学習指導要領「生きる力」

第3章 言語活動を充実させる指導と事例

(3)指導事例

  これまで述べた言語活動の意義や指導の在り方などを踏まえ,参考となる具体的な指導事例を掲載した。
  指導事例は,「第1章 言語活動の充実に関する基本的な考え方」及び「第2章 言語の役割を踏まえた言語活動の充実」を踏まえ,国語科をはじめとしてすべての教科等の取組を収集した。これらは,新しい中学校学習指導要領が全面実施される以前の実践であるが,可能な限りその趣旨を考慮し,言語活動の充実に資するものを収集している。

ア 指導事例の示し方

  各指導事例は,一つの事例を見開き2ページで示し,左側のページには【学習活動の概要】,右側のページには【解説】としている。概ね次のような構成を基本としているが,各教科等の特性に応じて工夫している。

【学習活動の概要】

(文頭に,教科等名,学年,言語活動の特色を記述。)
1 単元(題材)名
2  単元(題材)の目標
3  評価規準
4  教材(題材)
5 主な学習活動
(評価規準は,新学習指導要領を踏まえたものとしている。)

【解説】

【指導事例と学習指導要領との関連】
【言語活動の充実の工夫】
(欄外の下段の「思考力・判断力・表現力等の学習活動の分類」は,本書第1章(4)イ(5ページ)の波線内の番号を示している。)

イ 指導事例の活用

  各学校においては,国語科以外の各教科等においても,これまでの授業において言語活動を取り入れた学習活動が行われてきたところであるが,以下の事例を参考に,それぞれの教科等の目標を実現するため,これまでの取組を見直し,効果的な指導に改善していくきっかけにすることが望まれる。
  見直しに当たっては,これまで行ってきた言語活動を把握,検証することが求められる。その上で,指導計画の作成に当たっては,各教科等の目標と指導事項との関連,教材や教具について十分研究し,効果的な指導を行うための言語活動の工夫・改善に向けて検討する必要がある。
  その際,言語活動を充実すること自体が目的ではなく,言語活動により,基礎的・基本的な知識及び技能の習得,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力を育むことを目指すことに留意する必要がある。このため,基礎的・基本的な知識・技能の習得を図るための繰り返し学習等を軽視したり,話合いの時間をいたずらに増やしたり,新たに言語活動のための単元を特設したりするなどの対応は必ずしも必要ではない。
  また,平成21年のPISA調査結果では,子どもたちは必要な情報を見付け出し,取り出すことは得意だが,それらの関係性を理解して解釈したり,自らの知識や経験と結び付けたりすることが苦手であることが示されたことから,第2章(1)イの「事実等を解釈し説明するとともに,互いの考えを伝え合うことで,自らの考えや集団の考えを発展させること」に掲げた留意点を踏まえることが望まれる。
  言語活動の優れた指導事例は,以下に示すもの以外にも,これまでに学校において多くの蓄積があると考えられ,それらを学校内で共有することが求められる。また,教育委員会等においても,優れた事例について,域内で把握,共有,普及していくことが期待される。これら学校や設置者の取組により,創意工夫を生かした様々な指導手法が開発・実践されることが望まれる。

各事例

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初等中等教育局教育課程課教育課程企画室

-- 登録:平成23年05月 --