平成26年7月9日
文部科学省では、今後の不登校生徒への支援策の参考とするため、平成18年度に不登校であった生徒の5年後の状況等の追跡調査を平成23年度より調査研究会を設けて調査・分析を実施。今般、報告書がまとまったので公表する。 |
※ 平成13年に文部省において、平成5年度の不登校生徒への追跡調査を実施しており、一部比較できるような調査となっている。 (以下、「前回の調査」という。)
不登校生徒の状況を把握するため、過去に不登校であった者のうち、平成18年度に中学校第3学年に在籍し学校基本調査において不登校として計上された者(41,043人)を対象とし、
(1)調査対象者が在籍していた中学校に対する基礎的な調査(A調査)を実施
実施期間:平成23年10月~12月 回答数:28,388人
(2)調査対象者本人に対し、中学校在籍当時、中学校卒業後及び現在の状況等について、無記名のアンケート調査(B調査)を実施
実施期間:平成24年 1月~ 3月 回答数: 1,604人
(3)調査対象者本人に対し、アンケート調査内容をさらに掘り下げたインタビューによる調査(C調査)を実施
実施期間:平成24年 8月~12月 回答数: 379人
○ 不登校の主な継続理由は、以下のとおり。
「無気力でなんとなく学校へ行かなかったため(43.6%)」
「身体の調子が悪いと感じたり、ぼんやりとした不安があったため(42.9%)」
「いやがらせやいじめをする生徒の存在や友人との人間関係のため(40.6%)」
「朝起きられないなど、生活リズムが乱れていたため(33.5%)」
「勉強についていけなかったため(26.9%)」
「学校に行かないことを悪く思わないため(25.1%)」
○ 中学校3年生の時に受けていた主な支援
学校にいる相談員(スクールカウンセラー等) 34.0%、学校の先生 29.5%、病院・診療所 24.1%、学校の養護教諭 23.6%、教育支援センター(適応指導教室) 19.7%、民間施設(フリースクールなど) 8.8% ※ 何も利用しなかったと回答した者は 22.5%
○ 不登校の継続理由から「無気力型」「遊び・非行型」「人間関係型」「複合型」「その他型」の5つに類型化することができる。
○ 不登校時期の分析により、一旦欠席状態が長期化するとその回復が困難である傾向が示されている。
○ 学校を休み始めた時期と長期化した時期との間にタイムラグが生じていることから、一定の「潜在期間」を経て不登校になることが推測される。
○ 不登校のきっかけと不登校の継続理由、中学校3年時にほしかった支援と現在必要とする支援との間の関連性は、非常に強い。
○ 20歳現在の就学・就業状況
就業のみ 34.5%、就学のみ 27.8%、就学・就業 19.6%、非就学・非就業18.1%
○ 中学校卒業後の高校進学状況
高校進学率 85.1%、高校中退率 14.0%
○ 20歳現在の就学先
大学・短大・高専 22.8%、高等学校 9.0%、専門学校・各種学校等 14.9%
○ 20歳現在の就業状況
正社員 9.3%、パート・アルバイト 32.2%、家業手伝い・会社経営 3.4%
○ 今回の調査結果により、以下のような点が伺える。
○ 進路の状況を見ると、
○ また、インタビュー調査では、不登校によって勉強、友人、進路等でのマイナスがあったという意見の一方で、「休んだことで今の自分がある」「成長した・視野が広がった」「出会いがあった」「人とは違う経験をした」「人に優しくなった」など、不登校の経験を振り返りながら前向きに進んでいる様子も伺えた。
文部科学省では、今後、速やかに「不登校施策に関する調査研究協力者会議(仮称)」を立ち上げ、今後の不登校に関する施策を検討していくこととしており、今回の調査及び分析の結果による得られたデータや、意見等についても十分に生かしてまいりたい。
初等中等教育局児童生徒課
-- 登録:平成26年07月 --