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2.命の大切さを学ばせる体験 31.大分県豊後大野市立千歳小学校

「いのちに触れ、かかわり、実感する体験活動」

【活動のポイント】

  • 命の大切さを、「偶然性」、「神秘性」、「有限性」、「連続性」、「関連性」、「平等性」の6つの視点からとらえ、発達段階(学年段階)に応じた体験活動を教育課程に適切に位置づけることによって、命の大切さを実感し、生活の中に生かすことができる児童生徒の育成を目指す。
  • 全校農園活動における野菜の栽培活動を通して、各学年に応じて命を育むことの大変さや収穫の喜びを体感することで命の大切さを学ぶ。

活動内容

1ひよこを育てる(対象:5〜6年生)

○事前指導

 ニワトリがキツネに襲われ死んでしまい、ニワトリの命について考える時間を持ち、初めて全員が同じ場で同じ時間に命と死を体感し、お墓づくりや小屋の掃除、校庭に散らばった羽拾いを行った。また、このことを子どもたちの心に刻むため、「にわとりといのち」という文集を作った。
 「学校でニワトリを飼いたい」という子どもからの声をきっかけに、もう一度ニワトリを飼うことについて話し合い、飼うだけでなく、育てることの大切さを気付かせていった。

○活動の展開

 命の大切さを感じる感性を体験活動の中で育てようと考え、卵の孵化(転卵、水替え、温度管理)に取り組み、ひよこの誕生への感動を飼育の工夫へとつなげた。子どもたちは、初めて「いのちの誕生」に出会い、生まれたひよこを「ピッコロ」と名付け、ピッコロの世話は日直が担当することにした。
 また国語の時間に、「放送原稿をつくろう」の単元でピッコロの特番をつくり、全校児童にビデオ番組を見てもらうことになった。
 誕生の瞬間に立ち会った子どもたちを、ピッコロは親のように慕い、子どもたちも手作りの餌をやるなどまるで親子のような絆が生まれていた。ところが、寒い朝、孵化器から出してしまったことをきっかけに、ピッコロが急によろめき始めた。子どもたちは自責の念と、どうすることもできない無念の思いの中で、「命の終わり」と向き合い、「たったひとつしかない命」を実感し、命のはかなさを感じた。

○事後指導

 ピッコロを孵化器から出したことについて、「まちがい」と気づいていたかを子どもに尋ねると、7、8人の子どもが手を挙げたため、命の大切さにしっかり向き合わせつつ、おかしいことに気づいていてもそれが言えない弱さに気づかせた。また、全員がピッコロへのお別れの手紙を読むなど、ピッコロが子どもたちの心に残してくれたものを確かめ合った。

  • 自分たちの生活の中に、おかしいことはおかしいと言い合おう、もっと相手のことを考えようなど「かかわり合いとやさしさ」を求めるようになった。
  • クラスで起こるいろいろな問題を自主的に自分たちの中で解決するようになった。

2全校農園活動(対象:全学年)

 学校に隣接した畑地を借用し、専門的な技能や知識を持った教員の指導により、農園活動を実施した。野菜の成長を目の当たりにすることにより、成長の喜びを感じさせるとともに、命のつながりを考えさせた。具体的には、事前指導として、高学年にリーダーとしての意識付けをした上、高学年と低学年のペアで1本のキュウリを育てさせた。高学年は農園の土づくりにも取り組み、キュウリ以外にスイカや里芋、サツマイモやインゲンの栽培も行うとともに、スイカの人工受粉も体験した。
 キュウリの命を育てていくためには害虫であるウリハ虫の命を奪わなくてはならないことを知った。このことで、とまどいを感じ、悩んだが、そのことを通じて、命の連続性や関連性について考えるようになった。そして、ウリハ虫の命の犠牲の上にキュウリの実りがあることを感じながら、その成長を喜んだ。
 栽培活動の中では、受粉の仕組みを知り、自然の神秘の力を体感したり、成長のスピードに驚いたりしながら、夏には立派なキュウリを収穫することができた。

【成果と課題】

  • 低学年は、高学年にリードしてもらいながら、野菜を栽培することができた。上級生の優しさやすごさに触れ、憧れをもった。
  • 中学年は、栽培活動の内容も理解できるようになり、工夫を加えることもできるようになった。事後指導において、次のリーダーとしての意識を高めさせた。
  • 高学年は、野菜の成長の仕組みや特性を理解し、それらを考慮しながら栽培することができた。リーダーとしての自覚を育て、責任感や粘り強さが養われた。
  • 全体として、思いや願いが異なる異年齢間の中で、規範意識や役割に対する意識が高まり、互いの意識をつなげるためのコミュニケーション能力が育った。
  • 子どもたちは、様々な命の関連のもとに、野菜の収穫があることを体験した。野菜の成長を通して、多くの課題にぶつかりながら、命について一生懸命考え、感じたことを仲間と共有できる安心感も生まれた。
  • 今後、学年の系統的なねらいを決め、農園活動を仕組んでいくことで、子どもたちの主体的な活動を広げ、命に対する考え方を深めていく。

体験活動の支援体制

  • 校内研究体制を中心に取り組みつつ、地域のボランティア協会を窓口として、地域でボランティアを推進している方々等との連携を図りながら実施した。
  • 事前にはゲストティーチャーの自宅に伺って打ち合わせを行い、事後には児童の手紙や感想、写真を届けるなど、人間関係を大切にすることで、継続的な関わりを持つように留意した。

期間中の評価・指導の工夫等

  • 学級活動のいろいろな場で話し合い活動を設けて、自分の考えを主張するだけでなく相手の意見に耳を傾けながら、建設的に話し合う場を作る、といったように、個々の思いや考えを全体に広げ、共有できるように、授業を展開し、支援を行った。
  • 観察日記や感想文、ワークシート等から、児童の思いや変容をとらえた。
  • 子どもの変容を学校の中だけでとらえるのではなく、地域・家庭の中まで広げるために、PTA、地域の人たちと連携をとり、指導の見直しと工夫を行った。

体験活動の成果と課題

1成果

  • 命の大切さを6つの視点からとらえ,体験活動のねらいを焦点化した取組を行うことで、「生きること」をいろいろな角度から見つめることができ、その素晴らしさを実感できた。
  • 学年ごとの体験活動では、活動後に友達に対する思いやりある言動が少しずつ見られるようになるなど、発達段階に応じて命の大切さを実感し、行動化する場面が増えてきた。

2課題

  • 物の大切さ、動植物や人間の命の大切さについて実感したことを、生活の中に生かすことができるようになった子どもが増えてきた。命の大切さを子どもたちに実感させるためには、教師自身の「命」を感じるアンテナが重要であり、今後もさらに感性を高めるための努力をしながら、命の重み、命の素晴らしさを実感できる体験活動を充実させていきたい。

【全体の指導計画】

-- 登録:平成21年以前 --