不登校に関する調査研究協力者会議 フリースクール等に関する検討会議合同会議(第17回)議事要旨

1.日時

平成30年12月17日(月曜日)15時30分~16時30分


2.場所

三田共用会議所 第4特別会議室


3.議題

(1)教育機会確保法施行後の文部科学省の取組

(2)実態調査の項目について

(3)自由討議


4.出席者

 委員

 (不登校に関する調査研究協力者会議委員)

 五十嵐智浩、石川悦子、伊藤美奈子、大場充、木嶋晴代、齋藤眞人、齋藤宗明、笹森洋樹、高野敬三、中邑賢龍、野田正人、藤崎育子、森田洋司、森敬之、山川時彦

 (フリースクール等に関する検討会議委員)

 生田義久、奥地圭子、加治佐哲也、金井剛、品川裕香、白井智子、松尾圭子、永井順國、西野博之、宮澤和德、武藤啓司、森敬之

 文部科学省

 大濱児童生徒課長、松木生徒指導室長、粟野児童生徒課課長補佐


5.議事要旨

(事務局より配布資料の確認)
【委員】  議事次第のとおり、1つ目は、教育機会確保法施行後の文部科学省の取組、2つ目が実態調査の項目について、そして3つ目に自由討議の3件を予定している。
 それでは、まず、教育機会確保法施行後の文部科学省の取組について、事務局より御説明をお願いする。
(事務局より資料1について説明)
【委員】  ただいまの事務局からの説明について、御質問があれば、今お願いしたい。なお、この取組に関する御意見に関しては、後ほど自由討議の時間で十分時間を取らせていただくので、御説明に関する質問だけに限定させていただきたい。
【委員】  教育支援センターで小学生がどれぐらいの割合通えるようになっているかというデータはあるか。
 私たちの感覚としては、数値上、どれぐらい上がってきているか、ほとんどが中学生主体になっているのが現実ではないかと思われていて、私たちの公設民営のフリースペースも、全体で定員枠30名に対して、小学生だけで39人来ており、全体ではもう140人を超えている。小学生はこのまま増え続けると思われるので、いわゆる教育支援センターがどれぐらい小学生の子供たちを受け入れる体制があるか知りたい。
【事務局】  平成29年度問題行動等調査において、相談指導等を受けた学校内外の機関及び指導要録上出席扱いとした児童生徒数の数を調べており、小学校については、教育支援センターで相談指導等を受けた人数がトータルで3,477人となっている。これに対して、中学校においては1万3,631人ということで、小学校の4倍以上の数というデータが出ている。
【委員】  7ページのスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの活用事業については、配置校数を増やしていくということで、特に来年度に向かってスクールカウンセラーは小中に全校配置というようなことが視野に入っていたと思うが、事業補助だから、3分の2は各都道府県が負担するということで理解しているが、この配置校は、1校に対して何時間ぐらいの配置ということで基礎計算がされているのかというのをスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーについて改めて教えていただきたい。
【事務局】 1日4時間で、週1日である。
【委員】  年間35回か。
【事務局】 その通り。
スクールソーシャルワーカーが、1日3時間で、これも週1回の計算である。
【委員】  やっぱり35週。
【事務局】 こちらは42週。
【委員】  確認ですが、不登校の現状ということで、14ページ、15ページあたりです、不登校の人数を出していただいているが、この不登校とカウントされている児童生徒のうち、どれくらいのお子さんがいわゆるフリースクールだったりとか、学校外の施設につながっているかというようなデータは出ているのか。
【事務局】  配付資料の29ページ目にそのデータが出ている。学校内外の機関等で相談・指導等を受けた不登校児童生徒が約11万人で、教育支援センターが1万7,108人、それから民間団体、民間施設が3,167人というデータである。
【委員】  それでは、議題(2)に移る。
 議題(2)では、事務局より実態調査の項目についての案を御説明いただいた後、委員の先生から御自由に御意見をいただきたいと思っているので、よろしくお願いする。
【事務局】  それでは、実態調査の項目について、御説明をさせていただくので、資料2をごらんいただきたい。実態調査の項目についての資料である。
 こちらは、今後の不登校に関する調査研究協力者会議、そしてフリースクール等に関する検討会議において、教育機会確保法の施行状況について御議論いただくに当たって、まず実態を把握する必要があろうということで、各自治体における確保法成立後の不登校児童生徒の支援に関する実態を把握するために、この実態調査を行いたいと考えている。
 調査対象としましては、都道府県及び市区町村教育委員会等ということで、市区町村教育委員会の回答は、都道府県教育委員会を通じて回答いただくというようなことを考えている。
 現在考えている調査項目案としては、大きくは3本の柱からなっており、まず、確保法の第3条の観点から、「民間の団体との連携等について」、それから確保法第11条の観点から、「教育支援センターについて」、そして確保法第13条ほかの観点から、「その他」ということで、3つの事項を想定している。
 まず、民間の団体との連携については、教育委員会と連携がある民間の団体・施設の数、具体的な連携状況、連携がある民間の団体・施設の概要といったことを具体的な調査項目として考えており、教育委員会とフリースクール等の連携がどこまで行われているのかといったことを把握したいと考えている。
 それから、教育支援センターについては、教育支援センター設置の有無、在籍者の状況、職員の状況、活動内容、そして学校や教育委員会との連携状況といったことを調査項目とする方向で考えており、基本指針で不登校児童生徒の支援の中核とされている教育支援センターの現状を調査したいと考えているところである。
 さらにその他として、学校以外で学習活動を行う不登校児童生徒への支援状況、教育相談体制の整備に係る状況、教育機会確保法の成立後、新たに取り組んだことや今後検討していることといったように、不登校児童生徒の教育機会の確保等について、どのような取組がなされてきたのかといったことを調査したいと考えているところである。
 本日、この実態調査の項目について、委員の皆様の御意見を頂きたいと考えており、頂いた意見を基に、事務方で具体的な調査票を固めて、年内にはこれを発出して調査をしたいと考えているところである。
 そして、回答を集計し取りまとめた上で、次回の検討会議に資料としてお出しできればと考えているところである。
 本日頂いた御意見を踏まえまして、よりよい調査票を作成して調査を実施したいと思いますので、御意見を頂きたく、よろしくお願いする。
