平成14年度公立学校教員採用選考試験の実施状況について


1 概要

 本調査は,平成13年度に各都道府県・指定都市教育委員会(以下「県市」という。)において実施された平成14年度公立学校教員採用選考試験(以下「平成14年度選考」という。)の実施状況について,その概要を取りまとめたものである。
 平成14年度選考の実施状況の特徴としては,

1   受験者総数は,平成5年度以降,11年度での減少を除き,依然として増加傾向にあること。
2   採用者総数は,平成2年度以降続いた減少から,13年度に増加に転じたのに引き続き,大きく増加したこと。
3   競争率(倍率)は,13年度に引き続き低下していること。
等が挙げられる。

2 受験者数について

(1)平成14年度試験における受験者数の状況(第1表第3表
 平成14年度選考の受験者総数は,150,977人で,前年度試験と比較すると,3,552人(2.4パーセント)の増加となっている。
 受験者数の内訳は,小学校が49,437人(前年度比5.7パーセント増),中学校が46,574人(同4パーセント増),高等学校が42,349人(同2.1パーセント減),盲・聾・養護学校が5,617人(同5パーセント減),養護教諭が7,000人(同4.1パーセント増)となっている。
(2)受験者数の推移(第3表
 受験者総数について過去10年間の推移をみると,平成5年度選考から平成10年度選考まで増加が続き,平成11年度選考で一度減少したが,平成12年度選考から再び増加が続いている。

3 採用者数について

(1)平成13年度試験における採用者数の状況(第1表第3表
 平成14年度選考の採用者総数は,16,688人で,前年度と比較すると,4,082人(32.4パーセント)の増加となっている。
 採用者数の内訳は,小学校が7,787人(前年度比55.2パーセント増),中学校が3,871人(同38.7パーセント増),高等学校が3,044人(同5.6パーセント減),盲・聾・養護学校が1,278人(同18.8パーセント増),養護教諭が708人(同41.6パーセント増)となっており,高等学校以外の試験区分で増加している。
(2)採用者数の推移(第3表図1
 採用者総数について過去10年間の推移をみると,平成5年度以降減少が続き,平成13年度から増加に転じている。12年度までの減少は,平成5年度からの定数改善計画実施にもかかわらず,児童生徒数の減少による教職員定数の自然減が改善計画による教職員定数の増加を上回っていたため,各教育委員会における採用者総数の減少傾向が依然として続いていたことが一因と考えられた。しかし,平成13年度より増加に転じ,14年度選考においてはさらに大幅な増加となっている。これは,主に小学校において児童生徒数の減少幅がやや緩和されてきたことに加え,教科等に応じて少人数指導などの指導方法の工夫改善を可能にするため新たに平成13年度から実施している第7次教職員定数改善計画により教職員定数が増加したことなどが理由と考えられる。
 試験区分ごとの採用者数を前年度と比較すると,小学校で55.2パーセント(2,770人),中学校で38.7パーセント(1,081人)と大きく増加したうえ,盲・聾・養護学校が18.8パーセント(202人),養護教諭が41.6パーセント(208人)それぞれ増加している。一方,高等学校は5.6パーセント(179人)の減少となっている。

4 競争率(倍率)について

(1 平成13年度試験における競争率(倍率)の状況(第1表第3表
 平成14年度選考の競争率(倍率)は,全体で9.0倍であり,前年度の11.7倍を2.7ポイント下回っている。
 試験区分別に見ると,小学校が6.3倍(前年度比3.0ポイント減),中学校が12.0倍(同4.0ポイント減),高等学校が13.9倍(同0.5ポイント増),盲・聾・養護学校が4.4倍(同1.1ポイント減),養護教諭が9.9倍(同3.6ポイント減)となっている。
(2)競争率(倍率)の推移(第3表図1
 競争率(倍率)について過去10年間の推移をみると,平成5年度試験から年々上昇し,12年度は最も高い競争率(倍率)となったが,平成13年度から緩和の傾向にある。

5 各県市における受験者数、採用者数、競争率(倍率)の状況について(第2表

 受験者総数については,北海道が8,889人と最も多く,次いで東京都(8,854人),大阪府(7,903人),埼玉県(5,598人),兵庫県(5,594人)の順になっている。
 採用者総数については,東京都が1,537人と最も多く,次いで北海道及び大阪府(903人で同数),横浜市(801人),兵庫県(645人)の順になっている。
  競争率(倍率)については,福岡県が18.0倍と最も高く,次いで広島県(17.9倍),秋田県(17.5倍),大分県及び三重県(17.3倍で同値)の順になっている。

