平成31年3月29日 いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携について(通知)

30文科初第1874号
平成31年3月29日

 各都道府県教育委員会教育長
 各指定都市教育委員会教育長
 各都道府県知事
 附属学校を置く各国立大学法人学長
 附属学校を置く各公立大学法人学長  殿
 小中高等学校を設置する学校設置会社を
 所轄する構造改革特別区域法第12条
 第1項の認定を受けた各地方公共団体の長

文部科学省初等中等教育局長
永山 賀久

(印影印刷)

いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携について(通知)


 平素より,文部科学行政に対する御理解・御協力を賜り誠にありがとうございます。
 いじめ事案に関する学校と警察との連携については,各種通知等において,学校から警察へ適切に相談・通報し,警察と連携した対応を図ること等を求めているところです。
 今般,警察庁において,各都道府県警察の長等に対し,別添のとおり,「学校におけるいじめ問題への的確な対応について」(以下「別添通知」という。)が発出され,いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)の趣旨及び法に規定された警察の役割について改めて認識するとともに,学校等との緊密な関係を構築するなどして,学校におけるいじめ問題への的確な対応を一層推進することなどが示されました。
 別添通知においては,警察における,いじめ問題への対応に関する基本的な考え方が示されているほか,いじめ事案の早期把握について,「学校等との連携強化による早期把握」のため,積極的に進めるべき取組が具体的に示されています。ここに示された事項については,学校及び教育委員会等としても,主体的に警察と連携・協力し,取組を進めていただくべきものであると考えます。
 また,別添通知においては,把握したいじめ事案について,警察として的確な対応を行う上で配意すべき点が具体的に示されていますが,学校及び教育委員会等が,警察における対応の考え方を理解し,いじめ事案に関して,警察に対し適切に連携を求めていくことは重要なことです。 
 ついては,都道府県教育委員会・指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会等に対して,都道府県にあっては所轄の学校法人及び私立学校に対して,附属学校を置く国立大学法人及び公立大学法人にあっては附属学校に対して,構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体にあっては認可した学校に対して,本件について周知を図っていただくよう,お願いします。
 なお,この通知の発出に伴い,「いじめ問題への的確な対応に向けた警察との連携について(通知)」(平成25年1月24日付け文部科学省初等中等教育局長通知)は廃止します。



1 警察との連携強化によるいじめ事案の早期把握(別添通知2(3)関連)
(1)警察との情報共有体制の構築
いじめ事案のうち,その児童生徒の行為が犯罪行為として取り扱われるべきと認められる場合の警察への早期の相談又は通報(以下「相談等」という。)や,特にいじめられている児童生徒の生命,身体又は財産に重大な被害が生じている,又はその疑いのある事案(以下「重大ないじめ事案」という。)がある場合の速やかな警察への通報に当たっては,学校や教育委員会と警察が日頃から緊密に情報共有できる体制の構築が重要であることから,次の取組を積極的に進めること。
1)連絡窓口の指定
警察との間で連絡窓口となる担当職員を指定しておくこと。
2)学校警察連絡協議会等の活用
警察への相談等を確実に行うため,学校警察連絡協議会等の場において認識の共有を図るとともに,相談等を行うべきか否か学校が判断に迷うような場合も積極的に相談することをあらかじめ申し入れておくなど,警察と連携した対応が早期に可能となるよう相談等の促進を図ること。
3)警察との協定等の活用
学校や教育委員会と警察との相互連絡の枠組みに係る協定等における連絡対象事案として,犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案を盛り込むことにより,連絡が一層円滑に行われるよう,当該協定等について必要な見直し等を行うこと。
(2)スクールサポーター制度の受入れ等
学校においては,警察署等(警察署並びに警視庁,道府県警察本部及び方面本部の少年担当課の少年サポートセンターをいう。以下同じ。)に配置されているスクールサポーターによる学校訪問や校内巡回を求めるなど,積極的な受入れを図ること。
また,教育委員会等においても,退職警察官等を活用した取組を進めるとともに,スクールサポーター制度に類似した制度(生徒指導推進協力員など)を運用している場合には,その従事者と警察署等との情報交換を行うための連絡協議会の開催等を通じて確実に学校等と警察との連携を図ること。

2 警察と連携したいじめ事案への適確な対応(別添通知4関連)
(1)重大ないじめ事案等への対応
重大ないじめ事案及びこれに発展するおそれが高い事案については,直ちに警察に通報するとともに,学校においては,警察との連携の下,いじめられている児童生徒の安全の確保のため必要な措置を行い,事案の更なる深刻化の防止を図ること。
また,インターネットを利用した名誉毀損,児童ポルノ関連事犯等の犯罪行為として取り扱われるべきと認められるいじめ事案についても,匿名性が高く,拡散しやすい等の性質を有していることを踏まえ,警察と連携しつつ適切に対応すること。
(2)いじめられている児童生徒又はその保護者が犯罪行為として取り扱うことを求めるいじめ事案への対応
警察においては,(1)に当たらない事案であっても,当該児童生徒又はその保護者が犯罪行為として取り扱うことを求めるときは,その内容が明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものである場合を除き,被害の届出を即時受理することとしていることから,その場合は,警察と緊密に連携しつつ,その捜査又は調査に協力すること。
(3)その他のいじめ事案への対応
警察においては,重大ないじめ事案及びこれに発展するおそれが高いとは言えない事案であって,被害児童生徒及びその保護者が警察で犯罪行為として取り扱うことを求めない事案を把握した場合には,当該児童生徒又はその保護者の同意を得て,学校や教育委員会に連絡することとしている。こうした事案については,必要に応じて,警察に対し,加害児童生徒への注意・説諭,加害児童生徒に指導する際の助言,いじめ防止を主眼とした非行防止教室の開催等の協力を求めるとともに,対応状況や事案の経過について引き続き連絡するなど,緊密に連携すること。
(4)いじめを受けた児童生徒に対する支援
いじめを受けた児童生徒の心のケアのため,特に必要と認められる場合には,学校に配置されているスクールカウンセラー等とスクールサポーター等が連携することにより,より効果的な心のケアが行われるよう努めること。


【添付資料】学校におけるいじめ問題への的確な対応について(通達)


お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

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