【委員】  ただいま事務方から御説明いただいたように、発出を年内にということですので、できる限り、今日皆さんから頂いた御意見を基に、この調査票を、実態調査の項目についてまとめていきたいという具合に思っているので、御議論をよろしくお願いしたい。
【委員】  早速に調査をしていただけるということで、大変よかったなと思っている。質問ですが、例えば教育委員会と連携がある団体と書いてありますが、連携にはすごくいろいろあると思う。これは、このような感じで調査されるのか、それとももう少し、例えば連携と言っても、相互訪問とか、研修とか、協議会を作るとか、様々にあると思う。具体的に設定して聞いていただくのが、より有効かなと思っているが、そこはどんなイメージでおられるかということが1点。
 それから、この中には入っていないが、親と先生、親と校長先生で教育機会確保法のことがよく伝わっていない。こうなったはずでしょうとかと言ってトラブルになるわけですが、学校関係者にどのような周知をしたかということも入れていただきたい。
 それからもう1点、保護者の方に必要な情報を提供というのがあるが、親の会などがあるとか、保護者にどのようなということを質問項目に入れていただきたい。
 まず1点目の質問について、お答えをお願いしたい。
【事務局】  実態調査の項目については、これよりももう少し具体的な項目を設定した形で、お聞きするような形を考えている。これは調査をしたいと考えている事項の柱でございまして、実際の質問票はまた別途、もう少し詳しいものを作成して、各教育委員会の方に調査をしたいと考えている。
【委員】  今の連携について御質問が委員からございましたけれども、例えば、具体的にはどんな質問文になるのか。
【事務局】  先ほど、委員がおっしゃったように、連携と一言に言っても温度差がありますし、それはそれぞれ具体的に、例えば協議会設置だとか、例示を示して、ただ、あまり細かくすると、作業が大変になるので、そこはよく検討して、単に連携だけで「あり」、「なし」とかにはせず、その連携の中身を例示して、それに当てはまるかどうかという形にする。
 あと、「その他」にしても、括弧書きで、ちゃんとどういう内容かということを書いてもらうように工夫はしたいと思っている。
【委員】  私からお願いですけれども、もしもきょう、最後にまとめるのだったら、もう少し具体的なイメージが分かるように委員の皆様方にお配りしないと、項目だけではおそらく想定がつかないし、先ほどあったように、いろいろな連携の形態が、選択肢になっているのか、あるいは幾つかのカテゴリーの中に自分で記入するのか、あるいは、その他というのはどういう具合になっているのか、その辺をイメージできるようなものを本来はお配りいただければよかったかなと、これは後付けの感想になりますが。
【事務局】  まだ検討中だが、基本的に、できる限り選択肢は具体的に列挙した上で、その上でそれに当てはまらないものを「その他」というふうに並べる予定で、今のところ、7つ、8つぐらいの選択肢を考えている。この辺については丁寧に対応させていただきたいと思っている。
【委員】  そのほかのことにも関係しますので、これは今、委員は、例えばという具合におっしゃいましたけれども、調査の上がってくる結果の精度、これが大きく項目の分け方、あるいは項目の列挙の仕方、あるいは選択肢をどういう具合に選択させるか、あるいはマルチプルでいくのか、シングルでいくのかということによって、非常に大きく変わってくる。だから、調査の一番本質的なところであって、かえって下手なやり方をすると、この調査は一体何をやっているんだと、何の結果がそこから上がってくるんだという結果にもなりかねませんので、今の委員の発言は、おそらくそういうこととも絡めて御質問されたことだろうという具合に思っておりますので、ひとつその辺の御配慮は十分していただかないと、議論も進めにくいという具合に思っている。
【事務局】  はい、かしこまりました。
【委員】  2つあるが、1つは、今の調査に関して、民間団体との連携については、民間団体の方に聞くのか、それとも対応している、教育委員会側に聞くのかというところに関して、実は今、私が間接的ですけれども、資料的に持っているあるケースの中には、関西なんですけれども、関東圏のフリースクールかどうかも微妙なところに通っていますというふうに言って、全然登校してきていない事例がある。例えば連絡先とアクセスをしても、個人情報だからということで答えてもらえないということで、安否確認の段階から1回考え直さないといけないのではないかということで、福祉部門と連携するようなこともあって、多分、民間団体のなかにも、実践のあるところと、なかなか姿形が見えなくて悩ましいというところまで振り幅がある。
 それからもう1つは、主には教育支援センターに関してですが、先ほど、小学生が支援センターの方でどうかという、これもそのサービスエリアによってかなり思惑が違うのだなと思って聞いていたが、開設状況とか、それから通学の条件みたいなこと、ここでは設置なしの場合に理由を聞くと書いていただいていて、これも大事なことだと思うが、例えば小学校をそもそも想定していないとか、あるいは、週に1回だけ半日開設しているとか、あるいは、小学生については、基本的に保護者が送ってこないといけないので、送迎能力のない御家庭の場合には、あっても使えないとか、かなりいろいろな形でのハードルが出ている事例を見聞しておりますので、いい実践をやっているものも拾っていただきたいが、やはりそれの妨げになっている部分がどういう仕組みになっているのかというあたりも、是非御調査をお願いしたいと、2つ目は要望ということ。
【委員】  意見というよりは、悩ましい話というか、ここで教育委員会と連携している団体とありますが、横浜は今、子供支援協議会という形で作っていて、20団体ぐらいのフリースクールが加入している。横浜の場合は、来る者は拒まず去る者は追わずという全くオープンな形でやっているが、こういう形で教育委員会あるいは文科省が公式に調査するというと、名前を付け加えようとする動きがなきにしもあらずである。先日、隣の市内でトラブルを起こした団体が横浜に登録できるみたいな形で、名前を載せてくれという話が出てきたりしているんですね。基本的にあまり統制とか規制とかみたいな形にはしたくないわけですが、やっぱりそれなりの信頼度というか、せっかく不登校の子供たちを支援していこうとするので、そこで汚点を付けられるようなことにならないような、ある程度の枠決めをしていかなければいけないのではないかと思っていますが、その辺の基準というのでしょうか、審査についての、横浜などの場合は教育委員会と協議をしながら、ある程度、実態を踏まえた連携を確認していくということが大事になってくると、今の話を聞きながら考えておるところである。
【委員】  事務局の方、ただいまのこと、いかがか。
