第3章 特別活動

第1 目標

 望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、人間としての在り方生き方についての自覚を深め、自己を生かす能力を養う。

第2 内容

A ホームルーム活動

 ホームルーム活動においては、学校における生徒の基礎的な生活集団として編成したホームルームを単位として、ホームルーム生活の充実と向上を図り、生徒が当面する諸課題への対応や健全な生活態度の育成に資する活動を行うこと。

(1)ホームルームにおける集団生活の充実と向上に関すること。

 ホームルームにおける生活上の諸問題の解決、ホームルームを基盤とした集団生活の向上など

(2)個人及び社会の一員としての在り方生き方に関すること。

ア 個人生活及び社会生活の充実
 青年期の特質の理解、自己の個性の理解、人間としての生き方の探求、男女相互の理解と協力、集団生活における人間関係の確立、国際理解と親善など

イ 学業生活の充実
 主体的な学習態度の確立、教科・科目の適切な選択、学校図書館の利用、情報の適切な活用など

ウ 健康・安全
 健康で安全な生活態度や習慣の確立など

(3)将来の生き方と進路の適切な選択決定に関すること。

 進路適性の理解、進路情報の理解と活用、望ましい職業観の形成、将来の生活の設計、適切な進路の選択決定、進路先への適応など

B 生徒会活動

 生徒会活動においては、学校の全生徒をもって組織する生徒会において、学校生活の充実や改善向上を図る活動、生徒の諸活動につついての連絡調整に関する活動及び学校行事への協力に関する活動などを行うこと。

C クラブ活動

 クラブ活動においては、原則として学年やホームルームの所属を離れ、共通の興味や関心をもつ生徒をもって組織するクラブにおいて、全生徒が文化的、体育的、生産的又は奉仕的な活動のいずれかの活動を行うこと。

D 学校行事

 学校行事においては、全校若しくは学年又はそれらに準ずる集団を単位として、学校生活に秩序と変化を与え、集団への所属感を深め、学校生活の充実と発展に資する体験的な活動を行うこと。

(1)儀式的行事

 学校生活に有意義な変化や折り目を付け、厳粛で清新な気分を味わい、新しい生活の展開への動機付けとなるような活動を行うこと。

(2)学芸的行事

 平素の学習活動の成果を総合的に生かし、その向上の意欲を一層高めるような活動を行うこと。

(3)健康安全・体育的行事

 心身の健全な発達や健康の保持増進などについての理解を深め、安全な行動や規律ある集団行動の体得、運動に親しむ態度の育成、責任感や連帯感の涵養、体力の向上などに資するような活動を行うこと。

(4)旅行・集団宿泊的行事

 平素と異なる生活環境にあって、見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、集団生活の在り方や公衆道徳などについての望ましいて体験を積むことができるような活動を行うこと。

(5)勤労生産・奉仕的行事

 勤労の尊さや意義を理解し、働くことや創造することの喜びを体得し、社会奉仕の精神を養うとともに、職業観の形成や進路の選択決定などに資する体験が得られるような活動を行うこと。

第3 指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)学校の創意工夫を生かすとともに、学校の実態や生徒の発達段階及び特性等を考慮し、教師の適切な指導の下に、生徒による自主的、実践的な活動が助長されるようにすること。その際、奉仕的な活動や、勤労にかかわる体験的な活動の機会をできるだけ取り入れること。
(2)生徒指導の機能を十分に生かすとともに、教育相談(進路相談を含む)についても、生徒の家庭との連絡を密にし、適切に実施できるようにすること。
(3)人間としての在り方生き方の指導がホームルーム活動を中心として、特別活動の全体を通じて行われるようにすること。その際、他の教科、特に公民科との関連を図ること。
(4)ホームルーム活動に配当する授業時数の3分の2程度は内容の(2)及び(3)に配当すること。

