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教科書採択の公正確保について(通知)

28文科初第1790号
平成29年3月28日


各教科書発行者 殿

文部科学省初等中等教育局長
藤原誠


教科書採択の公正確保について(通知)


教科書発行者による検定申請本の内容の外部への流出を伴う不適切な行為が明らかになったことに端を発し,昨年度から本年度にかけて,多くの教科書発行者において,教科書採択の公正性に疑念を抱かせる不適切な行為が行われていたことが明らかとなりました。また,教科書の宣伝活動の過熱を防止し,教科書発行者間の公平性を期す観点から,従前より遵守を求めていた宣伝活動等に関するルールを逸脱する行為が,多くの教科書発行者により継続的に行われていたことも明らかとなっています。
我が国においては,民間主体である教科書発行者が教科書の制作に主たる役割を担っており,宣伝活動についても一義的にはその判断と責任に委ねられていますが,教科書が,全ての児童生徒が必ず使用するものであることに鑑みれば,その採択に高い公正性と透明性が求められることは言うまでもなく,教科書発行者においても,その意味を十分に認識し,教科書の制作に携わる者としての自覚と責任を持って自らの活動を律することが必要となります。
一連の問題を受けて,昨年9月に,一般社団法人教科書協会において,新たな自主ルールとして「教科書発行者行動規範」が制定されたところですが,如何なるルールも遵守されなければ何の意味もなさないことから,その責務を負う教科書発行者における徹底した取組が不可欠となります。
このため,各教科書発行者において,同行動規範及びそれを具体化するための社内ルール(教科書協会に非加盟の教科書発行者においては同行動規範に準じて策定した社内ルール)に基づき,自らの活動に如何なる疑惑の目も向けられることのないよう,教科書の著作・編集から検定,採択,供給に至るあらゆる段階における教科書採択の公正確保に努めていただくことが求められます。
具体的には,平成29年度は,高等学校のほか,小学校の「特別の教科 道徳」について,新たに教科書採択が行われることとなることから,それに際しての宣伝活動等に関し,特に留意すべき事項について通知しますので,教科書の編著作者及び編集協力者並びに関連する教材の執筆者を含む全ての関係者への周知と併せて,これらに違反ないしは逸脱する行為を社内全体として防止するための措置,取組に万全を期していただくようお願いします。



(採択期間における教科書見本の取扱いについて)
○ 平成28年度においては,文部科学省ホームページにおいて公表しているように,多くの教科書発行者が,教科書見本の不適切な取扱いを行っていたことが明らかとなり,該当の教科書発行者に対して改善を求めたところであるが,該当の教科書発行者においては,再発防止のための具体の措置を確実に講ずること。
○ 平成30年度使用教科書の採択が行われる平成29年度においては,採択権者(公立学校において使用する教科書については当該学校を所管する教育委員会,国立学校及び私立学校において使用する教科書については当該学校長)による調査研究に支障が生じないよう,教科書見本の送付先及び送付部数の上限について下記のとおりとする。

[義務教育諸学校用教科書]
小学校「特別の教科 道徳」の教科書見本

・都道府県教育委員会 : 15 部
・市(特別区を含む。)町村教育委員会 : 5 部
・採択地区(単独採択地区を含む。) : (構成市町村数+4) 部(※1)
・国立学校,私立学校 : 1 部
・教科書センター : 2 部
(※1) 指定都市の区域内に設定された採択地区については,5部を上限とする。

その他の教科書見本

・ 平成29年度は,法令に基づいて,前年度と同一の教科書が採択されることとなることから,原則として教科書見本は送付できない。
・ ただし,義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則(昭和39年文部省令第2号)第6条各号に掲げる場合には,採択権者からの個別の求めに応じ,上記「小学校「特別の教科 道徳」の教科書見本」の取扱いに準じて教科書見本を送付することができる。

[高等学校用教科書]
平成28年度に検定を経た図書の教科書見本(※2)