【事務局】  民間の方に調査をするかどうかというところについては、今は想定しておりませんが、ただ、そこも前回、27年度は調査はしている部分がありまして、それを仮にやるとすれば、それの設立の趣旨ですとか、どれぐらいのガバナンスというか、ある程度、信頼に足るのかどうかというのは、調査項目に関わってくるのかなというふうには思っている。
【委員】  教育支援センターについての質問で、先ほどと関わってくるわけですけれども、私たちのような小さな2万人ばかりの町、それから、もっとこれから小さな1万人以下の町や村は全国にたくさんあるわけです。こういうところにおいては、どうしても民間の団体というのはなかなか設立しにくいですので、やはりそれは町や村の教育委員会がこれを教育支援センターという形でやるしかない。そういったときに、今、どんな小さな町あるいは村の小学校、中学校においても、不適応だとか、不登校の子がいるかと思います。でも、小さいところにおいては、最初の問題ですけれども、設置の有無について、設置なしとなった場合、理由を聞いて、それだけで終わりというのは、ちょっと切ない。その学校にも、設置されていない学校、あるいは設置されていない町や村においても、切ない思いをしている子供はやっぱりいると思う。ですので、何らかのここから先、どういう計画があるのかというのは、そこら辺も丁寧に聞いていただきたいという要望である。
【委員】  先ほどから出ている民間も調査するのかどうかというところに絡んで私も質問があったのですが、基本的には、これは対象を見ると、都道府県及び市区町村教育委員会等になってしまっていて、そうすると、教育委員会の担当になった職員がどれぐらいの連携の歴史的な背景、それからフリースクールが取り組んできたことを理解されている職員がどれぐらいいるかということがなかなか難しい中で、民間団体の確認なしに一方的に調査が国に上がっていく。つまり、一番大切なことがどこだったのだろうかというところが伝わらないリスクがあるので、教育委員会に調査していただくのは良いが、このような内容で、この質問項目に回答しますということを、民間と一緒に共同で報告を出すというプロセスを含めていただけると、民間と行政との両方の意思が、お互いが確認した上で国に上げていくことができるのではないかというのが1点。
 それと、表のタイトルは支援に関する実態調査ということで、これ、ホームスクーリングに関しては一切書かれていませんけれども、そういった調査も含めて実態調査、ホームスクーリングがどのように広がってきているかというようなところも調査される予定があるのかどうか、その場合は、よほど慎重な調査項目、丁寧なものがないと、そこも利用者さんというか、それを使っている人たちを傷付けるリスクもあるので、その場合も項目をきっちりと明示していただきたいという、この2点である。
【委員】  先ほどまでの委員の先生方の御質問ともつながる部分があるが、どちらかというと、保護者の立場からのお願いというところで、本当に教育機会確保法ができてから、我々のフリースクールに通うお子さんたちに関しては、明らかに変化が出たというか、非常に自己肯定感が上がったりとか、本当にモチベーションが上がったりとかというような効果が出ているのに対して、世間的にいうと、まだまだ知る人ぞ知る法律みたいになっているというところが実態かなと思っている。
 法治国家である以上、現場の先生方がこれを知っていただくというのは当然の前提として、やっぱり周知徹底をしていかなければいけないというふうに思いますし、保護者の立場から言うと、私も小4、中1の子供がおりまして、学校を通じた、例えば保護者に配られるプリントに関して、例えばさっき例示として出たいじめ防止法については、少なくとも学期に1~2回は、いろいろなお便りだったりとか、アンケート調査だったりとかがくる。そういうものを通じて、こういう取組を学校がしているんだな、教育委員会がしているんだなということが保護者にも伝わる。当然、そうなると、先生方も知るということになると思うのですが、私の記憶にある限りは、教育機会確保法ができて、それが学校現場でそういうようなお知らせだったりとか、調査が配られたという記憶がない。例えば、保護者を通じてということで、ある程度、法の精神だったりとかをお知らせしていただくだけでも、大分今よりは広がりが出るかなと思うので、その辺の配慮をお願いできたらありがたいと思うところ。
【委員】  最初の委員の発言にある周知徹底というところにも関わってくるので、よろしくお願いしたい。
【委員】  2点ある。1点目は、先ほど、どなたかおっしゃっていたがこの調査をすることが誤ったメッセージを送ることにならないような配慮が必要と考える。
 というのも最近現場で本当によく聞くのは、子供が不登校になり始めた、あるいは行けない子供に対して、教師のほうから「学校に行かなくていい権利があるんだよ」と言われてしまうケースだ。子供は学校に行きたいのに、わざわざ学校側から行かなくていいんだよと言われ身動きが取れなくなると聞く。先生やSCの方は子どもの心を思いいいつもりで言っていらっしゃるの推察するが、子供は学校側からスパンと切られたような印象を受けるという話をあちこちで聞く。
 何人かの委員の先生方もおっしゃっていおられたが法律の理念が正しく理解されていないのではないか。この法律は、不登校児童生徒をフリースクールに丸投げするという法律ではないはずだが、全国見ていると現場には温度差がありこのことが正しく伝わっていないところも多々見受けられる。そうならないようを意識した調査項目を作らないと、「連携すればいい、外に出せばいい」と誤解を強化することにつながりかねないと強く思っている。例えば総則の中に、「魅力のある学校づくり」と一番目に書いているにも関わらず、その点について学校は何をやっているのかというような、もう少し法の理念が正しくつたわるような事柄を調査の項目の中に入れていただきたい。
 2点目は、先ほど、委員の先生もおっしゃっていたが、組む相手が本当にピンキリだ。量的に連携すればいいという問題では全然なく質的なモノをいかに確保する野化こそ問われるべきではないか。連携した先が、子供に対してどういう指導をしているのか、あるいは支援をしているのか、そこも分かるような内容にしていただきたい。
【委員】  最初におっしゃった「魅力ある学校づくり」、これはやっぱり必要な、つまり、起こってからどう連携するか、あるいは、フリースクールをどう活用して連携していくか。こういう問題以前に、もう少し不登校の数が高止まりしている問題をしっかりと捉えて、いろいろな方策が学校で取られるべき。それは何も強制的にどうのこうのという話ではなくて、やっぱり楽しい、無理して行かなくてもいい、そういう学校づくりは非常に大事なところなので、そのための取組はいろいろな形で可能だろうと思う。それをどういう具合にやっているかということも改めて1つは検討していただく。とりわけ一人一人、個に寄り添いながら、ずっと継続して、なおかつ組織的にというところは、やっぱり非常に大事なところなので、それを早期にどうやっていくかというところも非常に大事なポイント。そのあたりはやはりしっかりと調査ができるように、取組がたくさんあるので、非常にコンパクトにそれを抽出して、それで質問項目に落とすという作業は大変だろうと思うが、可能な限り、ここへ含めていただくということも必要だろうと思っている。
