2.9.鹿児島県立末吉高等学校

農家委託実習体験を通して

【活動のポイント】

  • 1宿泊体験を通じて、農業経営に必要な基礎・基本をはじめ、新しい農業の知識や専門的な技術を学び、将来の農業後継者および農業理解者を育成する。
  • 2諸先輩方の農家での宿泊体験を通じて、実践的な農作業体験を通じたコミュニケーション能力の育成を図る。
  • 3宿泊実習及び農家での農作業を行う中で、「話を心で受け止める」、「自分の考えを伝えられる」ことを実践し、心の醸成と涵養に努め、人格の向上を図る。
  • 4農家での農作業体験を通して、勤労と責任を重んじ、社会の形成者としての自覚と自分の果たすべき責任と役割について認識し、高校生活後半の学校生活と学習の目的意識を向上させる。そして、自分の適性や能力を知り、人生における夢と希望を持てるようにする。
  • 5家庭を離れての不自由さと出会い、「時間のけじめ」、「静と動のけじめ」、「時と場所のけじめ」を体得する。また、様々な困難を克服することで感動する場面を体験し、積極的・意欲的に取り組み、最後までやり遂げる強固な精神力を育成する。

【活動内容(対象:生物生産科2年生)】

○農家委託実習体験(7泊8日)

  • 生物生産科の2年生を対象に農巧クラブ員宅21戸で実施した。
    • 農巧クラブは農業科・畜産科・生物生産科の卒業生で組織されている。
    • 委託農家については、本校農業科・畜産科・生物生産科卒業生先輩の優良農業自営者より選び、学校と農巧クラブおよび卒業生の自営者で組織する自営者部会が協議し決定している。
  • 肉用牛農家では、牛への給餌、採糞、ブラッシング、子牛への哺乳等の活動を行い、茶の栽培農家では、追肥、除草、稲刈り、脱穀等を行った。
  • 7泊8日の実習期間中は、完全に他人の家の中で生活することで自分を見つめなおし、新しい自分自身に出会う機会にするため、携帯電話の持ち込みは禁止した。
  • 生物生産科職員は授業の合間を見ては巡回指導をした。
  • 校長と農巧クラブ会長は21戸の全委託農家を訪問し、直接生徒たちに声をかけ、「頑張るよう」指導した。

【体験活動の支援体制】

  • 学校支援委員会は、曽於市長、普及センター所長、農巧クラブ会長、自営部会長、副会長及び支部長が中心となって結成した。
  • 農作業は、危険が伴うため、学校で加入するインターンシップの保険と期間限定の民間の保険に加入し、委託農家もトラクタの運転等はさせないなど、安全管理と健康管理には十分に配慮した。
  • 委託農家の決定は、役員会で情報交換を十分に行い、農家の実情と生徒の希望を配慮して行った。
  • 生徒達に自己紹介や食事等で注意する事項等をまとめた個人カードを作成させ、実習前に委託農家に提出することで、受入れの準備を行いやすいように配慮した。

【体験活動の成果と課題】

  • 校内でも実習や当番活動・清掃作業等で意欲的に取り掛かれるようになり、作業のスピードもとても速くなった。保護者からも、「今まで学校での話はしなかったが、委託実習の話はよくしてくれた」、「委託農家の方とのいい出会いができてよかった」、「以前と比べて意欲的に行動するようになった」など生徒の変容を聞くことが出来た。
  • 課題としては、委託農家から指摘の多かった「興味・関心」、「積極性」を育てるための指導の強化と農巧クラブ・委託農家及び関係機関との連携強化である。

-- 登録:平成21年以前 --