第5節 理科

第1款 目標

 自然に対する関心を高め、観察、実験などを行い、科学的に探求する能力と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての理解を深め、科学的な自然観を育成する。

第2款 各科目

第1 総合理科

1 目標

 自然の事物・現象に関する観察、実験や自然環境についての調査などを通して自然に対する総合的な見方や考え方を養うとともに自然の事物・現象についての理解を図り、人間と自然とのかかわりについて認識させる。

2 内容

(1)自然の探求

ア 自然の認識
イ 観察、実験の計画と実施
ウ 観察、実験の整理とまとめ

(2)自然界とその変化

ア 多様性と共通性
イ 変化・平衡・相互作用
ウ エネルギーとその変換

(3)人間と自然

ア 資源・エネルギーとその利用
イ 自然環境とその保全
ウ 科学技術の進歩と人間生活

(4)課題研究

ア 特定の事象に関する観察、実験
イ 自然環境についての調査
ウ 科学の歴史における実験例の研究

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに、内容の(1)から(4)までの事項を有機的に組み合わせ、全体として網羅的にならないように留意すること。また、観察、実験を重視するような年間指導計画を立て、それらの活動を通して、科学的な見方や考え方を育成すること。
 イ 内容の(1)については、内容の(2)から(4)までの事項との関連を図り、具体的な事例を取り上げ、一連の探究活動を通して展開し、抽象的にならないように扱うこと。
 ウ 内容の(2)については、自然界に見られるさまざまな事物・現象やエネルギーに関して、身近な事例を取り上げること。
 エ 内容の(3)については、内容の(2)の学習を基礎に置き、人間と自然とのかかわりを総合的にまとめること。
 オ 内容の(4)については、ア、イ及びウの中から1以上の適当な課題を設定し、研究を行い、それらの探究活動を通して科学の方法を習得させ、問題解決の能力を育成すること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアについては、身の回りの具体的な事例、例えば、生物、岩石、鉱物等を肉眼や光学機器で観察させるなど、種々の観察の技法を扱うこと。イについては、具体的な課題を設定し、観察、実験の方法に習熟させ、事象を観察させたり実験を実施させたりすることを中心に扱うこと。例えば、温度と熱、生物の変異、物質、岩石等から適宜課題を選定すること。また、文献の活用の大切さついても触れること。ウについては、データのまとめ方、グラフの活用や結果の整理の仕方、レポートの書き方などを扱うこと。実験の精度や誤差についても触れるが、初歩的な段階にとどめること。データの整理には、適宜コンピュータの活用を図ること。
 イ 内容の(2)のアについては、身近な生物、岩石、物質などを取り上げ、多様性を共通性を見いだすとともに、それらの考察には基準の取り方が重要であることを認識させる程度にとどめること。イについては、自然界に見られる様々な事象には、変化が起こったり時間とともに平衡に達したりする現象があること、また、相互に働く力があること及びそれらが相互に関連して自然界が構成されていることを、例示によって理解させること。例えば、地球の熱収支、生態系、化学変化、力のつり合いなどを取り上げるが、個々の事象には深入りしないこと。ウについては、エネルギーの種類、変換及び保存について、身近な事象と関連させ、エネルギーの基本を理解させること。例えば、発電、電池、光合成、呼吸などを平易に扱うこと。
 ウ 内容の(3)のアについては、自然を総合的にとらえ、人間生活とのかかわりを中心に扱うこと。例えば、水資源、化石燃料、太陽エネルギーなどを取り上げ、資源・エネルギーの有限性や再利用にも触れること。また、放射能及び原子力の利用とその安全性の問題にも触れること。イについては、自然環境を総合的に捕らえ、人間の活動が物質循環に及ぼす影響、環境汚染や破壊とその防止策、環境保全の必要性などに触れるとこ。ウについては最近の科学技術の具体的な事例を取り上げ、科学技術が人間生活に及ぼす影響や自然科学の役割に触れるが、科学技術についての専門的な取扱いは避けること。
 エ 内容の(4)のアについては、内容の(2)及び(3)で学習した事例の応用的な実験、その他日常生活にかかわる事象の観察や実験などを適宜扱うこと。イについては、野外調査などを行うこと。ウについては、科学の歴史における重要な発見について、原理・法則の確立の経緯などを実験の再現や文献の調査などを通して学習させること。

第2 物理ⅠA

1 目標

 日常生活と関係の深い物理的な事物・現象に関する探究活動を通して、科学的な見方や考え方を養うとともに物理的な事物・現象や物理学の応用についての理解を図り、科学技術の進歩と人間生活とのかかわりについて認識させる。