【委員】  私も周知のことですので簡単に。三重県でほぼ全ての市町村のケースに関わっているのですけれども、市町村の格差が余りにも大きいということ。あとは、さらに言うならば、学校のとにかく格差が大きいということで、その意味での最後の「教育機会確保法の成立後、新たに取り組んだことや今後検討していること」というふうなことと含めて、周知をどうされたのかとか、そういったことを是非お願いしたい。
【委員】  あくまで人ごとのように思っている教育委員会が結構まだあります。ですから、この確保法ができて、お宅の教育委員会では何をどのように取り組もうとしましたかというあたりが一番ポイントになってほしいなと。その中に細かい具体例がいろいろ出てくると思う。
 その中の教育支援センターのところで、さっきもいろいろな要望が出たけれども、私は教育支援センターの場合に、学校復帰を前提にずっと長いことやってきて、そこが変わるというのは、相当、なかなか現場ではこなせないし、また、とまどったり、混乱したり、実際にそういうことも起きているのですが、そこを何か、どのように考えているのかというのが何か表れるような、この項目は難しいと思うが、それを入れていただきたい。
 それから、さっき、家庭で育っている子ということが出ましたが、登校10日以下が11%ぐらいいるという調査が出ているわけだが、ほとんど通っていない子供、何かの支援につながっていない子供たちの親がどんなニーズを持っているのかということを、是非調査をして、そこのところがもっと進むべきだと思うが、ただ、御存じのように、非常に調査の仕方とかによってはプレッシャー、傷付く、そんなのお断りですとなりやすいと思うので、教育委員会の調査の中にそれを入れるのは、ちょっと無理があるのかなと。それよりも何か私たちも協力する用意があるが、別立てでもいいから、一番支援が届いていないところの調査を何かの形でやってほしいと思っている。
【委員】  まず、調査の都道府県、市町村の関係ですけれども、これ、まずは都道府県とあるのは、首長部局を意識して上がっているのか、都道府県教育委員会の意味なのか、これは両方含んでいるか。
【事務局】  教育委員会である。
【委員】  首長部局は入らない。
【事務局】  今のところ、入っていない。
【委員】  まずは、都道府県教育委員会、市町村の教育委員会、首長部局を含めて、やっぱりそれぞれ権限と事業の中身があるので、それもかなり違う。首長部局が予算措置をしなければならないので、その首長部局、あるいは都道府県の教育委員会は支援が中心、市区町村が実施部隊ということなので、当然、調査項目もかなり丁寧に分けていただけるとは思うが、そこのところが反映される調査項目にまずはしていただくのが1つと、それと、先ほどもありましたけれども、単なる調査のための調査であっては意味がないので、とりわけ実践部隊の市区町村が本気になって取り組むという1つの誘導施策でもあるわけで、そういう意味では、先ほども出ていましたけれども、そこにつながる調査項目を工夫していただくというのを是非お願いしたい。
 都道府県の教育委員会については、基本的には支援なので、どういう支援をしているかというのが浮き彫りになる調査項目でないと、単に調査を都道府県から市区町村へ流すだけという調査の仕方では余り意味がないと思うので、場合によっては市区町村へ直接文科省から調査を流すというふうなやり方も含めて、ちょっと考えていただきたい。
 前に法律の周知のときもお願いしたが、単に通常の行政システムからいくと、都道府県から市町村という流れは当然だけれども、ある意味で、必要な場合は直接文科省から市町村に、今の時代でもすぐできるので、そういう流し方も含めてやるとか、市町村の意識変革につながるような、ちょっと違うぞということが分かるような調査をお願いしたい。
 それともう1つ、ほぼこれは学校内の取組というのが余りメインに上がっていないのは当然かと思うけれども、学校内での居場所作り、別室登校であるとか、そういう調査はほとんど市町村が独自にやっているというので、全国トータルの数字はあまりないと思うので、あまり調査の範囲を広げる必要はないかと思うけれども、学校の中でどういう居場所作りであるとか、この教育機会確保法を契機にして、保護者ボランティア、あるいはボランティアの増員であるとか、具体的な取組はどういうふうにされたのかというところも聞かないといけないのではないかなというところ。
【委員】  今の委員の発言で首長の話があったが、これは法律が重層的責任構造になっていて、いわゆる就学機会の提供等、「地方公共団体は」と、あるいは「市区町村は」という具合になっているので、この支援とか提供に関しては、それぞれの首長もなおかつ責任構造の中に組み込まれているわけである。だから、当然法令上のたてつけから、入ってきてしかるべきところなので、単に知っておいて、それはこちらがそういうものがあってしかるべきだという単なる議論ではなくて、法に基づいて調査をやるのだから、その点はしっかりと法律を押さえて質問項目を構成していただくというのが筋だろうという具合に思っているので、その点はよろしくお願いしたい。
【委員】  私も是非魅力のある学校づくりにつながるものに、この調査が生きていくといいなと思い、2点ある。
 宿泊体験活動によって児童生徒が自己肯定感を高めて、その後、学校復帰に結び付いたり、あるいは、自分の人生・キャリアについても考え、前向きに取り組めるようになったりというようなことは数々報告されていますが、是非この機会に全国でそういった体験宿泊活動を含めて、どのような取組を行っているか。
 そしてもう1つ、発達障害の子供のために限定されるだけではないと思うが、通級指導教室が非常に活用されていて、学校と連携して教室復帰だとか、めざましい支援をしているところもありますので、そういった取組も是非調査していただきたい。
【委員】  こういう調査によって数が増えていく方向にどう持っていくかという議論よりも、支援の内容がどう変わっていくかということも私は重要だと思っていて、実際に教育支援センターについても、支援の差がすごく大きいと思う。このメニューをしっかり明確にできるような調査をしていただく必要があると思っている。大体今はざっくりし過ぎている。心理的ケアとか、学習支援とか、そこにどういう方法、メソドロジーが入っているのかということをしっかり考えながら、これはやっぱり今までの目的先であるいわゆる原学級に返すことが、今まで指導の中心でありましたけれども、これから実は個々に応じた学びの仕組みというか、僕の特性だったらこうやって学べばいいんだということを教えるところであるべきと私は思っているので、もう少しその辺の内容について踏み込んだ聞き取りをしていただければと思っている。
