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「学校等における児童虐待防止に向けた取組について(報告書)」(学校等における児童虐待防止に向けた取組に関する調査研究会議)(概要)

平成18年5月29日

  「学校等における児童虐待防止に向けた取組に関する調査研究会議」では、文部科学省からの委託を受け、学校等における児童虐待防止に関する国内外の取組事例を調査研究し、このたび、その報告書(「学校等における児童虐待防止に向けた取組について」(報告書))を取りまとめましたので、お知らせします。

1 本調査研究の趣旨

  大阪府岸和田市での児童虐待事件をはじめ児童虐待の問題は極めて深刻な状況である中、改正児童虐待防止法において、児童虐待の予防及び早期発見のための方策等について、国及び地方公共団体が調査研究等を行うべきこととされている。こうした状況を踏まえ、「学校等における児童虐待防止に向けた取組に関する調査研究会議」では、文部科学省の委託を受け、各学校等における児童虐待防止に向けた取組の充実を図るため、国内外の取組等を分析・検討したもの。

2 本調査研究の背景(平成16年度の児童相談所への児童虐待相談に関する処理件数等)

  1. 児童相談所への児童虐待相談処理件数:33,408件(前年度25パーセント増。児童虐待防止法施行前に比べ約3倍に増加。)。⇒児童虐待については引き続き予断を許さない状況が続いている。
  2. 児童虐待の相談経路:学校が15.2パーセント(前年度約30パーセント増)。→学校等において児童虐待防止法に基づく早期発見・早期通告の趣旨が浸透してきている。
  3. 児童虐待の内容:心理的虐待が前年度比約48パーセントの大幅増。→専門家でなければ発見しにくい事例が増加している。(→学校等において外部の専門家との連携が必要)。
  4. 主たる虐待者:実父母が83パーセント。→学校等において、保護者への対応の観点で困難が生じる危険性が高い。

3 児童虐待防止に関する学校等の役割

  ※児童虐待防止法上の学校等の役割:
1.早期発見のための努力義務、2.発見者は、速やかに関係機関へ通告しなければならない義務、3.被虐待児童生徒への適切な保護、4.関係機関との連携強化、など。

  • 各教職員は、「被虐待児童生徒はどの学校にもどのクラスにも存在しうる」という危機感が必要。
  • 学校等は、学齢児童生徒に網羅的に目配りができ、変化に気付きやすい立場にあることを自覚し、そのような対応をすることが必要。
  • 児童虐待の抱え込む事なく、早期に関係機関に通告することが必要。
  • 校内体制を整備し、組織的に対応することが必要。
  • 関係機関との連携を強化することが必要。

4 児童虐待防止に関する学校等の取組の現状

(1)現状に関する調査結果

1.「保育所、学校等関係機関における虐待対応の在り方に関する調査研究」(平成17年度厚生労働科学研究)

  • 学校等はネグレクトの比率が高く、心理的虐待の比率が低い。→学校等において、ネグレクトが虐待であることの意識が浸透しつつある。
  • ケースマネージメントは、幼稚園では園長(57パーセント)、小学校では校長(43パーセント)、中学校では生徒指導主事(37パーセント)が多い。→客観性の確保から、ケース管理は担任以外の者が望ましいが、そのような結果となっている
  • 通告は中学校で82パーセント、小学校で77パーセント、連携は中学校で97パーセント、小学校で96パーセントとなり、関係機関との連携の強化が顕著に進展している。
  • 学校と教育委員会との連携が5割程度であるため、両者の連携が課題となっている。
  • 児童虐待防止のための具体的なスキルの習得に関する研修が必要。
  • 通告義務等に関して無知な教職員が2~3割程度いる。→虐待防止法の制度に関する一層の周知が必要。
  • ケースに関わった教職員の割合が3割強(前回2割)に大幅増加。→虐待を疑う視点が定着しつつあることの現れ。

2.「教育委員会における取組状況調査」

  • 教育委員会への報告は、都道府県・政令市より市町村の方が進んでいる。
  • 関係機関との連携強化は、都道府県・政令市(85パーセント)の方が市町村(64パーセント)より進んでいる。
  • 学校単位での虐待防止法の周知活動は、都道府県・政令市が約97パーセント(前回98パーセント)、市町村が約86パーセント(前回75パーセント)。教職員単位での周知は都道府県・政令市が約85パーセント(前回86パーセント)、市町村が約68パーセント(前回84パーセント)であり、周知活動の取組は伸びていない。
  • 都道府県・政令市レベルの広報活動は平成14年度に比べ若干の進展が見られる。
  • 研修は、都道府県・政令市が57パーセント(前回41パーセント)、市町村が11パーセント(前回9パーセント)であり、若干の進展が見られる。
  • サポートチームの形成が進んでいる地域は、学校と関係機関との連携が進み、研修の実施をはじめとして虐待対応の取組が進んでいる。
  • 市町村の規模が大きいほどネットワークの形成が進んでいる。

(2)児童虐待防止に向けた各関係機関の具体的な対応

  各学校及び教育委員会等では以下のような取組が進められている。

1.虐待防止に向けた学校の組織的な対応

  • ア:虐待防止に向けた校内体制作り:各関係者の役割分担の明確化と、生徒指導部を中心として保健部や教育相談部が連携し、各学年主任や担任が一致協力して取り組む組織的な校内体制作り。
  • イ:教職員の意識啓発:全体の共通理解を取るための教職員研修の実施(法の趣旨と学校等の役割に関する確かな理解、子ども達の様々な問題から虐待事例を見極める力量など。)
  • ウ:通告等のポイント:早期発見、通告、ケース会議、一時保護、通告後の継続的指導の周知。

2.教育委員会による学校への支援

  • ア:教育委員会による教職員への啓発と研修:管理職研修、虐待対応の中核となる担当者の研修、教育委員会関係者の研修、職務や経験年数に応じた研修など。
  • イ:支援体制の整備:関係部局との連携、指導助言、機関連携の調整、地域の教育力の向上、指導資料・学習教材の作成、相談体制の確立、人的支援、民間団体・NPOとの連携などを行っている。
  • ウ:広報用啓発資料の作成等。
  • エ:地域ネットワークの活用と調整。

3.関係機関による連携と学校への支援

  • ア:関係機関との連携:学校及び関係機関が相互の役割と限界を理解。
  • イ:関係諸機関とのネットワークによる連携のシステム作り:子ども家庭相談センター等で関係者が同じ場所で仕事する体制作り、関係機関との人事交流、主任児童委員・民生児童委員の活用、関係機関と共同した学校訪問や実態調査、共同での研修、など

5 現状の課題と今後の展望

  1. 教員研修の一層の充実が必要虐待防止のための研修のモデル・プログラムの作成
  2. 関係機関との連携システムの強化が必要スクール・ソーシャル・ワークに関する研究
  3. 虐待防止法の周知徹底の強化が必要研修や協議会等を通じた指導の徹底
  4. 実証的な調査研究が必要継続的な調査研究、など。

お問合せ先

初等中等教育局児童生徒課

-- 登録:平成21年以前 --