2 内容

(1)光と音

ア 光と目
イ 音と耳

(2)物体の運動

ア 運動の表し方
イ 摩擦と衝突

(3)エネルギーと生活

ア 温度と熱
イ 電気エネルギー
ウ エネルギーの移り変わり
エ 太陽エネルギーと原子力

(4)情報とその処理

ア 情報の伝達
イ 情報の処理
ウ 情報の記憶

(5)物理学の影響

ア 生活の変化と物理学
イ ものの見方と物理学

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに、物理的な事物・現象や物理学の応用についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
 イ 内容の(1)から(5)までのうち、(3)及び(4)はすべての生徒に履修させ、(1)、(2)及び(5)についてはそれらの中から1以上を、生徒の興味、関心などに応じて選択させること。
 ウ 履修させる内容の学習活動と関連させて、日常生活と関係の深い物理的な事物・現象についての観察、実験を行わせること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアについては、光の基本的な性質を可視光を中心に視覚及び光学機器と関連させて扱うが、目の構造及び機能には深入りしないこと。また、レンズの幾何光学的な性質に触れる場合は、初歩的な程度にとどめること。イについては、音の基本的な性質を可聴音を中心に聴覚、楽器などと関連させて扱うが、耳の構造及び機能には深入りしないこと。
 イ 内容の(2)のアについては、落下運動や乗物などの運動を例として、直線上の運動を中心に平易に扱うこと。イについては、摩擦は現象を中心に初歩的な程度にとどめることとし、二次元の衝突は扱わないこと。
 ウ 内容の(3)のアについては、比熱、熱容量及び絶対温度にも触れること。イについては、簡単な直流回路を中心に、観察、実験を通して、電流の諸作用を扱うこと。また、交流にも簡単に触れ、それらの家庭電気製品への応用に関して扱うこと。ウについては、エネルギーの保存にも触れること。エについては、風、波、化石燃料などのエネルギーの利用にも触れること。原子力については、放射能及び原子力の利用とその安全性の問題にも簡単に触れること。
 エ 内容の(4)のアについては、エレクトロニクスの進歩と関連させて、電波や光によって情報が伝達されることを扱うこと。イについては、コンピュータの仕組みと特徴に触れるが、深入りしないこと。ウについては、情報の記憶には磁性体や半導体の性質が利用されていることについて平易に触れるが、技術的な事項には深入りしないこと。
 オ 内容の(5)のアについては、物理学の進歩とその応用による日常生活の向上に関して具体的に扱うこと。イについては、物理的な探究の手法やものの見方、考え方が、科学や生活全般に及ぼした影響などを概括的に扱うこと。その際、物理学の歴史的な内容については深入りしないこと。

第3 物理ⅠB

1 目標

 物理的な事物・現象についての観察、実験などを行い、物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)運動

