体罰根絶に向けた取組の徹底について(通知)

25文科初第574号
平成25年8月9日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長
各都道府県知事
附属学校を置く各国立大学法人学長    殿
小中高等学校を設置する学校設置会社を
所轄する構造改革特別区域法第12条
第1項の認定を受けた各地方公共団体の長

文部科学省初等中等教育局長
前川 喜平

文部科学省スポーツ・青少年局長
         久保 公人

 

体罰根絶に向けた取組の徹底について(通知)

 平成24年度に発生した体罰の状況について、実態把握の結果を別添のとおり取りまとめたところですが、全国の国公私立学校における

体罰の件数が6700件を超え、これまで、体罰の実態把握や報告が不徹底だったのではないかと、重く受け止めています。
 体罰は、学校教育法に違反するのみならず、児童生徒の心身に深刻な悪影響を与え、力による解決の志向を助長し、いじめや暴力行為などの土壌を生む恐れがあり、いかなる場合でも決して許されません。
 体罰防止に関する取組については、これまでも「体罰禁止の徹底及び体罰に係る実態把握について(平成25年1月23日付け24文科初第1073号初等中等教育局長、スポーツ・青少年局長通知)」、「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(平成25年3月13日付け24文科初第1269号初等中等教育局長、スポーツ・青少年局長通知)」において示してきたところです。今回の実態把握の結果を踏まえ、厳しい指導の名の下で、若しくは保護者や児童生徒の理解を理由として、体罰や体罰につながりかねない不適切な指導を見過ごしてこなかったか、これまでの取組を検証し、体罰を未然に防止する組織的な取組、徹底した実態把握、体罰が起きた場合の早期対応及び再発防止策など、体罰防止に関する取組の抜本的な強化を図る必要があります。
 貴職におかれては、下記の点に御留意の上、都道府県教育委員会及び指定都市教育委員会にあっては所管の学校及び域内の市町村教育委員会等に対し、都道府県知事にあっては所轄の私立学校等に対し、国立大学法人学長にあっては附属学校に対し、構造改革特別区域法第12条第1項の認定を受けた各地方公共団体の長にあっては認可した学校に対し、実態把握の結果について連絡するとともに、改めて体罰根絶へ向けた取組を点検し、更なる強化を図るようお願いいたします。

1.体罰の未然防止
(1)体罰禁止
 校長及び教員(以下「教員等」という。)は、決して体罰を行わないよう、校内研修等を通じて体罰禁止の趣旨を徹底し、懲戒・体罰の区別等のより一層適切な理解を深めること。
教育委員会は、体罰の未然防止を徹底するため、学校の管理職、指導教諭、生徒指導担当教員、部活動顧問の教員等を対象とした実践的な研修の実施等の所要の措置を行うとともに、必要に応じて体罰に関する懲戒処分基準の見直しを行うこと。
  教育委員会及び学校は、体罰根絶の指導方針について保護者や地域住民等と認識を共有するよう努めること。

(2)組織的な指導体制の確立と指導力の向上
  学校の管理職は、指導が困難な児童生徒の対応を一部の教員に任せきりにしたり、特定の教員が抱え込んだりすることのないよう、指導教諭、生徒指導担当教員、部活動顧問の教員等による組織的な指導を徹底すること。
教員等は、児童生徒理解に基づく適切な指導ができるよう、日頃より指導力の向上に努めること。また、たとえ指導上の困難があったとしても、決して体罰によることなく、粘り強い指導や適切な懲戒を行い、児童生徒が安心して学べる環境を確保すること。

(3)部活動指導における体罰の防止のための取組
中学校及び高等学校では「部活動」において最も多くの体罰が報告されていること等に鑑み、部活動における体罰の防止について特に留意する必要があること。
教育委員会及び学校は、平成25年5月27日に取りまとめられた「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」に掲げる「運動部活動での指導のガイドライン」の趣旨、内容を理解の上、運動部活動の指導者(顧問の教員、外部指導者)による体罰等の根絶及び適切かつ効果的な指導に向けた取組を実施すること。

2.徹底した実態把握及び早期対応
(1)体罰の実態把握
教育委員会及び学校は、実態把握の方法が十分であるか点検し、日頃から主体的に体罰の実態把握ができる方策を講じ、継続的に体罰の実態把握に努めること。
(2)報告及び相談の徹底
学校の管理職は、教員が体罰や体罰と疑われる行為(以下「体罰等」という。)を行った場合に、教員が管理職等へ直ちに報告や相談を行う環境を整備すること。教育委員会は、体罰等が発生した場合に迅速に対応できるよう、生徒指導担当部局と服務担当部局との適切な連携体制等を整備すること。
体罰等の報告・相談があった場合、学校の管理職は、直ちに関係する児童生徒や教員等から状況を聴取し、その結果を教育委員会へ報告するとともに、被害児童生徒の受けた心身の苦痛等を踏まえ、その回復のため真摯に対応すること。また、教育委員会は、学校からの体罰等の発生の報告を受け、事実関係の正確な把握など必要な対応を迅速に行うこと。加えて、県費負担教職員の服務監督権者である市町村教育委員会においては、都道府県教育委員会に事案及び対応措置を報告すること。

(3)事案に応じた厳正な処分等
教育委員会は、体罰を行ったと判断された教員等については、客観的な事実関係に基づき、厳正な処分等を行うこと。特に、以下の場合は、より厳重な処分を行う必要があること。
 1 教員等が児童生徒に傷害を負わせるような体罰を行った場合
 2 教員等が児童生徒への体罰を常習的に行っていた場合
 3 体罰を起こした教員等が体罰を行った事実を隠蔽した場合等

3.再発防止
教育委員会及び学校は、実態把握の結果を踏まえ、体罰発生の背景や傾向を考察の上、再発防止策を適切に講じること。体罰を起こした教員等に対しては、二度と繰り返すことのないよう、体罰を起こした原因等を踏まえた研修等を行うなど、再発防止を徹底すること。

 

(担当)
(児童生徒の体罰に関する考え方について)
初等中等教育局児童生徒課
(教職員の服務について)
初等中等教育局初等中等教育企画課
(運動部活動について)
スポーツ・青少年局体育参事官付

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課・初等中等教育局初等中等教育企画課

スポーツ・青少年局体育参事官付

-- 登録:平成25年08月 --