第10節 農業

第1款 目標

 農業の各分野に関する基礎的・基本的な知識と技術を習得させ、農業の意義や役割を理解させるとともに、主体的に農業の発展を図る能力と態度を育てる。

第2款 各科目

第1 農業基礎

1 目標

 農業生物の育成についての体験的な学習を通して、農業に関する基礎的な知識と技術を習得させ、農業及び農業学習についての興味・関心を高めるとともに、問題解決の能力を伸ばし、農業の発展を図る意欲的な態度を育てる。

2 内容

(1)農業と人間生活
(2)農業生産と農業学習の特質
(3)農業生産の基礎
(4)学校農業クラブ活動

第2 農業情報処理

1 目標

 社会における情報化の進展及びコンピュータの役割や仕組みとその利用方法について理解させ、農業に関する各分野でコンピュータを活用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)産業社会とコンピュータ
(2)コンピュータの活用
(3)ハードウェア
(4)ソフトウェア
(5)コンピュータと通信
(6)農業とコンピュータの利用

第3 総合実習

1 目標

 各学科の専門分野に関する総合的な技術を習得させ、経営と管理についての理解を深めさせるとともに、農業の改善を図る実践的な能力と態度を育てる。

2 内容

(1)各学科の専門分野に関する総合的な実習
(2)学校農業クラブ活動

第4 課題研究

1 目標

 農業に関する課題を設定し、その課題の解決を図る学習を通して、専門的な知識と技術の深化、総合化を図るとともに、問題解決の能力や自発的、創造的な学習態度を育てる。

2 内容

(1)調査、研究、実験
(2)作品製作
(3)産業現場等における実習
(4)職業資格の取得

第5 作物

1 目標

 作物の栽培と経営に必要な知識と技術を習得させ、作物の特性や栽培に適した環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)作物生産の動向
(2)作物の特性と栽培技術
(3)食用作物、工芸作物の栽培
(4)品種改良の方法
(5)機械・施設の利用
(6)農地の利用と作物生産
(7)作物生産の経営改善

第6 栽培環境

1 目標

 栽培環境の管理と改善に必要な知識と技術を習得させ、作物の生育と栽培環境との関係を理解させるとともに、作物栽培の合理化を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)作物栽培と環境
(2)栽培環境の要素と作物の生育
(3)栽培環境の管理と改善
(4)施設栽培の環境管理

第7 農業経営

1 目標

 地域に適合した農業経営の設計と運営に必要な知識と技術を習得させ、農業経営の改善を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)農業の動向
(2)農業経営の組織と運営
(3)農業経営と流通
(4)農業経営の診断と設計
(5)経営と農家生活
(6)集団活動と協同組織
(7)農業政策と関係法規

第8 野菜

1 目標

 野菜の栽培と経営に必要な知識と技術を習得させ、野菜の特性や栽培に適した環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)野菜生産の動向
(2)野菜の特性と栽培技術
(3)野菜の栽培
(4)施設・設備とその利用
(5)野菜生産の経営改善

第9 果樹

1 目標

 果樹の栽培と経営に必要な知識と技術を習得させ、果樹の特性や栽培に適した環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)果樹生産の動向
(2)果樹の特性と栽培技術
(3)果樹の栽培
(4)果樹園の開設と更新
(5)施設・設備とその利用
(6)果樹経営の改善

第10 草花

1 目標

 草花の栽培と経営に必要な知識と技術を習得させ、草花の特性や栽培に適した環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)草花生産の動向
(2)草花の特性と栽培技術
(3)草花の繁殖と育種
(4)草花の栽培
(5)施設・設備とその利用
(6)草花生産の経営改善

第11 畜産

1 目標

 家畜の飼育と経営に必要な知識と技術を習得させ、家畜の特性や地域環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)畜産の動向
(2)家畜の生理・生態と飼育環境
(3)家畜の栄養
(4)家畜の飼育
(5)家畜の改良増殖
(6)家畜衛生と廃棄物処理
(7)畜産施設の構造とその利用
(8)畜産経営の改善

第12 飼料

1 目標

 飼料作物の栽培及び飼料給与に必要な知識と技術を習得させ、飼料の特性を理解させるとともに、飼料給与の合理化を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)畜産と飼料
(2)飼料の種類と特性
(3)飼料の評価
(4)給与計画と飼料計画
(5)飼料作物の栽培
(6)草地の管理と利用

第13 農業機械

1 目標

 農業機械の取扱いと維持管理に必要な知識と技術を習得させ、農業生産における機械の利用について理解させるとともに、経営の合理化を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)農業生産と農業機械の利用
(2)原動機
(3)伝動装置
(4)農業用トラクタとその操作
(5)作業機とその操作
(6)農業機械の整備
(7)燃料と潤滑油
(8)農業機械と安全作業