ア 力と運動
(ア)力のつりあい
(イ)運動の表し方
(ウ)運動の法則、
(エ)落体の運動

イ 運動量
(ア)運動量と力積
(イ)運動量の保存

ウ 運動に関する探究活動

(2)エネルギー

ア 力学的エネルギー
(ア)仕事
(イ)位置エネルギーと運動エネルギー
(ウ)力学的エネルギーの保存

イ 熱とエネルギー
(ア)熱と温度
(イ)ボイル・シャルルの原則
(ウ)熱と仕事
(エ)エネルギーの変換と保存

ウ エネルギーに関する探究活動

(3)波動

ア 波の性質
(ア)横波と縦波
(イ)波の伝わり方
(ウ)波の干渉・回折

イ 音波
(ア)音の伝わり方
(イ)共鳴・共振

ウ 光波
(ア)光の進み方
(イ)光の干渉・回折
(ウ)スペクトル

エ 波動に対する探究活動

(4)電流と電子

ア 電界と電流
(ア)電界・電位
(イ)電流回路
(ウ)電流と仕事

イ 電子と原子
(ア)電子の電荷と質量
(イ)原子
(ウ)放射能

ウ 電流と電子に関する探究活動

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 中学校理科との関連を考慮しながら、物理学の基本的な概念の形成を図るとともに、物理学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
 イ 「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行うとともに、観察、実験を通して、仮説やモデルの設定、推論、条件制御、測定、数的処理、データの分析・解釈、法則性の発見など、物理学的に探究する方法を習得させ、創意ある研究報告書を作成させること。その際、多様な教材と組み合わせて、適宜コンピュータの活用を図ること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアの(ア)については、摩擦力についても簡単に触れるが、慣性モーメントは扱わないこと。(イ)及び(ウ)については、直線運動を中心に扱うが、二次元の運動にも簡単に触れること。なお、円運動は扱わないこと。(エ)については、放物運動も扱い、物体に働く力にも触れること。なお、その際、空気の抵抗は定性的に扱うこと。イの(イ)については、直線運動を中心に扱い、二次元の衝突は簡単に触れる程度にとどめること。
 イ 内容の(2)のアの(ア)については、仕事率も扱うこと。(イ)については、弾性エネルギーにも触れること。イの(ア)については、物質の状態と分子運動の関係を定性的に扱うこと。(イ)については、理想気体の状態方程式は扱わないこと。また、気体の圧力と分子運動の関係については、定性的な扱いにとどめること。(ウ)については、内部エネルギーと断熱変化を定性的に扱うにとどめること。(エ)については、熱現象における不可逆変化に触れること。
 ウ 内容の(3)のアの(ウ)については、実験を中心に扱うこと。イの(ア)については、ドップラー効果の扱は初歩的な程度にとどめること。(イ)についてハ、うなりにも振れること。ウの(ア)については、光の速さ、反射及び屈折を扱い、レンズの幾何光学的な性質に触れる場合は、初歩的な程度にとどめること。(イ)については、実験を中心に扱い、光は横波であることにも触れること。
 エ 内容の(4)のアの(ア)については、誘電体内部の電界の強さには触れないこと。(ウ)については、ジュール熱を中心に電界中の電荷の移動とエネルギーの関係を扱う程度にとどめること。イの(イ)については、原子構造を中心に初歩的な程度にとどめること。(ウ)については、放射能及び原子力の利用とその安全性の問題にも触れること。

第4 物理Ⅱ

1 目標

 物理的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、物理学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)運動とエネルギー

ア 円運動と万有引力
 (ア)等速円運動
 (イ)単振動
 (ウ)万有引力

イ 気体分子の運動
 (ア)分子運動と圧力
 (イ)内部エネルギー

(2)電気と磁気

ア 電流と磁界
(ア)電流による磁界
(イ)磁界が電流に及ぼす力

イ 電磁誘導と電磁波
(ア)誘導起電力
(イ)電磁波

(3)原子と原子核

ア 波動性と粒子性
(ア)電子の波動性
(イ)光の粒子性

イ 原子の構造
(ア)原子モデル
(イ)原子核の変換
(ウ)素粒子

(4)課題研究

 ア 特定の物理的事象に関する探究活動
 イ 物理学の歴史的実験例の研究

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 「物理ⅠB」との関連を考慮しながら、物理学の基本的な概念の形成を図るとともに、物理学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
 イ 内容の(4)については、ア及びイの中から1以上の適当な課題を設けて研究を行い、創意ある研究報告書を作成させるとともに、研究を行うに当たっては、仮説やモデルの設定、推論、条件制御、測定、数的処理、データの分析・解釈、法則性の発見など、物理学的に探究する方法を習得させ、問題解決の能力を育成すること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、計測、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のイの(ア)については、理想気体の状態方程式及び分子運動と絶対温度の関係を扱うこと。また、モル比熱を扱う場合は単原子分子にとどめること。
 イ 内容の(2)のアの(ア)については、直線電流及び円電流による磁界を中心に扱うこと。イの(イ)については、実験を中心に扱うこと。
 ウ 内容の(3)のイの(ア)については、水素原子の構造を中心にスペクトルと関連させて扱うこと。
 エ 内容の(4)については、内容の(1)から(3)及び「物理IB」と関連させて扱うとこ。アについては、物理的な事象に関する応用的、発展的な観察、実験を行うこと。イについては、科学の歴史における著名な実験の再現などを行い、原理・法則の確立の経緯とも関連付けて扱うこと。

第5 化学ⅠA

1 目標

 日常生活と関係の深い化学的な事物・現象に関する探究活動を通して、化学的な見方や考え方を養うとともに化学的な事物・現象や化学の応用についての理解を図り、科学技術の進歩と人間生活とのかかわりについて認識させる。