先ほど、冒頭にも言ったが、実際に読み書きの困難な子供たち、これは読み書き障害ではないんですね。障害で言うと、国の調査統計で言いますと数%ですけれども、これはやっぱり読み書きが苦手とか、困難さを抱えるレベルだと、我々の統計だと、不登校の子供たちの20%、その場面設定によっては40%ぐらいそういう困難さを抱えている子がいるという、このあたりのところを踏まえましても、いわゆる通常の学習支援がこの中で成り立っていないというのはよく聞く。
 先ほど、委員の先生がおっしゃったように、通級指導教室の連携がうまくいっているところもあるけれども、特別支援教育は別だよねとか、逆に言うと、ここで手に負えないからあっちに行けというような流れもあるというような、何かもっとその辺のところがオーバーラップして、みんなが気楽に利用できるような、いわゆる自分に合った学びを学ぶという、これは実は、本当は不登校の中には、最初にも日本財団の調査の結果を引用しましたけれども、仮面登校といったような抜群に勉強ができる子供たちも含まれているわけです。そういう子供たちも、この教育支援センターを利用できるというような見方も出てくると、「俺、ちょっとこれ、うまくいかないから行こう」という流れが出てくると思う。特別支援教育もそうだし、いわゆる学びということに、どこで学ぶかということに関しても、それぞれの個々の特性に応じた多様性を実現できるような、そのきっかけでもいいから、それが見えてくるような調査をお願いできればなと思う。
【委員】  先ほどからいろいろ出ているが、教育支援センターの従来のイメージ、大分変わってきており、ニーズも変わってきている。その点も踏まえて調査を是非ともお願いしたいという具合に思っている。
【委員】  今までの話とは若干傾向の違う話になるが、確保法成立後の実態についてということだけれども、やはり平成28年の最終報告で、あくまでもサンプルとして出されたと記憶しておりますけれども、児童生徒の教育支援シート、この活用がどうなっているのだろうと。実は私も不登校の関係で2~3の自治体に研修講師で呼ばれ、こういうものがあるんだよと言っても、全くその実態が分からない。認知していないということもあったので、やはり教育支援シートというものは、つながりを重視した切れ目のない支援を行うということで、横のつながり、縦のつながり、それこそ教育支援センターないしはフリースクール等々の関連の中で、どういった取組を行っていくのか、とってもいい参考資料だったと思うけれども、この資料の取扱いが教育委員会からどういうふうな形で周知され、各学校でどのくらい使われているのか、その辺が全く見えていないというところがすごく気になっているのが私の問題意識である。
 併せて、あのシートを加工されて、もっと使い勝手のいい、あるいはもう少し簡便な形でのシートを作成されている自治体があるのであれば、そういったグッドプラクティスも聴取ないしは資料を集めた方がいいのではないか。いろいろ通知が出たとしても、先ほど来、話があるように、教育委員会の理解不足なのか、あるいは学校の理解不足なのか、よく分からない。どこに問題の所在があるのか全く分からないので、是非その原点のところに立ち返っていただくようなものを1項目、これは確保法の第何条に当たるのかよく分からないが、そこは是非やっていただきたい。
【委員】 こういう子供は、確保法の中の対象になっているか、なっていないかよく分からないが、積極的な不登校の親や子供、つまり、あえて言うと、必ずしも支援を求めない親や子供が現実にいるわけである。いわゆる公教育としての学校不信があって、最初から全く、籍は置いても行かせる気がない。そういう子供が現実にいるわけですよね。例えば外国人学校に通っている子供はそうだと思うのですけれども。
 そういう子供はどういう扱いになっているのかということである。それは調査の対象にならないのか。その部分も目を当てないと、特に法的な問題を考えると、法的な問題が先送りされた、就学義務は先送りされたわけですけれども、今後またおそらく就学義務のありようがまた問題になってくると思う。特に支援が進めば進むほど。だから、そこの扱いをどうするのかということを、どう考えたらいいのか、また検討いただければと思う。
【委員】  その件に関しては、先ほどからおっしゃっているように、「仮面登校」という、あるいは「仮面不登校」という、枠組みにはまらない、ついていけない子ではなくて、それを出てしまう子供、こういう子供の積極的不登校、「積極的」というのはいろいろな意味が入るけれども、そういう子供たちをどう含めていくかという問題と大きくこの不登校という概念との関わりがある。その辺はやっぱりクリアに出していただきながら、多様な教育機会ですので、その辺をうまく反映できるように、今後に生かせるような形で調査票を組んでいただければ、そこからある一定の方策がまた出てくるだろう。「不適応」という概念を使うと非常によくないという烙印が押されますが、それを超えてしまって枠にはまらない子供たちがいっぱい、個性を持った子供たちがたくさんいるわけで、こういう子供たちの一人一人に沿った支援の体制というのを、現代の中でどういう具合に組んでいくかというのは、これはこの会議でも随分議論していただきながら、今の教育支援シートが出来上がった経緯がある。先ほどの委員の御発言は、私も是非ともお願いしたいところであるし、現状あまりそれが実践されているようには思っていない。あれは実に内容がいいものを含んでいるのだから、1項目であっても、それを是非とも入れていただきたいし、もう少し今の委員のおっしゃっているところを少しクリアにしていただくという必要もあるだろうと思っている。
【委員】  皆さんの御意見はもっともだなと思いながら伺っていたのですけれども、いま一度、調査の目的、そのあたりが今すごく幅広になっているので、どの辺を落としていくのかと。
 例えば、お配りいただいた調査項目自体は、確保法成立に関わらず、不登校児童生徒の支援に対する実態調査的な内容ですよね。今回の法成立後の実態を明らかにするということは、法ができる前と後でどんなふうに違いがあるかということを意図されているのか、そしてまた、法に書いてある内容について、どこまで具体化していくかというようなところの施策的な意味合いが入ってくるのかどうかによっても設計が違うかなと思う。