6 受験者、採用者における女性の人数及び比率について(第1表第4表図2

 平成14年度選考の受験者総数に占める女性の割合(養護教諭を除く。採用者数も同様。)は,55.1パーセント,採用者総数に占める割合は53.8パーセントとなっており,前年度と比較すると受験者数について1.0ポイント低く,採用者について1.6ポイント高くなっている。
 全体的には前年度と比較して受験者数・採用者数ともに増加しているが,試験区分別に見ると,高等学校,盲・聾・養護学校の受験者数及び高等学校の採用者数について減少している。
 採用者総数に占める女性の割合は,平成4年度試験以降増加傾向にあったが,平成6年度以降は減少傾向に転じ,平成12年度以降再び増加している。

7 受験者、採用者の学歴(出身大学等)別内訳について(第5表

 平成14年度選考の受験者の学歴別内訳は,一般大学出身者が57.9パーセント(87,444人),教員養成大学・学部出身者が26.6パーセント(40,191人),短期大学出身者が7.8パーセント(11,771人),大学院出身者が7.7パーセント(11,571人)となっている。
 最も多い出身者の割合を試験区分別に見ると,小学校は教員養成大学・学部の47.3パーセントであり,中学校,高等学校,盲・聾・養護学校は一般大学でそれぞれ全体の65.5パーセント,77.4パーセント,53.2パーセントを占めており,特に高等学校において一般大学出身者の占める割合が高くなっている。また,養護教諭では,短期大学出身者が全体の56パーセントを占めている。
 平成14年度の採用者の学歴別内訳は,一般大学出身者が44.8パーセント(7,481人),教員養成大学・学部出身者が42パーセント(7,001人),大学院出身者が9.5パーセント(1,586人),短期大学出身者が3.7パーセント(620人)となっている。
 最も多い出身者の割合を試験区分別に見ると,小学校は教員養成大学・学部の55.3パーセントであり,中学校,高等学校及び盲・聾・養護学校は一般大学でそれぞれ50.3パーセント,65.6パーセント,45.7パーセントであり,高等学校で一般大学出身者が最も高くなっている。養護教諭については,教員養成大学・学部の38.4パーセントが最も多く,短期大学は36.9パーセントである。
 次に,学歴別の採用率(採用者数を受験者数で除したものを百分率で表したもので,受験者の何パーセントが採用されたかを示す。)を見ると,全体では教員養成大学・学部出身者が17.4パーセント,大学院出身者が13.7パーセント,一般大学出身者が8.6パーセント,短期大学出身者が5.3パーセントとなっており,教員養成大学・学部出身者及び大学院出身者が他の出身者に比べて高い率で採用されている。

8 受験者、採用者に占める新規学卒者の人数及び比率について(第6表第7表図3

 平成14年度選考の受験者に占める新規学卒者の割合は29パーセント,採用者に占める新規学卒者の割合は23.3パーセントと,ともに前年度を下回っており,全ての試験区分において減少している。採用率については,採用者数の増加に伴い,高等学校以外の試験区分で増加している。

 一方、全体の採用率は,新規学卒者が8.9パーセント,既卒者が11.9パーセントとなっており,既卒者の方が高くなっている。試験区分別にみると,盲・聾・養護学校は新規学卒者の採用率の方が高く,それ以外では既卒者の採用率の方が高くなっている。

9 採用者に占める民間企業経験者等の人数及び比率について(第8表

 各県市では,教員に個性豊かで多様な人材を幅広く確保していくため,従来から教員採用選考方法の工夫・改善について様々な取組がなされており,多くの県市では民間企業の勤務経験や教職経験等を積極的に評価している。民間企業の勤務経験のある者とは,採用前の職として教職以外の継続的な雇用に係る勤務経験(いわゆるアルバイトの経験を除く。)のある者(以下「民間企業等勤務経験者」という。)である。
 平成14年度選考の採用者に占める民間企業等勤務経験者(3年以上)の割合は2.4パーセントで,前年度と比較すると全体として1.0ポイント減少しているが,試験区分別では高等学校と養護教諭で増加している。民間企業等勤務経験者(3年未満)の割合は3.8パーセントで,前年度と比較すると全体として0.5パーセント減少している。試験区分別では,中学校と養護教諭で増加している。
 なお,教職経験者(採用前の職として国公私立の教員であった者で非常勤講師も含む。)の割合は61.5パーセントで,前年度と比較すると全体として15.6ポイントと大きく増加している。



 

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