(1)自然界の物質とその変化

 ア 自然界における物質の成分元素
 イ 空気
 ウ 水

(2)日常生活の化学

 ア 食品の化学
 イ 衣料の化学
 ウ 染料と洗剤の化学

(3)身近な材料

 ア プラスチック
 イ 金属
 ウ 窯業製品

(4)身の回りの物質の製造

 ア 空気からできるもの
 イ 鉱物からできるもの
 ウ 石油からできるもの

(5)化学の応用と人間生活

 ア 化学の進歩とその役割
 イ 環境の保全

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに、化学的な事物・現象や化学の応用についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
 イ 内容の(1)から(5)までのうち、(1)及び(5)はすべての生徒に履修させ、(2)、(3)及び(4)についてはそれらの中から1以上を、生徒の興味、関心などに応じて選択させること。
 ウ 履修させる内容の学習活動と関連させて、日常生活と関係の深い化学的な事物・現象についての観察、実験を行わせること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアについては、人間を取り巻く自然界の物質のうち主な成分元素を中心に扱うが、詳細で羅列的な扱いはしないこと。イについては、空気の組成及び燃焼にかかわる物質の性質とその変化を中心に扱うこと。また、燃焼にかかわる安全性にも触れること。ウについては、電解質や親水性の物質がよく溶解することを中心に扱い、気体や固体の溶解性は平易に扱うこと。
 イ 内容の(2)のアについては、食品中の主な成分である炭水化物、タンパク質及び脂肪の性質を化学的な観点で扱い、観察、実験によって理解させること。イについては、衣料材料として用いられている主な天然及び合成繊維の性質や用途に関して2又は3の例を扱う程度にとどめること。ウについては、染料や洗剤の性質やその用途を扱うが、染料は代表的な繊維に対する染料の染色の難易を扱う程度にとどめ、洗浄の機構は、モデルを示す程度にとどめること。
 ウ 内容の(3)のアについては、その成分の違いや特徴及び用途を中心に扱うこと。また、燃焼にかかわる安全性にも触れること。イについては、腐食を中心に扱い、その防止にも触れること。ウについては、代表的なガラス、セメント及び陶磁器の性質を観察、実験を通して、平易に扱うこと。
 エ 内容の(4)については、それぞれを原料としてできる2又は3の製品を中心に扱い、複雑な化学反応式は扱わないこと。
 オ 内容の(5)のアについては、化学の成果が日常生活に果たしてきた役割に触れること。イについては、環境保全に果たす化学の役割を探究的に扱い、物質の再利用にも触れること。

第6 化学ⅠB

1 目標

 化学的な事物・現象についての観察、実験などを行い、化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)物質の構造と状態

 ア 物質の構成
 (ア)物質の構成単位と成分元素
 (イ)物質量

 イ 原子の構成
 (ア)原子構造のモデル
 (イ)元素の周期表

 ウ 化学結合
 (ア)イオン結合
 (イ)共有結合

 エ 純物質と混合物
 (ア)気体、液体、固体
 (イ)気体の分圧
 (ウ)溶液

 オ 物質の構造と状態に関する探究活動

(2)物質の性質

ア 無機物質
(ア)単体
(イ)化合物

イ 有機化合物
(ア)炭化水素
(イ)酸素を含む化合物
(ウ)窒素を含む化合物

ウ 物質の性質に関する探究活動

(3)物質の変化

ア 酸と塩基の反応
(ア)酸・塩基
(イ)中和

イ 酸化還元反応
(ア)酸化・還元
(イ)電気分解
(ウ)電池

ウ 化学反応と熱
(ア)反応熱
(イ)熱化学方程式

エ 物質の変化に関する探究活動

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 中学校理科との関連を考慮しながら、化学の基本的な概念の形成を図るとともに、化学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
 イ 「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行うともとに、観察、実験を通して、仮説の設定、実験の計画、実験による検証、データの解釈など、化学的に探究する方法を習得させ、創意ある研究報告書を作成させること。その際、多様な教材と組み合わせて、適宜コンピュータの活用を図ること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のイの(ア)については、ボーアモデルにとどめること。電子配置については、周期表の第3周期までの元素及びアルカリ金属元素、ハロゲン元素、希ガス元素を対象とする程度にとどめること。ウについては、電気陰性度を扱う場合は、第2周期の元素及びハロゲン元素について大小関係を示すにとどめ、金属結合については触れる程度とすること。エの(ア)の気体については、定量的な分子運動論は扱わないこと。固体について結晶を扱う場合は、結晶中の原子又はイオンの配列を扱うにとどめること。(ウ)については沸点上昇、凝固点降下及び浸透圧は、定量的な扱いはしないこと。
 イ 内容の(2)のアについてはナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、銅、銀、鉄、ハロゲン、硫黄、窒素が関係する物質及びイオンを中心に扱うこと。なお、金属イオン系統的分離は扱わないこと。また、代表的な無機物質については、化学工業との関連にも触れること。イについては、配座異性体は扱わないこと。また、反応及び構造に関連して該当する箇所で、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロンにも触れること。イの(イ)については、アルコール、フェノール類、エーテル、カルボニル化合物、カルボン酸、エステルを中心に、その代表的な物質を扱うこと。なお、油脂のけん化価及びヨウ素価は扱わないこと。(ウ)については、アニリンを中心に扱い、アミノ化合物、ニトロ化合物については、その代表的な物質を扱うこと。
 ウ 内容の(3)のアの(ア)については、酸、塩基の強弱は定性的な扱いにとどめるが、pHの実用性にも触れること。(イ)については、酸、塩基の規定度は扱わないこと。イの(ア)については、電子の授受を中心に扱い、代表的な酸化剤、還元剤に触れること。また、金属のイオン化傾向についても触れること。(イ)については、ファラデーの法則を中心に扱うこと。(ウ)については、化学反応による電気エネルギーの発生を中心に扱うこと。ウの(ア)については、反応において発生又は吸収する熱量と物質量との関係を扱い、溶解熱にも触れること。(イ)については、ヘスの法則を中心に扱うこと。

第7 化学Ⅱ

1 目標

 化学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、化学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)反応の速さと平衡