第14 養蚕

1 目標

 蚕の飼育と経営に必要な知識と技術を習得させ、蚕の特性や飼育環境を理解させるとともに、生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)養蚕の動向
(2)桑の栽培
(3)蚕体の構造と各器官の働き
(4)蚕の飼育
(5)養蚕経営の改善

第15 育林

1 目標

 森林の保護育成に必要な知識と技術を習得させ、森林のもつ多面的な機能を理解させるとともに、森林の生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)森林と育林
(2)材木の生育と環境
(3)育苗と材木育種
(4)造林
(5)森林の保育
(6)森林の保護
(7)特用樹の栽培
(8)森林と風致

第16 林業土木

1 目標

 伐木運材、林地の基盤整備及び林業土木工事に必要な知識と技術を習得させ、林業の生産性の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)森林と林業土木
(2)伐木・運材
(3)林道
(4)林業機械
(5)砂防と治山
(6)林業土木と安全作業

第17 林業経営

1 目標

 森林の測定・評価及び林業経営の計画と管理に必要な知識と技術を習得させ、林業経営の改善を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)森林と林業経営
(2)森林の測定
(3)森林評価
(4)林業経営の計画
(5)林業経営の管理
(6)材木の流通
(7)林業政策と関係法規

第18 林産加工

1 目標

 林産物の加工、利用に必要な知識と技術を習得させ、林産物の特性を理解させるとともに、生産管理の合理化を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)林産加工の動向
(2)木材の性質と用途
(3)製材と木材の工作
(4)改良木材
(5)木材の分解と利用
(6)木材パルプと製紙
(7)きのこの生産

第19 測量

1 目標

 測量に必要な知識と技術を習得させ、実際に各種の事業に応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)測量とその種類
(2)平面の測量
(3)高低の測量
(4)写真測量
(5)応用測量

第20 農業土木設計

1 目標

 土木設計に必要な知識と技術を習得させ、実際に各種の農業土木構造物の設計に応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)農業土木設計の概要
(2)設計製図
(3)設計と力学
(4)はり、柱、トラス
(5)土質
(6)鉄筋コンクリート構造、鋼構造の設計
(7)農業土木構造物の設計

第21 農業土木施工

1 目標

 農業土木工事に使用する材料やその施工に必要な知識と技術を習得させ、各種の工事を合理的に施工できる能力と態度を育てる。

2 内容

(1)農業土木工事の概要
(2)土木材料
(3)農業土木工事の施工法
(4)工事の運営管理

第22 農業水利

1 目標

 農業に利用する水の管理に必要な知識と技術を習得させ、水利施設の改善や水資源の開発を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)農業における水の役割
(2)水の基本的性質
(3)かんがいと排水
(4)水資源の開発と利用

第23 農地開発

1 目標

 農地の開発と保全に必要な知識と技術を習得させ、農業生産の向上と地域の開発を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)農地開発の意義
(2)土地利用と農地
(3)農地の造成
(4)農地の整備と保全
(5)地域開発と農村計画

第24 食品製造

1 目標

 食品製造に必要な知識と技術を習得させ、加工食品と原材料の性質を理解させるとともに、生産管理の合理化を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)食品製造の意義と動向
(2)食品の変質と貯蔵法
(3)加工食品の製造法
(4)食品製造と衛生管理

第25 食品化学

1 目標

 食品の分析と検査に必要な知識と技術を習得させ、食品の成分と栄養について理解させるとともに、各種の食品製造に応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)食品製造と食品化学
(2)食品の成分と栄養
(3)食品の成分分析
(4)食品衛生検査と食品添加物

第26 応用微生物

1 目標

 食品に関連する微生物の利用に必要な知識と技術を習得させ、微生物の種類と特性及び培養について理解させるとともに、農業に関する各分野で微生物力を応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)微生物の種類と利用
(2)微生物の生理
(3)微生物の分離と培養
(4)微生物の酵素
(5)微生物の代謝とその利用

第27 食品製造機器

1 目標

 食品製造に関する機器の機能や操作に必要な知識と技術を習得させ、実際に食品製造に応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)食品製造機器の基礎
(2)計測と制御
(3)主な製造用の機械と装置
(4)工場に付帯する機械と装置

第28 生物工学基礎

1 目標

 農業に関するバイオテクノロジーの基礎的な知識と技術を習得させ、バイオテクノロジーの特質を理解させるとともに、農業に関する各分野で応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)バイオテクノロジーの概要
(2)バイオテクノロジーの基礎
(3)植物のバイオテクノロジー
(4)組織培養の技術
(5)微生物のバイオテクノロジー
(6)バイオリアクター