2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)内容のAにおいては、その特質に応じて教師の適切な指導を行うとともに、特に、次の事項に留意すること。
 ア 内容の(1)については、ホームルーム内の諸問題の解決を図りホームルームが健全な学校生活の基盤となるよう、教師と生徒及び生徒相互の人間関係を密にし、生徒の自発的、自治的な活動を助長すること。
 イ 内容の(2)及び(3)については、生徒一人一人が現在及び将来にわたる諸課題を明確にし、自主的、実践的な活動ができるよう援助すること。
 ウ 内容の(1)、(2)及び(3)相互の関連を図るとともに内容のB、C及びDとの関連を図ること。
(2)内容のB及びCについては、教師の適切な指導の下に、生徒の自発的、自治的な活動が展開されるようにすること。
(3)内容のCについては、学校や生徒の実態に応じて実施の形態や方法などを適切に工夫すること。なお、部活動に参加する生徒については、当該部活動への参加によりクラブ活動を履修した場合と同様の成果があると認められるときは、部活動への参加をもってクラブ活動の一部または全部の履修に替えることができること。
(4)内容のDについては、学校や地域及び生徒の実態に応じて、各種類ごとに、行事及びその内容を精選して実施すること。
(5)特別活動の一環として学校給食を実施する場合には、適切な指導を行うこと。

3 入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする。

4 特別活動の指導を担当する教師については、内容のAは、主としてホームルームごとにホームルーム担任の教師が指導することを原則とし、活動の内容によっては他の教師などの協力を得ることとする。内容のB、C及びDは、学校の指導体制を確立し、全教師の協力により適切に指導するものとする。

附則

1 この告示は、平成6年4月1日から施行する。ただし、改正後の高等学校学習指導要領は、同日以降高等学校の第1学年に入学した生徒(学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第64号の2第1項に規定する学年による教育課程の区分を設けない定時制又は通信制の課程にあっては、同日以降入学した生徒(同令第60条の規定により入学した生徒で同日前に入学した生徒に係る教育課程により履修するものを除く。))に係る教育課程及び全課程の修了の認定から適用する。

2 第1章第3款の1に規定する各教科・科目のうち「生活一般」については、当分の間、特別の事情がある場合には、「体育」、「家庭情報処理」、「農業基礎」、「農業情報処理」、「工業基礎」、「情報技術基礎」、「情報処理」、「水産一般」、「水産情報処理」又は「看護情報処理」の履修をもって、第2章第9節第2款第3の2に示す内容の(5)から(10)までの履修に替えることができる。この場合、その単位数は、2単位を超えることができない。

別表(第1章第5款の3の(1)関係)

○文部省告示第167号
 学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第57条の2及び第63条の2の規定に基づき、高等学校学習指導要領(平成元年文部省告示第26号)が適用されるまでの間における高等学校学習指導要領(昭和53年文部省告示第163号)の特例を次のように定め、平成2年4月1日から施行する。
 平成元年11月30日
 文部大臣  石橋 一弥

1 総則の特例

(各教科に属する科目の標準単位数等の特例)

(1)高等学校学習指導要領(昭和53年文部省告示第163 号。以下「現行高等学校学習指導要領」という。)第1章第2款の2の表に掲げる各教科に属する科目のほか、家庭、農業、工業、商業及び水産の各教科に属する科目である「課題研究」の標準単位数については、設置者の定めるところによるものとする。

(2)学校においては、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、必要がある場合には、現行高等学校学習指導要領第1章第2款の1の表に掲げる教科について、これらに属する科目以外の科目を設けることができる。この場合において、その科目の名称、目標、内容、単位数については、その科目の属する教科の目標に基づき、設置者の定めるところによるものとする。

(3)学校においては、現行高等学校学習指導要領第1章第2款の2の表備考1の前段の規定にかかわらず、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、必要がある場合には、同表に掲げる教科について、これらに属する科目以外の科目を設けることができる。

(4)学校においては、現行高等学校学習指導要領第1章第2款の2の表備考2の規定にかかわらず、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、特に必要がある場合には、例えば、情報、職業、技術などに関する、同表に掲げる「その他特に必要な教科」及び「当該教科に関する科目」を設けることができる。この場合において、その教科及び科目の名称、目標、内容、単位数等については、設置者の定めるところによるものとする。ただし、設置者は、「その他特に必要な教科」を設けるに当たっては、高等学校教育の目標及びその水準の維持等に十分配慮しなければならない。

(各教科に属する科目の履修の特例)

(5)現行高等学校学習指導要領第1章第3款の1ただし書の規定にかかわらず、生徒の実態及び専門教育を主とする学科の特色等を考慮し、特に必要がある場合には、すべての生徒に履修させるものとされた各教科に属する科目の単位数の一部を減じることができる。