ア 反応の速さ
(ア)速い反応と遅い反応
(イ)触媒

イ 化学平衡
(ア)可逆反応と化学平衡
(イ)化学平衡の移動

(2)高分子化合物
 ア 天然高分子化合物
 イ 合成高分子化合物

(3)課題研究
 ア 特定の化学的事象に関する探究活動
 イ 化学の歴史的実験例の研究

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 「化学ⅠB」との関連を考慮しながら、化学の基本的な概念の形成を図るとともに、化学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
 イ 内容の(3)については、ア及びイの中から1以上の適当な課題を設けて研究を行い、創意ある研究報告書を作成させるとともに、研究を行うに当たっては、仮説の設定、実験の計画、実験による検証、データの解釈など、化学的に探究する方法を習得させ、問題解決の能力を育てること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、計測、結果の統計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアの(ア)については、反応の速度が濃度、温度、触媒などにより影響を受けることを代表的な事例を通して定性的に扱うこと。(イ)については、化学工業との関連についても触れること。イの(ア)については、その概念の理解を中心に定量的な扱いはごく簡単な系を扱うにとどめること。また、水素イオン濃度についても触れること。(イ)については、ルシャトリエの原理を中心に扱うこと。
 イ 内容の(2)のアについては、炭水化物とタンパク質を中心に、分子量の小さな物質との違いを構造及び性質の面から扱うこと。また、天然ゴムにも触れること。イについては、代表的な合成高分子化合物を扱い、構造と用途との関係にも触れること。
 ウ 内容の(3)については、内容の(1)、(2)及び「化学IB」と関連させて扱うこと。アについては、化学的な事象に関する応用的、発展的な観察、実験を行うこと。イについては、科学の歴史における著名な実験の再現などを行い、原理・法則の確立の経緯とも関連付けて扱うこと。

第8 生物ⅠA

1 目標

 日常生活と関係の深い生物、人間及び生物現象に関する探究活動を通して、科学的な見方や考え方を養うとともに生物、生物現象及び生物学の応用についての理解を図り、科学技術の進歩と人間生活とのかかわりについて認識させる。

2 内容

(1)人間の生活と生物

 ア 日常生活と生物
 イ 自然のなかの人間

(2)生物としての人間

 ア ヒトの特徴
 イ ヒトの行動

(3)生命を維持する働き

 ア 食物と代謝
 イ からだの調節

(4)親から子へ

 ア ヒトの一生
 イ ヒトの遺伝

(5)生物学の進歩と人間生活

 ア 微生物の利用
 イ 品種の改良

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに、生物、生物現象及び生物学の応用についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
 イ 内容の(1)から(5)までのうち、(1)はすべての生徒に履修させ、(2)、(3)、(4)及び(5)についてはそれらの中から2以上を、生徒の興味、関心などに応じて選択させること。
 ウ 履修させる内容の学習活動と関連させて、日常生活と関係の深い生物、人間及び生物現象についての観察、実験を行わせること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアについては、日常生活に利用されている生物や環境衛生上問題になる生物などについて身近な例を扱うが、羅列的な扱いはしないこと。イについては、食物連鎖や物質循環などを人間とのかかわりに重点をおいて平易に扱い、環境保全についても触れること。
 イ 内容の(2)のアについては、ヒトの形態的な特徴や系統的位置などを他の動物との比較を通して扱うこと。イについては、ヒトの行動を日常の経験と関連させて生物学的な観点から扱うが、脳の働きや構造に触れる場合は、詳細な扱いはしないこと。
 ウ 内容の(3)のアについては、食物を体物質の代謝と関連させて扱うが、代謝については平易に扱い、栄養素や消化酵素などの羅列的な扱いはしないこと。イについては、ヒトの恒常性維持の仕組みを代表的な例に基づいて理解させる程度にとどめ、ホルモンや神経系の羅列的な扱いはしないこと。また、生体防御については、免疫を中心に初歩的な事項にとどめること。
 エ 内容の(4)のアについては、ヒトの受精、発生、成長及び老化を中心に扱うが、発生の過程やその仕組みについての詳細な扱いはしないこと。イについては、ヒトの遺伝現象を染色体や遺伝子と関連させて平易に扱うこと。
 オ 内容の(5)のアについては、微生物の利用を生物学の進歩と関連させて扱うが、食料生産や医療の分野における遺伝子組換えなどの応用については、初歩的な事項にとどめること。イについては、品種の改良を生物学の進歩と関連させて扱うが、組織培養、細胞融合などの応用については、初歩的な事項にとどめること。

第9 生物ⅠB

1 目標

 生物や生物現象についての観察、実験などを行い、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)生物体の構造と機能

