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2.命の大切さを学ばせる体験 33.新潟県上越市立頸城中学校

命の大切さを学ばせる体験活動のプログラムの作成と実施

【活動のポイント】

 昨年度は、総合的な学習の時間を中心に、道徳や特別活動、教科の学習と関連付けながら、命を大切にする心を育ててきた。今年度も「命の誕生と成長」プログラムを軸に、体験活動の配列や実施時期を工夫し、家庭・地域との連携を図ることで、より一層自他の命を大切にする心を育む。

活動内容(対象:3年生)

(事前指導)

 体験活動開始前(4月下旬)に、学年で一斉にガイダンスの時間を設け、年間の学習の見通しを持たせた。体験学習実施に際しても、事前学習の中で活動の見通しや課題意識を持たせた。

【活動の展開】

体験活動内容 活動の展開

命の誕生と成長

妊婦ふれあい体験
(7月7日)

  • 妊婦さん5人
  • 保健師1人

頸城中学校(多目的教室)

 妊婦さんとの交流を通して、命が宿ったときの気持ち、妊娠中の生活の様子や家族の協力の様子などを知り、親の気持ちを考えた。妊婦さんのおなかに直接触ったり、妊婦体験スーツを着たりすることで、おなかの中に宿っている命を実感として捉えることができた。

いのちの講演会
(7月17日)
(全校生徒・保護者・地域住民)
講師 金森俊朗先生
(元金沢市立西南部小学校教諭、いしかわ県民教育文化センター所長)

テーマ 「いのちの尊厳をつながり合って深める」
妊婦体験を受けて、授業形式による講演会を実施した。
「いのちのリレーを仲間と一緒につながり合ってつなげていこう、一緒に生きていこう」というメッセージをもらい、かけがえのない命について考えることができた。「この世界に生まれてきて嬉しい、お互い支え合って生きていくことの大切さを実感した」等の感想があった。

いのちインタビュー
(夏休み中)

 命が宿ったとき、妊娠中、出産の時の様子や子育てのエピソード、自分の名前の由来などを調べた。「望まれて生まれてきた、生まれてきてよかった」等、親の話を聞くことで、大切に育てられたことに気付くことができた。

赤ちゃんふれあい体験
(10月3日、11日、13日)
クラス別体験

  • 母子13組
  • 助産師3人
  • 保健師2人
 赤ちゃんを抱く、おんぶする、おむつを替えるなど、肌を通してぬくもりを感じることができた。
 子育ての楽しさ、苦労、親の願いなどを母親から聞いたり、母親と赤ちゃんの絆に気付いたりすることで、自分も親から大切に育てられ、自分の命も人の命もかけがえのないものだと考えることができた。

幼児ふれあい体験
(11月1日、9日、14日)
クラス別体験

  • 大瀁保育園
 手作り絵本の読み聞かせをした。園児と接するときに同じ目線に立って話したり、思いやりの気持ちをもって接したりすることができた。家族や地域の人たちのお陰で、成長していると考えることができた。
  •  妊婦ふれあい体験は、地区担当保健師さんより妊婦さんを探していただき連絡もしていただいた。
  •  幼児ふれあい体験は、家庭科の授業で学校近くの保育園へクラス毎に訪問し、授業で作成した手作り絵本の読み聞かせをしたり、折り紙や工作など一緒に作ったり遊んだりした。中でも、手作り絵本の読み聞かせは、幼児や先生方からも好評だった。

(事後指導)

 体験を通して感じたことや考えたことを自分の言葉で率直に文章表現させた。
生徒はこの書く活動を通して、考えを整理したり深めたりしながら、体験の内面化を図ることができた。

「赤ちゃんふれあい体験」について

 近年、少子化傾向の状況の中で、思春期の子供たちが、乳児の成長過程を見たり、触れたりする機会が少なく、命の尊さを自然に学びとることや地域社会や家庭の中で培われていた父性や母性が育っていくことが難しくなってきている。そこで、心身共に成長発達途上にある中学生が、生後4ヶ月頃の赤ちゃんやその母親の交流する場を設定し、命のぬくもりを肌で感じることを通して、命そのものを実感としてとらえさせる。同時に、生命を尊重する心やおもいやりの心を育てていく。

