2.交流体験 38.山形県鶴岡市立櫛引南小学校

青木小学校との交流−横浜のよさ・心のつながりを実感し、ふるさと「櫛引」に誇りをもつ−

【活動のポイント】

  • 横浜のような都会の地域との交流を通じ、都会のよさだけでなく、自分たちのふるさと「櫛引」のよさを実感させる体験活動を実施。
  • 栽培活動や加工品作り体験等の事前学習で地域人材を活用する。
  • 他県の同年齢の子供たちと触れ合ったり、異なる地域環境の家庭にホームステイしたりすることで、引っ込み思案になりがちな面を打破し、積極的に人と関わり、つながりを持つことの心地よさを味わわせるとともに、コミュニケーション能力の向上を実体験の中で図る。

○活動のきっかけ

 横浜と櫛引の農協関係者間に親交があり、そのような雰囲気をきっかけに、横浜市立青木小学校が櫛引への修学旅行に訪れ、本校の児童と、ゲームや自分たちの町についての学習発表を通じ、交流を図っていた。その後、青木小学校を迎え入れるだけでなく、自分たちも横浜へ行き、近代的・都会的文化に触れて視野を広げるとともに、自分たちの住む櫛引の良さを知ることができるようにと、横浜への修学旅行がスタートし、現在は相互に交流を行っている。

○活動内容

1横浜市立青木小学校との交流体験活動

  • 相互に修学旅行を実施しており、本校は2泊3日の修学旅行の中で青木小学校を訪問し、学校探検など直接交流を行う。
  • 事前交流として、自校紹介等のビデオレターを作成したり、手紙交換を行ったりする。

2横浜市神奈川区の区民祭への参加

  • 櫛引地区の特産物であるりんご、りんごジュース、りんごジャムや子どもたちが収穫したさつまいもの販売を行う。
  • 劇団が作成しているテープをもとに山形の花笠踊りを練習し、区民祭で披露する。
  • これらの活動を通じて交流体験を深めるとともに、山形県人であることや鶴岡市民であることの自覚をより一層深めることができる。

3上記12に向けた地域特産物の栽培活動

  • 青木小学校との交流のため、花粉付けから摘果、袋かけ、収穫まで、地域の特産物であるりんごの栽培活動を行う。
  • 区民祭で販売するために、収穫したりんごを使ってのジュースとジャムづくりを栽培農家の方々の協力を得て、体験。
  • 保護者の方が所有する畑で、区民祭で販売するさつまいもの栽培を行う。
  • これらの活動にあたっては、地元農家(児童の保護者)の方に指導にあたっていただく。

4都会の生活・文化体験

  • 修学旅行2日目の夜は、1〜2人のグループに分かれ、青木小学校児童宅にホームステイし、ホスト家庭と一緒に横浜見学を行う。

 これらの活動を行うにあたって、櫛引地区のよさを考えさせるとともに、横浜地区の文化、交通調べなどを事前学習として実施した。また、活動後には、青木小学校やホームステイ先へお礼の手紙を出すとともに、横浜訪問の感想・体験集を作成した。

体験活動の支援体制

  • 学校内の推進体制として、教頭が青木小学校や農協、神奈川区役所など外部との交渉・連携、教務主任が栽培活動の推進、6年生の担任が全体計画・調べ学習という分担をして、計画を進めた。
  • 本校と青木小学校の校長やPTA会長等をメンバーとして、ホームステイ受入事務局を置き、夏季休業中に青木小学校を訪問するなどして、事前の打ち合わせを行っている。
  • 櫛引地区ホームステイ受入計画への協力や青木小学校との交流計画、区民祭への参加の調整、栽培学習や加工品作りの指導に、PTAや地域指導者、櫛引南小学校ホームステイ受入委員会など学校支援委員会のメンバーに関わっていただいた。
  • その他、JAや横浜市青木小学校グリーンツーリズム推進協議会にも活動に協力していただいた。

体験活動の成果と課題

1成果

  • 子どもたちの感想からは、誰とでも気軽に挨拶できるようになった、人とのふれあい方・接し方がわかった等自分の成長を自覚できた活動であったことがうかがえた。また、事後の子どもたちの姿からも、人との関わりに積極性がでてきたことが感じとれた。
  • 自分たちの住む櫛引地域についても、改めて都会と比較してみることで、空気がおいしい、緑に囲まれている、知らない人とでも自然に挨拶できる等、自然のすばらしさや人とのつながりの濃さに気づく声も多かった。
  • 山形県出身の方が、区民祭での芸能発表「花笠音頭」を楽しみにしていてくれたことで、郷土を愛する心・なつかしむ心に触れることができ、豊かな思い・心に触れる貴重な体験となった。
  • 学校の推進体制において、役割を分担し、6年担任の負担を減らすことができた。また、外部との窓口を教頭に一本化することで、より全体の動きを捉えて連絡調整できた。

2課題

  • 6年生という学年は、学校のリーダーとしての活動が多く、事前学習が十分できなかった。よりねらいに近づけるためにも、4月の時点で学習全体の計画を立案し、検討し合うことが必要である。
  • 支援体制の計画も同時に作成するために、全体の活動がスムーズに進むような資料の蓄積と整備を行う必要がある。
  • 遠方との相互交流の活動であるために、窓口を明確にして連絡調整を密にしていく必要がある。そのためにも、下見・事前打ち合わせを継続して実施していく必要がある。
  • 限られた時間の中で、ねらいを明確に持ち、活動の精選を進めていく。

【全体の指導計画】

学年 活動内容 期間・日数・単位時間数 活動場所 指導者
6年生 リんご栽培活動
青木小学校との交流のための地区特産品のりんご栽培活動
(花粉付け、摘果、袋かけ、収穫等)
4月〜10月
8時間
学校前のりんご畑 地域の指導者
6年生 野菜の栽培活動
神奈川区区民祭で販売するさつまいもの栽培活動
5月〜10月
12時間程度
保護者所有の畑 地域の指導者
6年生 ホームステイ先との事前交流
ホームステイ先に自己紹介等のビデオや手紙を送る。
7、9月
2時間
櫛引南小学校ホームステイ先 担任
6年生 リんごジュース・ジャム作り
収穫したりんごを使っての、ジュースやジャム作り体験(区民祭で販売)。
10月
3時間
櫛引南小学校 地域の指導者
6年生 青木小学校児童とりんごの収穫とジュース作りでの交流
青木小学校児童の修学旅行隊と、りんご収穫・りんごジュース作りを一緒に体験して交流する。
9月
3時間
櫛引南小学校学校前のりんご畑 地域の指導者
保護者
6年生 青木小学校訪問(修学旅行)
修学旅行で青木小学校を訪問し、学校探検などの直接交流を行う。
10月
6時間
青木小学校 担任他引率者
6年生 横浜地区調べ(修学旅行)
横浜市の歴史的な建物や博物館などを見学学習し、西洋文化あふれる横浜独特の特色ある風土を体験的に学習する。
10月
6時間
横浜市内 青木小学校
保護者
6年生 ホームステイ体験
1〜2人のグループに分かれて、青木小学校児童宅にホームステイすることで、横浜の日常生活を体験する。
10月
約10時間
横浜市青木小学校児童宅 青木小学校
保護者
6年生 神奈川中央区区民祭参加(修学旅行)
区民祭に参加し、櫛引地区の特産物の販売、花笠音頭の披露をすることで、交流体験を深めるとともに、山形県人であることや鶴岡市民であることの自覚をより一層深める
10月
5時間
神奈川中央区反町公園 JA職員
青木小保護者

-- 登録:平成21年以前 --