第29 造園計画

1 目標

 造園の計画・設計に必要な知識と技術を習得させ、実際に目的や環境条件に応じて応用する能力と態度を育てる。

2 内容

(1)造園計画と緑地環境の保全
(2)環境と造園の様式
(3)造園製図の基礎とデザイン
(4)庭園の計画・設計
(5)公園、緑地の計画・設計
(6)造園関係法規

第30 造園緑化材料

1 目標

 造園緑化に使用する材料や緑化植物の育成に必要な知識と技術を習得させ、各種の造園材料の特質を理解させるとともに、それらを適切に取り扱う能力と態度を養う。

2 内容

(1)植物材料
(2)緑化植物の育成
(3)岩石材料
(4)その他の材料

第31 造園施工・管理

1 目標

 造園の施工と管理に必要な知識と技術を習得させ、造園を合理的に施工し維持管理できる能力と態度を養う。

2 内容

(1)造園土木施工
(2)造園植栽施工
(3)植物及び工作物の管理

第32 農業経済

1 目標

 農業経済に関する知識と技術を習得させ、農業生産及び流通の働きを国民経済の立場から理解させるとともに、経営の改善を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)国民経済と農業
(2)農家経済と生産
(3)農産物の流通
(4)農業生産資材の流通
(5)金融と保険
(6)企業の経営
(7)農業と協同組織
(8)農業政策と関係法規

第33 農業会計

1 目標

 農業経営における複式簿記の記帳及び財務諸表の作成・分析に必要な知識と技術を習得させ、農業会計の基礎的な理論及び農業簿記の基本原理を理解させるとともに、経営の改善を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)農業会計
(2)複式簿記
(3)財務諸表
(4)農産物の原価計算
(5)経営分析
(6)企業会計の原理

第34 食品流通

1 目標

 農産物を主とする食品の流通に必要な知識と技術を習得させ、国民経済における食品流通の重要性を理解させるとともに、食品流通を合理的に行うことのできる能力と態度を育てる。

2 内容

(1)経済発展と食品流通
(2)食品の流通構造
(3)主な食品の流通
(4)食品の品質と規格
(5)食品の保管
(6)食品の輸送
(7)マーケティング
(8)流通関係法規

第35 食品加工

1 目標

 食品加工に必要な知識と技術を習得させ、加工食品と原材料の性質を理解させるとともに、食品を適切に取り扱う能力と態度を育てる。

2 内容

(1)食生活と加工食品
(2)食品の成分とその性質
(3)農業生産物の加工
(4)食品加工と衛生管理

第36 生活園芸

1 目標

 園芸作物の栽培及び緑化環境の管理に必要な知識と技術を習得させ、園芸作物の特性を理解させるとともに、それらを利用して生活の向上を図る能力と態度を育てる。

2 内容

(1)生活と園芸
(2)野菜の栽培と利用
(3)果樹の栽培と利用
(4)草花の栽培と利用
(5)ハーブの栽培と利用
(6)花壇の設計と管理
(7)緑化環境の管理

第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)農業に関する学科においては、原則として農業に関する科目に配当する総授業時数の10 分の5以上を実験・実習に配当すること。
(2)実験・実習を行うに当たっては、施設・設備の安全管理に配慮し、学習環境を整えるとともに、機械、薬剤などによる事故防止の指導を徹底し、安全と衛生に十分留意すること。
(3)宿泊を伴う実習及び現場実習を行う場合には、特に指導計画を綿密に作成するとともに、生徒指導に十分留意すること。
(4)各科目の指導に当たっては、情報関連機器の活用を図り、指導の効果を高めるようにすること。
(5)「農業基礎」については、原則として農業に関する各学科において履修させるものとし、各学科の特色を十分勘案して効果的な指導計画を立てること。
(6)「農業情報処理」、「総合実習」及び「課題研究」については、原則として農業に関する各学科において履修させること。
(7)「総合実習」及び「課題研究」については、年間指導計画に定めるところに従い、必要に応じて弾力的に授業時間を配当することができること。
(8)普通科において農業に関する科目を履修させる場合には、地域や学校の実態、生徒の興味・関心、進路希望などを考慮し、「農業基礎」、「作物」、「食品加工」、「生活園芸」など適切なものを履修させることが望ましいこと。

2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)「農業基礎」の内容の(3)については、学科の特色や生徒の実態に応じて教材として適切な農業生物を選び、一貫した内容を継続的に取り扱うこと。
(2)「課題研究」については、生徒の興味・関心、進路希望などに応じて、内容の(1)から(4)までのうちから個人又はグループで適切な課題を設定させること。

お問合せ先

初等中等教育局

-- 登録:平成21年以前 --