ア 細胞
(ア)細胞の構造と機能
(イ)細胞の増殖
(ウ)単細胞生物と多細胞生物

イ 代謝
(ア)生物体内の化学反応と酵素
(イ)同化
(ウ)異化

ウ 生物体の構造と機能に関する探究活動

(2)生命の連続性

ア 生殖と発生
(ア)減数分裂と生殖細胞の形成
(イ)生殖と生活環
(ウ)発生とその仕組み

イ 遺伝と変異
(ア)遺伝の法則
(イ)遺伝子と染色体
(ウ)変異

ウ 生命の連続性に関する探究活動

(3)生物と環境

ア 生物の反応と調節
(ア)刺激の受容と動物の行動
(イ)内部環境とその恒常性
(ウ)植物の反応と調節

イ 生物の集団
(ア)生物の集団とその変動
(イ)生態系と物質循環
(ウ)自然界の平衡と環境の保全

ウ 生物と環境に関する探究活動

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 中学校理科との関連を考慮しながら、生物学の基本的な概念の形成を図るとともに、生物学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
 イ 「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行うとともに、観察、実験を通して、仮説の設定、推論、分類、対照実験、測定、数的処理、データの解釈など、生物学的に探究する方法を習得させ、創意ある研究報告書を作成させること。その際、多様な教材と組み合わせて、適宜コンピュータの活用を図ること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアの(イ)については、体細胞分裂による細胞の増殖を中心に扱うが、細胞の分化についても触れること。(ウ)については、生物の多様性と共通性に着目し、組織、器官にも触れるが、基本的事項にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。また、原核生物やウイルスを扱う場合は、それらの存在を指摘する程度にとどめること。イの(ア)においては、酵素を扱うに当たっては、羅列的な扱いはしないこと。(イ)については、光合成を中心にその仕組みが解明された過程に重点をおいて扱うが、実験データ等の資料を使用する場合は、平易なものにとどめること。(ウ)については、呼吸の意義とその仕組みを中心に扱うが、解糖系、クエン酸回路、水素伝達系の詳細な扱いはしないこと。
 イ 内容の(2)のアの(イ)については、生殖方法や生活環の様式の羅列的な扱いはしないこと。(ウ)については、発生の様式の羅列的な扱いはしないこと。また、発生の仕組みを扱うに当たっては、探究の過程に重点を置き、形成体の働きを中心に平易に扱うこと。イの(イ)については、遺伝子の連鎖と組換えも扱うが、二重乗換えには触れないこと。また、遺伝子の本体を取り上げる場合は、遺伝子の本体がDNAであることに触れる程度にとどめ、DNAの分子構造は扱わないこと。
 ウ 内容の(3)のアの(ア)については、神経の興奮や筋肉の収縮についても触れるが、初歩的な事項にとどめること。動物の行動については、初歩的な事項にとどめ、探究的に扱うこと。(イ)については、恒常性維持の原理を代表的な例に基づいて理解させる程度にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。イの(ア)については、環境と生物の関係、植物群落とその遷移、動物の集団とその変動を扱うが、基本的な事項にとどめ、羅列的な扱いはしないとこ。(イ)については、食物網についても触れるが、基本的な事項にとどめること。その際、観察データ等の資料を使用する場合には、平易なものを扱うこと。

第10 生物Ⅱ

1 目標

 生物や生物現象についての観察、実験や課題研究などを行い、生物学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)生物現象と分子

ア 生物体の機能とタンパク質
(ア)代謝と酵素
(イ)生体防御とタンパク質

イ 形質発現と核酸
(ア)遺伝情報とその発現
(イ)形質発現の調節

(2)生物の進化と系統

ア 生物の進化
(ア)生物界の変遷
(イ)進化の仕組み

イ 生物の系統と分類
(ア)生物の系統
(イ)生物の分類

(3)課題研究

ア 特定の生物や生物現象に関する探究活動
イ 自然環境についての調査

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 「生物ⅠB」との関連を考慮しながら、生物学の基本的な概念の形成を図るとともに、生物学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
 イ 内容の(3)については、ア及びイの中から1以上の適当な課題を設けて研究を行い、創意ある研究報告書を作成させるとともに、研究を行うに当たっては、仮説の設定、推論、分類、対照実験、測定、数的処理、データの解釈など、生物学的に探究する方法を習得させ、問題解決の能力を育成すること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアの(ア)については、ATP生成の仕組みや筋収縮の仕組みなどを扱うが、詳細な扱いはしないこと。(イ)については、生体防御がタンパク質の特異性に基づいていることを中心に扱うこと。イの(ア)については、遺伝情報、遺伝子の複製、形質発現などを核酸の構造と機能という立場から平易に扱うこと。(イ)について、形態形成やバイオテクノロジーの基礎的な事項は、初歩的に扱うにとどめること。
 イ 内容の(2)のアの(ア)については、生命の起源及び進化の過程の概要を扱う程度にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。(イ)については、進化の証拠やその要因などを扱い、集団遺伝に触れる場合は、初歩的な事項にとどめること。イの(イ)については、生物の系統との関係を理解する上で必要な程度にとどめ、羅列的な扱いはしないこと。
 ウ 内容の(3)については、内容の(1)、(2)及び「生物ⅠB」と関連させて扱うこと。アについては、生物や生物現象に関する発展的、継続的な観察、実験を行うこと。イについては、野外の生物に関する調査、研究などを行うこと。

