある子どもと障害のない子どもが一緒に参加する活動は、相互のふれ合いを通じて豊かな人間性をはぐくむことを目的とする交流の側面と、教科等のねらいの達成を目的とする共同学習の側面があるものと考えられます。「交流及び共同学習」とは、このように両方の側面が一体としてあることをより明確に表したものです。また、この二つの側面は分かちがたいものとして捉え、推進していく必要があります。交流及び共同学習は、障害のある子どもの自立と社会参加を促進するとともに、社会を構成する様々な人々と共に助け合い支え合って生きていくことを学ぶ機会となり、ひいては共生社会の形成に役立つものと言えます。

2 教育課程とのかかわり

 交流及び共同学習は、特別支援学校と近隣の小・中学校等や児童生徒の居住する地域の小・中学校等で行われています。授業時間内に行われる交流及び共同学習については、その活動場所がどこであっても、在籍校の授業として位置付けられていることに十分留意し、教育課程上の位置付け、指導の目標などを明確にし、適切な評価を行うことが必要です。
 また、在籍校の授業として実施するということは、基本的には、在籍校の教員が指導を行うこととなりますが、具体的な指導の形態等については、在籍校の教育活動の一環であることを考慮し、相手の小・中学校等と協議の上、個々の実態に即して適切に実施する必要があります。なお、教科の授業において交流及び共同学習を行う場合には、特別支援学校の子どもの教科等の位置付けやねらいを明確にしておくことが大切です。
 また、特別支援学校の子どもが在籍校や自宅から活動場所へ移動するに当たっては、その距離や時間、子どもの発達段階等を勘案し、教職員や保護者等との相互の連携・協力の下、安全面に十分配慮することが必要です。
 小・中学校等においては、交流及び共同学習に位置付けている教科・領域等のねらいに照らし合わせて、評価を行います。特別支援学校の子どもについては、子どもの在籍校の授業として実施されますので、在籍校が責任をもって、教育活動としての適切な評価を行う必要があります。あらかじめ活動のねらいや評価項目、評価方法等について、事前に十分に打合せをして互いに理解を深めておくことが大切です。

3 障害のある子どもの理解

 障害のある子どもにかかわる際には、障害の特性等に応じてそれぞれ配慮が必要です。それぞれの障害種別に配慮することを述べます。

(1)視覚障害

  • 1 教材等を提示する場合、言葉での説明を添えるとともに、手で触って観察できるようにする。
  • 2 「そこ」、「あそこ」などの指示代名詞は避け、「右手前」などと具体的に指示する。
  • 3 慣れない場所に行ったり、初めて体験したりする時には、最初に周囲の状況や活動内容を説明したり、一緒に歩きながら案内したりする。
  • 4 文字カード等を提示する際には、コントラストをはっきりさせ、文字を大きく書くとともに、照明等に配慮して見やすくする。
  • 5 視野が狭い場合には、横から近づいてくるものに気が付かなかったりすることがあるので、衝突による事故等が起こらないよう十分注意する。

(2)聴覚障害

  • 1 子どもが話し手の方を向いている時に、話し手は自分の顔全体、特に口元がはっきりと見えるようにして話しかける。
  • 2 補聴器で聞き取りやすいように、必ず声を出して話す。唇だけを動かしたり、大声を張り上げたりしないようにする。
  • 3 話が通じにくい場合には、子どもの手のひらに指でゆっくりと文字を書いたり、空書したり、紙に書いたりして確認するようにする。子どもによっては、手指の形でかな文字を表す指文字や手話を活用した会話に努める。
  • 4 活動の流れを確認したり、話し手の方を見たりするために、子どもが横や後ろを見たりする場合があるので、それを認めるようにする。
  • 5 できるだけ板書や実物、指文字を利用するなどして、視覚的な手がかりをもとに活動の流れを把握できるようにする。

(3)知的障害

  • 1 興味・関心をもつことのできる活動を工夫する。
  • 2 言葉による指示だけでなく、絵や写真等を用いたり、モデルを示したりすることによって、子どもたちが活動内容を理解しやすくする。
  • 3 繰り返しできる活動にしたり、活動の手順を少なくしたり、絵や写真等を用いて手順が分かりやすくなるようにしたりして、見通しをもちやすくする。
  • 4 得意とする活動や普段の授業で慣れている活動を行うようにして、活躍できる場を多くする。
  • 5 子どもの行動の意味や背景等を必要に応じて適切に説明するなどして、子ども同士が理解し合い友達になれるようにする。

