教員採用等の改善について

23文科初第1334号

平成23年12月27日


各都道府県教育委員会教育長 殿                           
各指定都市教育委員会教育長 殿 

文部科学省初等中等教育局長
山中 伸一

 

教員採用等の改善について(通知)


 教員採用等については、貴教育委員会において、「教員採用等の改善について」(平成8年4月25日付け文教地第170号、教育助成局長通知)、「教員の養成と採用・研修との連携の円滑化について」(平成12年2月2日付け文教教第245号、教育助成局長通知)、「教員の採用等における不正な行為の防止について」(平成20年7月10日付け20文科初第495号、初等中等教育局長通知)、「平成21年度「教員採用等の改善に係る取組事例」の送付について」(平成20年12月24日付け20初教職第22号、教職員課長通知)等を踏まえ、教員としての適格性を有する人材や個性豊かで多様な人材を確保するための選考方法等の改善、採用選考における公平性・透明性の確保を図るための改善等に取り組まれていることと承知しております。
 貴教育委員会におかれては、引き続き、下記の点を十分に留意し、教員採用等の改善を図られるようお願いします。

 

 

1.人物重視の採用選考の実施等
(1)教員の採用選考に当たっては、単に知識の量の多い者や記憶力の良い者のみが合格しやすいものとならないよう配慮し、筆記試験だけではなく、面接試験や実技試験等の成績、社会経験、スポーツ活動、文化活動、ボランティア活動や大学等における諸活動の実績等を多面的な方法・尺度を用いて総合的かつ適切に評価することにより、より一層人物を重視した採用選考を実施し、真に教員としての適格性を有する人材の確保に努めること。
(2)豊かな体験や優れた知識・能力を有する多様な人材を確保するため、民間企業等での勤務経験や留学経験のある者、スポーツ・文化や青年海外協力隊等国際協力の分野において特に秀でた技能・実績を有する者等に対する採用選考の実施に努めること。
  また、「日本再生のための戦略に向けて」(平成23年8月5日閣議決定)や「科学技術基本計画」(平成23年8月19日閣議決定)においても、理工系学部や大学院出身者の教員としての活躍を促進することが求められている。これらのことを踏まえ、各学校段階における教育内容等に応じ、理数系の知識・能力を十分に考慮した採用選考の実施に努めること。
  なお、その際、受験年齢制限の緩和を図るとともに、特別免許状制度の積極的活用について検討すること。
(3)人物評価を多面的に行うため、受験者の出身大学や臨時的任用教員、非常勤講師等として勤務する学校の校長、社会活動の実績がある者について当該関係機関から推薦状を受けるなど、受験者の人柄や能力をよく知る者からの推薦を選考の一つの判断材料として活用することに引き続き努めること。
  なお、教職経験者の採用選考に当たっては、臨時的任用教員について優先権を与えることがないように十分留意することなど、公平性、公正性、透明性の確保に引き続き努めること。
(4)人柄や意欲、教員としての実践的指導力を見極めるため、大学等教員養成機関や教育実習校との連携を密にし、教育実習の評価を客観的なものにするなどの条件整備を図りつつ、教育実習校における評価を含めた教育実習の評価を選考の一つの判断資料として活用することに努めること。

2.専門性等を考慮した採用選考の実施
 新学習指導要領の趣旨及び内容等を踏まえ、専門性等を考慮した採用選考の実施に努めること。特に以下の点に留意すること。
(1)新学習指導要領では、「外国語」について、中学校では授業時数の増加、高等学校では「授業は英語で行うことを基本とする」こと等の充実を図ったところである。また、「国際共通語としての英語力の向上のための5つの提言と具体的施策」(平成23年6月30日、「外国語能力の向上に関する検討会」)においては、英語を母国語とする外国人教員や留学などの海外経験を積み高度な英語力を持つ日本人英語教員の採用の促進、英語教員の採用に当たり外部検定試験の一定以上のスコア(実用英語技能検定準1級、TOEFL(iBT)80点、TOEIC730点程度以上など)の所持を条件とすること等が求められている。これらのことを踏まえ、英語によるコミュニケーション能力を十分に考慮した採用選考の実施に努めること。
(2)平成23年度から小学校新学習指導要領が全面実施され、第5学年及び第6学年で外国語活動が必修化されたことから、小学校の教員の採用選考において外国語活動に係る内容を盛り込むなど、外国語活動に対応した採用選考の実施に努めること。
(3)新学習指導要領では、ICTを適切かつ主体的に活用できるようにするための学習活動の充実や情報モラルの習得など各教科等を通じた情報教育の一層の充実を図ったところである。また、「教育の情報化ビジョン」(平成23年4月28日、文部科学省策定)においても、ICTを効果的に活用して、指導方法を発展・改善していくことを求めているとともに、教員の採用選考についても、ICT活用指導力を十分に考慮して行われることが期待されると記述している。これらのことを踏まえ、情報機器やデジタル教材を効果的に活用する指導が実施できるよう、ICT活用指導力を十分に考慮した採用選考の実施に努めること。
(4)障害者基本法の一部を改正する法律(平成23年法律第90号)が成立し、可能な限り障害者である児童生徒が障害者でない児童生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならないとされたこと等を踏まえ、特別支援学校はもとより、小・中学校等の教員の採用選考においても、特別支援教育の専門性に配慮した採用選考の実施に努めること。

3.障害者の採用拡大等
 障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第81号)における衆議院厚生労働委員会及び参議院厚生労働委員会の附帯決議等を踏まえ、障害者の採用拡大に向けて、なお一層の取組を進めるよう必要な措置を講じること。特に法定雇用率を下回る教育委員会は、適切な実態把握と他の都道府県等の取組を参考に法定雇用率の改善に努めること。
 また、教員の採用選考においては、障害を有する者を対象とした特別選考を行うなど、身体に障害のある者について、単に障害があることのみをもって不合理な取扱いがされることのないよう、選考方法上の工夫等適切な配慮を行うとともに、そうした配慮を実施することやその内容について広く教職を目指す者が了知できるよう広報周知に努めること。

4.計画的な採用・人事
 今後10年間に教員全体の約3分の1が退職する状況に鑑み、教員の年齢構成に配慮し、中長期的視野から退職者数や児童生徒数の推移等を的確に分析・把握した計画的な教員採用・人事を行うよう努めること。その際、学校種別ごとに採用区分の弾力化、学校種間や他の都道府県等との人事交流の促進などにも配慮するとともに、中長期的な採用見込み者数の見通しなどの情報提供に努めること。

5.不正防止等
 不正防止のチェック体制や透明性の確保を図る観点から、採用試験の管理体制の整備、学力試験問題等の公表及び採用選考基準の公表に努めること。
 また、筆記試験の試験問題については、広く教員として求められる資質能力を見極めることが可能な良問を継続的に作成するよう努めること。

6.選考後の実証的分析
 選考後においては、各選考段階について手順や手法等の点検とともに、判定結果と採用後の勤務実績等の関係などの実証的な分析などを行い、その結果をもとに更に改善に努めること。

お問合せ先

総合教育政策局教育人材政策課

(総合教育政策局教育人材政策課)

-- 登録:平成25年01月 --