数学における基本的な概念や原理・法則の理解を深め、事象を数学的に考察し処理する能力を高めるとともに数学的な見方や考え方のよさを認識し、それらを積極的に活用する態度を育てる。
具体的な事象の考察を通して、二次関数、図形と計量、個数の処理及び確率について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、それらを的確に活用する能力を伸ばすとともに、数学的な見方や考え方のよさについて認識を深める。
ア 二次関数とグラフ
(ア)関数とグラフ
(イ)二次関数とそのグラフ
イ 二次関数の値の変化
(ア)二次関数の最大・最小
(イ)二次方程式と二次不等式
ア 三角比
(ア)正弦、余弦、正接
(イ)三角比の相互関係
イ 三角比と図形
(ア)正弦定理、余弦定理
(イ)図形の計量
[用語・記号] sin、cos、tan
ア 数えあげの原則
イ 自然数の列
ウ 場合の数
(ア)順列
(イ)組合せ
[用語・記号] P、C、階乗、!
ア 確率とその基本的な法則
イ 独立な試行と確率
ウ 期待値
[用語・記号] 余事象、排反
(1)内容の(1)のイの(イ)の二次方程式については、実数解をもつもののみを取り上げるものとする。
(2)内容の(2)については、取り扱う角の範囲は、0°から180 °までとする。
(3)内容の(2)のイの(イ)については、平面図形や空間図形の計量を取り上げるものとする。ただし、三角形の面積をヘロンの公式で求めるなどの深入りはしないものとする。
(4)内容の(3)のアなどに関連して、集合の要素の個数を数えるなどの内容を取り扱うものとする。ただし、簡単な場合にとどめるものとする。
(5)内容の(3)などに関連して、集合に関する基本的な事項を取り扱うものとする。
(6)内容の(4)については、主として具体的な事象に関連付けて取り扱うものとする。
(7)内容の(4)のイについては、事象の独立、従属は取り扱わないものとする。
(8)この科目はすべての生徒に履修させる科目であることを考慮し、指導方法を工夫するとともに、生徒の実態に応じて、その内容の程度、範囲を弾力的に取り扱うよう配慮するものとする。
「数学Ⅰ」に続く内容として、指数関数や三角関数、図形と方程式及び関数の値の変化について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を育てる。
ア 指数関数
(ア)指数の拡張
(イ)指数関数
(ウ)対数関数
イ 三角関数
(ア)角の拡張
(イ)三角関数とその基本的な性質
(ウ)三角関数の加法定理
[用語・記号] 累乗根、log
ア 点と直線
(ア)点の座標
(イ)直線の方程式
イ 円
(ア)円の方程式
(イ)円と直線
ア 微分係数と導関数
イ 導関数の応用
ウ 積分の考え
[用語・記号] 極限値、lim 、不定積分、定積分
(1)内容の(1)のアの(ウ)については、対数計算は取り扱わないものとする。イの(ウ)については、2倍角の公式、単振動の合成を取り扱う程度とし深入りしないものとする。
(2)内容の(2)に関連して、簡単な場合について軌跡、不等式の表す領域を取り扱うものとする。
(3)内容の(2)のイの(イ)に関連して、一次と二次の二元連立方程式を取り扱うことは差し支えない。
(4)内容の(3)については、三次程度の関数を取り扱うものとする。
(5)内容の(3)のウについては、関数のグラフに関連して面積を求める程度とする。
関数と極限、微分法及び積分法について理解を深め、知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばす。
ア 関数の概念
(ア)分数関数、無理関数
(イ)合成関数、逆関数
イ 極限
(ア)数列{ }の極限
(イ)無限等比級数の和
(ウ)関数値の極限
[用語・記号] 収束、発散、∞
ア 導関数
(ア)関数の和・差・積・商の導関数
(イ)合成関数の導関数
(ウ)三角関数・指数関数・対数関数の導関数
イ 導関数の応用
接線、関数値の増減、速度、加速度
[用語・記号] 弧度法、自然対数、第二次導関数、変曲点
ア 不定積分と定積分
(ア)積分の意味
(イ)簡単な置換積分法・部分積分法
(ウ)いろいろな関数の積分
イ 積分の応用
面積、体積、道のり
(1)内容の(1)のアの(ア)については、=、=の程度の関数を取り扱うものとする。
(2)内容の(2)に関連して、平均値の定理に触れることは差し支えないが、直観的に理解させる程度にとどめるものとする。
(3)内容の(2)のアの(イ)については、=(は有理数)、 = 及び = の程度の簡単な関数を取り扱うものとする。
(4)内容の(3)のアの(イ)については、置換積分法は、 + = 、= sin θと置き換える程度にとどめるものとし、また、部分積分法は、簡単な関数についての適用で結果が得られるものにとどめるものとする。
「数学I」より広い内容として、数と式、平面幾何、数列又はコンピュータを用いる計算について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を育てる
ア 数
整数、有理数、実数
イ 式
(ア)整式
(イ)等式と不等式
ア 平面図形の性質
(ア)平面図形に関する基本的な定理
(イ)条件によって定まる図形
イ 平面上の変換
(ア)合同変換
(イ)相似変換
ア 数列とその和
イ 漸化式と数学的帰納法
ウ 二項定理
[用語・記号] Σ
ア コンピュータの操作
イ 流れ図とプログラム
ウ コンピュータによる計算
(1)この科目は、履修する生徒の実態に応じて、内容の(1)から(4)までの中から適宜選択させるものとする。