第11 地学ⅠA

1 目標

 日常生活と関係の深い地学的な事物・現象に関する探究活動を通して、科学的な見方や考え方を養うとともに地学的な事物・現象や地学の応用についての理解を図り、科学技術の進歩と人間生活とのかかわりについて認識させる。

2 内容

(1)身の回りの地学

ア 自然の風景
イ 建造物と岩石
ウ 身近な鉱物

(2)天体の運行と人間生活

ア 時間と時刻
イ 季節と暦

(3)資源と人間生活

ア エネルギー資源
イ 地下資源
ウ 海洋資源
エ 宇宙からの資源探査

(4)地球の活動と災害

ア 気象とその災害
イ 火山とその災害
ウ 地震とその災害
エ その他の災害

(5)地球と人間

ア 地球の環境と人間
イ 地球環境の変化と保全

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 中学校理科との関連を十分考慮するとともに、地学的な事物・現象や地学の応用についての理解を無理なく行わせ、科学的な見方や考え方を育成すること。
 イ 内容の(1)から(5)までのうち、(5)はすべての生徒に履修させ、(1)、(2)、(3)及び(4)についてはそれらの中から2以上を、生徒の興味、関心などに応じて選択させること。
 ウ 履修させる内容の学習活動と関連させて、日常生活と関係の深い地学的な事物・現象についての観察、実験を行わせること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)アについては、地学現象の特徴を示す代表的な風景を中心に扱い、海底の景観にも触れること。イについては、石材に用いられる岩石の成因と種類、主な鉱物組成などを平易に扱うこと。ウについては、代表的な鉱物、宝石を取り上げ、それらの産状や物理的性質の幾つかを平易に扱うこと。
 イ 内容の(2)のアについては、天球上の太陽や恒星の位置及び運行を中心に扱うこと。イの暦については、地球、月、太陽の位置関係や運行周期を基にした太陰暦、太陽暦に触れる程度にすること。
 ウ 内容の(3)のアについては、太陽放射の熱エネルギー、化石燃料及び核燃料のエネルギーを中心に扱うこと。イについては、代表的な金属資源鉱物や非金属資源鉱物を扱うこと。ウについては、海底の資源物質や海水中の有用物質を平易に扱うこと。エについては、人工衛星や宇宙探査機からのリモートセンシングに触れ、資源や環境に関する情報の判読、活用の方法を平易に扱うこと。
 エ 内容の(4)のア、イ及びウについては、災害にかかわる気象、火山及び地震について取り上げ、それぞれの事象の概要、災害の事例、予知・予測及び防災にも触れるが、羅列的な扱いはしないこと。エについては、地すべり、山崩れ、地盤沈下及び海岸侵食の事例や原因にも触れるが、羅列的な扱いはしないこと。
 オ 内容の(5)のアについては、惑星としての地球の環境を中心に扱い、人間とのかかわりにも触れること。イについては、人間の生存にとって必要な自然環境の保全について、地学的な観点から平易に扱うこと。

第12 地学ⅠB

1 目標

 地学的な事物・現象についての観察、実験などを行い、地学的に探究する能力と態度を育てるとともに、基本的な概念や原理・法則を理解させ、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)宇宙の中の地球