 今、対象のこともそうだが、障害のある子も、特別支援も、不登校もそうだし、いじめも、みんな支援ニーズのある子供たちなので、当然関わってきますよね。それから、支援内容についても、細かく聞いていくと、何気なく聞いていくことができる。そして、通級の話もしていただきましたけれども、とりあえず通級は障害のある子供の枠組みですが、そういうシステムの話ですよね。日本語教室も実は通級ですよね。国際ケースも。なので、そのシステムをどうするかというようなことも明らかにしていくのかどうかということを、今お話を伺いながら思っていたが、いずれにしても、挙げられている項目は学校外のことが中心に書かれているので、皆さんがおっしゃるように、学校の中でどう変わってきているかとか、学校教育の中のシステムをどう活用しているのかとかという内容もやはりないと、実態把握だけで終わってしまうと、都道府県等の教育委員会が次に何をしていったらいいかというところの1つの手掛かりにはならないのかなという気がしている。
【委員】  3点ほどあるが、まず1点目、これは確保法の成立後というような状況を調査するということだが、いろいろ議論があった夜間中学と不登校の問題だけれども、ここのところも実態を把握していただければと思う。
 横浜市は、夜間中学校は1校あるけれども、今年は不登校の子供はゼロ。今、38名の子供が通っているけれども、子供というか、おじいちゃん、おばあちゃんもいる。それから、不登校はゼロで、昨年もゼロ。ほとんどが外国籍の方である。学齢期を超えた方で、海外で義務教育段階の修了をしていないという方が親に呼び寄せられて日本にきて、それで新たに勉強したいと、そういうニーズがあって行っている。ですから、自治体によって違うと思うが、夜間中学というのは、今そういうようなニーズがあるところなんだなという認識を私は持っているけれども、実態調査の中でそこも明らかにしていただけたらありがたいと思う。
 それから2点目として、教育支援センターの話題が先ほどからたくさん出ているけれども、横浜市も、先ほど、委員の先生のお話もありましたけれども、民間のフリースクール等と連携しながらいろいろやっているが、連携せざるを得ない状況があったというのは、本当に支援センターだけではやっていけない。民間の皆さんと一緒になってやっていかないとやっていけない。
 というのは、現在も、ちょっと担当者に聞いてみたけれども、11月末現在で見学の希望者が29名いると。この見学の希望者が見学するまでの待ち時間が2か月待ちであると。現在、適応指導教室が横浜市内4か所にあるが、そこの児童生徒の数が267名、そこから相談指導学級に移行して、大体毎日のように通級している子供が79名、これは相談指導学級ですけれども、そういった実態を浮き彫りにしていただけるとありがたいなと。
 横浜の場合、本当にもう厳しくて、民間の皆さんと一緒になってそういった対応をしていかないとやりきれないというような状態があるものですから、そういったところがこの調査で見えるようにしていただければありがたいなと、それが2点目。
 それから3点目として、調査項目の案の一番下のところに書いてある新たに取り組んだことや、今後検討していくというところ、これも具体的にイメージが沸くような聞き方をしていただければなと思っている。
 例えば、学習支援授業で放課後やっているところがあるが、本当に勉強が分からなくて学校がおもしろくないといった子供も、地域の方が出てきて一緒に勉強してくれる。そうすると、勉強が分かるから学校が楽しくなったと言ってくれたり、そういう取組が本当に細かいところでやられている。大学生が来たり、学校によっては高校生が来て小学生の勉強の面倒を見てくれているところもある。地域の中で地域の子供を育てるというようなうまい連携ができているところは、子供たち、非常に学校が楽しいみたいだというふうに校長先生は言っていた。
 その方たちが、「この事業はどのくらいの予算でやっているの?」と校長に聞いたら、「これは横浜市から年間10万円の予算を頂いていますよ。」と、10万円の予算ですから、ボランティアの方の交通費も出せないので困ってしまったなと、でも、みんなやって、子供たちが笑顔になってくれるから、それがいいんだというふうに言ってくれるから、それでいいのかな、そんなふうに甘えていいのかどうかなどと言っていましたけれども、そういうような取組もあるので、そういったところも引っ張り上げるような調査にしていただければなと思う。
 あとは、特別支援教室ということで、学校に空き教室を使って個別に課題がある子供、例えば発達上の課題があって、ちょっと今みんなといたくないなという子供が、そこでちょっとゆったりする。そのときに、地域の方、ボランティアの方、教育ボランティアの方と一緒に話をしたり、あるいは一緒に勉強したりとかというような取組をやっている学校もある。そういった事例を、現場がいろいろ努力して工夫している事例もちょっと拾い上げて、教育委員会ですから、そういったものを拾い上げる責任もあろうかと思いますので、是非そんな調査にしていただければありがたいなと思っている。
【委員】  今日、まとめたいというのは、概算要求に間に合わせるため逆算でいきまして、次の会議で結果を報告して皆さんに御検討いただくという、これが大体2月、3月の会議でしょう。ということは、どうしても今日まとめる、あるいは年内に発出か、年明け早々に発出しないと、先ほどの行政の筋からいきますと、教育現場というのは、行って戻ってくるだけで二か月ぐらいかかってしまうような現場で、なかなか難しいところがあるので、是非とも今日、まとめて、もうちょっと時間の余裕を是非ともお作りいただいてお付き合いいただきたい。
【委員】  手短に2点のみ。いずれにしても当事者である児童、生徒、保護者の声を尊重する調査であっていただきたいと切に願う。
 というのも、例えば不登校等だったら、要因についてという調査が過去何回も行われていますが、これも私、過去の会議で申し上げているのですが、当事者でなく担任なりの第三者が推測で答えている結果が基となってこういう内容になっていますので、そもそもこれが実態に即しているのかと考えたら、僕は乖離しているように思えてなりません。したがって、全然違うところを出発点としていろいろなものが話し合われているとするならば、調査の精度は、かなり低いものにならざるを得ない。実際こういう法律ができて、一番体感として子供たちが何を感じているかというのは、どこかでやはり知りたいなということを強く願っている。
 それからもう1点だが、調査対象に関して、先ほど、首長レベルというところが今回は対象ではないということになったときに、やはり義務教育とはいえ、私立の小学校、中学校は、まして公立よりスピードが相当、10年単位で遅いと私は自覚している。同じ法律が施行されたとしても、私立の先生方がそれを理解して実際に実践していく頃には次の段階になっていて、完全に私立に通う子供たちが置き去りになってしまうという実態も身近にかなり散見しているので、是非子供たちの中にそういう私立の子供たちまで含めた形での調査を行うことによって、私立側の意識も少し変化していくのではないかと期待するところである。
 以上、2点よろしくお願いしたい。