・都道府県教育委員会 : 6部
・高等学校(中等教育学校の後期課程及び特別支援学校の高等部を含む。)を所管する市町村教育委員会 : 原則1部(※3)
・高等学校に置かれる課程(全日制・定時制・通信制) : 原則1部(※4)
・教科書センター : 1 部
(※2) このほか,採択権者から個別に求めがあった場合に,当該採択権者が教科書採択の権限を有する中等教育学校の前期課程及び併設型中学校の数を上限として,当該採択権者に送付することは差し支えない。
(※3) 高等学校を所管する市町村教育委員会から個別に求めがあった場合には,教育長及び委員の数を上限として追加で送付することができる。
(※4) 採択権者から個別に求めがあった場合に,当該採択権者が教科書採択の権限を有する高等学校の分校又は各学科(普通科・専門学科・総合学科)に1部を上限として送付することは差し支えない。ただし,専門学科については,高等学校設置基準(平成16年文部科学省令第20号)第6条第2項各号に規定する学科ごとに1部を上限とする。

平成27年度以前に検定を経た教科書の見本

・ 平成28年度以前に教科書見本を送付していない場合には,上記「平成28年度に検定を経た図書の教科書見本」の取扱いに準じて送付することができる。
・ 平成28年度以前に教科書見本を送付した場合にも,採択権者からの個別の求めに応じて,上記「平成28年度に検定を経た図書の教科書見本」の送付先に1部を上限として送付することは差し支えない。

【その他留意すべき事項】
・ 上記は平成29年度における取扱いであり,平成30年度以降における取扱いについては,採択期間(本通知の発出の日から,都道府県教育委員会から文部科学省への教科書需要数の報告期限である9月16日までの期間をいう。)終了後に,平成29年度における運用実態や採択権者の意向等を踏まえた上で改めて検討する予定であること。
・ 上記部数は,送付することができる教科書見本の上限であるが,採択事務に支障が生じないよう,特に都道府県教育委員会及び実際に教科書の採択を行う採択権者に対しては,可能な限り漏れなく送付するよう配慮すること(ただし,職業に関する教科については,各1部を送付することとして差し支えない。)。
また,上述のように,公立学校において使用する教科書を採択する権限は,当該学校を所管する教育委員会が有しており,教科書採択に当たっての調査研究についてもその判断と責任において実施するものであることから,高等学校にのみ教科書見本を送付し,当該高等学校を所管する教育委員会に送付しないといった取扱いは厳に慎むこと。
・ 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第3条の規定により,教育長及び委員の数が5人を超える場合には,その超える数1人につき1部を上限として追加で送付することができること。
・ 上記を除き,採択関係者(教育委員会関係者又は校長若しくは教員を含む全ての学校関係者その他教科書採択に関与し得る全ての者をいう。)への教科書見本の献本又は貸与は,名目の如何を問わず認められていないこと(採択関係者からの求めに応じた献本又は貸与も同様である。)。
特に,平成27年度以前に検定を経た教科書の見本については,既に有償で販売されていることから,採択関係者への不当な利益供与との疑念を生じさせることのないよう,その取扱いにはくれぐれも注意すること。
・ また,採択関係者以外の者に対して,教科書見本を提供することは特段問題ないものの,第三者を介した教科書採択の勧誘を目的とする採択関係者への教科書見本の献本又は貸与であるとの疑念を生じさせることのないよう,提供する相手方や部数を必要な範囲に留めるとともに,必要に応じて情報の取扱いに関する誓約書を取り交わすなど,教科書見本を提供する相手方において適切な情報管理が行われるよう留意すること。
・ 各学校への教科書見本の送付は,原則として,郵送等によるものとし,教科書発行者が持参する場合には,当該学校の了解を得た上で行うこと。
また,例年,教科書見本の管理が煩雑になるとの指摘もあることから,採択権者等への送付に当たっては,複数の種目の教科書見本をまとめて送付する,送付目録を添付する等の工夫を講ずるよう努めること。
・ 教科書見本については,制作し次第,速やかに送付し,4月末日(教科書センターには5月末日)までに送付が完了するよう努めること。
・ 教科書見本の送付先及び送付部数の管理を厳格に行い,文部科学省あるいは採択権者からの問い合わせに適切に対応できるようにすること。
また,教科書協会に加盟の教科書発行者にあっては,採択期間終了後に採択権者等に送付した教科書見本の総部数を教科書協会に報告すること。
・ 教科書の発行に関する臨時措置法施行規則(昭和23年文部省令第15号)第8条第2項の規定により,都道府県教育委員会(又は教科書センター)において保存されている教科書見本を教科書展示会に出品しようとするときは,同条第3項の規定により,その旨を文部科学省及び都道府県教育委員会に対して,5月末日までに通知すること。
・ 教科書見本と併せて,内容解説資料その他広く無償で配布する資料を採択権者等に送付することは差し支えないが,その場合には,教科書見本と紛れのないよう,外観により容易に見分けがつく装丁,梱包とすること。
・ 教科書見本の送付先や送付部数等に疑義がある場合には,必要に応じて教育委員会等に確認した上で送付すること。特に,採択権者からの個別の求めに応じて,高等学校の分校若しくは学科に教科書見本を送付する場合又は平成27年度以前に検定を経た教科書の見本を送付する場合等の具体の手続については,各教育委員会等が定めることとなるため注意すること。