ア 惑星としての地球
 (ア)地球の外観
 (イ)地球の運動

イ 太陽と恒星
 (ア)太陽の形状と活動
 (イ)恒星の放射
 (ウ)恒星の進化

ウ 宇宙の中の地球に関する探究活動

(2)地球の構成

ア 大気と水
(ア)地球の熱収支
(イ)大気の性質と運動
(ウ)海水と陸水

イ 地球の内部
(ア)地球内部の構造
(イ)地殻の構成物質
(ウ)地球内部のエネルギー

ウ 地球の構成に関する探究活動

(3)地球の歴史

ア 地質時代の編年
(ア)地層と化石
(イ)岩石の年齢

イ 地殻と生物の変遷
(ア)地質構造と地殻変動
(イ)生物界の変遷
(ウ)大陸と海洋底の動き

ウ 地球の歴史に関する探究活動

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 中学校理科との関連を考慮しながら、地学の基本的な概念の形成を図るとともに、地学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
 イ 「探究活動」においては、各項目の学習活動と関連させながら観察、実験を行うとともに、観察、実験を通して、仮説の設定、推論、分類、測定、数的処理、データの解釈、資料の活用など、地学的に探究する方法を習得させ、創意ある研究報告書を作成させること。その際、多様な教材と組み合わせて、適宜コンピュータの活用を図ること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアの(ア)については、地球の形、海陸の分布、地表の起伏及び太陽系の各天体の特徴にも触れるが、ジオイド、重力及び地磁気についての詳細な扱いはしないこと。(イ)については、地球の自転及び公転とその証拠並びに惑星の運動を中心に扱うこと。イの(ア)については、地球に及ぼす影響にも触れ、核融合反応については概略にとどめること。(イ)及び(ウ)については、HR図を中心に平易に扱うこと。
 イ 内容の(2)のアについては、水の三態変化や各種の気象及び地形の変化が太陽の放射エネルギーを原動力として起きていることを地球的規模で扱うこと。(イ)については、大気中の水及び風の吹き方を中心に扱い、日本の気象にも触れること。イの(ア)については、地球内部の構造、物質及び状態を中心に扱い、プレートの概念についても触れること。(イ)については、岩石を中心に扱い、鉱物については主要なものにとどめ、結晶系は扱わないこと。(ウ)については、地殻の熱流量、地震及び火山活動を中心に扱い、そのエネルギー源については平易に扱うこと。
 ウ 内容の(3)のアの(イ)については、年代測定の意義を中心に扱うこと。イについては、地殻及び古生物の進化を中心に扱い、原始の地球には深入りしないこと。イの(ア)については、岩石の相互関係や変形、現在及び地質時代の地殻の変動を中心に扱うこと。(イ)については、代表的な示準化石や生物の大進化を中心に扱うにとどめること。(ウ)については、プレートの動きによって説明される主要な地学現象を平易に扱うにとどめること。

第13 地学Ⅱ

1 目標

 地学的な事物・現象についての観察、実験や課題研究などを行い、地学的に探究する能力と態度を育てるとともに基本的な概念や原理・法則の理解を深め、科学的な自然観を育成する。

2 内容

(1)地球の活動

ア 地球の進化
(ア)原始の地球
(イ)プレートの動き

イ 地球の環境
(ア)地球に働く力
(イ)高層の大気

ウ 日本列島の変遷
(ア)島弧としての日本列島
(イ)日本列島の歴史

(2)宇宙の構成

ア 銀河系
(ア)銀河系の構造
(イ)銀河系の運動

イ 銀河
(ア)銀河の形状
(イ)宇宙の進化

(3)課題研究

ア 特定の地学的事象に関する探究活動
イ 自然環境についての調査

3 内容の取扱い

(1)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
 ア 「地学ⅠB」との関連を考慮しながら、地学の基本的な概念の形成を図るとともに、地学的に探究する方法の習得を通して、科学的な思考力、判断力及び表現力を育成すること。
 イ 内容の(3)については、ア及びイの中から1以上の適当な課題を設けて研究を行い、創意ある研究報告書を作成させるとともに、研究を行うに当たっては、仮説の設定、推論、分類、測定、数的処理、データの解釈、資料の活用など、地学的に探究する方法を習得させ、問題解決の能力を育成すること。その際、解決すべき課題についての情報の検索、分析、結果の集計・処理などに、適宜コンピュータなどを活用させること。

(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
 ア 内容の(1)のアの(ア)については、地球の誕生を中心に扱い、太陽系の起源及び生命の起源にも触れること。(イ)については、大陸移動説から海洋底拡大説、プレートテクトニクス説へと発展した過程も扱うこと。イの(ア)については、重力異常及び地磁気の変化にも触れること。(イ)については、偏西風波動を中心に地上の天気と関連させて扱うこと。ウの(ア)については、日本列島の地球上における地学的特徴を扱うこと。
 イ 内容の(2)のアの(ア)については、恒星や星間ガスの空間分布並びに銀河系の構造と大きさに触れる程度にとどめること。イの(ア)については、銀河の形状と種類、距離と分布を中心に扱う程度にとどめること。
 ウ 内容の(3)については、内容の(1)、(2)及び「地学ⅠB」と関連させて扱うこと。アについては、地学的な事象に関する発展的、継続的な観察、実験を行うこと。イについては、自然環境に関する地学的調査を行うこと。

第3款 各科目にわたる指導計画の作成と内容の取扱い

1 指導計画の作成に当たっては、「物理Ⅱ」、「化学Ⅱ」、「生物Ⅱ」及び「地学Ⅱ」の各科目については、原則として、それぞれに対応するⅠBを付した科目を履修した後に履修させるものとする。

2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)観察、実験、野外調査などの指導に当たっては、特に、事故防止について十分留意するとともに、生命の尊重や自然環境の保全に関する態度の育成に留意すること。また、使用薬品などの管理及び廃棄についても適切な措置を講ずること。
(2)環境問題や科学技術の進歩と人間生活にかかわる内容等については、自然科学的な見地から取り扱うこと。

お問合せ先

初等中等教育局

-- 登録:平成21年以前 --