平成14年度・15年度ものづくり学習振興支援事業 報告書の概要

2004年4月

都道府県名 鹿児島県
振興地域名 鹿児島市

1  研究テーマ及び研究の重点
研究テーマ:  「地域の教育力を活用した「ものづくり学習」の推進の在り方について」
研究の重点:  近年,子どもたちの生活環境は大きく変化し,物をつくり,その技を体で覚え,その喜びを味わったり,物の仕組みを知るという体験が少なくなってきている。そのような子どもたちに,高い技能や技術を持った技術者を指導者として体験活動の機会を与えるならば,ものづくりの楽しさ,素晴らしさ等を知り,ものづくりの喜びを真に味わい,匠の世界への興味・関心が喚起され,創造性豊かな人材を育てることができるのではないかと考える。
 地域のそれぞれの分野で熟練したものづくりの学習指導者の発掘を行い,データベース化し,インターネット等により広く学校・関係機関等へ情報提供するとともに,ものづくり学習指導者を講師とした研修会を実施して,地域の教育力を活用したものづくり学習の望ましい在り方と工業高校の果たす役割について考察する。

2  ものづくり学習振興協議会の組織及び活動内容
協議会組織   (県職業能力開発協会代表,民間企業代表,市役所代表,大学代表,中学校代表,小学校代表,鹿児島工業高校代表3名の合計11名で組織する。)
活動内容   協議会を2年間で6回開催した。その主な議題が以下の内容である
事業説明,各団体への協力依頼,学習指導者の登録,工業高校のものづくりへの取組み紹介,工業系職員研修会,生徒学習研修会,中間事業報告,小学生親子教室,中学技術家庭職員研修会,中学生ものづくり学習会に係る提言や現場視察等,事業のまとめ)

3  ものづくり学習振興地域における活動内容及びその成果
(1)  ものづくり学習推進委員会を設置して,14、15年度で8回開催し,協議会の検討内容をもとに学習指導者の発掘や登録,研修会の実施と2年間のまとめを行った。
(2)  成果
1  「ものづくり学習指導者」のデータベースに33名を登録した。
2  平成14年12月9日 工業系高校職員の研修会を実施した。(参加者98名,指導者7名)
3  平成15年8月26日 小学生親子ものづくり教室を実施した。(参加者:親子23組56人)
4  平成15年11月7日 中学生ものづくり学習会を実施した。(参加者:2年生73名)
5  平成14年~平成15年 工業高校生の研修会を実施した。(延べ参加数:435名)
6  平成16年2月20日 工業系高校職員の研修会を実施した。(参加者93名,指導者6名)
7  その他
ア. 第1回全国高校生ものづくりコンテスト県予選を全部門に渡り実施した。
イ. 鹿児島県産業教育創造フェスタの展示作品や来場者体験学習会を実施した。
ウ. 鹿児島県高等学校工業クラブ連盟生徒発表大会に展示・コンテストに参加。

4  今後の課題として残ったこと及びその原因
 
課題 原因
・登録された指導者の活用
・小中学校向け教材開発
・予算
・"ものづくり学習振興"の広報の在り方
・高校教師側の体験不足・研究不足
・講師謝金の設定。需要費が少なく学校負担増

5  2年間の研究の全体的な評価
1  匠の技が「ものづくり」に対する教師の意識を覚醒させ,研修意欲が高まるとともに,実習や課題研究の時間等に活気が出てきた。
2  新聞やテレビなどマスコミを通じて研修会の様子が紹介され,本県工業教育のものづくり学習に対する地域の関心が高まり,鹿児島工業高校の入学志願者数増加の一因となった。
3  同じ学習指導者に繰り返し指導していただいた例の場合,指導者は学校や生徒をよく理解でき教師・生徒との意思疎通等が図れたため,2回目以降の研修会等がスムーズに行えた。さらに,工業高校と大学との連携が進むとともに,同窓会との連携もより一層推進することができた。
4  ものづくり指導者のデータベースの冊子を作成し,関係小・中・高等学校に配付した。今後,各方面でのものづくり学習の振興が期待できる。
5  小・中学生を対象とした「ものづくり学習会」を実施し,小・中学校との連携を深め,工業高校の”ものづくり教育”についての理解を深めることができた。
6  工業高校と中学校技術・家庭科の教師との交流会や研修会を通して,工業高校と中学校の意識の距離を縮めることができた。
7  本事業に参加した工業高校の生徒たちは,課題研究や実習の時間等への取組が以前より増して意欲的になり,ものづくりに興味・関心を強く持つようになった。


 

-- 登録:平成21年以前 --