おわりに(An ounce of experience is better than a ton of theory)

 本稿では様々な体験活動の取組事例を取り上げつつ、効果的な体験活動のあり方について検討を進めてきました。

 第1章においては、体験活動に取り組む上での留意点についてまとめましたので、是非ご参照いただきたいと思いますが、今後、特に次のようなポイントについて検討する視点が、特に重要になってくると思われます。

  • 学校行事について、目的に応じた内容の精選を図るとともに、自然の中での長期宿泊体験活動の一層の充実について創意工夫に努めること
  • 長期宿泊体験活動を充実させるための取組として、1これまでの遠足(旅行)、集団宿泊的行事を日数的に拡大したり、2総合的な学習の時間等との関連を図って探求的学習を組み入れて拡充したりするなど、教育課程上の工夫を図ること
  • 学校教育・社会教育の連携にこれまで以上に留意し、相まって効果を挙げられるような取組の充実に努めること

 哲学者でもあり教育者でもあるジョン・デューイの「民主主義と教育」という著書に、「Anounce of experience is better than a ton of theory.(1オンスの経験は1トンの理論にまさる。)」という言葉があります。既に現行の学習指導要領にあっても体験活動が重視されているところですが、デューイの言葉を体現するための教育活動の重要性が、一層増しているといえるでしょう。
 身の回りの環境や人々との関わりの中で、喜怒哀楽や感動、驚きといった感情を揺さぶられる場面に出会うことで、自然や社会へ眼を開かせることになります。

 今後、体験活動が充実され、子どもの豊かな心の育成が更に進められるよう、教育に携わる者すべてが心して取り組んでいく必要があると考えています。

体験活動事例集−体験のススメ−[平成17、18年度豊かな体験活動推進事業より]

  • 作成担当:文部科学省初等中等教育局児童生徒課
    • 電話:03-5253-4111(代表)
    • FAX:03-6734-3735
  • 監修 ※第1章について:宮川八岐 日本体育大学教授
    (元初等中等教育局視学官)

-- 登録:平成21年以前 --