【委員】  東京都なども高校通級なども始めているものですから、私どもとしては、教育支援センターの在り方について、活動内容という形で、ここで設けていただいているかと思う。今やっていることは当然リサーチされると思うが、次の法を施行した上でやりたいこと、つまり、何に着手したいのか。これは当然、予算的な状況もあるが、区市の中でも大小あるので、その中で何を次にやりたいのかといった項目を設けていただければありがたい。となれば、何らかのきっかけでそういったものが動いていく。例えば、今、話が出ました民間とのジョイントなのか、若しくは、大きな区などでおやりになっているような社会体験的な取組なのかといったディテールが浮き出るような形でお尋ねいただければありがたい。
【委員】  今から15年か20年近く前に、大学の先生と一緒に、科研だったか、国の予算だったかで、全国の適応指導教室と、それから、何らかの基準で抽出させてもらったフリースクールを対象にアンケート調査をさせてもらっているので、できたら、そのときの結果と今がどう変わっているのかというのは、個人的にすごく関心がある。
 例えば、当時、いろいろなことを聞いているけれども、当時は適応指導教室と呼んでいましたが、その設置目的とかを聞いてみますと、学校復帰がかなりあがってきた。でも、今それがどういう状況になっているのか、当時でも学校復帰以外に子供たちの居場所とか、人間関係の育成とか、そういうものもあがっていましたので、それらの目的を教育支援センターが、今どういうふうに把握されているかというのも、1つ気になるところである。
 その目的に合わせてどんな取組が行われているのか。以前は学校復帰をメインにしているところが多かったので、登校支援だったりとか、部分登校への工夫だったりとか、そういうものが割と多かったが、もしかしたらそれがカウンセリング的なことであったりとか、コミュニケーションの醸成だったりとか、その辺も出てくるかなと思うので、取組の内容、それと、それを裏付けるアセスメント、子供のことをどういうふうにアセスメントされているのか、その仕組みがあるのかどうかというところもちょっと気になるなと思っている。
 あと、それがどのような成果を生んでいるのかというところも当時は聞かせてもらったし、それと並行して、苦労されている点、例えば先ほどの資料にもあったが、お金がない、人がない、あるいは場所がないとかという、そういういろいろなものを抱えながらセンターも取り組んでおられるので、そういうところも何か明らかになるといいかなと思っている。
 当時は、大変調査に工夫というか、問題も多くて、スタッフの方に随分と御苦労をお掛けしたんですが、子供たちにも調査させてもらっている。子供自身がどんなふうに取組を感じたかという項目もあげていたので、それはすごく配慮が必要だし、聞き方によってはいろいろな問題も生じてくると思うので、ただ工夫次第でそういう受け手側の意見というのもできたら吸い上げていただけたらなと思っている。
 【委員】  私も先ほど、親の立場で情報があまり学校から流れてきたことがないという御意見を聞いたときに、もっともだなといいますか、私も同感でして、私はPTAの立場でおりますけれども、PTAですと、全国研究大会とか、あるいは都道府県での研究大会、市の研究大会、いろいろなところで子供たちを取り巻く問題に対してのいろいろな分科会とか、講演を頂いたりとかあるが、私も長くやっている中で、不登校が問題として取り上げられたという記憶はほぼない状況である。いじめに関しては、かなり学校現場でも、そういうPTAの中でも問題として取り上げられるけれども、なかなかない。学校評議員として学校に行ったりしますと、不登校、当校では何人ですとか、そういう報告はあり、それに対しての取組も報告はあるが、そこまでで、それを学校と保護者が一緒になってどう改善していこうかという議論はなかなかない。ただ、保護者の方でも、PTAでも不登校がこれだけ多い、これは見過ごせない問題だよねというような話は出ているのは確かである。ですから、この調査を進める中で、先ほどあったように、それが親の方にもこういう調査がいろいろ進んでいる中で問題視しているということが広まって、問題意識を学校も親も持って、親がうちの学校はどうなんだろうということを先生に聞いたりとか、改善できる方法はどういうことがあるのかという議論が学校の現場、保護者を通じてできるようになれば、今、いじめ問題については随分いろいろなところで議論されるようになって、意識も高まっているなというのは実感しているので、この不登校に関してもそういうふうになっていきたいなというふうに思うので、是非そういう調査になるといいなというふうに思うので、いろいろお話を聞いていて、これを取りまとめるのは大変だろうと思いながら聞いていましたが、是非いい調査になっていただきたいというふうに思う。
【委員】  一番は周知だと思う。学習指導要領に記載が行われたというのは、とても大きい機会だったと思うが、学習指導要領に載ったからといって、全部の教員まで正しい理解が届くかというと、そう簡単なものではないのかなと。
 例えば、この調査の中で、「周知の機会を持ちましたか」と聞けば、「持ちました」という答えが全部返ってきてしまうと思う。ただ、持ちましたというその持ち方が、教員一人一人に届くような持ち方がされているかどうかというと、実は私は現場を回っていて、届いていないというのを実感として感じている。
 だから、この周知の阻害要因は一体何なのかと、どこかで詰まっているかなというのが調査によって見付かれば、そこに手を入れていけばいいのかなというように思うので、せっかくこの法律ができても、子供の前に立つ教員が理解していなければ、あってもないのと同じなので、その部分については是非上手に調査をしていただければと思う。
【委員】  現場の声として、今までのお話を聞いていまして、現場にいたものですから、ちゃんと答えられるかなという感想を正直持ってしまう。今までの先生方のそれぞれの意図している、あるいは期待されているとか、現場の様子とか、それがちゃんと答えられるかなとすごく不安に思うし、逆に、これを文科省の方から出される苦労というか、どういうふうに出されるのかなというのは、非常に興味があるというか、それに対して本当に答えがちゃんと出せるかという思いがある。
 それと同時に、今、委員の先生がおっしゃられましたように、現場としてなかなか、正直言って、周知しているかという不安もあるので、これはお願いというか、要望になるかもしれないが、やっぱりいろいろな形で現場できちんとこの部分を研修するということを、どんな形か分かりませんが、出していただければ、ある程度進むのではないかという感想である。
【委員】  今、皆さんそれぞれ意見を述べていただきましたが、最後にこれは一言という方がいらっしゃいましたら、あえて議長特権でもう少し時間を延長させていただくので、どうぞ御遠慮なく。
【委員】  今まで私は、公立の学校に勤めていましたが、今は私学に行っている。これは首長が調査の対象になっていないとお答えになりましたけれども、私も委員の先生が言われましたように、是非いつかの機会では、私学の方も対象にしていただきたいと思っている。それが1点。
