平成29年2月28日 児童生徒の自殺予防について(通知)

28文科初第1546号 
平成29年2月28日 

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事
附属学校を置く各国立大学法人学長   殿
小中高等学校を設置する学校設置会社を
所轄する構造改革特別区域法第12条第
1項の認定を受けた各地方公共団体の長


文部科学省初等中等教育局長
藤原 誠 

(印影印刷)


児童生徒の自殺予防について(通知)


 平素より,文部科学行政に対する御理解・御協力を賜り誠にありがとうございます。
 標記については,各学校においても,これまでも,児童生徒の自殺予防の取組の充実に積極的に取り組んでいただいているところです。しかしながら,近年においては自殺者全体の総数は減少傾向にあるものの,自殺した児童生徒数は減少していない状況にあります。児童生徒の自殺を予防するためには,学校の設置者及び学校が,家庭及び関係機関との連携により,悩みを抱える児童生徒を早期に発見し,教育相談の実施,見守り等の対応を行うことはもとより,自殺予防教育を適切に実施することが必要です。このたび,下記1のとおり,自殺予防教育の実施状況について把握を行うこととしましたので,御協力願います。
 自殺総合対策大綱(平成24年8月28日閣議決定)においては,「3月を自殺対策強化月間に設定し,国,地方公共団体,関係団体,民間団体等が連携して啓発活動を推進する。あわせて,啓発活動によって援助を求めるに至った悩みを抱えた人が必要な支援を受けられるよう,支援策を重点的に実施する。」と定められています。つきましては,貴職におかれましても,この月間の取組が所期の目的に沿って実施されるよう,下記2に掲げる取組を実施するなど,積極的な対応をお願いします。
 なお,このことについて,都道府県教育委員会・指定都市教育委員会教育長にあっては所管の学校及び域内の市区町村教育委員会に対して,都道府県知事にあっては所轄の学校法人及び私立学校に対して,附属学校を置く国立大学法人学長にあっては附属学校に対して,構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた地方公共団体の長にあっては認可した学校に対して,周知を図るよう,特段の御配慮をお願いします。



1.自殺予防教育の実施状況について
自殺対策基本法(平成18年法律第85号)第17条第3項は,学校は,当該学校に在籍する児童生徒の保護者,地域住民その他の関係者との連携を図りつつ,当該学校に在籍する児童,生徒等に対し,困難な事態,強い心理的負担を受けた場合等における対処の仕方を身に付ける等のための教育又は啓発等を行うよう努めるものとしている。同項に基づく児童生徒に対する教育又は啓発等について,各学校の取組の状況を把握することとしたので,公立の小学校・中学校・高等学校における実施状況について,別添1の様式により回答すること。各学校の設置者及び学校は,把握した学校における取組状況を踏まえ,平成29年度における年間の教育計画を策定する際,自殺予防教育の実施を組み入れるなどの対応を検討すること。
自殺予防教育を学校において実施する際は,例えば,「子供に伝えたい自殺予防(学校における自殺予防教育導入の手引)」(平成26年7月1日付け文部科学省初等中等教育局児童生徒課長通知(26初児生第27号)により周知)を活用するなどして,これらの教育又は啓発を進めること。なお,学校において児童生徒を対象とした自殺予防教育を実施する際は,実施前に関係者間で合意を形成しておくなど,適切な前提条件を整えた上で行うこと。

2.長期休業明けの児童生徒の自殺予防について
18歳以下の自殺は,長期休業明けの時期に増加する傾向があること(別添2)を踏まえ,例えば,以下に掲げる取組を,学校が保護者,地域住民,関係機関等との連携の上,自殺対策強化月間の3月から長期休業明けの4月にかけて実施することが考えられる。
(1)学校における早期発見に向けた取組
 各学校において,長期休業の開始前からアンケート調査,教育相談等を実施し,悩みを抱える児童生徒の早期発見に努めること。学校が把握した悩みを抱える児童生徒や,いじめを受けた又は不登校となっている児童生徒等については,長期休業期間中においても,登校日,部活動等の機会を捉え,又は保護者への連絡,家庭訪問等により,継続的に様子を確認すること。特に,長期休業の終了前においては,当該児童生徒の心身の状況の変化の有無について注意し,児童生徒に自殺を企図する兆候がみられた場合には,特定の教職員で抱え込まず,保護者,医療機関等と連携しながら組織的に対応すること。また,児童生徒からの悩みや相談を広く受け止めることができるよう「 24時間子供SOSダイヤル」をはじめとする相談窓口の周知を長期休業の開始前において積極的に行うこと。
(2)保護者に対する家庭における見守りの依頼
 保護者に対して,長期休業期間中の家庭における児童生徒の見守りについて依頼すること。保護者が把握した児童生徒の悩みや変化については,積極的に学校に相談するよう,学校の相談窓口を周知しておくこと。その際,「 24時間子供SOSダイヤル」をはじめとする電話相談窓口も保護者に対して周知しておくこと。なお,これらの各家庭における保護者による見守りについては,長期休業の開始前又は長期休業期間中における保護者会等の機会や学校(学級)通信を通じて,保護者に依頼することが考えられること。
(3)学校内外における集中的な見守り活動
 長期休業明けの前後において,学校として,保護者,地域住民,関係機関等と連携の上,学校内外における児童生徒への見守り活動を強化すること。特に,児童生徒が自殺を企図する可能性が高い場所については,これらの時期に見守り活動を集中的に実施することが有効である。例えば,鉄道による自殺を防ぐために,在籍する児童生徒の多くが利用する駅及び踏切における見守り活動を,駅又は鉄道会社と連携して長期休業明けの前後に集中的に実施することが考えられること。なお,教職員等の学校関係者が駅等における見守りを実施する際は,見守り活動の時期,方法等について,各学校から駅又は鉄道会社に対して事前に協力を依頼し,駅又は鉄道会社からの指示を踏まえた上で計画的に実施すること。
(4)ネットパトロールの強化
 児童生徒によるインターネット上の自殺をほのめかす等の書き込みを発見することは,自殺を企図している児童生徒を発見する端緒の一つである。このため,都道府県教育委員会等が実施するネットパトロールについて,長期休業明けの前後において,平常時よりも実施頻度を上げるなどしてネットパトロールを集中的に実施すること。自殺をほのめかす等の書き込みを発見した場合は,即時に警察に連絡・相談するなどして当該書き込みを行った児童生徒を特定し,当該児童生徒の生命又は身体の安全を確保すること。
 
【添付資料】
○別添1 平成28年度 自殺対策基本法第17条第3項に定める教育又は啓発の実施状況について
○別添2 平成27年版「自殺対策白書」(抄)
○別添3 24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)
○別添4 平成28年度「自殺対策強化月間」における啓発活動等の推進について(平成29年1月19日社援発0119第2号厚生労働省社会・援護局長通知)
○別添5 自殺対策強化月間ポスター

【参考資料】
○「子供に伝えたい自殺予防」
 https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/063_5/gaiyou/1351873.htm
○「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/046/gaiyou/1259186.htm 
○小学生用啓発教材「わたしの健康」、中学生用啓発教材「かけがえのない自分 かけがえのない健康」、高校生用啓発教材「健康な生活を送るために」
https://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/1353636.htm


お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

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