※ なお,当該具体の手続に関する定めについては,教科書協会に情報提供するよう,文部科学省から都道府県教育委員会に対して依頼する予定であるため承知願いたい。

(教科書の編著作者及び編集協力者並びに関連する教材の執筆者に関する情報の取扱いについて)
○ 教科書(平成28年度に検定を経たものに限る。)の編著作者及び編集協力者に関しては,その氏名及び所属並びに教科書発行者が支払う対価の額等に関する情報を取りまとめた上で,文部科学省から各都道府県教育委員会に対して,教科書見本の送付時期である4月末日までに送付することとしているため,教師用指導書及び教科書準拠周辺教材の執筆者に関する情報についても,当該者の同意を得た上で,教科書協会に加盟の教科書発行者にあっては教科書協会を通じて,非加盟の教科書発行者にあっては直接,同時期までに各都道府県教育委員会に送付すること。
○ そのほか,交通費・宿泊費,飲食費その他名目を問わず,採択関係者に係る何らかの費用を負担した場合には,その状況についても,採択権者からの問い合わせに対応することができるよう適切な情報管理を行うこと。
(採択期間終了後における教科書見本の取扱いについて)
○ 義務教育諸学校用教科書(平成29年度に新たに採択したものに限る。)について,自らが教科書採択の権限を有する学校における翌年度の授業研究や教材研究等の用に供するために,採択期間終了後において,採択権者から個別に求めがあった場合に,当該学校数を上限として,その採択した教科書の教科書見本を当該採択権者に献本することは差し支えないこと。
○ 高等学校用教科書については,各高等学校等に教科書見本が送付されていることから,原則として送付は認められないこと。
ただし,通信制課程を置く高等学校において使用する教科書の採択権者から個別に求めがあった場合に,当該高等学校の協力校等における翌年度の授業研究や教材研究等の用に供するために,1部を上限として当該高等学校に送付することは差し支えないこと。

(検定申請本の取扱いについて)
平成29年度においては,小学校用教科書,中学校用教科書及び高等学校用教科書について検定申請の受付が行われることとなるが,当該検定に係る検定申請本の取扱いについては,教科用図書検定規則実施細則(平成元年文部大臣裁定)の規定のほか,下記事項を遵守すること。
・ 検定申請本及びその内容を,教科書採択を勧誘するための宣伝活動(実質的にこれと同視され得るものを含む。)には一切用いないこと。
・ 検定申請本及びその内容については,教科書の編著作者及び編集協力者のほか,教師用指導書及び教科書準拠周辺教材の執筆者に,その執筆に当たって必要な部分を提供する場合を除いては,採択関係者その他の第三者に対して提供又は開示を行わないこと。
・ 教科書の編著作者及び編集協力者並びに教師用指導書及び教科書準拠周辺教材の執筆者に検定申請本の内容の一部を提供するに当たっては,情報の取扱いに関する誓約書を取り交わすとともに,翌年度以降の教科書採択に当たって,当該者の氏名及び所属,提供した検定申請本の内容並びに支払いを行う対価の額等に関する情報を都道府県教育委員会等に提供することができるよう適切な情報管理を行うこと。