 それから、いろいろな立場の方が今日いろいろな要望をおっしゃっていましたけれども、どこまで詳しく調査をすればいいのか、詳しくすればするほど実態が分かって、それで新たな施策とかに繋がるのかもしれませんけれども、もう少し的を絞った調査の在り方でもいいのかなと思ったところ。教育委員会にいるときも、不登校の調査とか、いろいろな調査が文科省の方からおりてきましたけれども、結構その調査に答えるのにはすごいエネルギーを要したことを覚えている。あまり詳しくなり過ぎると、やはり答える側に負担が非常に多くて、それこそ実態ではなくて推測して答えるようなことになってしまわないかという危惧は持った。
【委員】  8年ぶりに今年の4月から学校現場に戻りましたけれども、様々な御意見、そして周知の状況なども耳の痛い話もたくさんあるが、正直、8年ぶりに戻って、思った以上に不登校の子供たちに向ける目は変わってきているなということを正直感じている。バックデータがあるわけではないけれども、子供たちにとって何が一番いいのか、何を今、支援してあげればいいかという動きが明らかに出てきているなというのを今実感している。
 多分ここ数年のこういった動き、確保法もそうだし、文科省通知もそうだが、そういったものを受けて、現場が動いているというのが自分自身の実感なので、今日も様々な議論、様々な御意見を伺いましたけれども、きっと子供の支援につながっているものだと思うの。
【委員】  私も研究者としては細かいデータが欲しいなと片方では思うが、今回のきっかけが、せっかく法の施行状況の検討という非常に重要な価値というか、転機のところで、インパクトのある根拠を求められているというところはかなり大きなことだろうと思っているので、やはり今日の意見を聞き取っていただいて、事務局の方でかなり取捨選択もしていただく必要があるのだろうと思っている。
 その一方で、不登校についても、昔、50日で取っていたものが30日に変わり、そして座長の御尽力もあって、あるいは文科省も御苦労いただいて、統計法にも触る部分で、かなり詳細なというか、あくまで統計上のことですけれども、90日以上とか、あるいはほとんど来ていないよとかということもデータで分かるようになったという、こういうことだけでも、その後、具体的にどんな手を打っていくのかということにはかなりヒントになる。このあたりが不断のというか、今回のということではなくて、継続的に取っていく必要のあるものなのだろう。
 私の立場から言うと、先ほどもあった不登校の子供たちの不登校の理由、あるいはもっと言えば、長欠の中から不登校を統計上区分するという線引きも都道府県によってかなり差があると思っている。こういうことについては、単発の調査というよりは、やはり継続的に、そして今後、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーもその地域の学校で活用していただけるということならば、既に通知にもあるように、早期にそういう支援職種の意向等も含めて、もうちょっと精度の高い不登校状況であるとか、あるいはそこの中で、先ほどの学力が低いということが実は非常に大きなファクターとして、勉強が分からないということが不登校とかなり相関するというような調査結果も私の方でも出しているし、他の委員の先生の御紹介のデータにもあった。そういうような経年的にというか、継続してやっていかなければいけないことは、今回の調査に部分的に載せていただくのはいいと思うが、むしろ各教育委員会が責任を持って把握すると同時に、それを吸い上げるような仕掛けを継続的に持っている必要があるのだろうと思う。
 そのあたりで言うと、いくつかグラデーションを付けていただき、今回必要な部分ははっきりと示していただくと同時に、むしろ継続的な努力の様子とか、課題の変化をしっかり追える仕組みというものも、別途というか、お金や手間のあまり掛からない方法もあろうかと思うので、御検討いただけたらありがたい。
【委員】  私も最後に総括して申し上げたいことをかなりおっしゃっていただきました。大体私ども、調査票を組むときに、調査票全体は、30問を超えるとかなり精度は落ちると考えている。とりわけいろいろな方々が御回答になりので、調査票は、今日頂いた御意見が全て反映されるという具合に思っていただくと、少し当てが外れるといいますか、趣旨が違ってまいりますので、調査に回答していただく方に混乱を与えてしまったり、あるいは書きにくくなってしまったり、いろいろな問題が生じてきまして、精度そのものが落ちてしまう。その辺は取捨選択していただかざるを得ない。そのときの基準をどうするかというところで、これは先ほど委員がおっしゃったように、法成立以降というものの実施状況ですので、この点はやはり一線を引くポイントだろうという具合に思っている。
 ただ、楽しく通う学校づくりといわれるものに関しては、やはり日常、今挙げていただいた調査項目からは全くないので、そのところは少し具体的に項目を挙げて、その内容が分かるようにしていただくということだろうと。
 それからもう1点は、先ほどから私立、首長は外れているとあったが、法律を読む限りは、地方公共団体あるいは市町村団体、これは全て支援義務を負っている主体になっている。ということは、首長は排除されるものではないし、私立がそこから排除されるものでもない。学校を挙げてみましても、特段公立に限るとは書いておりません。法律そのものは学校というところで、学校教育法に載っている学校そのものが学校の対象になっておりますので、それは外れるということは絶対起こり得ないはずの法律のたてつけになっているので、その点は漏らさないようにそこに対する今の支援の在り方も同時に問えるように、やはり配慮いただきたいし、調査の宛て先を配慮していただければいいという具合に思っている。
 そんなところで、ひとつ御苦労を掛けますが、大体これで皆さん方の御意見はそれぞれに賜ったという形にさせていただきたい。
【委員】  改めて確認するまでもないですが、私立学校の問題だけではなしに、あくまでも例えば区役所であったりとか、地域との関わりであるとか、様々な行政分野も含めて、予算措置も含めて、あるいはネットワークの組み方も含めての意味での首長ということなので、お願いしたい。
【委員】  これは先ほど申し上げたように、重層的責任構造、これはいじめの方もみんなそうだが、それはそれぞれが責任を持っていくというやり方をしないと、これは国を挙げての施策になりませんので、その点はよろしくお願いしたい。
【事務局】  それでは、今日頂きました御意見を踏まえつつ、今後、教育機会確保法の施行状況の検討を進めてまいりますので、引き続き、委員の先生方には御協力をよろしくお願いしたい。
 
(以上)


お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室生徒指導第一係)