平成14年度・15年度農業高校と農業大学校の連携推進事業 報告書の概要

2004年4月

都道府県名 熊本県
連携推進地域名 熊本市と菊池郡を中心とする県下全域

 研究テーマ及び研究において特に重点を置いたところ
研究テーマ
 「将来の本県農業を担う人材育成のための農業高校と農業大学校との連携の在り方」
特に重点を置いたところ
(1)  農業高校と農業大学校の相互理解と施設の共同利用による有効利用
(2)  農業高校と農業大学校の継続的学習を配慮したカリキュラム編成の在り方について
(3)  熊本県農政部や関係機関等と連携した農業の担い手育成の強化

 連携推進事業地区運営協議会の構成及び活動内容
(1)  構成
 熊本県教育委員会、熊本県農政部の関係者、熊本県立熊本農業高等学校職員、熊本県立菊池農業高等学校職員、熊本県立農業大学校職員
(2)  活動内容
 連携の在り方、各年度活動計画・総括、農業高校・農業大学校の現状と課題等を研究協議

 連携推進校における活動内容及びその成果
(1)  連携推進校会議開催(途中経過報告、活動内容調整、予算案作成、報告書作成等の検討)
(2)  生徒・学生・職員の交流と施設の共同利用
 諸行事に参加・交流することで相互理解が深められ、進路決定や農業の担い手育成の観点からも意義深いものであった。また、職員は農業教育の問題点を共有でき、課題解決への協力体制が強まった。プロジェクト発表会の相互参加により、課題設定や取り組み方、発表方法等に進歩が見られた。
 学校農業クラブの農業鑑定競技会等を農業大学校で、食品加工や農業機械等の実習を農業高校で実施したことは、生徒・学生の幅広い知識・技術習得や自信、さらに施設の有効利用に繋がった。
(3)  継続的学習に配慮したカリキュラム編成の在り方
 科目内容の検討会や各種研究会は、多様化した生徒・学生への生活、資格取得、継続した専門科目等の指導の在り方について理解が深まり、効果的指導法を考える点で意義があった。
(4)  熊本県農政部等との連携による農業の担い手育成強化に向けての検討
 生徒・学生が関係機関主催の講演会やフォーラムへ参加・発表することで、農家が抱えている問題、意欲的な農業経営者や消費者の生の声を聞き、農業の担い手としての自覚とやる気を強く感じてくれた事は大きな成果であった。

 今後の課題として残ったこと及びその原因
(1)  農業大学校の専門教育の在り方について
 農業大学校入学者のうち農業高校卒業以外の学生が約4割を占めているため、農業科目の知識・技術に差が見られ、学習指導連携の難しさがある。農業大学校では、教育課程を見直し、平成15年度から『実用数学』と『基礎農業』の選択制を導入し、対応しているが十分ではなかった。また、農業大学校卒業後の進路も多様化が進み、農業の担い手育成のための農業科目指導の充実・徹底が今後の課題である。
(2)  プロジェクト学習の継続的な指導についてプロジェクト学習の継続に関しては、農業高校ではグループで、農業大学校では1人で取り組むという方法論の違いはあるが、農業後継者に自家農業経営と直結した課題での継続指導は可能である。

 2年間の研究の全体的な評価
(1)  連携推進校の生徒・学生・職員が、諸行事に参加・交流することによって、農業高校と農業大学校の連携が以前にも増して強化された。
(2)  2年間の研究で、農業の担い手育成、プロジェクト学習、農業科目の指導内容等、農業教育全般の指導の必要性と課題を共有する事ができ、解決に向けての基盤が強化された。
(3)  農業高校と農業大学校の持つ教育力を双方で発揮する連携活動は、知識・技術の向上や農業への興味・関心の高まり、一方では、職員の資質向上にも良い影響をもたらした。
(4)  職員は、科目担当者会議等をとおして、専門科目の指導内容・方法、問題等について相互理解ができ、魅力ある授業づくり、プロジェクト学習の効果的な指導への意欲が湧いた。

(調査研究校)
  熊本県立農業大学校
熊本県立菊池農業高等学校
熊本県立熊本農業高等学校


 

-- 登録:平成21年以前 --