(4)肢体不自由

  • 1 歩行を妨げたり、ぶつかったりしないよう注意する。
  • 2 車いすや杖等を使用する子どもが階段や段差のあるところで困っている場合には、どうしたらよいかを尋ね、それぞれの子どもに合った方法で援助する。また、必要に応じて周囲の人たちの協力を求め、安全な方法で介助するようにする。
  • 3 車いすを押す場合には、ゆっくり押すように心がける。また、前方に段差や坂道がないかをよく確かめ、急な下り坂では後ろ向きに進むなど、状況に応じた安全な押し方をする。
  • 4 話をする時は、それぞれの子どもの目の高さに合わせるように努め、気持ちを伝えるようにする。

(5)病弱・身体虚弱

  • 1 活動に当たっては、保護者、担当医、教師の間で個々の子どもの病状や活動する際の注意事項等を確認する。
  • 2 てんかんや気管支ぜん息等の子どもは、発作等がない時には他の子どもと同じ程度の活動が可能な場合があるが、そのような際にも過重な負担にならないように留意する。
  • 3 病気によっては急に不調になることもあるので、活動中も体調の変化に十分に注意するとともに、個々の病状や体力に応じた活動を工夫する。
  • 4 筋力低下や骨折等を伴うことが多い疾患のある子どもについては、無理な運動にならないように留意し、主体的な活動ができるように工夫する。
  • 5 感染症にかかっていたり、体力や免疫力が低下していたりする場合は、ICT等を活用したテレビ会議を行うなどの活動を積極的に取り入れるようにする。
  • 6 いじめや不登校等を経験した子どもの場合は、人とのかかわりを拒否することもあるので、子どもの気持ちを尊重しつつ、活動を広げていくようにする。

(6)言語障害

  • 1 子どもにとっては、話すことが苦にならない楽しい雰囲気が大切であり、温かく、思いやりのある好ましい人間関係を保つことができるような環境づくりに心がける。
  • 2 教師は、はっきりと、しかもゆっくりと話すように努め、子どもの話に対しては、笑顔でうなずいたり、気持ちよく返事をしたりして、子どもが話し終わるまで丁寧に聞くようにする。
  • 3 教師は、子どもにとって話したくなるような聞き手であることが大切であり、子どもの話し方ではなく話の内容に耳を傾けるようにする。
  • 4 吃音の子どもに対しては、急いで話したり、言い直すことを求めず、また、話の途中で口を差しはさんだりしないようにする。

(7)情緒障害・自閉症

  • 1 見通しがもてるように、計画された活動内容を、簡潔な言葉やVTR、写真等の視覚的な情報を活用して事前に知らせるとともに、急激な変化を苦手とする場合が多いことから、計画された活動を急に変更することがないようにする。
  • 2 相手の感情や考えを理解することが苦手である場合も多いことから、適切に子ども同士の関係を調整し、誤解によるもめ事等が起こらないよう留意する。
  • 3 言動の意味を理解することが困難な場合でも、子どもは他者に自らの意思や考えなどを伝えようとしていることが多いことに留意する。
  • 4 集団活動に参加することが苦手な子どもが多いことから、少人数による活動から徐々に人数を増やしていったり、子ども同士の相性を考慮したりするなど工夫をする。
  • 5 聴覚や視覚、触覚等に強い過敏性が見られることから、騒がしい場所や蛍光灯の光、人との接触等を極端に苦手とする場合があることに留意する。

(8)LD(学習障害)

  • 1 本人の得意な活動や障害により苦手な活動をあらかじめ十分に把握する。
  • 2 得意な能力を生かした活動ができるように工夫する。苦手な活動に対しては、周囲の理解を図るとともに、できる限り自分の力でできるような支援の手立てを工夫する。
  • 3 指導に当たっては、具体的に簡潔な言葉で話すとともに、実物やVTR、写真、絵カード等の視覚的な情報を活用する。
  • 4 文字を示す時には、読みやすい大きな文字を使うようにする。不必要な文字は黒板から消すなどして、必要な情報を厳選して提示する。

(9)ADHD(注意欠陥多動性障害)

  • 1 聞き落としや見落としをしないように、教師に注目していることを確認してから話したり見せたりする。また、一度に多くのことを伝えようとしないで、一つのことを簡潔に伝えるようにする。
  • 2 一つ一つの活動が短く区切られ、先の活動が終わった時には次にやることが明確に分かっているようにする。
  • 3 忘れても思い出せるように、指示内容は簡潔に書いて提示する。
  • 4 好ましくない行動をした時には、その行動がよくないことを短く簡潔に伝え、どのように行動することがよいのかを具体的に伝える。
  • 5 興味の対象が移りやすいので、活動に不要なものは片付けておくように努める。

-- 登録:平成21年以前 --