(6)「家庭一般」をすべての男子に履修させる場合、すべての生徒の「体育」の指導に当たっては、現行高等学校学習指導要領第2章第5節の規定にかかわらず、高等学校学習指導要領(平成元年文部省告示第26号。以下「新高等学校学習指導要領」という。)第2章第6節の規定によるものとし、全日制の課程の普通科のすべての生徒に履修させる「体育」の単位数については、現行高等学校学習指導要領第1章第3款の2の(1)の規定にかかわらず9単位を下らないようにするものとする。

(特別活動の履修の特例)

(7)全日制及び定時制の課程においては、現行高等学校学習指導要領第1章第4款の2及び3の規定にかかわらず、ホームルーム活動及びクラブ活動の授業時数については、原則として、合わせて週当たり2単位時間以上を配当するものとし、ホームルーム活動については、少なくとも週当たり1単位時間以上を配当するものとする。なお、クラブ活動については、学校において計画的に授業時数を配当するものとし、その実施に当たっては、部活動との関連を考慮することができる。

(授業時数等の特例)

(8)全日制の課程においては、現行高等学校学習指導要領第1章第5款の1の規定にかかわらず、クラブ活動の授業は、年間35週行うことを標準とすることは要しないものとし、また、特に必要がある場合には、各教科に属する科目の授業を特定の学期又は期間に行うことができる。

(9)全日制及び定時制の課程においては、授業の1単位時間は50分を標準とするが、教科・科目の特質等に応じて、授業の実施形態を工夫することができる。

(単位の修得及び卒業の認定の特例)

(10)学校においては、各学年の課程の修了の認定については、単位制が併用されていることを踏まえ、弾力的に行うよう配慮するものとする。

(11)学校においては、現行高等学校学習指導要領第1章第8款の3の規定にかかわらず、卒業までに修得させる各教科に属する科目を定めることは要しないものとし、普通科においては、上記(2)及び(3)により設けられた科目並びに(4)により設けられた「その他特に必要な教科」に関する科目に係る修得単位数は、合わせて20単位までを卒業までに修得させる単位数に含めることができるものとする。

(12)学校においては、定時制又は通信制の課程に在学する生徒が、現行高等学校学習指導要領第1章第8款の4に定める場合のほか、入学以前に大学入学資格検定規程(昭和26年文部省令第13号)の定めるところにより、その受検科目について合格点を得ている場合には、それに相当する高等学校の各教科に属する科目の単位を修得したものとみなすことができる。

(通信制の課程における教育課程の特例)

(13)通信制の課程における上記(4)により設けられた「その他特に必要な教科」に関する科目のうち普通教育に関するものについては、設置者が、その添削指導の回数及び面接指導の単位時間数を定めるものとする。

(14)通信制の課程における特別活動については、現行高等学校学習指導要領第1章第9款の4の規程にかかわらず、ホームルーム活動及びクラブ活動を含めて、各々の生徒の卒業までに30単位時間以上指導するものとする。

2 各教科等の特例

(保健体育の特例)

(1)保健体育に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第6節の規定によることができる。

(芸術の特例)

(2)芸術に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第7節の規定によることができる。

(家庭の特例)

(3)家庭に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第9節(第3款の1の(7)を除く。)の規定によるものとする。

(農業の特例)

(4)農業に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第10節(第3款の1の(6)を除く。)の規定によるものとする。

(工業の特例)

(5)工業に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第11節(第3款の1の(4)を除く。)の規定によるものとする。

(商業の特例)

(6)商業に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第12節(第3款の1の(3)を除く。)の規定によるものとする。

(水産の特例)

(7)水産に属する科目のうち「課題研究」の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第2章第13節(第3款の1の(4)を除く。)の規定によるものとする。

(体育の特例)

(8)体育に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第16節の規定によることができる。

(音楽の特例)

(9)音楽に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第17節の規定によることができる。

(美術の特例)

(10)美術に属する科目の指導に当たっては、その全部又は一部について新高等学校学習指導要領第2章第18節の規定によることができる。

(特別活動の特例)

(11)特別活動の指導に当たっては、新高等学校学習指導要領第3章の規定によるものとする。

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