  • (1)事前に男女混合のグループを6グループつくる。(1グループに赤ちゃん2人)
    各グループにスタッフが各グループに1人入る。
    (保健師2人、助産婦3人、学級担任、養護教諭)
  • (2)ワークシート、筆記用具を持参する。
  • (3)グループごとの感想発表の生徒と司会者を事前に決めておく。
  • (4)会場借用:保健師さんへ依頼する。
  •  赤ちゃんふれあい体験は、学校近くの「希望館」というコミュニティーセンターの大広間で実施した。赤ちゃんは地区担当保健師さんより探していただき、クラスごとに行った。
時間 生徒の動き 乳児・お母さん 備考

9時50分〜9時55分

 

9時55分〜10時45分

赤ちゃんとのふれ合い体験
  • 自己紹介(各班のリーダーが進行する。)自分の誕生時の話や名前の由来などを含め簡単に1分くらいで紹介する。
  • ふれあい体験と質問
  • 保護者からの中学生へのメッセージ
自己紹介、赤ちゃん紹介
  • 誕生の時の様子や名前に込めた願い、子育ての様子、生徒の質問について話をしていただく。
  • グループ毎に(6グループ)分かれて並ぶ。
  • 1グループに乳児2人
  • 保健師、助産師、担任、養護教諭が各グループに入る

10時45分〜11時20分

助産師さんの話を聞く

11時20分〜11時30分

  • 感想発表とお礼の言葉(級長)
    各グループ1名は前に出る。
  • まとめ
 
  • 帰校時間に遅れないよう機敏に行動する。
  • 感想発表者は事前に決める。

【成果と課題】

(1)成果

  •  事前学習で、夏休み中に“命インタビュー”を行い、自分の命が宿ったときの様子、妊娠中の様子、出産の時の様子や子育てのエピソード、名前の由来などについて、親への聞き取り調査を行った。この活動で、「望まれて生まれてきた、生まれてきてよかった」等、自分も大切に育てられ、望まれた存在であることに気付き、そのことが自己肯定感を高めることにつながった。
  •  赤ちゃんふれ合い体験では、赤ちゃんを抱く、おんぶする、おむつを替えるなど、肌と肌のふれ合いを通して命のぬくもりを感じることができた。また、子育ての楽しさ、苦労、親の願いなどを母親から聞いたり、母親と赤ちゃんの絆に気付いたりすることで、今まで以上に自分も親から大切に育てられ、自分の命も人の命もかけがえのないものだと考えることができた。

(2)課題

 今後も赤ちゃんふれあい体験を行うことで、自分の誕生や子育ての時の親の気持ちや願い、そして自分の命について考えるきっかけにしていきたい。この授業を行う上で欠かせない地域の保健師、助産師等との地域連携を図りながら協働して実践していきたい。

体験活動の支援体制

(1)「命の大切さを学ばせる研究」部会

 校内の「研究推進委員会」の中に、「命の大切さを学ばせる研究」部会を立ち上げた。

(2)学校支援委員会の設置

 学校医、保健師、助産師会長、保育園長、PTA役員(会長、副会長、保健部長)

期間中の評価・指導の工夫等

  • 体験活動後に、活動への取組の様子、命に対する理解や考え方の深まり、ねらいの達成度について、生徒に自己評価(4段階評定)を実施した。その結果を次の体験活動の事前指導で紹介し、新たな活動への意欲付けを図るなどした。
  • 体験活動後の振り返り用紙に、自分の心や五感を通して感じたことや考えたことを書かせることで、一人一人の心の動きや変容を見取ることができた。

体験活動の成果と課題

(1)成果

 妊婦さんや赤ちゃん、幼児等とのふれあい体験を通じて、肌と肌のふれあいによるぬくもりや温かさを感じ、命の重さやすばらしさを実感することができた。
 我が子に対する親の心情に思いを馳せたり、自分の誕生や成長を振り返ったりする学習を進めることで、親への感謝の気持ちを深め、自他の命の大切さを考えることができた。
 命に関わる多様な学習を行うことにより、「生まれてきてよかった」「命のバトンをつなぐ役割を担っている」「限りある命を大切に精一杯生きる」「親や仲間などの支えてくれる存在への気付き、感謝の気持ちを深める」など、命を多面的に見つめ直すことができた。

(2)課題

 自分の命を大切だと実感できるには、自分はとても大切にされている、生まれてきて良かったという自己肯定感をもつことが必要である。自分の命は価値ある存在だと思うことができて、初めて他者もかけがえのない命をもつ存在だと感じることができると考える。今後は、さらに自己肯定感を高める活動を進めるとともに、より効果的な体験活動を組み合わせて、実践を積み重ねていきたい。そして、生徒一人一人が自他の命を大切にし、命を輝かせて生きていってほしいと願っている。

-- 登録:平成21年以前 --