(過当な宣伝活動等について)
採択権者による教科書採択の判断に不当な影響を及ぼすことのないよう,下記事項を遵守するなど,過当な宣伝活動等は厳に慎むこと。特に,採択期間における教科書発行者の活動は,その意図に関係なく,教科書採択の勧誘を目的としていると受け止められかねないことから,採択関係者に対する不公正な行為との疑念を生じさせることのないようくれぐれも注意すること。
・ 採択関係者若しくは公職関係者又はこれらの職にあった者など採択関係者に影響力を及ぼし得る者(教科書発行者の社員である者を除く。)を教科書採択の勧誘を目的とした宣伝活動等に従事させないこと。
・ 採択関係者の自宅訪問は一切行わないこと。
・ 採択期間においては,教育委員会等を対象として教科書協会が主催する合同説明会を除き,新たに採択される教科書に関する説明会,講習会又は研修会等(関連する教材の説明等を目的としたもののほか,教科書発行者若しくは教科書の編著作者若しくは編集協力者の宣伝を目的としたもの又はその目的であるとの疑念を生じさせるおそれのあるものを含む。)を主催せず,他の主体が主催するこれらの会議の開催に原則として関与しないこと。また,教科書の編著作者及び編集協力者,関連する教材の執筆者並びにその他教科書発行者と実質的な関係にある者に対しても,これらの取扱いについて周知することにより,教科書発行者によるこれらの会議の主催ないしは開催への関与が禁止されていることの趣旨を損なうことのないよう留意すること。
・ 採択期間終了後に教科書見本,教師用指導書その他の教材等を献本すること又は教科書等に関する説明会,講習会若しくは研修会等を開催することを約することを以て,教科書採択の勧誘を行わないこと。
・ 教科書や教師用指導書と類似若しくは同視し得る資料を作成し,又は自ら行うと第三者をしてであるとを問わず配布しないこと。
・ 学校又は児童生徒への教科書の供給過程において,教科書以外の資料を挿入・添付し,又は宣伝用の袋を使用するなどして教科書その他の教材等の宣伝活動を行わないこと。

(不当な利益供与の禁止について)
採択関係者に対して,教科書採択の勧誘を目的として又はその目的であるとの疑念を生じさせるおそれがある形での金銭その他の利益の供与又はその申出は,絶対に行わないこと。
この点,教科書発行者行動規範においては,不当な利益供与として禁止される行為の具体例が挙げられているとともに,教科書採択の公正性・透明性の確保の徹底を目的として,教科書,教師用指導書及び教科書準拠周辺教材に関する意見聴取の対価の支払いが禁止されていることに留意すること。

(その他)
○ 如何なる理由があろうとも,自ら行うと第三者をしてであるとを問わず,他の教科書発行者及びその発行する教科書の内容に関する誹謗中傷は,絶対に行わないこと。
○ 本通知若しくは教科書発行者行動規範等に違反し,又は逸脱する行為が教科書発行者により行われていることが確認された場合には,教科発行者名を含めて公表するとともに,事案の内容に応じて,必要な法令上の措置を講ずることとなることに留意すること。
万が一,自社においてそのような行為が行われていることを了知した場合には,速やかに当該行為を停止する等の措置を講ずるとともに,文部科学省に対してその旨を申し出ること。

お問合せ先

初等中等教育局教科書課

-- 登録:平成29年04月 --