(2)内容の(1)のイに関連して、簡単な場合について式の証明を取り扱うものとする。
(3)内容の(1)などに関連して、必要条件、十分条件、対偶、背理法などを取り使うものとする。
(4)内容の(2)のアについては、中学校での学習を基礎とし、それを拡充して、活用する能力を伸長する程度とする。イについては、変換の考えによって図形の性質を見直す程度にとどめるものとする。
(5)内容の(3)のアについては、等差数列、等比数列の和及び数列{}の和を取り扱う程度とする。イについては、漸化式は二項間の関係式を取り扱う程度にとどめるものとし、また、数学的帰納法は、その方法の理解に重点を置き、複雑な証明技法には深入りしないものとする。
(6)内容の(4)のイについては、プログラムの構造について理解させることに重点を置き、簡単なプログラムを取り扱う程度とする。ウについては、中学校又は「数学I」での既修の内容に関する計算をコンピュータによって実行させる程度とする。
「数学I」及び「数学II」より進んだ内容として、ベクトル、複素数と複素数平面、確率分布またはコンピュータにおける算法について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察し処理する能力を伸ばす。
ア 平面上のベクトル
(ア)ベクトルとその演算
(イ)ベクトルの内積
イ 空間におけるベクトル
(ア)空間座標
(イ)空間におけるベクトル
ア 複素数と方程式の解
(ア)複素数とその演算
(イ)二次方程式の解
(ウ)簡単な高次方程式
イ 複素数平面
(ア)複素数の図表示
(イ)ド・モアブルの定理
[用語・記号] 虚数、 、判別式、偏角、極形式
ア 確率の計算
イ 確率分布
(ア)確率変数と確率分布
(イ)二項分布
[用語・記号] 条件つき確率、平均、標準偏差
ア コンピュータの機能
イ いろいろな算法のプログラム
(1)この科目は、履修する生徒の実態に応じて、内容の(1)から(4)までの中から適宜選択させるものとする。
(2)内容の(1)のイの(イ)については、空間におけるベクトルが、平面のベクトルと同様に取り扱えることの理解に重点を置き、空間図形の方程式の取扱いには深入りしないものとする。
(3)内容の(2)のアの(ウ)については、数係数の簡単な三次と四次の方程式の解法に因数定理が活用できることを理解させる程度とする。イについては、簡単な二項方程式や平面図形への応用を取り扱うものとし、技巧には深入りしないものとする。
(4)内容の(3)のアについては「数学I」の確率の内容に続いて、条件つき確率などを取り扱う程度とする。
(5)内容の(4)のイについては、ユークリッドの互除法、繰り返しによる平方根の計算などを取り扱う程度とする。
応用数理の観点から、コンピュータを活用して、行列と線形計算、いろいろな曲線、数値計算又は統計処理について会させ、知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数理的に考察し処理する能力を伸ばす。
ア 行列
(ア)行列とその演算
和、差、実数倍
(イ)行列の積と逆行列
イ 連立一次方程式
(ア)行列による表現
(イ)消去法による解法
[用語・記号] A
ア 式と図形
(ア)方程式の表す曲線
(イ)楕円と双曲線
イ 媒介変数表示の極座標
(ア)曲線の媒介変数表示
(イ)極座標と極方程式
(ウ)いろいろな曲線
[用語・記号] 焦点、準線
ア 方程式の近似解
イ 数値積分法
(ア)区分求積法
(イ)面積の近似計算
ア 統計資料の整理
(ア)代表値と散布度
(イ)相関
イ 統計的な推測
(ア)母集団と標本
(イ)正規分布
(ウ)統計的推測の考え
[用語・記号] 分散、標準偏差、相関係数、推定
(1)この科目は、履修する生徒の実態に応じて、内容の(1)から(4)までの中から適宜選択させるものとする。
(2)内容の(1)のアについては、3×3行列を取り扱うものとする。ただし、逆行列の計算については、2×2行列にとどめる程度とする。
(3)内容の(2)については、コンピュータを活用するなどによっていろいろな曲線を観察、考察し、簡単な図形については実際に描けるようにする。
(4)内容の(3)のアについては、ニュートン法または二分法を取り扱う程度とする。また、これに関連して、近似式、誤差、有効数字などに触れることは差し支えないが、実例により簡単な場合を取り扱うものとする。
(5)内容の(4)のイについては、理論的な考察には深入りしないものとする。
1 指導計画の作成に当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)「数学Ⅱ」、「数学Ⅲ」を履修させる場合は、「数学Ⅰ」、「数学Ⅱ」、「数学Ⅲ」の順に履修させること。
(2)「数学A」については「数学Ⅰ」と並行あるいは「数学Ⅰ」に続いて履修させ、「数学B」及び「数学C」については「数学Ⅰ」を履修した後に履修させること。
(3)複数の科目を並行して履修させる場合には、それぞれの科目の内容相互の関連を図るとともに、学習内容の系統性に留意すること。
2 内容の取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
(1)第2款の各科目の内容の[用語・記号]は、当該科目で取り扱う内容の程度や範囲を明確にするために示したものであり、内容と密接に関連させて取り扱うこと。
(2)各科目を通して、コンピュータ等の教育機器を活用して指導の効果を高めるようにすること。
(3)数の計算に当たっては、必要に応じて電卓、コンピュータ等を使用させて学習の効果を高めようとすること。
初等中等教育局
-- 登録:平成21年以前 --